50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

フランスは、お高い。

2007-11-30 05:18:04 | マスコミ報道
フランス人はお高くとまってるからな~、というお高いではなくて、今日のテーマは、文字どおり、高い。物価が高い、やってられない! という話題です。



29日のフィガロ紙ですが、フランス、物価の高い国、という見出しです。では、実際、どう高いのでしょうか・・・

調査した国は25カ国。ヨーロッパ22カ国の首都とアメリカの主要6都市、それに北京、上海、東京で、計29都市・・・???合計すると31都市ですよね、でも記事には確かにこう書いてあります。崇高な観念とは関係ない少々の事は気にしないお国柄、しかも単純な計算間違いは店頭などでもよくあることですから、気にしないことにしましょう。とにかく、欧米と中国、日本の29都市ほどで実施した消費者物価の調査によると、パリは安いほうから21番目(高いほうから9番目と言いってくれたほうが分かりやすいのですが、せっかくフランスは物価の高い国と見出しでも言っているのですから・・・これもお国柄でしょうか)。では、どんな商品が調査の対象になったのでしょうか。



記事は26商品を対象にした調査といっていますが、紙面に写真つきで紹介されているのは24商品。あと2商品あるのか、はたまた24商品が正しいのか・・・細かいことは言わないようにしましょう。何せ、ここは、フランス。さて、記事によると、ソフトドリンク片手にDVDを楽しむのに最も安上がりなのは、上海。DVD(『カジノ・ロヤイヤル』)と缶入りコーラの料金の比較なのですが、それぞれ最も安いのは、24商品の一覧表を見ると、上海ではなく北京! パリから見れば、極東の都市が北京でも上海でも同じなのでしょうね・・・愚痴はともかく、要は、中国が最も安い。DVD=6.13ユーロ、コーラ=0.20ユーロ。それに対して、パリはそれぞれ25.32ユーロ(29都市中最も高い)に1.04ユーロ(最も高いのはノルウェーで1.69ユーロ、コーラ33cl缶が280円です!)。では、同じような生活水準のドイツはどうかというと、それぞれ、19.32ユーロと0.46ユーロ。やはり、パリのほうが高い。パリは、物価高。

全商品を通して見た場合、最も高いのはノルウェーだそうですが、これはVAT(付加価値税)が高いからだそうです。そして、対象商品の中で特にパリが高いのは、DVD、コーラ以外に、ビッグマック、ガソリン、生理用品だそうです。ということは、パリのマクドは高い・・・因みにビッグマックセットは高いところで6.05ユーロ(約1,000円)。店によって価格が異なるのですが、いずれにせよ、高いはずです。


(経済面の一面。最上部で中面にあるこの記事を紹介していますが、写真はビッグマックですね)

こうした物価高について、アナリストは次のように言っています。物価が高いのは、それだけでは特に問題にはならない。給与水準との比較だ。もし物価がある国より2倍高いとしても、給与水準が3倍あれば、購買力はより高いということになる。肝心なのは、購買力だ。

なるほど、そういうことですね。でも、外国からの留学生などにとっては、物価高は、痛い。でも、痛いのはフランス人も同じなのでしょう、サルコジ大統領に、多くのフランス人が最も望んでいることのひとつが、購買力の向上。“le pouvoir d'achat”という購買力を意味する文字が新聞紙上に踊らない日はありません。購買力のアップ・・・方法は、給与を上げるか、物価を下げるか。給与を上げるのでしょうね。サラリーを上げろという言い方はちょっとストレートすぎてはしたないので、いかにも経済学的高尚な要求のように聞こえるよう購買力の向上と言っているような気もしますが・・・

また、世界共通の商品の価格が国によって異なっているそうです(当然ですね)。例えば、ノキアの携帯N95、パリでは669ユーロしますが、ポルトガルでは579ユーロ、ニューヨークでは508ユーロ。こんなにも違うそうです。一般的に、フランスは流通間の競争が少ないので、消費者価格が高いままになってしまうそうです。このことが、フランスの購買力を5%引き下げているとこの記事は言っています。

ところで、ここまで、我らが日本が話題にのぼってきませんね。以前なら、物価高世界一、とか言われていたのですが、どうしたのでしょう。確かに、調査対象商品が異なるので、それほど高くないのかもしれないですね。でも、一覧表をよく見てみると・・・Ipod、一番安いのは日本。マイクロソフトのXBox、最も安いのは日本。任天堂のWii、最も廉価なのは日本。ノキアの携帯、最安値は日本。ソニーのプレイステーション、日本。ソニーのデジタルビデオ、これも日本。アルコールのウォッカ、これまた日本。ウォッカを飲みながらIT機器に囲まれて暮らすのに最も安上がりな主要国は、どうやら日本になってしまっているようです。逆に日本が最も高い商品はひとつもありません。ユーロに換算していますので、ユーロに対する円安が大きく影響しているとは思いますが、日本は物価安! それに対する、フランスの物価高!! 華の都パリは、物価高です! 特に日本と比べて・・・週末前に、元気の出ない話題で、恐縮です。

