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映画の王様

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スピルバーグ関連映画のノベライズ本

2020-09-06 11:30:41 | ブックレビュー

 本を整理していたら、スピルバーグ関連映画のノベライズ本が出てきた。

 

『E.T.』(82)ウィリアム・コツウィンクル
『トワイライトゾーン/超次元の体験』(83)ロバート・ブロック
『グレムリン』(84)ジョージ・ガイプ
『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(85)アラン・アーノルド
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)ジョージ・ガイプ
『グーニーズ』(85)ジェームズ・カーン
『世にも不思議なアメージング・ストーリー1・2』(86)スティーブン・バウアー
『ニューヨーク東8番街の奇跡』(87)ウェイランド・ドルー
『ハリーとヘンダスン一家』(87)ジョイス・トンプスン
『インナー・スペース』(87)ネイサン・エリオット
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(89)クレイグ・ショー・ガードナー
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(90)クレイグ・ショー・ガードナー
『アラクノフォビア』(90)ニコラス・エドワーズ

 このうち、著名な作家はブロックだけで、後の人はどういう経歴なのか全く分からない。皆、いわゆる雇われライターだったのか。『未知との遭遇』(77)の著者は一応スピルバーグの名義になっているが、実際はどうなのだろう。

 実はスピルバーグの監督作には原作のあるものが多い。これも、彼の映画は文系だと感じさせる大きな要因の一つだろう。

『激突!』(71)リチャード・マシスン
『ジョーズ』(75)ピーター・ベンチリー
『カラー・パープル』(85)アリス・ウォーカー
『太陽の帝国』(87)J・G・バラード
『ジュラシック・パーク』(93)マイケル・クライトン
『シンドラーのリスト』(93)トーマス・キニリー
『A.I.』(01)ブライアン・オールディス
『マイノリティ・リポート』(02)フィリップ・K・ディック
『宇宙戦争』(05)H・G・ウェルズ
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(11)エルジェ
『戦火の馬』(11)マイケル・モーパーゴ
『リンカーン』(12)ドリス・カーンズ・グッドウィン
『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(16)ロアルド・ダール
『レディ・プレイヤー1』(18)アーネスト・クライン

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『火刑都市 改訂完全版』(島田荘司)

2020-08-30 07:44:13 | ブックレビュー

 昭和57(1982)年、四ツ谷の雑居ビルが放火され、地下にいた若い警備員が焼死する。これは事故か殺人か。前半は、主人公の中村刑事が、事件の鍵を握ると思われる、失踪した警備員の婚約者を捜索する様子が描かれる。足を使った地道な捜査、珍しい地名などは、松本清張の影響がうかがえる。
 
 その間、赤坂のホテル(モデルはニュージャパン)、虎ノ門のビルと連続放火事件が発生。現場には“東亰”と書かれた紙片が残されていた。果たして連続放火犯の意図は? “東亰”の意味は? という謎の奥に、水の都から陸の都へと変貌した東京論を展開させる、という社会派ミステリー。

 以前、川本三郎氏の『ミステリと東京』で紹介されていた時に読んだのだが、今回「改訂完全版」と銘打たれて復刊されたので、久しぶりに読み返してみた。中盤に回りくどいところがあって、いささかもたれるが、都市論を踏まえた出色のミステリーという印象は変わらなかった。そういえば、ヒロインは自分と同い年だった。

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『山月記』(中島敦)『枯葉の中の青い炎』(辻原登)

2020-08-24 23:36:48 | ブックレビュー

 テレビで、人間が虎になるという変身譚、中島敦の『山月記』の朗読をやっていた。高校時代の現国の教師が変わり者で、この小説の漢文調のリズムを感じるためと称して、暗唱することを課題とした。確かに声に出して読むと、気持ちのいい文章だった。おかげで、今でも途中まではそらんずることができる。

 「隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった」

 さて、その中島敦が登場する面白い小説がある。辻原登の『枯葉の中の青い炎』だ。

 この小説は、かつて、プロ野球チーム、トンボ・ユニオンズに在籍したミクロネシア出身の相沢進のその後を伝える実際の新聞記事(2003年)を発端に、1955年のビクトル・スタルヒンが3百勝を懸けた試合、1941年のミクロネシアでの相沢と作家・中島敦との邂逅、相沢が使う南洋の秘術…と、話が時空を超えてどんどんと飛躍していく。そして、史実とほら話を融合させ、野球小説と南洋文学を合体させたような、不思議な味わいを持った小説になった。これはある意味、中島の 『山月記』にも通じるトールテールの一種だ。

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『私立探偵トビー・ピータース』(スチュアート・M・カミンスキー・和田誠)

2020-08-11 08:47:56 | ブックレビュー

 引っ越しで本を整理していたら、1940年代のハリウッドを舞台にした、スチュアート・M・カミンスキーの『私立探偵トビー・ピータース(Toby Peters)』シリーズが出てきた。

 このシリーズは、和田誠さんのイラストと翻訳で、『ロビン・フッドに鉛の玉を(Bullet for A Star)』『虹の彼方の殺人(Murder On The Yellow Brick Road)』が出され、その後、和田さんはイラストのみになったが、『我輩はカモじゃない(You Bet Your Life)』『ハワード・ヒューズ事件(The Howard Hughes Affair)』『吸血鬼に手を出すな(Never Cross A Vampire)』と続いた。

 事件に巻き込まれるのは、順にエロール・フリン、ジュディ・ガーランド、マルクス兄弟、ハワード・ヒューズ、ベラ・ルゴシとなる。

 また、探偵ものの短編アンソロジーに、「ルイス・ヴァンスを射った男」(The Man Who Shot Lewis Vance)「枯れ行く花」(Busted Blossoms)が所収されている。

 もちろん、前者は『リバティ・バランスを射った男』(62)、後者は『散り行く花』(1919)をもじったタイトル。というわけで、殺人事件に巻き込まれるのはジョン・ウェインとD・W・グリフィスとなる。

 カミンスキーは全部で24本のシリーズを書き、中には長編化された「ルイス・ヴァンスを射った男」もあるという。誰か翻訳してくれないかなあ。

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『8マン』(桑田次郎)

2020-08-05 09:42:34 | ブックレビュー

 亡くなった桑田次郎の漫画は、登場人物のシャープなボディラインや洋画を思わせるような風景に魅力があった。その最たるものは、やはり『8マン』(エイトマン)だろう。

 捜査中に瀕死の重傷を負った刑事・東八郎は、天才科学者・谷博士によって、精神をロボットの電子頭脳に移植される。そして、超高速で疾走する鋼鉄のスーパーロボットで、警視庁捜査一課にある七つの捜査班のいずれにも属さない八番目の男「8マン」として復活する。

 東は、通常は私立探偵として生活しているが、ひとたび事件が起き、警視庁の田中課長から要請を受けると、8マンに変身し、事件に立ち向かうのだった。

 平井和正の原作で『週刊少年マガジン』に連載された漫画は、後から秋田書店のコミックスにまとめられたものを読んだので、どちらかと言えば、8マンのイメージは繰り返し放送されたテレビアニメの方が強い。

 新幹線の横を疾走し追い抜く8マンが映る、耳に残る主題歌(作詞・前田武彦、作曲・萩原哲晶、歌・克美しげる)にまずやられ、本編にも、「鉄腕アトム」「鉄人28号」などと比べても、とにかく画がシャープでかっこいい、という印象を受けた。加えて、タバコ型の強加剤を模したココアシガレットや、丸美屋のふりかけのパッケージやおまけのシールなど、今で言うタイアップ商品も子供心をくすぐった。

 ところで、ずっと後になって『ロボコップ』(87)を見た時に、「これって『8マン』じゃん」と、懐かしく思ったものだが、日本でも実写映画『8マン・すべての寂しい夜のために』(92)という珍品があった。8マン=東八郎を宍戸開、谷博士を宍戸錠、田中課長を高橋悦史が演じていた。

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『活動寫眞の女』(浅田次郎)

2020-07-22 11:41:57 | ブックレビュー

 本の整理をしていたら、ちょっと懐かしいものが出てきた。

『活動寫眞の女』(浅田次郎)(2011.2.2.)

 マキノ省三に見いだされ、山中貞雄と恋仲になり、溝口健二の『祇園の姉妹』(36)に出た大部屋女優の伏見夕霞。昭和13(1938)年に撮影所で自殺したはずの彼女が、昭和44(1969)年の京都に現れ、現代の京大生と恋に落ちる。

 怪談「牡丹灯籠」と、不遇の女優の霊が現代の女優に乗り移るジャック・フィニイの小説『マリオンの壁』を合わせたようなほら話。

 というか、『12モンキーズ』(95)で、ブルース・ウィリスが映画を見ることをタイムスリップにたとえたように、もともと、時空や次元を自在に超えることができるのが、映画の魅力の一つでもある。

 だから、この手の話は少なくない。例えば、短編小説ではジョー・ヒルの『20世紀の幽霊たち』や、ロバート・ブロックの『スクリーンの陰で』があり、映画の中から出たり入ったりする、という点では『キートンの探偵学入門』(24)やウディ・アレンの『カイロの紫のバラ』(85)を思い出す。また、ビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』(50)は幽霊譚ではないが、テイストとしては近いものがあると思う。

 ただ、この小説の場合は、浅田次郎独特の「どうだいい話だろ」的な主張や、回りくどく気取った言い回しに、どうしてもなじめなかった。

『映画狂の詩』『マリオンの壁』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f393dd3133b426a9a6934079ec7db2d1

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『チャップリン暗殺指令』(土橋章宏)

2020-06-21 19:35:13 | ブックレビュー

 1932(昭和7)年に起きた五・一五事件とチャップリンの来日、という史実に、フィクションを入れ込んだサスペンス小説。筆者は『超高速!参勤交代』(14)などの脚本家でもある。

 チャップリンの命を狙う軍人と、チャップリンに弟子入り志願の役者を主人公に、実在の日本人秘書・高野虎市を影のヒーローとして描いているが、フィクションの部分の描写や人物の設定が稚拙で、何だかライトノベルを読んでいるような気にさせられる。

 ほかに、チャップリンと五・一五事件について描いた小説には、『チャップリンを撃て』(日下圭介)、『5月十五日のチャップリン』(川田武)、『天切り松 闇がたり5 ライムライト』(浅田次郎)などがある。

 この題材は、道具立てが面白く、しかもフィクションの入り込める余地があるので、作家としては「一度は描いてみたい」という気になるのかもしれないが、どれもフィクションの部分が弱くて、今のところ成功作はない。

『天切り松 闇がたり 5 ライムライト』(浅田次郎)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2447ae8e4ad358b97801062bb3128ae9

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『キング・コング』関連本とスピルバーグ映画の作品論

2020-06-17 10:25:06 | ブックレビュー

 先日、久しぶりにオリジナルの『キング・コング』(33)を見たので、家にあった関連本をチラ読みしてみた。

 コング・マニアの筆者による私説アメリカ論『キング・コングは死んだ』(75.石上三登志)

 『キングコング』(77)の公開に合わせて発行された、映画宝庫の初号「われらキング・コングを愛す」(77)

 『不良少年の映画史』(79.筒井康隆)所収「キング・コング」には、昔の"和製コング映画”の話題も。

 『キング・コングのライヴァルたち』(80.マイケル・パリー編)所収の、映画の後日談を創作した「キング・コング墜落のあと」(フィリップ・ホセ・ファーマー)

 序文で特撮マンのレイ・ハリーハウゼンとの交流を綴った『恐竜物語』(84.レイ・ブラッドベリ

 おまけは、コングとは関係ないスピルバーグ映画の作品論『シネマの天才 スティーブン・スピルバーグ』(98.ダグラス・ブロード)

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『清張ミステリーと昭和三十年代』(藤井淑禎)

2020-05-10 15:43:49 | ブックレビュー

 第一章「映画館の見える風景」では、映画館が事件解決に重要な役割を果たす『砂の器』(60)を中心に、俳優が映画に映った自分の顔で殺人事件の犯人だとバレることを恐れる「顔」(56)、映画鑑賞をアリバイに利用する「証言」(58)「紐」(59)「薄化粧の男」(61)などを紹介しながら、昭和三十年代における映画の位置を解説する。

 これらの中には、後に映画化された『顔』(57)『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(60)『砂の器』(74)のほか、テレビドラマ化されたものも多い。

 昨日のNHKドラマ「証言」(「黒い画集」より)は、主人公の不倫相手を女性から男性、つまり同性に変更していたが、わざわざそうする必要はあったのだろうか、という気がした。

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「新日本風土記」「松本清張と鉄道」 旅と松本清張

2020-05-08 23:40:59 | ブックレビュー

 

 今日の「新日本風土記」は「松本清張と鉄道」だった。確かに、清張の小説は旅や鉄道、地名、地図が重要な位置を占めるものが多い。だから映画やドラマにもなりやすいのだ。

 旅という点では、その読み方も含めて『点と線』の福岡県香椎(かしい)、『ゼロの焦点』の石川県羽咋(はくい)、『砂の器』の島根県亀嵩(かめだけ)、『時間の習俗』の福岡県和布刈(めかり)などが印象的に描かれている。「全国の僻地の伝説を探る旅」が題材となった『Dの複合』もある。

 特に『張込み』の2人の刑事や『砂の器』の今西刑事の足を使った捜査活動を読みながら、こちらも日本中を旅するような感覚になった。これも清張小説の醍醐味だ。

 また、東京各地の描写では『点と線』の東京駅、『砂の器』の蒲田、『波の塔』の深大寺、税務署の汚職をめぐる連続殺人劇『歪んだ複写』の五反田と洗足池などが記憶に残っている。


『砂の器』の映画と原作の間 その1
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/91dde6edf312177337a692a2e1ff3f35

『砂の器』の映画と原作の間 その2
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3b460492781d5254b1895fdbf3fdf7a6


『東京人』2006年5月号「特集 松本清張の東京」 

この特集も興味深いものがあった。

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