50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

因縁の試合。

2006-04-30 06:27:40 | スポーツ
4月29日、サッカー・フランスカップの決勝戦がスタッド・ド・フランス行われました。対戦したのは、パリ・サンジェルマン(PSG)とマルセイユ(OM)。

注目の試合でした。

そのせいか、"Liberation"(リベラシオン紙)までがスポーツ面の2ページも使って大きく紹介していました。(上の写真は、記者会見に臨んだマルセイユのフォワードの選手)

この試合が単に決勝だからというだけでなく、非常に注目されたのは、言ってみれば遺恨試合だったからです。背景は・・・

両チームの3月5日に行われたリーグ戦を前に、サポーター席の数をめぐって諍いがありました。OM側は、頼んでおいたサーポーター席が人数分確保されておらず、一般席と一緒では、観客同士の争いが起きる可能性もあり、不安だ、と指摘。これに対し、PSG側は、OMからのサポーター席追加依頼が遅すぎた。安全対策はしっかりやるので問題ない、と反論。

結局話し合いは物別れに終わり、OM側は、安全上問題があるとして、サポーターはパリのスタジアムに行かず、選手はレギュラーではなく控えを送りました。(PSGがOMからの追加依頼分のチケットを一般に売ってしまったようなのですが、売ったのが先か、依頼が先か、がはっきりしないようです。どちらにせよ、追加依頼を受けた上層部とチケット販売をしている現場の意思疎通がうまくいっていないのでしょう。フランスらしいです。)

その試合の結果は、0対0。会長がお詫びの記者会見をしたほどPSGにとってはショックでした。2軍相手にホームで勝てなかったのですから。

このいざこざに、フランス・サッカー協会は、両チームの勝ち点を1ずつ差し引く決定を一度はしたものの、結局撤回。お咎めなしになりましたが、この1ヶ月半、何かと話題を提供したチーム同士の決勝戦という事でいつも以上に盛り上がりました。


盛り上がったのは、警備体制も同じ。写真は、シャンゼリゼにあるPSGのオフィシャルグッズ販売店。試合を前に、OMファンの投石等を警戒して、ショーウィンドーは早くも板で囲まれ、警察官10人近くが警備に当たっていました。しかも、試合開始前の夜7時半で閉店。(関係ないですが、今でもかつて在籍したロナウジーニョがすごい人気のようです。)

で、肝心の試合ですが・・・

6分にカルーのゴールでPSGが先制。後半に入って、49分にドラソーの追加点が入って2-0。67分にOMも1点を返しますが、反撃もここまで。2-1でPSGの優勝です。


なお、この試合、シラク大統領やサルコジ内相もスタンドで観戦していました。前から予定に入っていたのでしょうか。注目の高い試合なので、人気取りに急に入れたスケジュールなのでしょうか。日本の首相とは違うのか、同じなのか、知りたいものです。

テスト、始まる。

2006-04-29 04:53:49 | 学校
ソルボンヌ・フランス語文明講座の春学期の試験が始まりました。

スタートは、コンフェランス(講義)の試験。早い講義は、復活祭の直前にやったところも若干あるようですが、大部分は今週から。冬学期までは、講義も語学のレベル別に分かれていましたが、今学期からは合同になり、かつ出席もとるようになったため、講義の試験方法が大きく変わりました。

しかも、どう変わったかが、教師によって異なる。さすが、個人主義の国! どこまでも徹底しています。26日にやった"Paris"(パリ)という講義の試験は、語学のレベルに関係なく全員同じ問題で、しかも全問三択だったそうです。27日に私が受けた"Litterature et Cinema Francais"(フランスの文学と映画)という講義の試験は、初級・中級・上級別に試験問題が分かれていて、それぞれ三択と文章で答えるものが組み合わされていました。(写真が、その問題用紙)

文学とシネマの講義は、毎週1本の映画(原作が名作)を見、原作の説明が書かれた1枚の資料をもらうだけ、と講義自体はラッキー!なのですが、試験問題は映画&原作の内容をしっかり理解していないと答えられないようなものもありました。

