サルコジ大統領が26・27の両日、国賓としてイギリスを訪問したことは日本でも報道されていたと思います。では、フランスでの報道振りは・・・
仏英両国の友好に新たなページを! というサルコジ大統領のメッセージはきちんと紹介されていますし、例によって原子力発電とエアバスの売り込み交渉も報じられていますが、今回、完全に大統領のお株を奪ってマスコミのフラッシュを一身に浴びたのは、カルラ夫人。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/c8/6b4b7475aff14c050ff8919b70991ba2.jpg)
27日のフィガロ紙です。「仏英両国の蜜月時代」という見出しですが、サルコジ大統領とエジンバラ公に挟まれて中央で微笑んでいるのがカルラ夫人。結婚により、姓はブルーニ=サルコジになっています。2月末の南アフリカ訪問に同行したとはいえ、大きな注目を集めるひのき舞台としては、今回が大統領夫人(la première dame:ファースト・レディ)としての実質的外交デビュー。しかも、相手は格式のある英国王室。事前の準備には細心の配慮がなされていたようですし、かなり緊張もしたようですが、モデルとして、あるいはその後の歌手として、世界の名だたる有名人とも浮名を流した経験が生きているのか、あるいは新聞報道が言うようにイタリア貴族の流れを汲むという出自によるものか、全くおどおどしたところがなく、自由に振る舞っているように見えたようです。笑顔も自然。そこが、イギリスの人たちを惹きつけたようですし、ロー・ヒールを履き、なおかつ少し背を丸めてエリザベス女王が小さく見えないようにした配慮なども好感を持って受け止められたようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/a5/c36245793feddd9dcce0f9591f08db99.jpg)
27日のメトロ紙です。その見出しに「チャーミング」とあるように、気遣いだけでなく、そのファッションセンスでも魅了したそうです。何しろ元々トップ・モデル。スタイル、着こなしは、今でも現役モデル並み。その容姿をグレーで統一したファッションで包んでヒースロー空港に降り立つ姿はまるでジャクリーヌ元ケネディ大統領夫人の再来のようだとまで言われているとか。このコート風ワンピース(un robe-manteau)はディオールだそうです。エレガント、シック、モダン、魅力的・・・賞賛の嵐だそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/dd/bd6888776b1ae59730e7e1f919d7138c.jpg)
同じメトロ紙ですが、他の女性たちのファッションはといえば・・・エリザベス女王もカミラ夫人も、羽根飾りのある帽子。一方、カルラ夫人をはじめ、彼女の母親、ダチ法相など、フランス女性は羽根飾りのないシンプルで、小さめの帽子。英仏の差なのか、英王室独特なものなのかは知らないのですが、いずれにせよ帽子には大きな差があったようです。
ところで、カルラ夫人の母親も同行、今まで中国などへ同行していたサルコジ大統領の母親はプライベートな事情で今回は同行せず、だったそうですが、こうした公式訪問の際は、どこまでの家族が同行するものなのでしょう。日本の首相がどこかの国を公式訪問する際、その親とか夫人の親とかも同行するものなのでしょうか。あまり日本の報道では目にしないのですが、日本では同行しないのか、あるいは同行しているもののマスコミが伝えないだけなのか、どうなのでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/76/c5ca7ed322d16e56f8f38d5a190ef177.jpg)
夜は、公式晩餐会(写真は27日のフィガロ紙)。ここでのカルラ夫人の出で立ちは、黒とも濃紺とも見えるシースドレス。絹のモスリン織だそうです。アクセサリーはショーメ(Chaumet)のもの。ここでも、そのエレガントさが際立っていたそうです。55メートルのマホガニーのテーブルを囲んだのは146人の招待客たち。供されたワインは、当然、フランス製。シャトー・マルゴー(chateau-margaux)の1961年ものと2000年のシャサーニュ・モンラシェ(chassagne-montrachet)だったそうです。
なお、フランス大統領の国賓としてのイギリス公式訪問は5回目だそうで、一方のエリザベス女王が国賓を迎えるのは1952年に王位について以来96回目だそうです。1年に二人弱の割合で迎えているのですね。晩餐会もウィンザー城で行なわれたのですが、この城の礎石を置いたのはフランスのノルマンディ公ギヨーム2世(英語名:ウィリアム征服王)だったそうで、仏英両国の縁を見出しているフランスの報道陣もいるようです。
さて、翌27日、サルコジ大統領とブラウン首相は、サッカーの名門チーム・アーセナルがホームグランドとするエミレーツ・スタジアムでトップ会談。合間にはグランドに降りて、アーセナルのベンゲル監督(ご存知のとおりフランス人)を交えて談笑したそうですが、もしかしてベンゲル監督が通訳だったのかもしれないですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/3c/5f6374e1e753a43e398c4899c0c1df7e.jpg)
