田中雄二の「映画の王様」

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『生きる』の「ゴンドラの唄」

2018-10-04 11:40:26 | 映画いろいろ
 東京建物のCMのバックに“大正時代のラブソング”「ゴンドラの唄」(作詞・吉井勇、作曲・中山晋平)が流れる。
https://www.youtube.com/watch?v=atZPdc60xxY



 この曲のことは、大学生の頃、並木座で見た黒澤明監督の『生きる』(52)で知った。志村喬演じる主人公の渡辺勘治が、キャバレー(ピアノ伴奏は市村俊幸)と、雪の公園でブランコを漕ぎながら歌うシーンはあまりに有名だ。

 ところが、前者は自分ががんで余命わずかであることを知った勘治が、死に怯え、昔を懐かしみながら歌ったもの。後者は公園を完成させ、人生を全うできた喜びから歌ったものということで、両者は全くニュアンスが違う。つまり、この曲が勘治の心の変化を表現するのに、重要な役割を果たしているのである。

 「いのち短し 恋せよ乙女~」の詞と哀愁に満ちたメロディは、この映画のテーマである“生きるということ”を見事に言い当てているともいえる。音楽の早坂文雄は「『ゴンドラの唄』を使うことを考えついた時、この映画の音楽は半分できたと思った」と語っていたという。そんな早坂が手掛けたオープニングテーマと、エンディングで公園を見詰める日守新一のバックに流れるメロディだけの「ゴンドラの唄」もとてもいい。
https://www.youtube.com/watch?v=FXX0RpALVbA
https://www.youtube.com/watch?v=EImdE3OzesQ

 さて、先日、ある飲み会で「ひょっとして渡辺勘治は今の自分よりも年下かもしれない」という話題が出た。昭和20年代後半の定年間近という設定だから、勘治は54、5歳。確かに同年代か…。

「東京音頭」の中山晋平と黒澤明の『生きる』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/240c52b087410c9315520fa3f587f947

名画投球術No.2「ダメな人間ばかり出てくる映画を観て安心したい」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5b428edd45778476ab0530bc08c0ef67

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