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ちょっと、自己紹介。

2007-10-07 01:09:37 | マスコミ報道
もう少しプロフィールや実像を公開したほうが、親しみが持てていい・・・そういうアドバイスを頂いたこともあるのですが、ブログには匿名性があっていいのではという勝手な思い込みと、照れ屋なものですから、あまり公表していませんでした。

でも、もう少しだけご紹介することにしました。

このブログへ訪問していただいている方の中に、フリーのライターがいらっしゃるのですが、その方の企画記事の一環として私の早期退職を取り上げていただく事になりました。その記事が6日発売の『読売ウィークリー』に掲載されたそうです。自ら早期退職を選び、第二の人生を楽しんでいる人たちといったテーマで、その中にいく人かのケースが紹介されるそうですが、その一人に取り上げていただいています。まだ掲載誌は見ていないのですが、きっと実物以上に素敵にまとめていただいているのではと、恥ずかしいような、嬉しいような・・・もしよろしかったら、お読みいただければと思います。

時々、仕事を辞めてパリに住むにはどうすればいいのか、という問い合わせも頂くのですが、そうしたご質問にも、私以外の他のお二人のケースも含め、「40代からできる『アーリーリタイアメント』という選択」という記事全体が参考になるのではないかと思います。

書店ではもちろん、ネットからの購入申し込みも可能なようです。
http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/

と、これで終えてしまうと、写真なしになってしまいます。今まで写真なしは、1年半近く前、カメラを盗まれたときだけ。何か写真を、と思うのですが、『読売ウィークリー』はまだですし、困った・・・


この写真にしましょう。卒業した大学が今年、創立百周年なんだそうです。仙台出身でパリに住んでいる方から頂いたものですが、こうした記念の羊羹があるんだそうです。「漱石文庫」というのは、私が学生の頃からあったと思います。漱石の蔵書、日記などを弟子の小宮豊隆が自ら勤めていた大学に寄贈したものだとか。

仙台には大学の4年間住んでいました。小池真理子氏の作品に『無伴奏』という小説がありますが、その舞台になった喫茶店・無伴奏にはよく通っていました。どんなに詰めても20人入らないんじゃないかというくらいの、小さな喫茶店。古いビルの地下で、バロックやルネッサンス音楽がいつも流れていました。音楽といえば、3年か4年の頃、さとう宗幸の『青葉城恋唄』が大ヒット。青葉通りや定禅寺通りの欅並木が本当にきれいでした。

・・・個人的思い出にふけってしまいそうですので、このへんで。

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ギャラリーの中のギャラリー。

2007-10-06 00:42:22 | 美術・音楽
日本のデパートでは、美術展が行われたり、画廊が入っていたりしますね。デパートの店内で見る美術作品・・・パリのデパートでも目立つようになってきているようです。



そうしたトレンドを代表するのが、ギャラリー・ラファイエットにあるアート・スペース。ブランドの並ぶ1階(日本式2階)に、宇宙への扉が開かれているように、その入り口があります。暗いトンネルの壁面には、ご丁寧に小さなライトがついていて、星々の輝きになっています。



その先に、展示スペース。それほど広いスペースではないのですが、常に時代とともにというデパートの姿勢を反映させて、コンテンポラリーなアート作品が展示されています。



2001年にオープンしたこのギャラリー、今を感じさせる作品、新しい時代を切り開く作品を発掘して紹介することを目的にしているそうです。



名前は“la Galerie des Galeries”(ギャラリーの中のギャラリー)。もちろん、ギャラリー・ラファイエットにあるギャラリーですが、最先端のアートを紹介するギャラリーとしての自負も込められているのでしょうね。



展覧会ごとにこうした紹介冊子も作っています。力の入れようを示していますね。11月3日まで行なわれているのは、“ANTIDOTE”(特効薬とか解毒剤といった意味)。有望な新人作家の作品(絵画、彫刻、ビデオアートなど)を展示しています。

この“ANTIDOTE”という展覧会は、3回目だそうで、ギャラリー・ラファイエットの創設者の孫娘で、今もギャラリー・ラファイエット・グループの経営に携わる女性の支持を得て、彼女の孫に当たる人が企画しているそうです。言ってみればオーナー一族の企画。力も入るはずですね。



