『日本のいちばん長い日』(67)(1974.8.14.)
(1982.5.13.文芸地下 併映は『生きものの記録』)
テレビで見たのも含めると今日で3度目になるが、何度見ても、徹底したドキュメンタリータッチから受ける衝撃はすさまじいものがある。中でも畑中少佐役の黒沢年男の大熱演が印象に残る。
のろのろと終戦の準備を行う政府、それを尻目に飛び立つ特攻機、このシーンは何度見ても怒りが湧く。あんたたちがのろのろとしている間に、一体、何人の死ななくてもいい人たちが死んでいったのか、という怒りである。
そんな、われわれ戦争を知らない世代の怒りに弁解するかのようにこんな言葉がつぶやかれる。「何しろ帝国日本の葬式だからな…」。だがそれは戦争を推し進めてきた上層部が持つ感慨に過ぎないのではないか、という気がする。
それ故、岡本喜八は庶民における終戦として『肉弾』(68)を撮ったのだろう。上からの命令や教育で正しいと思い込まされて死んでいった無数の人々。彼らの姿こそが、戦争、あるいは軍国主義の愚かさを、われわれ戦争を知らない世代に、教えてくれるのだから。天本英世が叫ぶ「襲撃第一目標鈴木内閣総理大臣」の命令に笑いが起きた。これは現総理の鈴木善幸への皮肉か。
『男はつらいよ』(69)(1974.4.1.東京12チャンネル)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/40719f5f8740de1ab4cd1157c56fd299
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