『リバティ・バランスを射った男』(62)(1997.3.10.)
ジョン・フォード、晩年の佳作を久しぶりに再見したところ、いくつか新たな思いが浮かんできた。
ジョン・ウェインが遺作『ラスト・シューティスト』(76)より、10年以上も前に“最後の西部男の悲しい死”を演じていたことに改めて気づいた。その分、ジェームズ・スチュワートが演じた、後に議員になる主人公が、前に見た時よりも、尊大で横柄な人物として映ってしまった。このウェインとスチュワートが『ラスト・シューティスト』で再共演しているのも感慨深い。
ところで、ウェイン演じる“影の男”トム・ドニファンに、さらに影のように寄り添う黒人御者ポンピー(ウディ・ストロード)が泣かせる。『バファロー大隊』(60)もそうだが、こうした扱いを見ると、フォードはストロードをとてもかわいがっていたのだろうと思う。
また、ラストに吐かれる「西部では伝説を事実にする」という名ゼリフが、今となっては、フォードが映画という作り物に対して発した、暗示的な遺言のようにも聞こえる。
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