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黒いワシは、飛んでいる。

2007-11-29 05:12:04 | 美術・音楽
昔(いつも昔で恐縮ですが)、『コンドルは飛んでいく』というフォルクローレを代表する曲が日本でもヒットしました。サイモン&ガーファンクルのカバーで1970年のこと。でも、今日のタイトルは、黒いワシは飛んでいる。黒いワシ・・・実は、これ、あるシャンソンのタイトルなんです。

“L'Aigle noir”・・・文字どおり『黒いワシ』というタイトルです。歌っていたのは、バルバラ。今年、死後10年になります。1997年11月25日が命日。多くのメディアが彼女の歌、そしてその人生を取り上げています。


(11月24日のフィガロ紙です)

バルバラ(Barbara)・・・彼女の名前、どこかで聞いたことありませんか。日本で岸洋子さんがよく歌っていた『黒いワシ』以外にも、Nantes(ナントに雨が降る)、Gottingen(パリとゲッティンゲン)、Dis Quand Reviendra-Tu?(いつ帰ってくるの)などのヒット曲があります。コンサートなどの公演の宣伝を事前にはいっさい行なわなくても、チケット発売と同時に完売したという「神話」があるほど、1954年から96年までの歌手・作詞家・作曲家としてのキャリアは輝かしいものでした。

しかし、その一方で、キノコにあたったとか、薬の多量服用だとか、死因についてもさまざまな噂が出たほど、どこかミステリアスな歌手でした。1930年生まれですから、享年67歳。そして死後10年・・・しかし、今でもそのシャンソンは、現在活躍中の歌手たちに多大な影響を与えているそうです。


(11月25日付のル・モンド紙です)

彼女がデビューしたのは、1954年10月1日のブリュッセルでのリサイタル。その後、パリの有名なキャバレー、Bobino(ボビノ)をはじめ、多くの場所で歌うことになります。彼女の歌は、どこかメランコリーで影があり、ミステリアス・・・シンガーソングライターですから、彼女自身がそうした人なのだろうと思われています。それに対して、彼女はあるショーの台本を見るために眼鏡を取り出しながら、みんなが私のことをミステリアスな女だというけれど、それは私が近眼で周りのモノや人がよく見えないからよ、とジョークを言っていたとか。

しかし、彼女がまだ子供のとき、その人生に影を落とすある出来事が起きていました・・・遺作となった自叙伝“Il etait un piano noir...Memoires interrompus”(『それは黒いピアノだった・・・未完の記録』)で自ら公表しているように、実父と近親相姦があった・・・そこに彼女の歌の鍵があるのかもしれません。彼女の歌は、恋人たちへ、若い人たちへ、そして傷ついた人たちへ向けて差し出された鏡・・・


(ル・モンド紙の紹介している2枚組みDVD“une longue dame brune”を買ってきました。クリスマス前、ショッピングバックにもプレゼントのイラストが。親から子どもへプレゼントが手渡される、平和な家庭が多いことでしょう・・・)

バルバラは恋人だった外交官のいるコートジヴォワールのアビジャンまでも赴き、歌っています。そして彼との別れの前に作ったシャンソンが、上にご紹介したDis Quand Reviendra-Tu?(いつ帰ってくるの)。いくつもの恋と別れ、そうしたものが彼女の歌に人生のスパイスを効かせているようです。


(フランスでの彼女の根強い人気を物語るかのように、店頭には彼女のアルバムが数多く並び、ピアフやアズナブールよりも広い場所を占めていました)

また、ドイツでの公演前には、極度に不安な心理状態に。なぜなら、長年、ドイツと聞いただけで体調を壊すほどでした・・・彼女は、ユダヤ人だったのです。第二次大戦中、ナチの手から逃れる苦しい生活を送ったようです。しかも、ようやくコンサート会場にたどり着いてみると、運送業者のストでピアノが届いていない! そのとき、地元の若者たちが古いピアノを修理して、弾けるようにしてくれた。危機を救ってもらい、しかもコンサートは大成功。そこで彼女が作ったのが、Gottingen(パリとゲッティンゲン)という曲で、ドイツの人々への彼女なりに許しを請う曲だそうです。そして、許しといえば、Nantes(ナントに雨が降る)は死んだ父をついに許す曲だそうです。



伝統的な歌い方を根底から覆すような新しい歌い方で、自らの人生が投影された自作のシャンソンを歌い続けたバルバラ。無辜な、明快な、官能的な、そして常に流れ続けるような彼女のシャンソンは、今も若い歌手たちの中に生き続けています。いつも黒い服を好んで着ていたバルバラ、シャンソン界の上空を黒いワシとなって永遠に飛び続けているのかもしれません。

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ガンバッ! スタバ!

2007-11-28 05:39:40 | パリ
昨日に引き続いて「!」がふたつ並ぶタイトルですが、今日のテーマは、「スタバ」、スターバックスです。



こうして、パリの街で見かけることも珍しくなくなっている、スタバ。カフェ文化の中心地、パリへ乗り込んで4年。今ではパリとその周辺を併せて39店になっているそうです。そして、間もなく、フランス2番目の進出先として、リヨンにオープン!



そのことを紹介している23日のフィガロ紙です。この記事によると、フランスのスタバは、店は増えているが、赤字だそうです。その背景は・・・

スタバからフランス進出前に相談を受けたというコンサルタント曰くは・・・フランスには進出しないように言ったんだ。なぜなら、フランス人は消費するコーヒーの80%を午後2時までに飲んでしまう。だからカフェでもそれ以降は食事とかがメインになるので、夜までコーヒー中心のスタバでは儲からない。しかも、フランス人は香りのついたアロマ・コーヒーには馴染みがないので受け入れないだろう。そうしたアドヴァイスにもかかわらず進出してきて、しかも他のアメリカ企業と同じ過ちを犯している。つまり、まずは店舗展開をし、シェアをある程度取るのが先で、儲けはその後、という戦略だが、うまくいくかどうか・・・

進出から4年経って、店の数は増え、12月はじめにはパリで40番目の店がオスマン大通りにオープンします。しかし、コンサルタントが危惧したように、赤字。2006年は、2,310万ユーロの売り上げに対し、410万ユーロの赤字だったそうです。その原因は・・・まずは家賃。繁華街の立地の良いところに出店していますから、家賃が相当かかるようです。そして、利用客数。はっきりとした数字は出ていないのですが、何しろ料金が高いのだから客数も多くないだろうと、この記事は言外にほのめかしています。確かに、高い! 一般的なカフェでは、コーヒー1杯2.0~2.5ユーロほど(約330円~420円)。また、マクドやフランスのサンドウィッチ・チェーンなどでは1.5ユーロ前後。それに対してスタバでは、3ユーロ以上、4ユーロとかします(およそ500円~700円)。しかも、馴染みのない、アロマ・コーヒー。売り上げが良い訳ない!



こうした意見に対し、スタバ側は・・・長期的経営戦略にのっとった出店で、あと数年で利益が出るようになると確信している。何しろ、アメリカでこの店を始めたときには、数店に増えれば良いという程度の希望だったのが、今や世界中で1万店を越えている。フランスでも、長期的に見れば、必ずや成功するだろう。

確かに、世界中で15,000店、そのうち4,400店がアメリカ以外にあり、ヨーロッパと中近東で、1,200店、そしてフランス国内に今39店。世界中で毎年2,500店も増え、今年はモスクワ、ブカレスト、カイロにも進出したそうです。そして、フランス2番目の市場としてリヨンにも進出。

実際にスタバを観察してみると、パリの場合、外国人観光客の利用も確かに多いですが、そうした中に若いフランス人がかなり混じっています。そして、その数は増えてきています。やはり、新しい文化を受け入れる素地が若い人にはあるのでしょうか。あるいは、アメリカ文化に小さいときから馴染んできた、あるいは憧れてきたのでしょうか。だから、スタバも新しいコーヒー文化として受け入れやすいのかもしれません。同じことは、マクドが進出した際にもあったのではないでしょうか。こんなファーストフードが、フランス料理のあるところで流行るはずはない・・・しかし、今やいたるところにマクドはあり、フランス人客で混んでいます。公園のベンチや芝生の上でマクドのハンバーガーを頬張っているフランス人はたくさんいます。しかも、マクドに関しては、もはや若い人だけでなく、老若男女のフランス人が気軽に食べています。スタバが同じようにならないとは言い切れません。



マクドを見てても思うのですが、マクドもつぶれない代わりに、フランス料理も消えることはない。うまく共存できています。スタバとカフェ、これもうまく共存していくのではないでしょうか。スタバでも飲むが、カフェも利用する。その時の気分や顔ぶれとかで選んで利用する・・・そう思うのですが、この記事はあくまでスタバに懐疑的で、アメリカではスタバの経営に暗雲が漂い始めており、昨年は利益が減少した、と最後に言っています・・・アメリカの文化をどうしても受け入れたくない人は、やはりいるようです。スタバがフランスにおいてさらに成長するかどうか、その結果は歴史にゆだねることにしましょう。因みに、「ガンバッ、スタバ」とタイトルに書きながら、私はカフェのコーヒーのほうが好きです。

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おっ! シャンゼリゼ!

2007-11-27 05:46:13 | パリ
昔、ダニエル・ビダルというフランス人女性歌手がいて、日本語で出した『オー・シャンゼリゼ』という曲が大ヒットしました。1970年代の前半だったかと思います。彼女、今、どうしているのでしょうか。さて、このタイトル、もちろん、Oh!シャンゼリゼではなくて、“Aux Champs-Elysees”、シャンゼリゼでは、といった意味ですが、そのシャンゼリゼでは、26日夕方、すごい人だかりができていました。

場所は、ジョルジュ・サンク。ちょうどルイ・ヴィトンのシャンゼリゼを挟んで、反対側。時刻は、6時半過ぎ。テレビ局のカメラも勢ぞろい。そして、7時近く、歓声とともに、フラッシュが炊かれ、誰かが人垣の中へ。



マイクが差し出され、インタビューが始まったようです。インタビューを受けているのは・・・歌手のヴァネッサ・パラディ。今年久々に新しいアルバムを出し、コンサートも行っています。彼女がシャンゼリゼに来た理由は・・・



そうです、クリスマス・イリュミネーションの点灯式。今年、点灯の任にあたったのがヴァネッサ・パラディだったわけです。彼女のアルバム、以前ご紹介しました。その本人をかすかにですが目にすることができました。アルバムの写真どおりのヘアスタイル、でも小柄なため、人垣の後ろから写真に撮ることはできませんでした。お見せできないのが、残念。