上級の質問
1.Percevalは本当の恋をすることができるのか?
2.L'Avare(守銭奴)の登場人物Maitre Jacquesとはどんな人物で、その性格からどんな意味を持つ普通名詞になったか?
3.Don Juan(ドン・ジュアン)の石像は何を象徴しているのか?(三択)
4.Le Pere Goriot(ゴリオ爺さん)の登場人物・Eugene de Rastignacはどんな役割を果たしているか?
5.タイトルになっている"La Chartreuse de Parme"(パルムの僧院)とはどんなところか?(三択)

ま~、語学中心のコースとはいえ、卑しくもフランスの大学が行うコンフェランスですから、授業は興味を喚起するもので、自分で深く勉強しなさい、ということなのでしょう。でも、受身の授業に慣れてしまっていると、ちょっとつらいかもしれません。

この後、いろいろな試験が5月27日まで断続的に続きます。それが50歳のおじさんにはどんなに大変かは、前学期の様子を1月にしつこき書きましたので、興味のある方は1月から2月上旬を見てください。(同じことの繰り返しにならないように、今後はできるだけ試験以外のテーマで書くようにします。)

体力・気力勝負の1ヶ月が、また始まりました。

長文が書けない!

2006-04-28 05:06:00 | 学校
ソルボンヌの授業で、よく作文を書く宿題が出されます。私も含め多くの日本人が、「もっと長い文章を書きなさい、って言われるんだよね、困った。」とこぼしています。

これは何もフランス語力がないために長く書けない訳ではなく(全くないわけではないところが、悲しいのですが・・・)、長文を書き慣れていないせいではないかと思います。

「要点を要領よくまとめて」とか、「結論は何だ、早く言え」とか、「問題・解決・その後の予測をA4・1ページにまとめろ」とか、日本社会って、結構せっかちで、結論をさっさと言わせようとしますよね。しかも、社会だけでなく、学校でも、短文を書く練習はしますが、長文を書く練習が殆どなかったような気がします。

一方、欧米では、結論まで導いていく論旨の展開力が問われるようで、周りが反論できないようにロジックをしっかりと積み上げていく。その結果、長文になる。そうした長文に慣れた教師たちから見れば、途中があいまいで、いきなり結論を言っているような日本的作文は、いまいち評価しにくいのではないでしょうか。

プロセスあっての結論か、さっさと結論か。こんなところにも、日本と欧米、彼我の違いがあるようです。もちろん、どちらがいい悪いというのではなく、違いがあるということです。(あっ、そう言えば、早く結論を!という社会だから、日本には結果論者が多いのでしょうか?)

でも、こんな言い訳でごまかしても点数は上がりません。しっかり長文を書く練習をしましょう。50歳からでは練習しても変わらないような気もしますが、遅くてもやらないよりはまし、とも言いますからね。

マロニエの花咲く季節。

2006-04-27 01:14:47 | パリ
マロニエの花が咲き始めています。


おなじみリュクサンブール公園のマロニエですが、しっかり花が咲いています。あの独特な香りもかすかにしています。新緑の木々の香り、花の香り。思わず深呼吸したくなってしまいます。特に地下鉄の駅から地上に出たときは、ほんとに新鮮な空気で、胸いっぱいに大きく息を吸い込みたくなるほどです。逆に言えば、それだけ地下鉄の駅の、あのプーンと鼻をつく匂いが強いということでしょうね。

美しい新緑に惹かれて、公園のベンチで多くの人たちが寛いでいます。

夕方の6時過ぎですが、まだまだ明るい。暗くなるのは9時ころです。最高気温も20度を越えるようになってきました。半袖どころか、キャミソール姿の女性も見かけるようになりましたが、その一方で革のコートを羽織っている人もいて、街行く人を眺めるのが楽しくなってしまいます。今頃こんな服着てちゃおかしいだろうか、なんてことは考えないですむ! 世間様に合わせる必要がないので、この点は、楽でいいですね。

退職後もかつての職場へ。悲しい性。

2006-04-26 04:36:50 | フランス
フランス語の会話力を少しでも上げたいとフランス語と日本語の交換授業を始めた事は、2月に紹介させてもらいました。その相手、ミシェル(中学のフランス語教師を定年まで勤めた57歳の男性・写真の後姿)が、たまたま私が日本に戻っていた際、なんと5回目の滞在で日本にいたので、一緒に馬籠・妻籠へ行ってきました。

