50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

もういくつ寝ると禁煙日・・・

2007-12-31 05:16:12 | パリ
・・・なんて悠長なことは言ってられなくなりました。フランスでは、あとひとつ寝ると、今まで例外扱いだったカフェ、レストラン、バー、カジノ、ディスコなど(全国で20万軒あるそうです)もついに禁煙。これで、屋内の公共の場は完全に禁煙です。


16-17日付のル・モンド紙の第一面です。「喫煙者にとっては、ゲームセット」。もう吸えないよ、と言っています。風刺漫画なので、禁煙施行と最近選ばれたミス・フランスの問題を同時に扱っています。ミス・フランスが、実は以前透けて見える水着で写真撮影を行なっていたことが発覚し、品位に欠けると非難されているのですが、そんなミス・フランスだから、きっとタバコも吸っていたに違いない!(・・・別に問題じゃない!いまどきセミヌードくらいで品位がどうとかいってるほうがおかしい)。

さて、先日もご紹介しましたように、店側は禁煙の対象外となる屋外のテラス席が寒くないように風除けを置いたり、暖房を設置したり、あの手この手で喫煙客用の対策を講じています。何しろ禁煙を遵守しないのが分かった場合は、罰金。喫煙者には68ユーロ(約11,000円)、そして施設の管理者にはほぼ倍の135ユーロ。これでは、違反者が多いと、店側もたまったものではないですよね。ですから、ディスコとかどうしても屋内だけになってしまう施設では、完全に遮蔽された喫煙スペースを設けたりしているようです。日本でも、ありますよね、こうしたスペース。まるで動物園の檻に入れられるようだ、とフランスのメディアは紹介しています。

吸っている本人はもちろんですが、それ以上にその煙による間接喫煙による健康問題を考えての禁煙措置。間接喫煙による死亡がフランスでは年間5,000人になるそうです。せっかくですから、この機会により多くの人が禁煙できれば良いのですが・・・今年の2月から会社のオフィスなどは禁煙になったのですが、心筋梗塞の減少などといった健康上への好影響はデータ上まだ表れていないそうです。すでに全面禁煙になっている他のヨーロッパ諸国では、イタリアの11%、アイルランドの15%など、心筋梗塞の発病が減っているそうで、それだけにフランスでも今回の全面禁煙による好影響が期待されているようです。


こうした禁煙用商品の広告が、カフェのテーブルの上にまでたくさん出ています。禁煙のために試してみた人はいるのでしょうか。自分の好みにはとことんこだわる人(別の言い方をすれば、わがままな人)が多いフランス。そう簡単に長年の嗜好を変えるとは思えないのですが・・・先日のテレビでは、煙をフラスコの水分を通すことで消去する方法とか、中近東の水タバコを髣髴とさせる方法も紹介されていたほどです。

そう、タバコは、何しろ、長年の嗜好!

ほんの数日前に撮った写真ですが、一見、中学生。とあるカフェの昼下がり・・・というか、夕方といったほうが良い午後4時過ぎ。4人でおしゃべりに夢中。男女を問わず、おしゃべりするために生まれてきたような方たちですから。そして、その4人のテーブルの上にあるのは、ビール! そして、4人が手にしているのは、タバコ!! この4人グループの反対方向には、高校生くらいの女の子の二人連れ。こちらは、ノートをひろげ、一緒に勉強しているようです。飲んでいるのは、コーラ。でも、指にはしっかりタバコが挟まれていました・・・長年の嗜好になるはずです。栴檀は双葉よりニコチンの香り! フランスでは、ビール、ワインは16歳から、蒸留酒は18歳から、そして確か法定喫煙年齢はない、ということは、いくつで吸い始めてもOK(間違っていたら、ご指摘ください)・・・16歳以上であれば、タバコ片手にビールを飲んでも、何ら問題なし!なのですね。

さて、カウントダウンとなった禁煙の実施。実際、どうなるでしょうか・・・1月1日は祝日。そのため、特に禁煙状況を見回るようなことはないそうです。2日以降も、警察などでは、あくまでケース・バイ・ケースで、分別をもった対応をするそうです。このあたりは、良く言えば、大人の対応。目くじら立てて喫煙者を見つけようとしそうな日本とは違いますね。

禁煙をめぐる動き、今後の推移が楽しみです・・・完全に、野次馬ですね。

・・・最後まで野次馬のままの2007年もこれが最後の更新。皆さん、どうか良いお年をお迎えください。そして、来年も引き続き弊ブログへのご支援、よろしくお願いします。では、また明日(!)、お会いしましょう。

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ひと、ヒト、人の、パリの年末。

2007-12-30 05:14:56 | パリ
25日のクリスマス、家で祝ったら、さあ、今度は旅行だ! ということなのでしょうか、26日からパリの街は観光客であふれています。


凱旋門前のシャンゼリゼですが、「雑踏」になっています。さまざまな言葉が聞こえてきます。イタリア、スペイン、東欧系、中国、日本・・・でも、最も多いのはフランス語。この時期に休暇を取ってパリ観光に来た人も多いのでしょうね。フランス語を話しながらパリの地図やメトロの路線図を見ている人たちがとても多く、ちょっと奇妙な感じがしてしまいますね。

こうした混雑に、最も喜んでいるのが、シャンゼリゼのレストランやカフェ、そしてマクド。ものすごい混雑振りです。昼時だけではなく、3時、4時でも長蛇の列。夕食も6時頃に始める気の早い人から、9時頃ようやく夕食という習慣の観光客まで、多くの店で行列が途切れることがありません。

観光客が楽しんでいるときに、しっかり本分を再開しているのが、学生たち。

ポンピドゥー・センターの図書館へ入るための行列です。このあたりまで来ていると、この寒空に1時間待ちは間違いないですね。1月に授業が再開されるとすぐ試験もあるようで、クリスマスの25日が終わればもう休暇もおしまい!

でも、1時間も待つのはいやだという学生もさすがにいるようで、どうするかというと、カフェで勉強。

せっかくポンピドゥーまで来たのだからと、美術館への入り口から入館して、中のカフェへ。日本のように混んできたからといって追い出されることもなく、しっかり粘れるので、カフェで勉強や仕事をしている人をよく見かけます。そういえば、カフェで執筆をしていたという作家も多いですよね。やはり、カフェ文化。しかも、ここは無線LANが繋がるので、PCを持ってきて長居する人もいます。

ポンピドゥー・センターといえば、そのすぐ脇にある噴水。

先日、コメディー・フランセーズ脇の噴水の氷を紹介した際、割れないかどうか乗ってみるような酔狂な人はいないと書いてしまいましたが、この通り、いました! しかも、氷の上でサッカー! あまり厚い氷ではないのですが、割れないようです。自分も、と片足乗せてはみたものの、やはり躊躇する人が多くいました。

そのすぐ脇に、氷上サッカーを楽しそうに見下ろしている大きな顔三つ。建替え中や古くなったビルの壁面でいろいろな楽しいデザインをよく見かけます。これだけで、街の表情が、生き生きと、人間ぽくなりますね。

人間と言えば、パリの人。赤と黒の色使いがほんとうに好きです。黒づくめに真っ赤なマフラーとか・・・足元でも、魅せてくれます。

写真では茶色っぽく見えますが、実物は紅色。男性もこうして赤と黒でコーディネート。

女性は、さらにおしゃれに。でも、気になるのが、犬ですね。カップルで同じ種類の犬を、色違いで飼っているようです。これも、カラー・コーディネートでしょうか。でも、この犬、お好きですか? パリでよく見かけるのですが、顔といい、体形といい、歩き方といい、私の好みでは全くないのですが・・・

コーディネートといえば、ファッション。

マドレーヌ寺院前のブティックですが、もう春夏コレクションになっています。でも、このスティッカー、日本にありそうですね。こんなデザインも、日本はパリから学んで(コピーして)いるのでしょうか・・・きっと、たまたまなのでしょうね。

シャンゼリゼでも特に混雑しているところを、もう一軒忘れていました。

インスタント・コーヒーなどでお馴染みのネッスレがオープンさせた店。コーヒー・ミルやコーヒー豆、カップなど、業務用から家庭用まで豊富に展示販売しています。

コーヒー豆の香りのテイスティングもできます。もちろん、奥にはカフェも。この店、準備にしっかり時間をかけたようで、今年のはじめは、こんな状態でした。

あまりにも遅いので開かずのファスナーかと思ったのですが、ようやく12月中旬、社会の窓(我ながら、古い表現です、しかも上品じゃない!)が開いて、めでたく開店。すごい人混みです。


・・・というわけで、パリの人、観光に来た人・・・至るところ、人、人、人のパリの年末です。

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アジアは、ネットワーク。

2007-12-29 05:19:45 | マスコミ報道
先日、アジアからの積極的な進出にフランス人が少し気分を害しているようにも読める新聞記事をご紹介しましたが、もちろん同じフランス人でも立場が違えば、対応も異なる。そんな例をひとつご紹介しましょう。

アジアから拡大するEUマーケットへ進出。そうした企業も多いのでしょうが、ヨーロッパ諸国も、ただ待っているだけではなく、ぜひわが国へ、わが町へ、とさまざまな働きかけを行なっているようです。雇用、税金を考えれば、どこの国の企業であれ、進出してくれるのはありがたいことなのでしょうね。

アジアからの企業誘致がうまく行っているフランスのある自治体が1ヶ月以上も前!ですが、マタン・プリュス紙で紹介されていました(投稿忘れを年末に慌てて公表したな、と勘ぐられた方、正解です! ごめんなさい。でも、面白いから読んでくださいね。)。



「ヴァル・ドワーズ県(le department du Val-d'Oise)におけるアジアビジネス」という見出しです。パリの北郊、イル・ド・フランス地域圏に属するこの県は、以前から海外の企業誘致に積極的で、進出しやすいようにサン・クリストフ工業団地(le technopole Parc Saint-Christophe)を整備するとともに、海外に駐在員オフィスを設置。なんと大阪には20年も前からオフィスを構えているそうです。その成果は、67というこの地域に進出している日本企業の数が物語っています。この数は、フランスではパリについでの多さだとか。工場だけではなく、ここにフランス本社を置いている企業もあるそうです。67社で雇用されている人員は2,000人。雇用をはじめ地域経済に良い影響をもたらしているようです。

この県の魅力は、パリとシャルル・ド・ゴール空港に近いこと、それでいて土地がわりと安価なこと、そして安全なことだそうです。

今、この県が日本企業に続き、誘致に力を入れ始めているのが中国企業。3年ほど前に上海に駐在員オフィスを開設。その成果が早速現れたようです。進出を決めたのは、通信企業の華為(Huawei)。次世代通信ネットワークソリューションを提供する企業で、本社は深セン。日本法人もすでに企業活動を行っているそうです。この企業の製品・ソリューションの利用者は世界で5,000万人を超えているとか。この華為がヴァル・ドワーズ県の工業団地に西ヨーロッパのリージョナル・オフィスを設立することにしたそうです。従業員はとりあえず200人。

迎える工業団地側は、早速レストランに中国人コックを採用し、アジア料理をメニューに加えた!(日本料理は出ていたのでしょうか・・・) さらに、住居の手配をサポートしているそうです。

この記事は、アジア人・企業はネットワークで動いていると言っているのですが、もちろんそれはこの中国企業が通信ネットワーク関連の企業だからというだけでなく、アジアはつながりで動く・・・1社が進出すると、その評判を聞きつけて、他の会社も進出する・・・最初の進出企業を見つけるまでは大変だが、最初がうまく行けば、後は次から次へと続いてくる。要は、横並び、右へ倣え・・・と言っているようです。

確かに、日本企業というか、日本人にはこうした傾向がありますね。よく見抜いています・・・と、感心するまでもなく、分かりやすいのかもしれませんが。もちろん、良い悪いではなく、特徴としてあるということです。どこの国にも個性はありますから。また、1社進出すると、その関連会社が一緒に出て行くということもありますので、全部が全部単に右へ倣えで進出するわけではないのでしょうけれど。

では、中国企業は・・・日本企業ほどに集まるでしょうか。中華街とかがあり、確かに自分たちだけの街を造る傾向はありますが、それは個人の場合で、企業の場合はどうでしょうか。何しろ、中国もどちらかと言えば個性の国。フランスほどではないかもしれませんが、日本よりは自己主張の強いお国柄。どうなりますか・・・。フランスから見ると日本も中国も「極東」。同じような国に見えるのかもしれませんが、実際にはいろいろと違いがありますよね。日本語と中国語はほとんど同じなのだろうと言うフランス人も多くいますが、実際には文法、発音などかなりの違いがあります。言葉だけでなく、文化にも。そうした違いをフランス人がどれほど分かっているのでしょうか。

せっかく企業誘致がうまく行っているヴァル・ドワーズ県。中国企業に、今までの日本企業と付き合った経験則だけで接して、問題が起きなければいいのですが。全くの部外者ながら、そう祈っています・・・と言いながら、実は、どうなるか興味津々なのですが―――。

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仕事納めは、「日本」で締めよう!

2007-12-28 05:35:41 | マスコミ報道
28日は仕事納め。昔は御用納めと言ったりしましたが、どうも最近では仕事納めのほうが一般的なようですね。証券取引所の仕事納めである大納会は28日から30日に移ってしまいましたが、そこでは手締めが恒例ですよね。一本締め、それとも三本締めでしょうか。今年のフランスでは、「にほん締め」。そう、日本締めです。年末のフィガロ紙上で、日本に関する話題がそこにも、ここにも!