一斉にイリュミネーションに灯がともると、こうなります。お~、シャンゼリゼ! やっぱり、実際に見るときれいだね、という声が、ドイツ語、日本語、中国語などで聞こえてきました。多くの観光客も、仕事帰りのフランス人に混じって、点灯の様子を見ていたようです。


イリュミネーションと、ヘッドライト・・・パリの冬の風物詩ですね。しばらく、夜の散歩が楽しめそうです。

そして、シャンゼリゼよりも一足先に、デパートのイリュミネーションはすでに始まっています。


恒例のラ・ファイエット。いつ見ても、いかにも、クリスマスのイリュミネーションという感じがしますね。


毎年テーマを変えるプランタン、今年は「おとぎのノルディック」がテーマ。北欧らしく、雪や氷の結晶をイメージしたイリュミネーションになっています。


市庁舎前にあるBHV。シンプルですが、クリスマス・リースが印象的な飾り付けになっています。

26日夜のニュースによると、今年はイリュミネーションを飾る商店街が増えているとか。いろいろ工夫を凝らした明かりが楽しめそうです。第2弾、第3弾で、順次、ご紹介していこうと思います。お楽しみに!

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コミック・ヒーローの生みの親たち。

2007-11-26 05:27:58 | 美術・音楽
いつもはユダヤ民族の歴史や悲劇を紹介しているユダヤ美術歴史博物館が、今展示しているのは、何とコミック。こうした博物館までがコミック(マンガ)を取り上げるようになったのかと、驚いてしまいますし、コミックの世界的な広がりを感じてしまいます。



展示会のタイトルは、“De Superman au Chat du Rabbin”(「スパーマンからラビの猫まで」)。でも、どうしてここにスーパーマンが・・・


(博物館の中庭。ドレヒュス大尉の像の向こうに今回の展示会用のバナー)

実は、この展示会で紹介されているコミックの作者たちは、いずれもユダヤ人。だから、ユダヤ美術歴史博物館の企画展になっているのですね。でも、ご存知でしたか、スーパーマンの作者。



「スーパーマン」が誕生したのは1938年。アメリカのDCコミックス社が出す『アクション・コミック誌』の第1号に登場したのが始まりだそうです。原作はジェリー・シーゲル、作画がジョー・シュスター。クリプトン星人カル=エル、地球での名前、クラーク・ジョセフ・ケント。コミックはもちろんですが、テレビドラマや映画でも人気を博しているアメリカンヒーロー。日本でも1956年からテレビドラマとして放映され、何と視聴率74.2%を記録したとか! 1979年に日本で封切られた映画は、その年の配給収入、洋画部門で1位。スーパーヒーローと呼ぶに相応しい人気ぶりですね。

アメリカでのユダヤ人作家によるコミックは、1890年頃から現れてきたそうで、移民、あるいはその子供たちが、アメリカへわたってきてすぐの頃の苦労を描いている作品が多いようです。

そして、1930年代以降、次ぎ次ぎとヒーローが誕生していきます。ユダヤ人たちがアメリカ社会へ同化しようと模索している頃です。スーパーマンのあとは、1939年に産声を上げた「バットマン」。作者は、ボブ・ケーン。シリーズ映画化されていて、ご覧になった方も多いことと思います。スーパーマンともども、フィギュアの世界でも、人気の的ですね。

1940年(日本の資料では41年)には「キャプテン・アメリカ」が誕生。原作者はジャック・カービー。通称キャップと呼ばれるヒーローが、アメリカのため、自由のために超人的活躍をします。

この時代に生まれたヒーローたちに共通するのは、ユダヤ人たちの経験やその伝統が通奏低音として響いているとはいえ、前面に出ているのはアメリカという国に貢献しようという気持ち。ヒーローたちは、悪からアメリカを救うために活躍します。背景にはヨーロッパで拡大するファシズムに対する脅威があるようだとも言われていますが、さらに広い意味で、世界の秩序、人類普遍の価値・正義を守るために戦うわけです。だからこそ、多くの国で受け入れられているのでしょうね。

そして戦後、ホロコーストを生き延びた人々もアメリカへ移民してきます。また、アメリカ社会に同化しつつ、政治に関わるユダヤ人もふえてきます。そうした流れを背景に、新たな作品が登場します。

1952年に世に出たのが“MAD”。ハービー・カーツマンがはじめたパロディなど政治風刺の効いたコミック誌ですね。確か、早くから日本でも入手できたと思います。その風刺には、アメリカ社会への同化の曖昧さが影を落としているとも言われているようです。

また、ホロコーストを取り上げた作品では、1986年に、アート・スピーゲルマンによる“MAUS”が登場。副題に「アウシュビッツを生きのびた父親の物語」とあるように、実父の体験に基づいています。その内容もさることながら、登場人物を動物に置き換えたところが、斬新であり、分かりやすくなっています。

このスピーゲルマン、生まれはスウェーデン。ヨーロッパでも、ユダヤ人のコミック作家たちは活躍しています。彼らの作品に共通するのは、ユダヤの歴史・伝統が色濃く反映されていること。

今回の展示タイトルになっている“Le Chat du rabbin”はJoann Sfar(ジョアン・スファール)によって2005年から出版されているバンド・デシネ(マンガ)で、猫の口を借りて、アルジェリアのユダヤ人世界を描いており、フランスで人気の作品です(上の写真、左側の冊子の猫です)。



会場には、1912年から2007年の作品まで230点、そして資料が40点展示されています。ユダヤ人作家による、マンガ。その時代、その暮らす社会の特長もありますが、やはり底にはユダヤの歴史・伝統が共通してあるようです。しかし、それにしても、これほど多くのマンガ作家がユダヤ人にいるとは思ってもみませんでした。正直な感想です。

“De Superman au Chat du Rabbin”
ユダヤ美術歴史博物館(Musee d'art et d'histoire du Judaisme)
来年1月27日まで
土曜と1月1日休館
入場料=5.5ユーロ

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塔の都、パリ!?

