ジュディ・ガーランドが47歳で亡くなる半年前の1968年冬のロンドン公演前後の日々を中心に、過去の回想も交えながら、彼女の人生の舞台裏を描く。
何と言っても、レニー・ゼルウィガーが圧巻だ。メーキャップの力を借りたとはいえ、渾身の演技と歌で、晩年のジュディに成り切っている。この映画の場合は、それを見るだけでいいのかもしれない。
ただ、原作は実話を基にした舞台劇なのだが、いくらジュディがゲイたちのアイコンになっているからといって、とって付けたようにジュディとゲイカップルとのエピソードを入れたり(これは多分創作だと思う)、確かに感動的ではあるが、ラストの「オーバー・ザ・レインボー=虹の彼方に」の合唱(こちらは別のライブで実際に起こった出来事らしい)などは、作為の跡が感じられて少々鼻に付く。
さて、アメリカのスターの黄昏をイギリス人監督(この映画はルパート・グールド)が描くこと。あるいは、アメリカで尾羽打ち枯らし、イギリスでも一度は倒れながら、一瞬の輝きを得る姿などは、ローレル&ハーディの最後のイギリス公演の様子を描いた『僕たちのラストステージ』(18)と重なるところがある。
また、こうしたバックステージものを見るたびに、どちらの側に立つか、あるいは思い入れるかで、その人物や周囲の人々の描写や評価は異なるものだと感じる。だから、もはや故人が圧倒的に多いが、ルイス・B・メイヤーやミッキー・ルーニーをはじめとする関係者たち、ジュディの夫たち、ライザ・ミネリも含めた子どもたちは、この映画を見たらどう感じるのだろうかなどと思ってしまうのだ。
『オズの魔法使』とミュージシャン
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『イースター・パレード』
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『スタア誕生』完全版
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『ザッツ・エンタテインメント』
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