お互いのあやしいフランス語・日本語を補うべく英語も活用しての珍道中でしたが、そのなかで面白かったのは、フランス人の退職後の過ごし方です。

ミシェルは、定年退職(55歳)前から、住んでいる街で日本文化協会の会長として、いろいろな日本文化の紹介にあたっており、しかも、毎年日本に数週間滞在して日本の文化や新しいトレンドを生で体感しているわけですが、フランス人といえども、皆が皆そうした退職後を送っているのではないそうです。

同じく中学教師だったかつての同僚たち。なんと、毎週木曜日の午前10時に、かつての勤務先である中学校に集まり、コーヒーを飲みながら昔話に花を咲かせているそうです。毎週、毎週、同じ時間に、同じ場所で、同じメンバーと。ほかにやることはないのか?と聞きたくなってしまいます。

どんなに煙たがれようが、かつての職場へ足が向いてしまう。洋の東西を問わず、同じ心境なのでしょうか。聞き漏らしてしまいましたが、フランスでは、先輩を喜んで迎えているのでしょうか。そんな筈ないような気がしますが・・・。

個人主義のフランス人ですら、老後はかつての仲間を頼りに、皆で集まる。まして、集団主義の日本においておや。退職後もかつての同僚たちと集まっては、かつての肩書きで呼び合う。今までの生活を、過去の時間を大切にしていく。そういう過ごし方が多いのでしょうね。反対に、もう宮仕えは終わったのだから、無理に群れず、自分を大切に生きていく。そんな生き方は、いい悪い、好き嫌いは別にして、どこでも少数派なのでしょうか。

ミシェルとの交換授業が、とりあえずうまく進んでいるのは、少数派同士だからかもしれません。

春には、にょっきり、おみ足が。

2006-04-25 04:27:47 | パリ
街を歩く人たちを見ていて、まず春を実感するのは、女性のスカート姿です。


冬の間はパンツルックばかりでしたが、暖かくなるにつれ、スカート姿が徐々に増えてきました。冬は非常に寒いので、スカートはちょっと厳しいのでしょう。しかもジーンズをはじめ暗い色のパンツが多いので、パリの冬がいっそう暗く感じられてしまいます。


それが、春になるや、スカートに。まるで、衣替え。しかも、長さ、デザインなども、個性いっぱいに。“スカートとともに、いま蘇る、春”と言いたくなるくらいです。もちろん、個人的にスカートにこだわりがあって撮影したわけではありません、念のため。変に思われないよう、1ヶ所で1カットしか撮影しませんでした。


子供の手を引くお母さんも、友達と一緒の学生も。

春とともにスカートが、という現象は、実は上海でも毎年経験していたことです。パンツだけの冬が終わり、スカートとともに春が花開く、といった衣替えのような現象が再びパリで経験できるとは思ってもいませんでした。日本では、冬でもスカート姿の女性が結構いますから、この「スカートの春」、とても新鮮です。

趣味を生かす旅。

2006-04-24 03:57:46 | パリ
熱心に写生をしている3人の男女。場所は、ルーブル美術館とコメディ・フランセーズの間にあるパレ・ロワイヤル広場。

後姿だけで、もしや、と思ったのですが、やはり日本人3人グループでした。持ち運びできる椅子など準備万端。一生懸命に、パリの街角を写生していました。通りかかった人たちも、立ち止まってしばらく見入るほどの出来ばえ。

旗を持った添乗員に連れられ、次から次へと観光名所を駆け足で回るグループツアーもすっかり影を潜め、今や、趣味を生かす旅になっているようです。

だからでしょうか、パリの街中では日本人観光客のインパクトはあまりなくなっているような気がします。でも、いい事ですよね。しっかり自分の好みの旅をする。それでこそ、「旅」ですよね。そんな旅をする日本人、特に中高年が、今後もきっと増えていくことでしょう。

日本人に代わり、パリの観光スポットを数で圧倒しているのが、中国人観光客。やはりグループツアーは目立ちますね。目立てば、たたかれる。中国人に対する反感も徐々に出てきているようです。今日たまたま中国人グループのそばを通ったら、いきなり通りすがりのフランス人から、中国人はでかい顔するな、と言われてしまいました。私を一緒の中国人と誤解したのでしょう。