まずは、トヨタがカーメーカーとして世界一に! 26日の経済面のトップ記事です。見出しは、トヨタの祝典、といった意味ですね。今年951万台を生産し、926万台のGMをついに追い抜いた。これで80年間世界の自動車業界に君臨してきたGMの天下もおしまい。クライスターのコピーから始まったトヨタが遂にそのアメリカを追い抜いたという美しいリベンジだ、と言っています。やった、これでアメリカの天下もひとつ終わった! でも、代わりにトップに立った日本は所詮コピーの国、真の世界一じゃない・・・日米を一刀両断にしている、という意地の悪い読み方もできなくはない、皮肉あるいはエスプリの効いた一文も含まれています。

販売台数は、GMの最終発表待ちのようですが、たぶんトヨタが販売台数でも世界一。そして、トヨタは来年以降も積極的なビジネスを展開しようとしている。2008年の販売目標は5%増の985万台。しかし、楽観できない経済環境も指摘されている。サブプライム問題の影響で、利益の半分以上を稼ぎ出している北米市場が冷え込んでくるのではないか。また、対米ドルでの円高やオイル高なども影響してきそうだ。

(シャンゼリゼ大通りにあるトヨタのショールームです)
しかし、株式総額でも世界のカーメーカートップで、GMの10倍にもなっているトヨタ。その潤沢な資金を生かして目標を達成しようとしている。まずは、積極的な海外展開。中国・ロシアでの販売台数を40%アップさせる。特に中国では、2010年までの生産100万台を目標にしている。また、インドでは、低価格車を投入し、4年で販売台数を4倍にしようと目論んでいる。そして、もうひとつの柱は、ハイブリッド車に見られる環境対策を中心とした、技術力の強化。こうした戦略により、来年以降は、2位以下との差を大きく広げようとしている!


次は、伊勢丹。27日の本紙最終面・全面です。世界のデパート紹介シリーズで、ベルリン、ドバイについで東京が第3弾。しかし、紹介されているのは伊勢丹のみ。右上に三越のポスターが出ていますが、三越については下のほうに小さく、伊勢丹との合併が紹介されているだけです。伊勢丹を代表に、日本のデパート業界を語ろうとする手法のようです。

多くのデパートが危機に瀕している中で、伊勢丹だけが確かな歩みを示している。伊勢丹は1886年の創業という老舗だが、今や若い消費者にとって、最も魅力的なデパートになっている。1日の来店客数が平日で7万人、週末には12万人を数え、初売出しの1月2日には20万人が予想されている。こうした集客力の高さを背景に、テナントへ伊勢丹オリジナルの商品を企画させたり、買い物客にとって便利なようにブランド毎ではなく、アイテム別の陳列を徹底したり・・・

ところで、日本の消費活動には驚くべきことも多い。年のはじめの福袋。何が入っているか分からない袋を買い求めようと多くの人が殺到する!? また、まだ続くお歳暮という儀式! そして、流通は新たな生活者像を作り出すことさえできる。例えば、“rurbain”・・・半分都会・半分自然というライフスタイル。また、伊勢丹のメンズ館発の情報により、くすんだ僧侶の服のようなスーツ姿だった日本のサラリーマンがおしゃれに変身した! デパートが新たなライフスタイルを作り出している!

ファッションコーナーは季節を先取りして、もう春。店内ではいろいろな催事が次から次へと行なわれ、消費者の関心を常にひきつけている。またアジアの消費者にとっても、買い物のメッカになっているようで、韓国語や中国語のできる店員も配置させているほどだ。


これは、JR東海。27日の経済欄です。自社の資金で東京―名古屋間にリニアを開設することにした、という記事です。JR東海のリニアが完成すると、乗客を乗せて時速500km以上のスピードで走行することになり、将来的に大阪まで延長されると、その550kmの距離を1時間で結ぶことになるそうだ。JR東海はこの事業に毎年18億ユーロ、総額320億ユーロをつぎ込んで、東名間で2025年に運転開始する計画だ。

しかし、リニアについては、30年も前からアイディアは語られてきているが、実現されているのは、ドイツ企業が作った上海の空港と市内を結ぶ路線のみ。そのドイツでも、2006年に走行試験中の事故で25人が亡くなっている。果たして、従来の方式を超える輸送システムになるのだろうか。フランスにはTGVがある! 試験運転で574.8km/hを出しており、何もリニアに追随することもない・・・と、記事の後半は、TGV擁護に終始しています。


そして、最後は、資生堂の全面広告(26日付)。1988年以来、バイオテクノロジーを生かした製品(Bio-Performance)で、ヨーロッパ女性の美の追求のお手伝いをしてきました。いつも変わらぬご贔屓ありがとうございます。よいクリスマス・新年を。

これだけ、「日本」が続けて、しかも大きく紙面を賑わすことは、ちょっと珍しいかもしれないですね。来年の日仏交流150周年のプレリュードだ、などとひねくれた見方をせず、日本の存在感も捨てたものではないと、素直に思いましょう。何しろ、年末。最後良ければ、全て良し。楽しく行きたいものです、ね!