2007-11-25 05:18:46 | パリ
華の都パリが塔の都になる・・・そんな気がしてしまうようなプロジェクトが、今話題になっています。ただし、塔と言っても、高層ビルのことなのですが。



22日付のフィガロ紙によると、パリ市が高層建築による地域開発案を提示したそうです。ただし、これでやりたいという決定案ではなく、11のラフなアイディアで、今後議論を高めて行きたい、ということのようです。フランス国内外の建築家たちによるさまざまなアイディア・・・そこに共通しているのが、高層ビル!

ご存知のように、パリ市内の建物の高さは37メートルまでという決まりがあり、厳格に守られています。パリではフランス革命以前から建物や軒の高さに関する規定があったようで、それが37mと決められたのは1977年と言いますから今から30年前、ジスカール=デスタン大統領時代にそれまでの25mが37mに引き上げられたそうです。19世紀のオスマン男爵による街づくりはもちろんですが、それ以前から今日まで続く厳格な建物の高さに関する規定によって、多くの人々を魅了する今のパリの街並みがあるのですね。そこに、高層ビルを・・・


(セーヌ河畔の建物もきれいに高さがそろっています)

レンタサイクル“ヴェリブ”を成功させたり、新しい施策を積極的に推進するドラノエ市長といえども、さすがに、パリの真ん中に高層ビルを、と提案しているわけではなく、候補に上がっている三ヶ所は、いずれも、パリ市の周囲を走る環状道路と鉄道などに囲まれて開発から取り残されているところです。



具体的には、18区のポルト・ド・ラ・シャペル、12区のポルト・ド・ベルシー、そして13区のマセナ地区。ただ、13区のセーヌ沿いには国立図書館やその南の再開発地区に新しいビルができています。しかし、それらと今回のアイディアが異なるのはビルの高さ。



このようなスケッチが提示されましたが、左側の案では120~150m、右側では131mの高さのビルを建設することになるそうです。一番上の写真で紹介されている案では、210mでモンパルナスタワーと競う高さ! 実はこのモンパルナスタワーが、パリッ子たちのトラウマになっているんだそうです。1973年の竣工以来、周囲と調和しない、パリらしさを損ねる・・・大不評で、このビル以降、パリ市内に高層ビルをという声はどこからもあがらなくなっているとか。12万人を対象に都市開発に関する調査を行なった際にも、60%の対象者が高層ビルの建設に反対したそうです。パリに高層建築は要らない!


(よく見かける街並みの一つですが、やはり高さはほぼそろっていますね)

それが、どうして高層ビルを? ひとつ言われているのは、土地の有効活用。それも住居用というより、オフィス用。パリ市内にオフィス用のスペースが不足している。そのため郊外に出て行く企業も多い。すると、法人税が減る。そこで、パリ市の周辺部を開発しよう、それも土地取得費を抑えられる高層ビルを、となるわけですね、たぶん。そしてもうひとつは、他の都市、特にロンドンへの対抗意識。ロンドンでは市内中心部に近々224mのビルができ、その先には306mをはじめ20近い高層ビルの計画が進行している。モスクワには、612mのロシアタワーが計画されており、ダブリンやトリノにも計画が相次いでいる。こうした趨勢の中に埋没しないよう、パリにも高層ビルを! ロンドンにまけてたまるか―――ただし、高層ビル嫌いなパリ市民に配慮して、37mという決まりはそのまま残し、特例として周辺部の三ヶ所に高層ビルを建てる・・・ドラノエ市長はこんなふうに考えているのではとも推測されています。

来年3月は、日本で言うところの統一地方選挙。多くの都市で市長選挙があります。パリ市もそのひとつ。ドラノエ市長も社会党候補として再選を目指して立候補する予定ですが、選挙戦のテーマのひとつにこの高層ビルを加えるそうです。再選されたら、必ずや実行したい! それに対し、対抗馬となると言われているド・パナヒュー女史(国民議会の与党・UMPの候補予定者)は反対するかと思ったら、パリの中心部での高層ビル建設には反対するが、周辺部での開発としては、良いのではないか。ただし、パリの人たちは高層ビルに暮らすのに慣れていないのだから、住居用ではなく、あくまでオフィス用にすべきだと言っているようです。この高層ビル案に反対しているのは、何と、社会党と連携している緑の党。建物の高さが問われるべきではなく、都市の景観を守れるかどうかが問題。周囲と調和しない高層ビルには反対だ。

