佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

誤った技術の伝承

2010年10月25日 02時30分39秒 | 日記・エッセイ・コラム
 
 この間、Nコンの全国大会を見られず、
今日のダイジェスト版を少し見ました。
 
 
 Nコンでは、出場学校とその練習風景の紹介があり、
これまでも度々感じていたことで、
tek310の知識ごときで言えることじゃないかもしれませんが、
「寝転がって足を上げて、あるいはVの字になって
発声練習をする」という悪習(とtek310は思う)、
未だに行われていることに正直愕然とします。
これって正しい練習なのでしょうか?
 
 
 ちょっと前にもこのブログに書きましたが、
キャッチーな練習方法だったり独特な練習方法だったり、
いろいろあると思いますが、
一番感じるのは、指導者の先生はその方法でもって
1年間も2年間も毎日発声練習をしたことがあるのか、
ということです。
大学で声楽を学んだ人は、その師匠からそんな練習方法を
伝授されたことがあるのか、ということです。
今の時代そんな人は一人も居ないのでは、と思います。
 
 
 誤解なきよう念のため書いておきますが、
大学で学ぶ声楽の技術のほとんどは
大きなホール等で歌うことや一人で歌うこと、
またオペラの声を想定しており、
そうした技術がそのまま例えばアカペラの合唱に生かせる、
とは”当然”思っていません。
時代により、国により、様式により、作曲家により
違う声が求められるのは当然のことで、
ただ、そうした声楽作品の源流を辿っていけば、
バロックやルネサンスに行き着く一繋がりなのは事実で、
何を言いたいかというと、
学校という場だけで成立する発声練習や方法など無い、
ということです。
 
 
 こうした練習風景が流され、
またそういう学校が全国大会に来るという状況が、
それを正しいものとする理由になってしまうのかと思います。
そうして編み出された練習方法が、
プロやアマチュアや諸外国の合唱団と乖離し、
「合唱の指導方法」という教育本等を通じて、
学校の現場だけでグルグル回っていく状況。。。
 
 
 勿論、そうした指導方法だけじゃないと思いますし、
優れた先生も多くいらっしゃると思います。
ただ、何か悲しい、と思うのは僕だけでしょうか?
 
 
 別の話ですが、
最近日曜日の夜、TBSのスポーツニュースの番組で、
桑田真澄氏が、これまで間違って伝えられてきた
野球の練習、技術等について警鐘を鳴らしています。
非常に興味深い話なので、これはまた別の時に書きたいですが、
自戒を込めて、
気をつけないといけないなと思います。
理由を検証するということと、広い視野をもつということを。
 
 
 なぜそうした発声練習が良くないのか、
という根本に触れていないだろうというツッコミもあると思います。
それについても別の時に書きたいと思います。