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国は人なり・・・それぞれの事情。

2007-12-27 05:56:12 | パリ
日本の学校、2学期の終業式は21日だったところが多いようですが、地方や学校によっては25日だったり、26日だったり。でも、今はもうみんな冬休み。通信簿(今でもこういう名前ですか?)は良かったでしょうか・・・そこで、今日は、ちょっと教育絡みの話題を―――。

日本は科学立国とか、これからは観光立国もめざすとか、いろいろ言われていますが、国の基本はなんといっても「人間」。国民次第ですよね。新しい科学技術を生み出すのも、観光客を迎え、もてなすのも、「人」です。科学が勝手に存在するわけではないですものね。だからこそ、国の資本である「人間」への投資が大切になる。人への投資・・・そのはじめの一歩は、教育。教育にフランスはどれくらいの予算を割いているのでしょうか。



18日のフィガロ紙です(写真の新聞に、一部、折り方がひどいため見難いところがありますが、ご容赦を)。見出しは、幼稚園からバカロレア(大学入学検定試験)まで、一人の生徒にかかる予算は102,080ユーロ。つまり、日本で言えば幼稚園から高校卒業までに一人当たり約1,680万円の教育関連予算を使っているそうです。

去年1年の教育関連費は、1,214億ユーロ(約20兆円)で、この額はフランス人一人当たり1,920ユーロ(約32万円)に相当。GDPの6.8%に当たるそうです。記事の図表欄、右下のグラフは、国の富に占める教育予算の割合を国別に紹介しています。なお、教育予算はGDPの6.8%と記事では述べ、グラフは国の富の6.1%と表示しています。la richesse nationale(国の富)とGDPの関係がよく分からないのですが、国の富とは、もしかしてGNPのことなのでしょうか。このあたり、フランスでは常識なのか註がないので確かではありません。あるいは、6.1%と6.8%、たんなる書き間違いだったりして・・・観念の世界に住むフランス人にとっては、この程度の差は気にならないようですから、可能性はあります。いずれにせよ、グラフからすると、OECD加盟国の平均が5.8%なのに対しフランスは6.1%ですから教育費に予算を多く配分していると言えそうです。一方、われらが日本は4.8%で、スペインについで少ないほうから2番目。教育に予算をかけていないようですね。これで大丈夫なのでしょうか。心配になってしまいます。

話はまたフランスですが、2006年の教育予算は1980年の二倍になっているそうで、特に1990年代初頭に急増し、2002年からは安定した数字になっているとか。教育費が増えたのは、児童生徒の数が増えたことや教員の給与改善などが主な理由だそうです。特に人件費は、いまや教育関連予算の四分の三以上を占めているそうです。そして、特に90年代前半の急増は、中学・高校の所管を地方自治体に変更した際に、校舎などの建て替えなどを行なったため急増したそうです。

年間予算を、教育課程ごとに示したのが記事の左側のイラスト付きグラフですが、中学生(collegien(ne))・高校生(lyceen(ne))に使う年間予算が多いですね。OECD加盟国の平均より中学生で13%、高校生で26%も多いそうです。それだけ中学・高校での教育を重視してということなのでしょうね。逆に大学教育に割り振られる予算は、他の国と比較して少なくなっているそうです。フランスに留学するなら、中学・高校・・・?


(パリ第4大学(ソルボンヌ)の校舎です)

中学・高校でのフランスの教育の特長は、授業時間が長いことと、普通科から職業科まで、多くの選択肢が用意されていることだそうです。将来を見据えた教育課程がバラエティ豊かに用意されているようですね。線路がいくつもあり、その生徒の希望などにマッチした教育が受けられるよう整備されているようです。日本は、みんなが同じ線路の上を走るような傾向が強いですよね。15歳の生徒の年間授業時間数は、フランスでは1,147時間とOECD加盟国の平均968時間を大きく上回っています。日本では、どの程度なのでしょうか。ゆとり教育で、かなり減っているのでしょうか。

