共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
70年代にこだわった『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
とにかく草笛光子が素晴らしい『九十歳。何がめでたい』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1437700
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70年代にこだわった『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
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『火の接吻』(49)(1984.11.18.TBS)
『ロミオとジュリエット』の映画撮影現場で、運命のごとく恋に落ちた男(セルジュ・レジアニ)と女(アヌーク・エーメ)の悲恋ドラマ。監督アンドレ・カイヤット、脚本ジャック・プレベール 撮影アンリ・アリカン。若き日のエーメがきれいで驚いた覚えがある。
『甘い生活』(60)(1977.12.30.TBS)
フェデリコ・フェリーニ監督、マルチェロ・マストロヤンニ共演。この映画に関してはアニタ・エクバーグの方が印象が強い。
『男と女』(66)(1975.4.14.月曜ロードショー)
『男と女』を彩ったフランシス・レイの“ダバダバタ”
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/248a8e9af79c644f48cc8444f4b81a8f
『男と女』のその後
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4a602519bc7169963daf6d6b7fdad669
『約束』(69)(1977.11.30.CX)
シドニー・ルメット監督のこの映画は、大昔にテレビで1度見たことがあるだけなので記憶が曖昧なのだが、確か友人の婚約者だった美し過ぎる女(アヌーク・エーメ)を妻にした男(オマー・シャリフ)が、彼女の不貞を疑った結果、彼女は絶望して自殺する。そして後に彼女が無実だったことを知った男は全てを失ったことを知る…。というなんともやるせない話だった気がする。きれいなかみさんを持つということは男冥利に尽きるのだが、同時に気苦労もあるわけだなどと思ったものだ。
『男と女 人生最良の日々』(19)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e81be1537a3c8c042f05dd8602a5f1d6
映画『お母さんが一緒』(7月12日公開)の完成披露上映会が19日、東京都内で行われ、出演者の江口のりこ、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ち(ネルソンズ)と橋口亮輔監督が登壇した。
『お母さんが一緒』完成披露上映会
“三姉妹”が乱闘・罵倒シーンを振り返る
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1437694
『お母さんが一緒』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1f464146dd6d0625eb6f3fb4c5d9cbdc
『お母さんが一緒』(2024.6.15.オンライン試写)
親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。長女・弥生(江口のりこ)は美人姉妹と言われる妹たちにコンプレックスを持ち、次女・愛美(内田慈)は優等生の長女と比べられたせいで能力を発揮できなかった恨みを心の奥に抱えている。三女・清美(古川琴音)はそんな姉たちを冷めた目で観察する。
「母親みたいな人生を送りたくない」という共通の思いを持つ3人は、宿の一室で母親への愚痴を爆発させているうちにエスカレート。互いをののしり合う修羅場へと発展する。そこへ清美がサプライズで呼んだ恋人のタカヒロ(青山フォール勝ち)が現れ、事態は思わぬ方向へと展開していく。
橋口亮輔の9年ぶりの監督作となるホームドラマ。ペヤンヌマキ主宰の演劇ユニット「ブス会」が2015年に上演した同名舞台を基に橋口監督が自ら脚色を書き、「ホームドラマチャンネル」が制作したドラマシリーズを再編集して映画化。
この映画のキャッチコピーに、「家族ってわずらわしくて、厄介で、それでもやっぱり、いとおしい」とあるが、これは山田洋次監督の『東京家族』(13)の「家族って、やっかいだけど、いとおしい」と同じもの。
