50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

文化会館に見る、お国ぶり。

2007-10-02 00:26:35 | パリ
以前ご紹介しましたね、パリ日本文化会館。

セーヌ河畔、エッフェル塔への最寄り駅になっているBir Hakeim駅のすぐ脇に立つ、近代建築です。石造りの建物が多い中にあって、よく目立っています。在仏の日本人や日本に関心のあるフランス人はもちろんですが、エッフェル塔への行き帰りに、外から見える日本の物産や本に惹かれて入ってくる外国からの観光客も多くいます。中には、トイレ目的の人や自販機のコーヒー目当ての人も・・・でも利用されることはいいことです。

さて、パリ日本文化会館をはじめ各国の文化会館が横の連絡を取り合うFIEP(Forum des instituts culturels etrangers a Paris:パリ外国文化会館フォーラム)という組織があります。38のメンバーが加入しているそうで、いずれも、自国の文化紹介といったイベントや語学教室などを行っています。

日本は明るく近代的な建物。では、他の国々は、どのような建物なのでしょうか。もしかすると、それぞれのお国振りがうかがえるかもしれない―――そう思ったものですから、いくつか見に行ってみました。11カ国の文化センターをご紹介しましょう。

まずは、アイルランドから。

一見、なんていうことのない建物に見えますが、歴史がすごい! 1578年にアイルランドの司祭が学生たちをつれてパリにやってきた。そのまま居ついて、学校を始める。1620年にはルイ14世の許可を得るまでに。それ以降、College des Irlandais、アイルランド人の学校として、長い伝統を誇っています。この建物も18世紀末のもの。その歴史から、すぐ前の道は、アイルランド人通りと呼ばれています。

パンテオンの南側にある通りです。因みに、パリ日本文化会館前は京都広場と命名されていますね。

次は、アイルランドのお隣の国、イギルス。

ナポレオンの眠るアンヴァリドとセーヌにはさまれた広場のすぐ東側、広場に面して建っています。やはり、どうしてもトラファルガーの海戦、ワーテルローの戦いで破ったナポレオンの墓を悠然と眺めていたのでしょうか。そんな邪推を起こさせる立地です。なお、ロンドン大学の看板も掲げています。

そして、カナダ。

上のBritish Council(ブリティッシュ・カウンシル)と似た造りに見えませんか。それもそのはず、並んで建っています。カナダの文化会館のほうがセーヌ寄り。ということは、イギリスの方がナポレオンの墓に近い!

並んでいるということは、やはり、英連邦の絆でしょうか。でも、わざわざパリでイギリス・カナダの絆を見せつけなくてもと思うのですが・・・時々独立の気運が盛り上がるフランス語圏のケベック地方を抱えているだけに、カナダは英連邦の国であることをはっきりと表明しているのでしょうか。たまたま隣り合わせているだけなのかもしれないですが、勝手な想像が楽しめてしまいます。

アンヴァリド前の広場をはさんで、これら二つの文化会館のほぼ反対側にあるのが、中国文化中心。

セーヌに面した歴史を感じさせる建物です。パリ日本文化会館からはセーヌに沿って2kmほどの距離にあります。

こうした美術展などを行なっているようです。5,000年の歴史と自ら言うだけに、紹介できる歴史、文化は枚挙に暇がないのでしょうね。

アンヴァリド周辺から、今度は、マレ地区へ。

スウェーデンの文化会館です。やはり、場所柄、おしゃれな建物ですね。歴史、そして優雅・・・

しかも、中庭はカフェになっています。近くで働く同僚同士でしょうか、楽しそうに食事をしていました。もちろん、展示会やコンサート、映画上映などもきちんと行なっています。

もうひとつが、スイス。

同じマレ地区なのですが、あるのはこの路地の奥。手前にブティックがありますが、その奥に見える白い十字が目印です。国旗の白十字を45度傾けています。路地入り口の隣には薬局が。薬局はミドリ十字が看板なのですが、緑と白が並んでいます。思わず、笑みがこぼれてしまいます。肝心の文化会館は・・・

古い倉庫を改装したギャラリーのようで、これはこれでおしゃれですね。でも、白十字が、バツにも見えてしまいますが・・・

欧米が続いたので、次は、エジプト。

リュクサンブール公園のすぐ東側、サン・ミシェル大通りにあります。ただ、普通のビルの1階にあり、しかもご覧のようなデザインなので、ちょっと気付き難いかもしれません。でも、国旗で存在感を示しています。

語学教室で有名といえば、ドイツ。ゲーテ・インスティテュートはパリにもあります。

イエナ橋の近く、ギメ美術館のすぐ北にあります。建物は、改装したのか、機能的な表情ですね。1階はガラス張りで、外から良く見えるように・・・機能的、外から見えるガラス張り・・・そう、日本によくある建物にイメージが似ていませんか。今までご紹介してきた各国の文化会館は、パリの歴史ある建物をそのままうまく活用していますが、日本とドイツは、機能性と現代性。日独、どこか共通するところがあるのでは、などと勝手な想像をしてしまいます。

日独とくれば伊、イタリアでしょうか(古い!)。

ずいぶん違いました。古代ローマの神殿を彷彿とさせますね。太い柱とその上に乗った屋根。さすがカエサルが当時ガリアと呼ばれていたフランスを征服した古代ローマの子孫です。パリでも、古代ローマ風建物にファサードを模様替えしているようです。でも、建物自体は謂れのあるもの。墓地があった場所に1775年、建造された建物で、1798年1月3日にナポレオンと当時の文芸サロンの中心人物の一人であったスタール夫人が衝突し、以後敵対関係となったのが、この建物だったそうです。でも、ちょっと離れて見ると・・・

太い柱も、なんとなく張りぼて風・・・このへんが、細かいところにこだわらない、イタリア人の可愛らしさでしょうか。首相官邸・マティニョン館の近くにあります。

次は、ロシア。

そのイメージで見るからでしょうか、なんとなく、厳しい雰囲気がしてしまいますね。黒い鉄柵のせいなのか、入り口上の金のマークなのか・・・でも、語学教室や講演会などの文化祭事をしっかりやっているようです。場所は、エッフェル塔と凱旋門の間。実は私のステュディオのすぐ近く。でも、今回、初めて気付きました。

そして、最後に、ハンガリー。EUに加入し、来易くなったせいか、語学学校などにもハンガリー人が増えています。

ここは、入り口にアイディアが・・・女性がふたり座っていますが、一人は銅像です。

パリで何を思うのか、ハンガリーの乙女。その隣に座って、記念撮影する観光客も多くいます。ダ・ヴィンチ・コードの舞台となったサン・シュルピュス教会のすぐ近くです。

いかがでしたか、日本も含めて12の文化会館。場所選び、建物の雰囲気・デザイン、そしてそれらが一体となって醸し出す全体的な印象・・・やはりどことなくお国ぶりが出ているような気がします。文化、伝統、価値観・・・そうしたものは、何事につけ、滲み出してしまうものなのかもしれないですね。

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