一方、教員一人当たりの受け持つ時間数はOECD平均より少なく、給与も大幅に改善されたといってもまだ低くなっているそうです。また、中学校での教員一人あたりの生徒数は、フランスは10人で、OECD平均の13人より少ないそうです。それだけ、きめの細かい対応ができると言うことなのか、ワーク・シェアリングになっているというのか・・・日本では教員一人当たりの生徒数が多いのでしょうか。確か、以前ご紹介した記事では、日本の教員の受け持つ授業数は比較的少なく、それでいて総労働時間数が多い、という状況だったと思います。授業の準備に時間をかけているのか、別に忙しい原因があるのか・・・

予算を他の国より多くかけ、教員の数も十分。授業時間数も多い。さぞや優れた成果が上がっているものと思いがちですが、OECDが57国・地域の15歳を対象に昨年実施し、先ごろ発表した学習到達度調査の結果は、フランスの現状を憂えさせるのに十分だったようです。読解力ではヨーロッパ諸国の中で下から6番目、科学ではOECD加盟国の中で16位から21位の間に位置しているとか。因みに日本は、読解力で15位、科学で6位、数学で10位でしたね。


(多くの著名人を数百年前から輩出している超名門高校、ルイ・ル・グラン高校です)

予算、時間、人員・・・それぞれを十分に用意しても、成果が出るとも限らない。しかし、調査結果は平均値での順位。フランスは、親の経済的社会的地位が高いほど子の成績が良いという傾向の強い国のひとつだそうですので、優秀な生徒は優秀だけれど、その逆も多い、ということなのかもしれないですね。ここにも、階級社会の影、ですね。また、調査が四択とか短い文章で答える出題形式だと、フランスの生徒は得意ではないかもしれないですね。何しろ、論旨明快な長文で答えるのに慣れているでしょうから。試験問題にも国それぞれの特徴があるでしょうから、一つの物差しだけでは計りにくいかもしれないですね。ただ、同じ調査結果を時系列的に見ることは、意義があるかもしれないですね。そうすると心配になってくるのが、日本の教育事情ですよね。同じ調査で、順位を下げてきている。日本の場合は、予算、時間、人員を十分用意した上で、結果が悪くなってきているのか、必要なものを用意していないつけが出てきているのか。さて、どうなのでしょう・・・

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教会よりご馳走。

2007-12-26 05:14:10 | パリ
25日は言うまでもなく、クリスマス。祝日でした。21世紀のフランス人はこのクリスマスをどう捉え、どう過ごしているのでしょうか。


24日にはこうしたサンタ気分の人が街に現れ、またカフェやいろいろな店でも店員がこうした帽子を被っていました。クリスマス気分ですが、厳かな宗教色は感じられませんね。


ポンピドゥー・センター前には天使まで登場しましたが、これもパフォーマンス。特に宗教が関係してくることもないようです。


フランス人のクリスマス観に関する調査結果を紹介している24日のフィガロ紙です。クリスマスの意味合いは今や、宗教ではなく家庭に求められるようになっている、と言っています。

クリスマスとは家族の団欒だと答えたフランス人は53%。子供のためのお祭りという答えが29%、宗教儀式だと考える人はわずか14%。もちろん、きちんとミサに通う敬虔なクリスチャンでは53%が宗教儀式だとみなしていますが、それでも41%が家族のためのものと答えています。離婚も増え、再婚家庭や、片親家庭などさまざまな家族のカタチが増えているフランス。そうした家族のメンバーが世代を超えて一堂に会し、その絆を確かめ合う機会が、今やクリスマスの価値、意味合いになっているようです。ですから、イヴとはいえ、外で大騒ぎのパーティとかをしたりということは少なく、家族そろって一年で一番のご馳走を家で食べたりすることが多いようです。フォア・グラもこの日に食べる家庭が多いとニュースでやっていました。

宗教離れは、フランスで確かに進行しているようで、例えば、教会で結婚式を挙げるカップルは1990年には51.3%いたのに、年々減り続け、2005年には35%になっています。市役所などで式を挙げるだけのカップルが増えているようです。その影響か、生まれた子供に洗礼を授けることも減っているようで、洗礼を受けた人の数は1996年の42万人強から2005年には約35万人に減少。出生率は逆に増えていて、今や女性一人が生涯に生む子供の数は2人台になっているのにもかかわらず洗礼を受ける子供の数は減っている。ということは、率にすると大きな減少になっているのではないかと思われます。

宗教ごとの人口比では、自分は敬虔なカトリック信者だと言うフランス人は今や10%、ミサなどにはたまにしか行かないがカトリック信者だと言う人が49%、ミサとかには全く行かないカトリック信者が10%、そして信仰がないあるいは無神論者だという人が22%に達しています。因みに、プロレスタントは2%、その他の宗教が7%だそうです。