また、三姉妹の乱闘・罵倒シーンは、『男はつらいよ』シリーズの家族げんかのシーンをほうふつとさせるところがあるなど、橋口監督の映画から山田監督の映画を思い浮かべることは意外な驚きだった。だが橋口監督によれば、意識したのは山田映画ではなく、成瀬巳喜男監督の『あにいもうと』(53)だという。
そんなこの映画は、性格の違う三者三様の姉妹、そこに天然なのか賢いのか分からない三女の恋人が絡むことで生じる空回りやズレの面白さが見どころの一つ。演じる4人が醸し出すアンサンブルも面白い。
肝心の「お母さん」が登場せず、姉妹の会話から想像させるところには、やはり“主役”が姿を現さない往年の名画『三人の妻への手紙』(49)のことを思い出した。
女性(姉妹)独特の心理やコンプレックス、一重と二重、付けまつげ、鼻に付けたティッシュなどのディテールは、男にはなかなか分からなかったり、気づかなかったりするところ。そうした描写も興味深く映った。
『三人の妻への手紙』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4d2ec86ad8773d29ee3e067fc24b22a4
伝説の、史上最強の万能選手ウィリー・メイズ(ニューヨーク→サンフランシスコ・ジャイアンツ、ニューヨーク・メッツ)の現役時代は、残念なことにほぼ見ていない。
よって彼に関するイメージは後付けの映像や読み物によるが、それらは走攻守のどれもが強烈で、同時代に活躍したニューヨーク・ヤンキースのミッキー・マントルと共に、リアルタイムでプレーを見たかったと思う選手の一人だった。
昔、1954年のワールドシリーズでメイズが披露した「ザ・キャッチ」のオーロラのプラモデルを作ったことがある。かっこいい。
人の名前を覚えるのが苦手だったメイズは、誰かに呼びかける時は「Say Hey!! (おいっ、あんた)」が常。いつしか、「Say Hey Kid」がメイズのニックネームになった。その言葉がタイ・カッブとジョー・ディマジオと一緒に歌詞の中に出てくるのが、ジョン・フォガティの「センターフィールド」という曲。
映画『メジャーリーグ』(89)には、メイズとボブ・ヘイズ(陸上とアメフトのスター)にあやかったウィリー・メイズ・ヘイズ(ウェズリー・スナイプス)という名の選手がいた。このように、ウィリー・メイズは紛れもなく野球のアイコンの一人なのだ。
「センターフィールド」ジョン・フォガティ
https://www.youtube.com/watch?v=Xq3hEMUeBGQ
Willie Mays the Catch
https://www.youtube.com/watch?v=7dK6zPbkFnE
Say Hey! Willie Mays
https://www.youtube.com/watch?v=5abB64ISJo8
『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』(2024.4.27.オンライン試写)
1940年10月。イタリア海軍の潜水艦コマンダンテ・カッペリーニは、イギリス軍への物資供給を断つため地中海からジブラルタル海峡を抜けて大西洋へ向かっていた。
その途上で遭遇した船籍不明の船を撃沈するが、それは中立国ベルギー船籍の貨物船カバロ号だった。サルバトーレ・トーダロ艦長(ピエルフランチェスコ・ファビーノ)はカバロ号の乗組員たちを救助して最寄りの港まで運ぶことを決めるが、それは、潜航せずに無防備のままイギリス軍の支配海域を航行するということで、自らと部下たちを危険にさらす行為だった。
第2次世界大戦中の実話を基に、戦時下でも失われることのなかった海の男たちの誇りと絆を描いた戦争ドラマ。監督はエドアルド・デ・アンジェリス。イタリア海軍全面協力のもと、実物大の潜水艦を再現した。
オープニングに、2013年にウクライナ人艦長に救われたロシア人遭難者の「海では誰もが神から救いの腕1本の距離にいる」という言葉のスーパーが入る。これは「我々は敵船は容赦なく沈めるが、人間は助けよう」という騎士道精神を描いたこの映画を象徴する言葉であり、現代とのつながりも示すことになる。
潜水艦を舞台にした映画は数多くあるが、第2次大戦下、潜水艦内で極限状態にいる男たちを描いた点で、ウォルフガング・ペーターゼン監督のドイツ映画『U・ボート』(81)とよく似ていると感じた。ただ、迫力という点では、この映画も決して負けてはいない。
潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号は、後にドイツに移ってU・ボートとなり、最後は日本で伊号潜水艦となったが、日本の敗戦後、米軍によって海没処理されるという数奇な運命をたどったという。日本でも「潜水艦カッペリーニ号の冒険」(22)としてドラマ化されている。この後日談も映画化したら興味深いものとなるだろう。