因みに、ギャラリー・ラファイエット・グループ、1893年からの100年以上の歴史があり、今では外国も含め63店舗。また、傘下には、日曜大工用品を中心に幅広い品揃えのデパートBHVやスーパーマーケットチェーンのMONOPRIX、高級スーパーのInnoなどをかかえています。(www.galerieslafayette.com/international/index.do・・・日本語でご覧になれます)



時代を先取りするモード、それを紹介するデパート・・・だからこそ、アートの世界でも最先端の息吹を紹介したい―――。そうした想いが、実際、どのようなカタチになっているのか、覗いてみたい方は、ぜひ、このアートスペースへ。もちろん、入場無料です。

と、ここまで事前に作っておいたのですが、関係する記事を先週、情報誌“A Nous Paris”で見つけてしまいました。

デパートでアートを!という記事です。デパートが店内でアート展を行なうのが増えてきている、と紹介しています。その一つが、以前ご紹介したボン・マルシェの「エクスポジション・東京」(これはアートというよりファッションですが・・・勘違いもご愛嬌のうち)、そしてこのギャラリー・ラファイエットのコンテンポラリー・アート展。他に、プランタンのヴォーグ展など。

以前からあったとは思うのですが、デパートで触れるアート・・・規模の大きさなのか、テーマ性なのか、フランスで今、ちょっとした話題になっているようです。

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宇宙50年の旅。

2007-10-05 00:34:34 | パリ
このブログを更新しているのは10月4日。日本時間では5日になってしまっていますが、この10月4日、実は記念すべき日なのをご存知ですか? こちらの報道で知ったのですが、日本では報道していたでしょうか。何の日なのか、というと・・・


世界初の人工衛星スプートニク1号が打ち上げられた日なんですね。1957年10月4日。今では通信衛星、気象衛星など、衛生銀座といえるくらいに多くの人工衛星が地球を周回していますが、その第一歩を記したのがソ連(当時)のスプートニク1号。有人飛行も、この無人の人工衛星からスタートしたようなものですね。


上は4日付のル・モンド紙、下は同じく4日付のフィガロ紙。それぞれ1面を使って、人工衛星の誕生から今日までの宇宙開発の歴史、そして現在の人工衛星の使用状況などを紹介しています。


今までに5,000もの人工衛星が打ち上げられ、今でも2,000個の衛星が地球の周りを回っているそうです。使用目的も、軍事目的から、気象、通信、GPSなど多岐にわたっています。気がつかないうちに、今や人工衛星なしでは私たちの暮らしが立ち行かなくなっているようです。その一方で、宇宙開発の夢は・・・でも、フランスを中心にヨーロッパはまだ宇宙開発を断念はしていないようです。南米・仏領ギアナにあるフランスの発射基地は健在ですし、宇宙ビジネス、そして将来の宇宙争奪へ向けて、一歩でも先へと進もうとしているようです。その熱意が、こうした報道に表れているのかもしれないですね。では、日本では・・・全く関心を失ってしまっているのでしょうか?

ところで、上のスプートニク1号の写真、どこで見つけたと思いますか・・・リュクサンブール公園の鉄柵に掲げられています。

この人工衛星打ち上げから50周年を記念して、80枚の写真やポスターが掲示されています。


順番に見ていくだけで、人類の宇宙への夢、挑戦の歴史が振り返れるようになっています。スプートニク1号は重量わずか83kg、直径58cmという小ささで、96.2分で周回したそうですが、57日後に大気圏へ再突入して燃え尽きてしまったそうです。

ここで、質問。宇宙を飛んだ最初の地球上の生き物は?

一匹の小さな犬、ソ連の犬でした。スプートニク2号には気密性のある搭乗席があり、そこに乗ったこの犬は無事宇宙へ。しかし、はじめから片道切符の宇宙飛行だったそうです。

そして、人類で最初に宇宙を飛んだのが、ガガーリン。1961年4月12日でした。

ボストーク1号。地球は青かった、という台詞が有名ですが、実は「地球は青いヴェールをまとった花嫁のようだった」と言ったとか。いずれにせよ、初めて外から地球を見たときの感動が伝わってきますね。青い地球・・・いつまでも大切にしたいものです。