こうして宗教離れが進み、宗教儀式の世俗化が進むフランス。クリスマスはその際たるものかもしれませんね。社会学者は、クリスマスは今や消費信仰(culte de la consommation)であり、神の座はサンタ(消費活動のシンボル)に取って代わられた、と言っています。また、ある神父も、クリスマスの中心は食事とプレゼントであり、家族との絆を確認し、人生に感謝する機会となっている、と言っているようです。

個人主義の権化であるようなフランス人。それでも人生ではいろいろな困難に直面することになります。そのときに頼りになるのが、家族、あるいは、心の渇きを癒してくれるのが、家族。孤独な人生を歩んでいるようなフランス人であればこそ、いっそう家族が大切になっているのかもしれないですね。しかし、その家族が危機にあるのも事実。それだけにいっそう、家族を巡るフランスの苦悩は深いようです。


家族は大切とは言っても、その絆を確認したいのは、孤独を知っている大人たちだけなのかもしれませんね。子供たちは、実は、クリスマスイヴの家族団欒をちょっと鬱陶しいと思っているんだそうです。親やおじいちゃん、おばあちゃんと過ごすのはイヴだけでいいよ、とばかりに、25日は友達と勝手に出かける子供たちも多いとか。市庁舎前の屋外スケート場も、若い人たちでにぎわっていました。


大人たちはといえば、家族と前夜遅くまで食事をし、楽しくシャンパン・グラスを傾けたせいでしょうか、25日の祝日は家でゆっくりという人も多いようです。多くの店が休みですし、カフェやさすがのマクドナルドも、観光スポットでないところは休業! 写真のマクドはサン・ミシェル、中世博物館のすぐ前ですが、休みでした。というわけで、街を闊歩するのは観光客ばかりという、25日、クリスマスのパリでした。

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また逢う日まで。

2007-12-25 05:11:45 | 美術・音楽
このブログを始めたのは2年前の12月23日。いつの間にか丸2年を過ぎていました。本当に、大変お世話になりました、またいつか逢える日まで・・・なんていうのは悪い冗談で、このブログは、まだしつこく続くのですが、今日のタイトルで尾崎紀世彦を思い出された方は、同年代ですね。1971年の大ヒット曲で、レコード100万枚以上の売り上げがあったという、文字どおりのミリオンセラー・・・ですが、もちろん今日の話題ではありません。今日ご紹介するのは、ピカソ美術館。



ピカソの死(1973年)の後、遺産相続税として遺族が提供したピカソの作品を中心に多くの美術作品を展示しているのはご存知のとおりです。17世紀に建てられた“Hotel Sale”(塩の館)を改装して1985年に国立ピカソ美術館としてオープンしています。個人美術館としては、稀なほどの収蔵点数で、いかにピカソが多作だったかを示しています。最も多作だった画家として、ギネスブックにも載っているほどだそうです。因みに、油絵と素描13,500点、版画100,000点、挿絵34,000点、彫刻と陶器の作品300点を残したという資料もあります。



場所は、マレ地区。行かれた方も多いのではないでしょうか。何を今更・・・そうお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、ここで、ようやく、今日のタイトルになるわけです。ピカソ美術館が、また逢う日まで・・・つまり、1月7日まで開催している“PICASSO CUBISTE”(『ピカソ~キュビスト』展)と“1937 GUERNICA 2007”(『1937ゲルニカ2007』展)を最後に、改修のために休館になります。開館して22年。古い建物を非常にうまく改装した美術館だけに、傷みにはあまり気付きませんでしたが、あちこち傷んでいるのかもしれませんね。


(もう作業は始まっています)

しっかり改修するためか、あるいは、あちこちで見られるフランス流のゆっくりした作業のためか、改修期間は32ヶ月。2年8ヶ月ですから、オープンは順調に行って2010年の9月になります。改修予算200万ユーロ(約3億3,000万円)。十分な予算なのかどうか・・・どのような貌でまた会うことができるでしょうか。あるいは、今までの雰囲気を残したままで、土台などの基本構造を補強修理するだけにとどめるのでしょうか・・・いずれにせよ、また逢う日が楽しみですね。



休館前の最後の企画展は、いつも以上に力を入れて、キュビスト・ピカソ誕生のプロセスを見せてくれています。明るい色調のバラ色の時代、アフリカ彫刻の影響を受けた時代、キュビズムを突き詰めた時代、そしてコラージュを発明した時代。それぞれの代表作をしっかり見ることができます。油絵、立体、素描・・・完成された作品はもちろんですが、作品を構想中の習作も数多く展示されています。