開発、景観、税収、自尊心・・・パリに高層ビル群が立ち並ぶ日が来るのでしょうか。

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ミシュラン版、「人のふり見て我がふり直せ」。

2007-11-24 05:22:01 | パリ
22日にミシュランガイド東京版が出版されて、日本で大きな話題になっていたようですが、フランスでの報道や、いかに―――。



東京のレストランが獲得した星の総数は191、パリの97、ニューヨークの54を大きく上回っています。食においても世界の中心と自負しているのではないかと思われるフランスがどう反応するのか・・・楽しみにしていたのですが、23日のフィガロ紙が早速半ページを割いて紹介してくれました。

見出しは、「東京、世界における食の新たな中心」。どうもミシュランガイドの評価をそのまま認めているようですね。ミシュランの評価を評価する記事や評論家が日本では多いようですが、フランスの新聞はどう見ているのでしょう。

各レストランの評価は、5人の調査員が行ない、しかも公正を期すため、シェフや評論家などを交えての議論を経た上で、今回の発表となっている。ミシュランガイドのような評価を批判していた小野氏の店、つまり「すきや橋 次郎」も三ツ星を獲得していることからも、その公平さは理解できるだろう・・・ということで、ミシュランのアジア戦略の一環から星のインフレがなされたとかいったことはこの記事からはうかがい知ることはできません。素直に喜んで良いようですね!!

ところで、ご紹介している記事はフランスの読者へ向けてのものですから、東京版への評価でおしまいではなく、フランスの食文化に対する意見がしっかり述べられています。具体的には・・・

パリは今でも食の中心なのだろうか。ガーディアン紙のようなアングロ=サクソンの新聞は、フランスのレストランはその伝統に押しつぶされており、パリはもはや食の都たりえない、といったことをすでに10年も前から言っている。どんなに輝かしい料理であろうと、その伝統をただ守るだけでは、より豊かな食文化たりえない。しかし、多くの人がフランス料理には、いわゆる伝統の味を求めるため、礼賛されればされるほど旧態依然としてしまうというパラドックスに陥っている。

ロンドンやニューヨークは、娯楽、つまりエンターテインメントとしての新しい食文化で盛り上がっており、その流れは世界中に広がっている。そうした流れの中で、今なぜ東京でミシュランガイドを出すことにしたのか。それは、食にかける日本人の情熱とそこにある食のバラエティによるためである。

日本人の食に対する情熱はほとんど宗教への情熱と同じで(そう考えるためでしょうか、東京版の出版記念行事、まるで神事のようですね・・・記事中の写真)、例えば、ジャン=ポール・エヴァンのショコラ・ショー(ホットココア)のためになら3時間の行列だって厭わないほどだ。また、築地市場を歩けば数多くの魚が取引されているのを目にするが、ここで扱われる魚の量は1日で250万トン。パリのランジス(Rungis)市場ではわずか一万分の一の255トン。また、レストランの数自体にも大きな差がある。東京には138,000軒ものレストランがあるのに対し、パリには十分の一以下の12,500軒。しかも東京には世界中の料理がそろっている。イタリア料理にしても、シシリー、ナポリ、トスカーナなど各地方の料理さへ堪能できる程。和食にしても、懐石、寿司、ラーメン、蕎麦、うどん、焼き鳥などと多くの種類があり、そのいずれもが素晴らしい味である。

こうしたバラエティの豊かさは、日本人の好奇心の強さ、特に外国のものに対する関心、受容性の高さによるところが大きい。しかも、完璧さへの希求、特に食においてはその素材へのこだわり、調理の技の研鑽ぶりには驚嘆すべきものがある。日本にかつて貼られていた「モノマネ」のレッテルは、もはや通用しない。フランスも、日本を見習うべきだ!


(これは、2006年のパリ版。東京版では、TOKYO 2008になっているのでしょうね)

まさに、人のふり見て我がふり直せ。今回のミシュランガイド東京版からのメッセージは、他所からの栄養を受け入れた食文化は強い―――確固たる文化は異なる文化を受け入れてもそのアイデンティティを失わないはず。より豊かな食文化になるためには、異なる食文化を受け入れることに躊躇すべきではない。そのことを実践している日本の食文化が賞賛されるのは至極当然のことで、フランスも見習うべきだ!

どうやら、この記事が言いたいのは、伝統を守るためにこそ、変革が必要だ、ということのようですね。伝統の上に胡坐を掻いていては、いずれ廃れてしまう。伝統を守るためにこそ、常に新しいものを受け入れ、変革を遂げていかねばならない・・・日本でも、このことを肝に銘じないといけない分野が多くあるような気がします。伝統、しきたり、前例・・・「食」の分野がたまたま例外なのでは、と思えるほどですね。

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スト、デモ、スト。でも・・・

2007-11-23 05:17:51 | パリ
パリは、相変わらずのストの中。しかも、ストだけではなく、デモも。



20日に行なわれた、公務員を中心としたデモ(22日付のル・モンド紙)。いかにもデモといった写真ですね。サルコジ改革に反対する交通、学校、病院、郵便、電気、ガスなどの労組を中心に、各地でデモが行われました。参加したのは、37万人(警察発表)とも70万人(主催者発表)とも言われています。


21日には、司法改革に反対する司法関係者に社会党などが合流して、パリでデモが行なわれました(22日のマタン・プリュス紙)。左前方で指をさしているのがオランド第一書記(セゴレーヌ・ロワイヤル女史の前パートナー)ですね。