スプートニクに先を越され、有人飛行でも遅れをとったアメリカ。当時はまだ冷戦時代。後塵を拝してなるものかと、国を挙げての宇宙開発。マーキュリー計画、ジェミニ計画、そしてアポロ計画へ。その努力は、人類初の月面着陸となって報われました。

アポロ11号の月着陸船が「静かの海」に着陸。1969年7月20日のことでした。アームストロング船長の「これは一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」という台詞も、多くの人の記憶に残っているのではないでしょうか。彼の左足がその第一歩でした。

なお、宇宙とは全く関係ないのですが、月面着陸といえば、体操のウルトラC、月面宙返り(ムーンサルト)。木の葉が舞うような鉄棒からの降り方。日本選手が編み出した技でしたね。

閑話休題。冷戦が終結に向かうと、米ソの協力が宇宙でも見られるようになりました。

アポロソユーズテスト計画。1975年、アポロ18号はソユーズ宇宙船とドッキングに成功。

そして、1977年からはスペースシャトルの時代へ。使い捨てではなく、地球と宇宙を何度も往復できる宇宙船。まるで、飛行機のように・・・

こうした写真や映像を見たときには、宇宙旅行、そして人類が宇宙に住むのもそう遠い時代ではないような気がしていました。

このあたりまでは、宇宙という新しいフロンティアが多くの人々を熱狂させていましたが、それからは、宇宙どころではない、地上の問題を優先させるべきだという声が大きくなってきました。貧困、紛争、公害・・・


このように、煌々とライトがついている所とそうでない所。人口の集中と富の偏在。

そして環境汚染。いつまでこうした青く美しい地球を守り続けることができるのでしょうか。

『2001年宇宙の旅』という1968年制作の映画があります。宇宙人とのファーストコンタクトを描いた名作ですが、もうその2001年は過ぎてしまいました。宇宙を目指す試みは、今は遅々とした歩みですが、もしかすると、人類にとって火急の案件になってくるかもしれません。地球温暖化から多くの国や街が水没する・・・ノアの箱舟が新たなる神話になる―――。

昔、胸を熱くした宇宙開発。宇宙の旅が必要に迫られたものではなく、あくまで夢の実現として現実になる日が来ることを願っています。

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バイクと映画。

2007-10-04 00:44:06 | 映画・演劇・文学
9月29日から、“Mondial du Deux Roues”という名のエクスポジションが行なわれています。要は、二輪のモーターショー。しかし、そこは自転車大好きのフランス、もちろん自転車の展示も同時に行っています。



でも、このブログのタイトルは、バイクと映画。その関係は? ・・・答えは、最後のお楽しみ!


バイクの展示コーナーです。多くの入場者。しかも、優男風のフランス人を見慣れている目には実に新鮮に映るほど、マッチョ系の男性が多くいます。大型バイクを乗りこなすには、それなりの体格が必要なのでしょうね。それに、バイク乗りにはバイク乗りの雰囲気がありますよね。これって、万国共通のような気もしますが・・・


バイク乗りには、刺青愛好者が多いのか、会場では刺青ショップが店開き。革ジャン、Tシャツ、ブーツ、手にはヘルメット、そして、刺青とイヤリング。

肝心のバイクですが、「二輪の世界」とタイトルで謳っているにもかかわらず、三輪、四輪も。もちろんクルマではなくバイクなのですが・・・






会場では、試乗、といっても動かすことはできないのですが、跨ることはできます。みんな、楽しそうです。本当にバイクが好きなんですね。

女性も。

おっと、危ない・・・子供も。


そして、新技術も。

日系メーカーが展示していた電気バイクです。環境に優しいバイク作りでも、日本が先行しているようです。頼もしいかぎりですね。

自転車は、この通り。

軽量のものからがっしりしたタイプまで。

パリ市も出展。何を・・・もちろん、“Velib'”、レンタサイクルですね。

使用方法などを、ここでも教えています。これから冬へ向けて、利用者をどう維持するか、知恵の絞りどころですね。

そして、いよいよ映画の登場。勘のいい方はもうお分かりですよね。

映画に登場したバイク、バイクが主役のように目立った映画・・・バイク好きな方には叱られてしまいそうですが、これが見たくて出かけたようなものです。

ジェームス・ディーンですね。このようにポスターや写真がパネルで展示されていますが、それらのパネルの裏側では・・・映画に使われたバイクが登場!

