最低賃金労働者・・・韓国と日本
韓国でははっきり「最低賃金労働者」の数を出していますが、日本の場合、厚生労働省の「最低賃金近接労働者」というデータが公開されています。
最低賃金の1.15倍未満の賃金をもらう労働者の割合を集計したデータで、2014年基準で13.4%でした。
最低賃金の1.15倍だから、最低賃金よりは少し高めに集計したことになりますが、約415万人となります。
割合からすると韓国よりはずいぶんマシな状態ではありますが、日本も最低賃金労働者の割合は、毎年増加する傾向にあります。
ここで一つ、面白い差があります。
韓国でははっきり「最低賃金労働者」の数を出していますが、なぜ日本の政府機関は「最低賃金の1.15倍」を論じているのでしょうか。
これは、韓国政府は「最低賃金だからこれでいいだろう」とし、日本政府は「最低賃金だからこれはいけない」と思っている。
これは、最低賃金以外でも、日韓良両国の指導者たちが社会問題に対して持っている認識をよく表しています。
日本では「~ではいけない」を、韓国は「~でいいだろう」を考えます。
この「~ではいけない」は、日本のネットで韓国の問題点としてよく指摘される「パリパリ」とも通じるものであり、「一つのことを掘り下げる人が尊敬される」日本と、「いろいろなことを素早くかたづける人が尊敬される」韓国との違いでもあります。
この考え方が最終的にたどり着くところは、「改善」です。
韓国の社会問題には、ある「パターン」があります。
まずは、「日本に◯◯な社会問題がある」とする報道が溢れます。
ホームレスとか、学級崩壊とか、自殺率が高いとか、出生率が低いとか。
しかし、それから数年後には、同じ問題が「韓国の社会問題」として報道されるようになります。
またその数年後には、その社会問題において、韓国が日本よりひどいという報道が流れます。
そしてさらに数年後には、韓国ではその問題が悪化し、日本では改善しつつあるというデータが明らかになります。
韓国の社会問題は、「問題そのものがある」から問題ではなく、「問題が改善しない」のがもっとも大きな問題です。
日本は、何か社会問題が起こると本当に一気に騒がれます。
大騒ぎになります。
世界が終わったように悲観的な論調が溢れます。
でも、しばらくすると改善します。
この差は、「~でいいだろう」と「~ではいけない」の差からくるものではないでしょうか。
この認識の差は、「平等という価値を見出しているのか」ともつながっています。
資本主義社会では最低賃金労働者が存在するのは仕方ないとして、それを「それでいい」と見るのか、「それではいけない」と見るのかの差は、まさしく人間とお金の関係に対する「価値観」の差でもあるわけです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます