田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

ドナルド・サザーランドの出演映画 1970年代2『カサノバ』

2024-06-21 22:03:13 | 映画いろいろ

『カサノバ』(76)(1981.1.12.有楽町スバル座)


 何ともフェリーニらしく、ひっちゃかめっちゃかで退廃的で支離滅裂なのに最後はちゃんと余韻を残す。『甘い生活』(60)『サテリコン』(69)のさらに上を行った感じがした。

 全編にわたって、主人公カサノバ(ドナルド・サザーランド)の女性遍歴を描いているのだが、まずセットの豪華さが目を引く。冒頭の祭りのシーン、貴族の館、劇場、シャンデリア…。そして次から次へと登場する女性たちも、貴族、大道芸人、女優、そして人形と、実に多彩でこちらにも目を奪われる。

 その中で、カサノバが時には滑稽に見えたり、哀れに見えたりもするのだが、それを見ている自分もとりとめが付かなくなり、何本も映画を見たような疲れを感じた。

 ラスト近くで急に老けて惨めな姿をさらすカサノバ。若い頃の彼があまりにも華やかだっただけに、この落差の大きさが切ない。しわだらけで目が充血した彼の心に宿るのは、若き日に出会ったさまざまな女たち、故郷の祭りのシンボル像…。だが、老いた彼の自由になるのは美しい人形だけだったという皮肉。

 人間の宿命である老いが希代のプレーボーイの身にも訪れたのだ。ここで初めてカサノバもわれわれと同じ人間だったと感じて、彼に同情することができるのだ。それが、酒池肉林ともいうべきすさまじい狂態が映る映画の結論としてフェリーニが言いたかったことなのか。人生とは、かくのごとく空しいものである。老いは誰にでも容赦なくやって来るものなのだと。サザーランドの演技がすごかった。

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ドナルド・サザーランドの出演映画 1970年代1

2024-06-21 12:37:17 | 映画いろいろ

『M★A★S★H マッシュ』(70)(1977.4.1.ゴールデン洋画劇場)

 

 朝鮮戦争を舞台に、3人の軍医(ドナルド・サザーランド、トム・スケリット、エリオット・グールド)の姿を描いたブラックコメディー。監督はロバート・アルトマン。サザーランドは“ホークアイ(切れ者)”ベンジャミン・フランクリン・ピアース大尉役。


『ジョニーは戦場へ行った』(71)(1975.11.30.日曜洋画劇場)

 第1次世界大戦で重傷を負って手足を失い、目や耳の機能も奪われ、“意識ある肉塊”と化した青年(ティモシー・ボトムズ)の運命を悲痛に描いた反戦映画。ドルトン・トランボが自身の小説を脚色し、初監督した。サザーランドはキリストと呼ばれる男役。


『コールガール』(71)(1977.1.30.日曜洋画劇場)

 探偵のクルート(ドナルド・サザーランド)は、行方不明になっている科学者を追ってニューヨークにやってきた。手掛かりは、科学者が高級コールガールのブリー(ジェーン・フォンダ)に宛てた卑猥な内容の手紙だけ。クルートはブリーに協力を請うが、拒絶される。クルートは仕方なくブリーを監視することにするが…。ジェーン・フォンダがアカデミー賞主演女優賞に輝いた傑作サスペンス。監督はアラン・J・パクラ。


『1900年』(76)(1982.12.1.新宿シネマ2)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/41be1421e3155975e3e6bdb958bcef0d


『鷲は舞いおりた』(76)(1986.12.28.日曜洋画劇場)

 チャーチル暗殺に命を賭けたドイツ軍の男達の活躍を描く戦争冒険映画。原作ジャック・ヒギンズ。ジョン・スタージェス監督の遺作。


『アニマル・ハウス』(78)(1980.5.4.三軒茶屋映画.併映『アメリカン・グラフィティ』『天国から来たチャンピオン』)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/74c8bb6bbc570da6229d2d9ddf929c11


『SF//ボディ・スナッチャー』(78)(1985.6.19.ビデオ)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2fa3e7dc65dc23b68527e63f3e703287


『オーロラ殺人事件』(79)(1986.1.19.ウィークエンド・シアター)

 北極にあるNATOの秘密基地べア島を舞台に、島に眠る莫大な金塊をめぐって展開される国際的な陰謀を描くミステリー・アクション映画。監督はドン・シャープ。サザーランドは海洋生物学者役。

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ドナルド・サザーランドの出演映画 1960年代

2024-06-21 10:13:26 | 映画いろいろ


『駆逐艦ベッドフォード作戦』(65)(1975.1.22.水曜ロードショー)

 グリーンランド海域を対潜哨戒中の米駆逐艦ベッドフォードのレーダーにソ連の潜水艦が現れる。駆逐艦の艦長(リチャード・ウィドマーク)は、司令部の命令を無視して潜水艦の行方を追うが…。核を人間がコントロールする恐怖を描いた異色戦争映画。サザーランドは端役の医務員役。

 


『特攻大作戦』(67)(1975.2.6.木曜洋画劇場)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/85d6f95492de8979625d3e9dc00e0358


『汚れた七人』(68)(1975.3.4.木曜洋画劇場)

 ロサンゼルスのフットボール試合場の売り上げ金強奪を計画した犯罪のエキスパートたち(ジム・ブラウン、アーネスト・ボーグナイン、ドナルド・サザーランド、ウォーレン・オーツ、ジャック・クラグマン、ジュリー・ハリス)。ところが、悪徳警部(ジーン・ハックマン)が介入してきたことにより、事態は予想外の方向へと進んでいく。監督はゴードン・フレミング。原作はリチャード・スタークの『悪党パーカー/汚れた七人』

 

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【ほぼ週刊映画コラム】『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』『九十歳。何がめでたい』

2024-06-21 08:05:05 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

70年代にこだわった『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
とにかく草笛光子が素晴らしい『九十歳。何がめでたい』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1437700

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