まずは・・・

『イージー・ライダー』、ピーター・フォンダですね。いかにも大陸を走る長距離用大型バイク、といった感じがしたのを覚えています。


こちらは逆に、石畳の細い道を走るスクーター、ヴェスパ。映画は、いうまでもなく『ローマの休日』。オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペック。カメラマンが乗っていた小型車のフィアットも忘れられないですね。


フェリーニのディレクター・チェア、そしてこの幌付き荷台を引くバイク、といえば・・・La Strada、そう『道』ですね。

ザンパノ・・・浜辺で慟哭するアンソニー・クイーンが目に焼きついています。


インディー・ジョーンズ。原題はインディアナ・ジョーンズ。このサイドカー、いい味を出してますね。こうした映画にぴったりのバイクですね。


少し新しいところでは、『バットマン』。マークで一目で分かるバイク。キャラクターの勝利ですね。

そして、もう一人、颯爽とバイクを乗り回したといえば・・・

『大脱走』のスティーブ・マックィーン。こうした柵を飛び越えたシーン、確かにありましたね。

「二輪のモーターショー」といいながら、三輪・四輪のバイクあり、自転車もあり、さらには映画とバイクの企画コーナーあり・・・このあたりの融通性というか、企画する側も楽しんでいるところが、フランスらしい、あるいはラテン気質なのでしょうか。もちろんバイクがメインではあることに変わりはないのですが。12ユーロ、決して高い入場料ではありませんでした。(7日まで、ポルト・ド・ヴェルサイユのPARIS EXPOで)

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パリに、また、新しい博物館。

2007-10-03 00:44:33 | 美術・音楽
トロカデロにあるシャイヨー宮、そのエッフェル塔に向かって左側の翼に新しくまた博物館がオープンしました。“La Cite de l'Architecture et du Patrimoine”、いわば「建築遺産博物館」。フランスにある12世紀から現在までの主要な建築物を紹介する博物館です。



9月17日にはサルコジ大統領が出席しての除幕式。そして、一般にはその週末からのオープンでした。さ~、どのような展示をしているのか・・・いつも斬新なアイディアを見せてくれるフランスの美術館ですから、楽しみ。先週末、行ってみました。

個人的第一印象から先に言ってしまうと・・・ちょっと、がっかり。いや、かなりがっかりかも知れません。何しろ、実物がない! ・・・でも、冷静に考えてみれば、当然なんですが。何しろ、大きな建築物が多い。しかも、現在も使われていたり、観光名所になっている。それを取り壊して、パリの美術館に持って来てしまうわけにはいかない。そうなんですね、だから、複製、模型、映像などでの展示になっています。がっかりするよりは、建築物の美術館というテーマにチャレンジしたことを誉めるべきなのでしょうね。その意味では、一度は覗いてみる価値のある美術館にはなっていると思います。

ちょっと言い訳めいた前文が長くなってしまいましたが、では具体的な展示模様をご紹介しましょう。

この博物館、3つのコーナーからできています。

・La galerie des moulages:鋳型ギャラリー

フランス全国に現存する12世紀から18世紀に建てられた教会を中心とする建物の複製をメインに展示しています。実物そっくりに作っています。日本でいう国宝級の建造物。移築するわけにはいきませんので、実物と寸分違わない、つまり鋳型に入れてかたどったような複製を制作して展示しているわけです。

入り口、柱、ガーゴイル(ガルグーイユ)など、最も価値があると言われている部分の複製が並んでいます。一部模型もあり、建築様式を知る一助にもなっています。


・La galerie d'architecture moderne et comtemporaine:近現代建築ギャラリー

1851年以降に作られた建築物を紹介しています。巨大な建物が多いので、模型、設計図、映像などによって紹介しています。新しい工法、斬新な設計思想・・・変化を遂げる社会に建築がどう対応し、あるいは先導してきたのが理解しやすい展示になっています。


・La galarie des peintures murales et des vitraux:壁画ステンドグラス・ギャラリー

12世紀から16世紀にかけて教会などの壁に描かれた壁画の複製を中心に展示しています。複製とはいえ、そっくりにできていますので、一つ一つ区切られたその空間に身をおくと、非常に神秘的な気持ちになってきます。


フランスの遺産といってもいい建造物の展示・・・実物をもって来れないだけに、複製、模型、映像などを駆使しての展示ですが、フランス全国にある貴重な建築物を見ることができますので、フランス各地を回るには時間的にちょっと無理という人には便利かもしれません。あるいは、現地へ行く前の予習、あるいは見た後の復習にはうってつけの博物館かもしれません。

そして、立地はシャイヨー宮。1階ホール奥にあるカフェのテラスからは・・・

ご覧の通り、シャイヨー宮の大きな彫像とエッフェル塔、そして遠くにモンパルナスタワー。これらだけは、本物です!

