佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

ナウム・グルーベルト ピアノ・リサイタル

2006年12月12日 23時54分16秒 | クラシック

 

 先週の12/8金曜日に行った演奏会。

だいしホールで夜7時開演。

先日のブレハッチ同様、オール・ショパン・プロでした。

プログラムは、

 

夜想曲 第7番 嬰ハ短調

夜想曲 第13番 ハ短調

ポロネーズ 第5番 嬰へ短調

バラード 第3番 変イ長調

ワルツ 第12番 へ短調

バラード 第4番 へ短調

 

エチュード 第7番 嬰ハ短調

マズルカより

ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 「葬送」

 

 

 以上でした。

アンコールは確か2曲でした。

 

 

 実はこのピアニストのこと、知りませんで、

とにかく行ってみた、そんな感じでした。

しかし、演奏会の内容はとても良かったです。

 

 

 話はだいぶ飛びますが、

僕が大学生に成り立ての頃、その前後に

だいしホールが出来ました。

その頃、とある噂が駆け巡っていました。

 

 

 

「だいしホールのピアノ、すごいらしいよ」

 

 

 

 僕は一応ピアノを続けていたので、

それに興味を持っていました。

 

 

 

「専門の調律師が必要なんだって」

 

「勝手に動かすと怒られるんだって」

 

 

 

 こんなまことしやかな噂(というか本当です)を聞いて、

僕はとても興味を持って、初めてそのピアノを聴いたのです。

しかしそれは、

 

 

「んん、、、、、これ、、、、、」

 

 

という感じでした。

 

 

 そのすごいピアノはあのベーゼンドルファー。

しかし、見たところ聴いたところ、

とてつもなく弾き難そうなピアノだったのです。

簡単に言ってしまうと、低音が異常に鳴る。

それに比して高音が細い。

キャパの小ささとそのホールの音響によって、

弾き手に非常に苦労を強いるピアノでした。

 

 

 これは、誰かと話したわけじゃなく、

あくまでも僕の印象です。

僕はあのピアノをちゃんと弾いたことはないので、

聴き手としての印象です。

 

 

 要は、何度もあそこでリサイタルをしている人は、

ピアノの勝手がある程度分かっているので、

良い演奏に出くわすこともよくあります。

でも、初めて来るピアニストだと、

あのピアノのマイナス点ばかりが目立つ結果になりやすいです。

 

 

 

 今回も、それを心配していました。

しかし、それは良い意味で覆されました。

まず、このピアニスト、

最初から非常に「対話」していました。

誰と?それは、ピアノとホールとです。

分かるんですよね。もの凄く気を遣って弾いているのが。

ピアノの響きに耳を傾け、

ホールの響きに耳を傾けて、非常に丁寧に弾いていました。

僕はピアニストではないので、それがもしかしたら

やりすぎなのかなと思ったりもしましたが、

僕としては非常に心地よかった。

特に、弱音が非常に良かったんですね。

よく鳴ってしまう低音(左手)と、高音(右手)のバランスを

非常に的確に見極めて、良いバランスで弾いていました。

 

 

 僕は特にピアノのリサイタルでは、

目をつぶって聴くことがあるのですが、

この日はほとんどそうして聴いていました。

ホールに鳴る音が本当に心地よかった。

 

 

 もちろん、強い音のところもバランスに気をつけて弾いていて、

それが表現として少しも壊れていない。成立していました。

高い技術と、優れた耳があってこそだと思います。

 

 

 プログラム的には、結構ヘビーだなと思っていました。

前半の曲数、後半の曲数、

もっと絞って演奏するピアニストはざらにいます。

でも、プログラムをしっかり弾ききっていました。

とても優れたピアニストだと感心しました。

腰も低く、低姿勢。

おまけに価格が3000円で、

名だたるピアニストではないけど、お得感がありました。

 

 

 気持ちの調子があまり良くなかったのですが、

目を閉じて、非常に気分よく、心地よく、

演奏を堪能しました。良かったです。

余談ですが、プログラムノートを栄長敬子さんが書いていました。

東京でお世話になったピアニストで、現新潟在住。

来てるかな~と思って眺めていましたが、発見できず。。。

今度はピアノを聴きたいです。

 


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