やっかみ半分にしろ、両大戦間のアメリカ、80年代を中心に日本、そして今、中国。出る杭は打たれる、というのは、どうも日本だけの格言ではないようです。

復活祭休暇、終わる。

2006-04-23 04:46:02 | ヨーロッパ
2週間の復活祭休暇も、23日でおしまい。

実は、11日から22日まで、休暇で日本へ戻っていました。このブログも休暇直前に作り溜めしたものをブラシュアップして、お届けしていたわけです。

12日ぶりに戻ったフランス。快晴、気温は20度を越え、半袖の人も多く、暗くなるのは夜9時を過ぎてから。木々の若葉もまぶしいくらいで、春から初夏へ、一気に季節が走り出しているようです。

23日は朝から外へ出て、新しい話題、驚きを探そうと思っています。

そこで今日は、飛行機から見た北欧の、まだ浅い春をご紹介しましょう。


シベリア上空。川はまだ凍り付いていますが、積もった雪の層が薄くなり、川の周囲が土の色に黒ずんできています。


フィンランド、ヘルシンキの北方、湖沼地帯です。湖はまだ薄く凍っているようですが、土地から雪は消え、春の準備に入っているようです。


フィンランドとスウェーデンの間、バルト海の入り口にあるオーランド諸島(アヴェナンマ諸島)。大きな島の周りにだけ、まだ流氷(?)が残っているようです。


同じオーランド諸島でも、南へ行くに従い、氷が殆どなくなっています。北国の春ももうすぐです。

明日からは、復活祭も終わり、春本番を迎えているフランスの“今”をお伝えしていきます。

花の都は、犯罪都市?

2006-04-22 00:03:09 | パリ
パリを歩いていると、時々、鍵のカタチをした看板を見かけます。


例えば、こんな看板。非常に分かりやすいですね。ここは、鍵屋さん。フランス語でserrurerie。パンテオン裏にあります。そこから僅か50メートルほどのところにもう一軒。下の写真です。


ここにも鍵の表示がいっぱいあります。でも、店の看板にはcordonnerieとあります。これは、靴修理屋の意味。きっと、以前は靴の修理を生業としていたのでしょうが、もはや誰も修理までして靴を履かなくなったので、転業したのでしょう。その転業先が、鍵屋。

ということは、鍵屋は今でも儲かる、つまり、鍵を注文する人が多いということでしょう。確かに、今はデジコードという暗証番号をキーインするシステムが多くの建物の入り口に、しかも二重に設置されていますが、それでも、各部屋には二重、三重に鍵が付けられています。

つまり、それだけ、盗難・窃盗などの犯罪が多いということでしょう。犯罪都市、パリ。ありがたくない、称号ですね。でも、実際多いようです。デジコードが付いていても、管理人(掃除人)が建物入り口のドアを開けて掃除している隙に、こっそり入り込み、盗みを働く・・・。だから、各部屋の戸締りは、厳重な上にも厳重に。

ということで、鍵屋さんは、今でもうまくいっている商売のようです。

なお、ピカソ美術館の近くに“錠前美術館”というのがあるとガイドブックには出ているのですが、行ってみたら、普通の美術館のようになっていました。

絵になる街。

2006-04-21 00:07:47 | パリ
昔から、多くの映画の舞台になってきた街、パリ。今でも、やはり、きれいな街角や建物がいっぱいです。だからでしょう、よく撮影現場に出会います。


これは、コマーシャルの撮影現場だそうです。屋内で撮影しているようですが、光が足らないようで、外から照明を当てています。


これは、ドキュメンタリ-の収録現場。CPE関係のデモが激しくなってから、つまり3月末からほぼ毎日同じ場所(リュクサンブール公園脇)で、しかもほぼ同じ時刻に撮影をしていました。記者も同じ女性です。そのうち、テレビで放映されるのを楽しみにしています。


これは、大きな収録マイクが見えますね。ドラマの同録をするみたいですね。でも、残念ながらまだ準備中のようです。

実は、この3点の写真、同じ日に撮ったもの! たまたまなのですが、次々といった感じで、出くわしてしまいました。

日本でも、時々パリで撮影されたTVCFを見ますよね。やはり、絵になる街のようです。