La Cite de l'Architecture et du Patrimoine
火曜休館
入場=7ユーロ

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文化会館に見る、お国ぶり。

2007-10-02 00:26:35 | パリ
以前ご紹介しましたね、パリ日本文化会館。

セーヌ河畔、エッフェル塔への最寄り駅になっているBir Hakeim駅のすぐ脇に立つ、近代建築です。石造りの建物が多い中にあって、よく目立っています。在仏の日本人や日本に関心のあるフランス人はもちろんですが、エッフェル塔への行き帰りに、外から見える日本の物産や本に惹かれて入ってくる外国からの観光客も多くいます。中には、トイレ目的の人や自販機のコーヒー目当ての人も・・・でも利用されることはいいことです。

さて、パリ日本文化会館をはじめ各国の文化会館が横の連絡を取り合うFIEP(Forum des instituts culturels etrangers a Paris:パリ外国文化会館フォーラム)という組織があります。38のメンバーが加入しているそうで、いずれも、自国の文化紹介といったイベントや語学教室などを行っています。

日本は明るく近代的な建物。では、他の国々は、どのような建物なのでしょうか。もしかすると、それぞれのお国振りがうかがえるかもしれない―――そう思ったものですから、いくつか見に行ってみました。11カ国の文化センターをご紹介しましょう。

まずは、アイルランドから。

一見、なんていうことのない建物に見えますが、歴史がすごい! 1578年にアイルランドの司祭が学生たちをつれてパリにやってきた。そのまま居ついて、学校を始める。1620年にはルイ14世の許可を得るまでに。それ以降、College des Irlandais、アイルランド人の学校として、長い伝統を誇っています。この建物も18世紀末のもの。その歴史から、すぐ前の道は、アイルランド人通りと呼ばれています。

パンテオンの南側にある通りです。因みに、パリ日本文化会館前は京都広場と命名されていますね。

次は、アイルランドのお隣の国、イギルス。

ナポレオンの眠るアンヴァリドとセーヌにはさまれた広場のすぐ東側、広場に面して建っています。やはり、どうしてもトラファルガーの海戦、ワーテルローの戦いで破ったナポレオンの墓を悠然と眺めていたのでしょうか。そんな邪推を起こさせる立地です。なお、ロンドン大学の看板も掲げています。

そして、カナダ。

上のBritish Council(ブリティッシュ・カウンシル)と似た造りに見えませんか。それもそのはず、並んで建っています。カナダの文化会館のほうがセーヌ寄り。ということは、イギリスの方がナポレオンの墓に近い!

並んでいるということは、やはり、英連邦の絆でしょうか。でも、わざわざパリでイギリス・カナダの絆を見せつけなくてもと思うのですが・・・時々独立の気運が盛り上がるフランス語圏のケベック地方を抱えているだけに、カナダは英連邦の国であることをはっきりと表明しているのでしょうか。たまたま隣り合わせているだけなのかもしれないですが、勝手な想像が楽しめてしまいます。

アンヴァリド前の広場をはさんで、これら二つの文化会館のほぼ反対側にあるのが、中国文化中心。

セーヌに面した歴史を感じさせる建物です。パリ日本文化会館からはセーヌに沿って2kmほどの距離にあります。

こうした美術展などを行なっているようです。5,000年の歴史と自ら言うだけに、紹介できる歴史、文化は枚挙に暇がないのでしょうね。

アンヴァリド周辺から、今度は、マレ地区へ。

スウェーデンの文化会館です。やはり、場所柄、おしゃれな建物ですね。歴史、そして優雅・・・

しかも、中庭はカフェになっています。近くで働く同僚同士でしょうか、楽しそうに食事をしていました。もちろん、展示会やコンサート、映画上映などもきちんと行なっています。