同じく21日に行なわれたカフェ・タバコ店関係者のデモ(22日のマタン・プリュス紙)。こちらは来年1月1日から施行される公共の場での禁煙への協力を呼びかけるデモのようです。そうです、来年からカフェやレストランでも室内は禁煙。


こうした趨勢を見越して、この夏には、禁煙ガム(ニコレット)の広告も、メトロに貼られていました。紫煙に煙るカフェでの政治談議、スポーツ談義・・・もうなくなります。ひとつの「パリ」が煙とともに消えていくようで、寂しくもあります。

イギリス人に、街頭に繰り出すしか意思表示や反対運動ができないフランス人、と嫌味を言われようと、ここはフランス、大革命のDNAがしっかり残っているようで、何かあると街頭デモ。ただ、どんなに寒かろうと参加する人は多く、これだけ堂々と自らの意見を主張できるのは、それはそれで立派なことだと思います。

で、肝心のスト。21日から、労組・企業・国の三者による交渉が始まっています(下の写真の左側、22日のフィガロ紙)。

国鉄(SNCF)はスト収束に向けて動き始めたようで、数日で通常ダイヤに戻るそうです。一方のパリ市交通公団(RATP)は動く本数が増えてはきましたが、26日の第2回交渉まで続きそうな気配です。

こうしたストのお陰で、通勤通学が大変になっている人が多いようです。カフェの隣のテーブルに座っていた学生たちは、「家を7時に出て学校へようやくたどり着いたのが9時。普通なら40分くらいなのに」とか、「私は8時に出たら10時。授業に遅れちゃったわ」とか、話していました。それでも、休むことなく、授業に出ているのは、立派。さすが、授業も、進級も、卒業も厳しいフランスの大学です。

また、公共交通機関を諦めて、クルマで、あるいはバイクや自転車で通う人も増えています。そのため交通量が増え、それに伴い事故も増えています。特に、二輪車の事故が急増。クルマの陰から飛び出す二輪車や歩行者の絡んだ事故が多発し、21日のフィガロ紙によると、スト期間中のパリ市内での人身事故は対前年比で70%も増えているそうです。


セーヌ河畔の道路の渋滞です。確かに普段よりもひどく、しかも早い時間から渋滞が始まっています。こうして、四輪にしろ、二輪にしろ、クルマが増えれば排出ガスも増える。22日のフィガロ紙によると、二酸化炭素だけでもスト期間中に16万トン余分に排出された計算だそうで、この量はフランス人2万人が年間に排出する量に匹敵するとか。

今回のストは、23日で10日目。いい加減うんざりしそうですが、大きな騒ぎも起きずに、続いています。決して改革案を引っ込めようとしないサルコジ政権。その強気の背景は、国民の支持。


21日のフィガロ紙ですが、68%の人が今回のストは正当化できるものではない、69%が政府は譲歩すべきではないと言っているようです。でも、お互いが一歩も引かないと、『出口なし』・・・サルトルの戯曲のタイトルになってしまいますね。しかし、第1回の交渉で、企業・政府側が給与の引き上げなどを提案した甲斐があって、特別年金制度の改革などは政府案どおりで収束に向かい始めたようです。

そして、このブログでもしつこいストの話題・・・火に油を注ぎたくないのか、この件では珍しく発言を控えているサルコジ大統領。25日からは、中国公式訪問です。でも安心して出発するようですから、このブログでも、次回は、スト完全収束のお知らせができるのではと期待しています。もうすぐ、通常の生活に戻れそうです!

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日本、また不景気へ!?

2007-11-22 05:13:53 | マスコミ報道
もうすぐ師走。年の瀬になりますが、皆さんの周りはいかがですか。景気の良い話はありますか。

日本の景気、フランスの記者の目にはどう写っているのでしょうか・・・



14日のフィガロ紙、その経済面なのですが、見出しは、不況がひそかに進行する日本、といった意味ですね。第3四半期、日本のGDPは対前年で0.6%の成長を記録した。しかも、輸出ではなく、個人消費や設備投資によって経済が成長したというのに、どうしてまた不況が進行しているなどという事になるのでしょうか。

第3四半期の成長は一時的なもので、株価を押し上げるほどのものではなく、またアナリストたちは景気後退前の一時的反撥に過ぎないと言っているそうです。確かに第2四半期はマイナス成長でしたね。

景気後退を言われる背景には、三つ指標が同時に赤ランプを点灯させているという状況があるそうです。ここで言う三つの指標とは、輸出、個人消費、設備投資のことで、それぞれに問題が顕在化しつつあるそうです。

輸出は円高(21日には108円まで上昇していますね)と、サブプライム問題にゆれるアメリカでの需要の落ち込みが影響して、厳しくなるだろう。個人消費は、基本的には停滞したまま。企業の好業績にもかかわらず、給与はたいして上がらず、預貯金も超低金利の下では利子を生むこともない。そこへ、インフレが徐々に進行し始めている。これでは個人消費が活性化しようがない。設備投資も、超放任主義(様子眺めで、何ら策を講じていない?)の日銀の政策の下、公定歩合はほとんどゼロのままなので、これ以上のてこ入れは難しい。


(パリで日本といえば、やはり駐仏日本大使館でしょうか・・・記事内容とは関係ないのですが、日本代表として、その建物をご紹介しますね)

しかも、労働人口の10%を抱える建設業界の不況がさらに景気を引き下げようとしている。耐震偽装問題から建築確認の審査を厳格にした改正建築基準法が6月に施行された影響で、住宅着工戸数が7月・8月に対前年で40%も落ち込んでいる。この業界の業績後退は、家具、不動産など他の業界へも波及して行くだけに、今後の景気動向にもマイナスの影響が懸念されている。

失われた10年からの回復・・・しかし、また再び、景気後退の局面へ! 