その合間に、カルラ夫人はブラウン首相夫人とともに、女性の健康問題の改善に取り組むNGOとの会合に出席(写真は28日のフィガロ紙)。2日間の滞在で6回衣装換えをしたといわれるカルラ夫人、ここではグレーのパンツスーツに、鮮やかな紫のコート。さっそうと歩く姿は、やはりモデル。肝心の会合では、スピーチを英語で行なったそうです。エリザベス女王やエジンバラ公まで魅了した人柄や、夫やその他の閣僚にないとフランス・メディアがいうセンスのよさ、そして英語を話すことで、カルラ夫人は完全にイギリス・メディアを味方につけてしまったようです。
訪問前には、モデル時代のヌード写真を掲載して笑いものにしようとてぐすねひいて待っていた英国の報道陣が逆に圧倒されてしまい、彼女への賛辞を惜しまない記事に変わっているそうです。いわく、ジャクリーヌ夫人の再来だ、いやいや、レディ・D(ダイアナ元妃)に匹敵する・・・26日夜に行なわれたサッカーの親善試合、フランス対イングランドの結果に引っ掛けて、今回の公式訪問も1対0でフランスの勝ちだと、白旗を挙げている新聞まであるそうで、カルラマニア(Carlamania)でいっぱい、とまで言われているとか。
こうした評判に、サルコジ大統領、気分が悪いわけありません。今まで多くのメディアが彼女のことを散々悪しざまに書いてきたが、これで彼女のことがよく分かっただろう。その外見だけでなく、意思の強さ、人間性への感受性などその人格でもフランスに貢献できる女性なのだ、とブラウン首相の眼前でのろけて、首相をビックリさせたそうです。そして、最後はテムズ川での舟遊びに際しても、船上でキスを交わし熱いところをカメラマンたちに見せつけたとか。
ということで、カルラ夫人の外交デビューは大成功。めでたし、めでたしなのですが、意外とフランス庶民は醒めていて、というか、モデル、歌手としての今までの経歴を実際に目にしているせいか、そう簡単にはファースト・レディとして認めていないようです。27日のメトロ紙によると(イギリスでの評判が伝わる前の声のようですが)、彼女はまだ歌手であり、政治とは何ら関わりがない。そのうち、歌手を取るか、政治家の妻を取りか、選択を迫られるだろう・サルコジ大統領にとっては好都合だろう、何しろカメラマンの注目が大統領自身以外にも向いてくれるのだから・今までの大統領夫人たちとはイメージがまったく違う。カルラ夫人のイメージは各国の物笑いの種になるのでは・ファースト・レディは大統領の就任からともに歩み、ともに学ぶことが必要だが、彼女は途中から加わったので、この条件を満たしていない・・・こうした声が次第にイギリスでの報道のように変わっていくのかどうか。どう変わっていくのか、変わらないのか、フランス人気質も見えそうで、楽しみです。
ということで、26日の夜から28日まで、サルコジ大統領夫妻の話題で持ちきりのフランスでした。
仏英両国の友好に新たなページを! というサルコジ大統領のメッセージはきちんと紹介されていますし、例によって原子力発電とエアバスの売り込み交渉も報じられていますが、今回、完全に大統領のお株を奪ってマスコミのフラッシュを一身に浴びたのは、カルラ夫人。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/c8/6b4b7475aff14c050ff8919b70991ba2.jpg)
27日のフィガロ紙です。「仏英両国の蜜月時代」という見出しですが、サルコジ大統領とエジンバラ公に挟まれて中央で微笑んでいるのがカルラ夫人。結婚により、姓はブルーニ=サルコジになっています。2月末の南アフリカ訪問に同行したとはいえ、大きな注目を集めるひのき舞台としては、今回が大統領夫人(la première dame:ファースト・レディ)としての実質的外交デビュー。しかも、相手は格式のある英国王室。事前の準備には細心の配慮がなされていたようですし、かなり緊張もしたようですが、モデルとして、あるいはその後の歌手として、世界の名だたる有名人とも浮名を流した経験が生きているのか、あるいは新聞報道が言うようにイタリア貴族の流れを汲むという出自によるものか、全くおどおどしたところがなく、自由に振る舞っているように見えたようです。笑顔も自然。そこが、イギリスの人たちを惹きつけたようですし、ロー・ヒールを履き、なおかつ少し背を丸めてエリザベス女王が小さく見えないようにした配慮なども好感を持って受け止められたようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/a5/c36245793feddd9dcce0f9591f08db99.jpg)
27日のメトロ紙です。その見出しに「チャーミング」とあるように、気遣いだけでなく、そのファッションセンスでも魅了したそうです。何しろ元々トップ・モデル。スタイル、着こなしは、今でも現役モデル並み。その容姿をグレーで統一したファッションで包んでヒースロー空港に降り立つ姿はまるでジャクリーヌ元ケネディ大統領夫人の再来のようだとまで言われているとか。このコート風ワンピース(un robe-manteau)はディオールだそうです。エレガント、シック、モダン、魅力的・・・賞賛の嵐だそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/dd/bd6888776b1ae59730e7e1f919d7138c.jpg)