もうひとつが、スイス。

同じマレ地区なのですが、あるのはこの路地の奥。手前にブティックがありますが、その奥に見える白い十字が目印です。国旗の白十字を45度傾けています。路地入り口の隣には薬局が。薬局はミドリ十字が看板なのですが、緑と白が並んでいます。思わず、笑みがこぼれてしまいます。肝心の文化会館は・・・

古い倉庫を改装したギャラリーのようで、これはこれでおしゃれですね。でも、白十字が、バツにも見えてしまいますが・・・

欧米が続いたので、次は、エジプト。

リュクサンブール公園のすぐ東側、サン・ミシェル大通りにあります。ただ、普通のビルの1階にあり、しかもご覧のようなデザインなので、ちょっと気付き難いかもしれません。でも、国旗で存在感を示しています。

語学教室で有名といえば、ドイツ。ゲーテ・インスティテュートはパリにもあります。

イエナ橋の近く、ギメ美術館のすぐ北にあります。建物は、改装したのか、機能的な表情ですね。1階はガラス張りで、外から良く見えるように・・・機能的、外から見えるガラス張り・・・そう、日本によくある建物にイメージが似ていませんか。今までご紹介してきた各国の文化会館は、パリの歴史ある建物をそのままうまく活用していますが、日本とドイツは、機能性と現代性。日独、どこか共通するところがあるのでは、などと勝手な想像をしてしまいます。

日独とくれば伊、イタリアでしょうか(古い!)。

ずいぶん違いました。古代ローマの神殿を彷彿とさせますね。太い柱とその上に乗った屋根。さすがカエサルが当時ガリアと呼ばれていたフランスを征服した古代ローマの子孫です。パリでも、古代ローマ風建物にファサードを模様替えしているようです。でも、建物自体は謂れのあるもの。墓地があった場所に1775年、建造された建物で、1798年1月3日にナポレオンと当時の文芸サロンの中心人物の一人であったスタール夫人が衝突し、以後敵対関係となったのが、この建物だったそうです。でも、ちょっと離れて見ると・・・

太い柱も、なんとなく張りぼて風・・・このへんが、細かいところにこだわらない、イタリア人の可愛らしさでしょうか。首相官邸・マティニョン館の近くにあります。

次は、ロシア。

そのイメージで見るからでしょうか、なんとなく、厳しい雰囲気がしてしまいますね。黒い鉄柵のせいなのか、入り口上の金のマークなのか・・・でも、語学教室や講演会などの文化祭事をしっかりやっているようです。場所は、エッフェル塔と凱旋門の間。実は私のステュディオのすぐ近く。でも、今回、初めて気付きました。

そして、最後に、ハンガリー。EUに加入し、来易くなったせいか、語学学校などにもハンガリー人が増えています。

ここは、入り口にアイディアが・・・女性がふたり座っていますが、一人は銅像です。

パリで何を思うのか、ハンガリーの乙女。その隣に座って、記念撮影する観光客も多くいます。ダ・ヴィンチ・コードの舞台となったサン・シュルピュス教会のすぐ近くです。

いかがでしたか、日本も含めて12の文化会館。場所選び、建物の雰囲気・デザイン、そしてそれらが一体となって醸し出す全体的な印象・・・やはりどことなくお国ぶりが出ているような気がします。文化、伝統、価値観・・・そうしたものは、何事につけ、滲み出してしまうものなのかもしれないですね。

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トリコロールの国際機関・・・

2007-10-01 00:22:49 | マスコミ報道
28日にフランスの元財務相、ストラス=カーン氏が新しくIMFの専務理事に決まったことは、日本でも報道されていたと思います。このブログでも以前、サルコジ大統領が野党・社会党の重鎮をこのポストへの候補者として担ぎ出したのはご紹介しましたが、ようやく正式に決定されました。ロシアが対抗馬を引っ張り出したため投票となりましたが、EUやアメリカの支持を得ていたので、なるべくしてなったという印象です。

実は、このIMF専務理事のストラス=カーン氏を加え、今、国際機関のトップの座に多くのフランス人がついています。その現状と背景、そして今後の傾向についてル・モンド紙が解説してくれていますので、ご紹介しましょう。


(28日付のル・モンド紙です)