こちらの新聞記事は基本的に署名入りの記事ですので、そういい加減な内容ではないと思いますが、どうお読みになりましたでしょうか。年末へ向けて、良い気分のしない内容ですね。景気の良い話を聞きたいのですが・・・。でも、事実は事実。この記事が言っていることが正しいのであれば、一人ひとりが不景気に備えねばならないですね。短観では大企業は横ばい、中小企業は悪化となっていますが、緩やかな回復基調にあるみたいなことも言われています。実態はどうなのでしょうか・・・


(頑張れ日本・・・日の丸イメージの写真、大使館は内容とは関係ありません)

私たちに国全体の景気をどうこうする事は出来ません。せめて、自分のことは自分で守るしかないのかもしれませんね。後顧の憂いなきよう、景気後退に備えて家計をしっかりさせないといけないのかもしれないですね。せっかく取り戻しはじめた日本経済への自信だったのですが・・・サルコジ大統領は来週から中国訪問へ。経済界も同行することでしょう。もはや日本経済より中国経済。断定されてしまうような感じですね。でも、日仏関係は、文化で頑張りましょう。文化出づる国日本、へ! (ストが一向に収束しないパリで、こんなことを考えたりしています。22日も、交通ストは継続されるようです。9日目です・・・)

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スト、スト、スト・・・の日。

2007-11-21 05:22:45 | パリ
公共交通機関のストは、まだ続いています。SNCF(フランス国鉄)の運行状況は少し改善されているようですが、RATP(パリ市交通公団)のメトロやRER(郊外高速鉄道)は依然として非常に混乱したまま。



間引き運転のため、本数が少なく、たいへんな混雑。日本のラッシュアワーに近い状況を久しぶりに体験しました。でも、日本のほうがまだひどい。そんな通勤を毎日続けている方々には、本当にご苦労様です。



ストでは、以前撮ったこのような整列乗車など、とても無理、無理な話です。普段でも写真のような整列乗車が行なわれているのは例外的で、一般的には降りる人と乗る人が押し合い圧し合い・・・整列乗車に慣れている外国人観光客が怒鳴っているのをたまに見かけることもあります。それが、本数が少なくて、乗れるかどうか分からないとなると、それはもう押し競饅頭状態になり、無理やり乗り込もうとする人とそれを押し戻そうとする乗客との間で言い争いにまでなってもいます。ストも1週間、疲れからか、苛立つ利用客も増えているのでしょう。21日に労組・企業・政府による正式な交渉がありますので、ぜひとも収束に向かってほしいものです。

ストの影響で、メトロの利用客が減ってはいるものの、相変わらず利用者を相手にした商売で頑張っている人もいます。



連絡通路で演奏してはチップやCDの売り上げを期待するロシア民謡のグループ。メトロ利用者が前を通って行きますから彼らはまだ良いのですが、ほとんど見かけなくなったのが、車内で演奏してチップをもらう演奏家たち。混雑している車内での演奏は難しいようで、利用客が少ない時間を見計らってギター片手に歌っている人を一人見かけただけです。本数も少ないし、混んでいるし、この商売にとっては被害甚大でしょうね。

しかも、20日は、交通機関だけでなく、学校、病院、電話、郵便、電力、ガス、警察、気象台などで働く公務員の24時間ストも加わりました。公務員たちのデモも行なわれましたが、車道を行くデモ参加者と歩道を歩くデモ反対の人たちの間で、言い争いもあったようです。

また、テレビのニュースによると、学校の半分が休校とか。一斉に、というのではないあたりが、個性の国の面目躍如たるところでしょうか。



授業のあった子でしょうか、ローラースケートで下校です。スト対応で、大人から子供まで、ローラースケートでの通勤・通学が増えているそうです。



学食もこのとおり、相変わらず混んではいます。一部大学のストも続いているようですが、学食は営業していますし、混んでもいます。しかし、混み方がちょっと少ないかもしれません。また、学校ではないのですが、以前ご紹介したボランティアのフランス語会話教室、ボランティアの年配の人たちが、中には徒歩で来てくれている人もいて、開いています。たださすがにボランティアや生徒の数など通常通りというわけには行かず、ストの影響が出ています。

そして、もう一つ、この日ストだったのが、新聞! ストの状況などを伝えてくれていた新聞自体がストで休刊!



本来はこの棚にフィガロ紙が山積みにされているのですが、今日はありません。



中には、このキオスクのように、午後には店を閉めてしまったところもあります。売り物がないのじゃ仕方ありませんね。



という、スト、スト、ストの一日にも帳が下り、明日はまた新しい一日が始まります。ぜひともストが一日も早く解決し、みんなが本来の生活に戻れますように―――。

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