田中雄二の「映画の王様」

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『ザッツ・エンタテインメント』(74)

2016-01-28 09:11:28 | All About おすすめ映画

MGMミュージカル名場面のハイライト集



 この映画はMGM社が創立50周年を記念して、1929~58年にかけて製作したミュージカルの中から、約200本の映画の名場面をアンソロジーにしたものです。まだビデオもDVDもなかった時代に、この映画は黄金期のミュージカル映画を伝承する役割を果たしました。かつてMGMは“星の数よりも多いスター”をキャッチフレーズにしていただけに約120人ものスターが登場します。

 名場面の合間にはフランク・シナトラやエリザベス・テイラーら、当時存命だった11人のスターが思い出を語ります。中でも、フレッド・アステアがジーン・ケリーを、逆にケリーがアステアを、ライザ・ミネリが母のジュディ・ガーランドを紹介するところは見ものです。

 私はこの映画のおかげで、アステアとジンジャー・ロジャースを、ケリーを、そして水中レビューのエスター・ウィリアムズなどを知り、ひいてはミュージカル映画の歴史の一端を知ることができました。

 今は名場面のそれぞれはYou Tubeなどで手軽に見られるかもしれません。しかし、この映画の存在価値は名場面を適切に配置して編集し、スターの語りを融合させ、ミュージカル映画の歴史を語った点にあります。ミュージカル映画初心者にはこれ以上の“入門書”はないでしょう。

 私のお気に入りの名場面は、『雨に唄えば』(54)のどしゃぶりの雨の中でジーン・ケリーが歌い踊るシーンと、ドナルド・オコナーが文字通り体を張って笑わせる「メイク・エム・ラフ」、そして『ショウ・ボート』(51)でウィリアム・ウォーフィールドが朗々と歌い上げる「オール・マン・リバー」です。

 あなたもこの映画を見て、自分だけのお気に入りの名場面を見つけてください。続編として『PART2』(77)『PART3』(94)も製作されているのでこちらもぜひどうぞ。


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