ここに並んだ写真、国際機関、それも経済関係の国際機関のトップに君臨するフランス人たちです。左に立っているのはヨーロッパ復興開発銀行総裁のジャン・ルミエール氏(Jean Lemierre)、真ん中上がWTO(世界貿易機関)事務局長のパスカル・ラミー氏(Pascal Lamy)、その下が11月からIMF(国際通貨基金)の専務理事になるドミニク・ストラス=カーン氏(Dominique Strauss-Kahn)、そして右端がヨーロッパ中央銀行総裁のジャン=クロード・トリシェ氏(Jean-Claude Trichet)。いいところを押さえていますね。

では、どうして、このように、国際機関のトップにフランス人が多いのか。ル・モンド紙曰くは・・・

フランス人、特に官僚たちは多極外交、多国間の調整に長けており、国際機関のトップに相応しい。しかも、ヨーロッパにありながら、アメリカべったりではないため、発展途上国からの支持も得やすく、南北間の調停作業にもってこいの立場にある。また、フランスの高級官僚たちには国立行政学院(ENA)出身者が多く、新しい考えや将来ビジョンを提示できる人材がそろっている。ドイツやスペインでは優秀な人材が政治へ集まりやすく、イギリスではビジネスへ行ってしまう。その点、フランスでは、しっかりした人材が官僚になっているので、人材の宝庫と言ってもいいくらいだ。また、国際機関のトップの座を得るために、政府機関、特に財務省・外務省が全力を傾けることも大きい・・・確かに今回のストラス=カーン氏の当選について、サルコジ大統領はフランス外交の大勝利だと言っていますものね。

こうした背景の下、多くの国際機関のトップを輩出してきたフランスですが、残念ながらその終焉も近づいているとル・モンド紙は言っています。どうしてか・・・まずは、フランスの個性の弱体化。以前ほどフランスの個性的な存在感がなくなってきている。政治的には、G8を中心に主要国のコンセンサスの下に多くのことが取り決められるようになっている。また経済面では、統一通過ユーロの導入により、フランスだけで勝手に動けなくなっている。こうした理由で、フランスの個性発揮の場が狭められてきている・・・。

また、BRICsなどの新興国がその国力に見合ったポストを要求し始めており、今までのように、欧米中心にポストを分け合うのが困難になってきている。特に、1997~98年のアジア経済危機の際、書類にサインをするインドネシアのスハルト大統領を見下していた当時のカムドシュIMF専務理事(フランス人)の横柄さが途上国に反感を植え付けてしまった。世界に配信された当時の写真が、ターニングポイントになったとも言える。すでに、WHO(世界保健機関)のトップは中国人であり、ILO(国際労働機関)はチリ人がトップにいる。こうした動きは今後も強まるだろう・・・確かに、今回のIMF専務理事選出に際しても、世界銀行はアメリカ、IMFはヨーロッパという不文律に反対する声が多かったですものね。

さらに、国際機関側が求める人材にも変化が出てきている。調整能力に長けた官僚タイプから、特定の分野に秀でたプロフェショナルへ、あるいは途上国などの心情にも思いを馳せることのできる政治家タイプへと、要望が変わってきている。

こうした状況から、WTOやヨーロッパ中央銀行の次のトップの座にフランス人が座ることはないだろう、とル・モンド紙は言っています。国際機関のトップに翻る三色旗の終焉・・・

・・・しかし、ストラス=カーン氏は大学教授からスタートした政治家です。そして経済学と公法の専門家。官僚上がりではない人材を国際機関のトップへ送り出したのは、サルコジ大統領の慧眼のなせる業だったのか、それとも、野党・社会党を弱体化させるための人材引き抜きが、たまたまラッキーな結果を生んだだけなのか。もし前者ならその時代を見抜く眼力はたいしたものですし、後者ならその運の強さはたいしたもの。いずれにせよ、サルコジ大統領へ、時代の風は吹いているのかもしれません。

ところで・・・言わずもがなのことですが、国際機関、特に経済関連の国際機関のトップ、そしてそうした国際機関で働く職員・・・日本人の数が少ないようです。言葉や文化の違いがあって大変なのだとは思いますが、ぜひ若い人たちにはそうした壁を乗り越えて、より広い舞台で活躍してほしい―――応援したいと思います。

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