同じメトロ紙ですが、他の女性たちのファッションはといえば・・・エリザベス女王もカミラ夫人も、羽根飾りのある帽子。一方、カルラ夫人をはじめ、彼女の母親、ダチ法相など、フランス女性は羽根飾りのないシンプルで、小さめの帽子。英仏の差なのか、英王室独特なものなのかは知らないのですが、いずれにせよ帽子には大きな差があったようです。
ところで、カルラ夫人の母親も同行、今まで中国などへ同行していたサルコジ大統領の母親はプライベートな事情で今回は同行せず、だったそうですが、こうした公式訪問の際は、どこまでの家族が同行するものなのでしょう。日本の首相がどこかの国を公式訪問する際、その親とか夫人の親とかも同行するものなのでしょうか。あまり日本の報道では目にしないのですが、日本では同行しないのか、あるいは同行しているもののマスコミが伝えないだけなのか、どうなのでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/76/c5ca7ed322d16e56f8f38d5a190ef177.jpg)
夜は、公式晩餐会(写真は27日のフィガロ紙)。ここでのカルラ夫人の出で立ちは、黒とも濃紺とも見えるシースドレス。絹のモスリン織だそうです。アクセサリーはショーメ(Chaumet)のもの。ここでも、そのエレガントさが際立っていたそうです。55メートルのマホガニーのテーブルを囲んだのは146人の招待客たち。供されたワインは、当然、フランス製。シャトー・マルゴー(chateau-margaux)の1961年ものと2000年のシャサーニュ・モンラシェ(chassagne-montrachet)だったそうです。
なお、フランス大統領の国賓としてのイギリス公式訪問は5回目だそうで、一方のエリザベス女王が国賓を迎えるのは1952年に王位について以来96回目だそうです。1年に二人弱の割合で迎えているのですね。晩餐会もウィンザー城で行なわれたのですが、この城の礎石を置いたのはフランスのノルマンディ公ギヨーム2世(英語名:ウィリアム征服王)だったそうで、仏英両国の縁を見出しているフランスの報道陣もいるようです。
さて、翌27日、サルコジ大統領とブラウン首相は、サッカーの名門チーム・アーセナルがホームグランドとするエミレーツ・スタジアムでトップ会談。合間にはグランドに降りて、アーセナルのベンゲル監督(ご存知のとおりフランス人)を交えて談笑したそうですが、もしかしてベンゲル監督が通訳だったのかもしれないですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/3c/5f6374e1e753a43e398c4899c0c1df7e.jpg)
その合間に、カルラ夫人はブラウン首相夫人とともに、女性の健康問題の改善に取り組むNGOとの会合に出席(写真は28日のフィガロ紙)。2日間の滞在で6回衣装換えをしたといわれるカルラ夫人、ここではグレーのパンツスーツに、鮮やかな紫のコート。さっそうと歩く姿は、やはりモデル。肝心の会合では、スピーチを英語で行なったそうです。エリザベス女王やエジンバラ公まで魅了した人柄や、夫やその他の閣僚にないとフランス・メディアがいうセンスのよさ、そして英語を話すことで、カルラ夫人は完全にイギリス・メディアを味方につけてしまったようです。
訪問前には、モデル時代のヌード写真を掲載して笑いものにしようとてぐすねひいて待っていた英国の報道陣が逆に圧倒されてしまい、彼女への賛辞を惜しまない記事に変わっているそうです。いわく、ジャクリーヌ夫人の再来だ、いやいや、レディ・D(ダイアナ元妃)に匹敵する・・・26日夜に行なわれたサッカーの親善試合、フランス対イングランドの結果に引っ掛けて、今回の公式訪問も1対0でフランスの勝ちだと、白旗を挙げている新聞まであるそうで、カルラマニア(Carlamania)でいっぱい、とまで言われているとか。
こうした評判に、サルコジ大統領、気分が悪いわけありません。今まで多くのメディアが彼女のことを散々悪しざまに書いてきたが、これで彼女のことがよく分かっただろう。その外見だけでなく、意思の強さ、人間性への感受性などその人格でもフランスに貢献できる女性なのだ、とブラウン首相の眼前でのろけて、首相をビックリさせたそうです。そして、最後はテムズ川での舟遊びに際しても、船上でキスを交わし熱いところをカメラマンたちに見せつけたとか。
ということで、カルラ夫人の外交デビューは大成功。めでたし、めでたしなのですが、意外とフランス庶民は醒めていて、というか、モデル、歌手としての今までの経歴を実際に目にしているせいか、そう簡単にはファースト・レディとして認めていないようです。27日のメトロ紙によると(イギリスでの評判が伝わる前の声のようですが)、彼女はまだ歌手であり、政治とは何ら関わりがない。そのうち、歌手を取るか、政治家の妻を取りか、選択を迫られるだろう・サルコジ大統領にとっては好都合だろう、何しろカメラマンの注目が大統領自身以外にも向いてくれるのだから・今までの大統領夫人たちとはイメージがまったく違う。カルラ夫人のイメージは各国の物笑いの種になるのでは・ファースト・レディは大統領の就任からともに歩み、ともに学ぶことが必要だが、彼女は途中から加わったので、この条件を満たしていない・・・こうした声が次第にイギリスでの報道のように変わっていくのかどうか。どう変わっていくのか、変わらないのか、フランス人気質も見えそうで、楽しみです。
ということで、26日の夜から28日まで、サルコジ大統領夫妻の話題で持ちきりのフランスでした。