『U・ボート』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/dd556621601398305564a1b2f5716591
『マタギ』(82)(1982.6.7.新宿東映ホール2)
巨熊との対決に執念を燃やす老マタギと、マタギ犬を育て上げる孫との情愛の物語。青銅プロダクションが製作。監督は後藤俊夫。
映画が始まる前に、例によってやたらと~会推薦のテロップが入る。こりゃあ押しつけがましい教育的な映画の一種なのかと思い、ちょっと興ざめさせられたのだが、映画が始まるとそんな杞憂は吹っ飛んだ。いい意味で、大手の映画会社からは絶対に出て来ないような自主映画的な魅力にあふれた映画だったのだ。
方言丸出しのせりふと徹底した現地ロケが、われわれボンクラ都会人をしばしの間雪深い秋田県の山間の村にいざなう。映画館の中でぶるぶると震えがきたのは決して冷房のせいばかりではない。一時、本当に極寒の地にいるような錯覚を覚えるほどの力をこの映画は持っている。あの『八甲田山』(77)を真夏に見た時の感覚と通じるものがあった。
そして、全編を貫く自然の素晴らしさと恐ろしさという二面性、その自然を知り尽くした老マタギ平蔵の姿は、黒澤明の『デルス・ウザーラ』(74)をほうふつとさせる。演じる西村晃が、これまた一世一代の力演を見せる。その執念や昔気質ぶりは今では失われようとしているものだけに、寂しさと感動を感じさせられた。しかも、老マタギの孫役の子役が極自然な演技を見せる。これは現地の子どもを使ったことも大きいのだろう。
とはいえ、本物のマタギ犬と熊が登場するので、役者たちはいくらか損をしているところもある。彼らの持つ迫力と哀愁は決して人間にはまねのできないもの。その点、動物を生かし切った映画としても記憶に残る。
同じ日にヘンリー・フォンダ主演の『黄昏』(81)を見たので、老いについても考えさせられた。
『プロミスト・ランド』(2024.5.26.オンライン試写)
マタギの伝統を受け継ぐ東北の山間の町。高校卒業後に家業の鶏舎を継いだ20歳の信行(杉田雷麟)は、閉鎖的な暮らしにうんざりしながらも流されるまま日々を過ごしていた。
ある日、役所から今年の熊狩りを禁止する通達が届く。違反すれば密猟とみなされ、マタギとして生きる道を閉ざされてしまう。町のマタギ衆は仕方なく決定に従うが、信行の兄貴分である礼二郎(寛一郎)はかたくなに拒み続ける。やがて礼二郎は信行を呼び出し、2人だけで熊狩りに挑む秘密の計画を打ち明ける。そして2人は山に入るが…。
飯嶋和一が1983年に発表した同名小説を映画化。本作の舞台でもある山形県庄内地方のマタギ衆に密着したドキュメンタリー『MATAGI マタギ』(23)の飯島将史監督が長編劇映画初メガホンを取った。
特に時代設定は明らかにしていないが、舞台は80年代だという。それ故、どこか昔の自然を相手にしたハードな映画を見ているような気になる。特に、西村晃主演の『マタギ』(82)のことを思い出した。若い2人が山中でのロケを頑張っていた。
『GEMNIBUS vol.1』(2024.6.4.東宝試写室)
東宝が手がける才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」初の劇場公開作品として、新進気鋭の監督たちが競作する短編オムニバス映画「GEMNIBUS」の第1弾。
CGクリエイターの上西琢也監督が2023年にYouTubeで発表し再生数420万回以上を記録したショートフィルムを、迫真の映像と5.1ch音響のシネマティック・バージョンとして上映する『ゴジラ VS メガロ』。
縦型映像のホラー映画「娯楽」がTikTok TOHO Film Festival 2022のサードアイ賞を受賞した平瀬遼太郎監督が、親子の血縁の結びをスタイリッシュな映像で描いたサイコスリラー『knot』。出演は、三浦貴大、SUMIRE、野波麻帆、金子ノブアキ、滝藤賢一。
テレビアニメ「薬屋のひとりごと」などの絵コンテ・演出を手がけたアニメーターのちな監督とピアニストの角野隼斗がタッグを組み、アニメに生命を吹き込むことの面白さと残酷さを大胆に描いた新感覚アニメ『ファーストライン』。
第75回カンヌ国際映画祭の#TikTokShort Filmコンペティションでグランプリを受賞した本木真武太監督が、少子高齢化問題を背景に撮りあげたSF学園ゾンビ映画『フレイル』。出演は、奥平大兼、莉子、今井柊斗、大石吾朗。
なかなか面白い企画だが、それぞれが習作や実験作の域を出ていないのは否めない。何だか、某映画祭で審査員をやった時のことを思い出した。この中から、将来大化けする人が出るかもしれない。