例えば、『アヴィニョンの娘たち』を描くために人間のカラダのさまざまな部位のデッサンを繰り返し行なっています。しかも、それらは大きなキャンバスに描かれたもの、手帖に描かれたものなど、常に描き続けていた様子がうかがえます。新聞紙上になされたデッサンさえもあります。天才は一夜にしてならず・・・努力というべきか、好きこそものの上手なれというべきか、美術と女性にだけ集中した人生を垣間見てしまうと、平和主義を言いながら、実際には反戦活動に加わっていなかったなどという、よくあるピカソへの非難などはどうでもいいことのように思えてしまいます。



もうひとつの企画は、『ゲルニカ』に因んだもの。フランコに頼まれドイツ軍がゲルニカの町を空爆してから70年。その空爆への憤りからピカソが描いた3.5x7.8mの大きな作品。その誕生までを、愛人関係にあった(1936年~45年)カメラマンで画家のドラ・マールの写真で紹介しています。さらに、ゲルニカ空爆から70年も経った今日でも、世界の各地で第2、第3どころか、数え切れないほどの「もうひとつのゲルニカ」が繰り返されていることをジル・ペレス(世界で最も有名な写真家集団・マグナムの会長をつとめたこともある、ニューヨーク在住の仏人フォトジャーナリスト)がボスニアで、ルワンダで撮った写真が雄弁にも残酷に物語っています。真の芸術は時間を超越する・・・『ゲルニカ』はこのことを実証していますが、しかし「ゲルニカの悲劇」は一日も早くこの世からなくなってほしいものです。



尾崎紀世彦は「ふたりでドアを閉めて」「名前消して」と歌っていました。しかし、パリのピカソ美術館は1月8日からドアは閉めてしまいますが、名前が消えてしまうことはありません。2010年秋には、新たな装いで私たちの目の前に蘇ってきます。その日を、期待をこめて待っていたいと思います。

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ウィンドー・ショッピングへ、ようこそ。

2007-12-24 05:31:20 | パリ
いよいよ、クリスマス。その直前の日曜日は、デパートなど普通は日曜休業の店もオープンしてのショッピング・サンデーです。


こうした大型ポスターも言っているように、今年は9・16・23日の日曜3回が特別営業日。クリスマスのプレゼント、イヴのご馳走などの買出しに多くの人が繰り出しています。年2回のセール(ソルド)の時期とクリスマス前が特別営業になっているようですね。

そして、ソルドなどにも加わらず、上得意だけを相手に商売しているような高級ブティックも、さすがにクリスマス直前の日曜1回だけは営業するようです。今年は23日。この日営業したからといって、ブランドに傷がつくことようなことはないのでしょうね。


高級ブティックが軒を並べるので有名なモンテーニュ通りとフランソワ1世通りの委員会、日本風に言ってしまえば「商店街の組合」が(ずいぶんニュアンスは違いますが・・・)こうした広告まで出していました。21日のフィガロ紙です。広告というよりも公告、お知らせみたいな体裁ですね。でも、これだけのブランド、今更何も言う必要がないのでしょうね。こうしたブランドが23日も特別に営業します。それだけで十分なようです。


こうしたウィンドーですから、ウィンドー・ショッピングだけでも楽しいのですが、やはり、これらの通り、敷居が高いのか、いかにもお金持ちそう、冷やかしではなく実際に買いそうな人たちしか歩いていませんでした。場所は、シャンゼリゼのフランクリン・D・ルーズベルト駅からセーヌへ向かって斜めに延びているのがモンテーニュ通りで、途中で直角に交わるのがフランソワ1世通り。フランソワ1世通りを西へ進めば、ジョルジュ・サンク通りに出会います。


目の錯覚かと疑ってしまいますが、錯覚でも写真を加工したわけでもなく、こういう面白いデザインがビルを丸ごと覆っていました。改修オープンまで、こうして目を楽しませてくれるようです。フランソワ1世通りとジョルジュ・サンク通りとの角にあります。


そしてそこを右に曲がると、すぐシャンゼリゼ。その角には、ルイ・ヴィトン。シャンゼリゼは、フランス国内外からの観光客や散歩がてら出てきたパリの人たちで、すごい賑わいでした。ルイ・ヴィトンに入るのにも行列・・・


待っている人達用に、こんな暖房器具まで用意しています。カフェのテラスにあるのと同じかたちですね。それにしても、シャンゼリゼはすごい混み方です。モンテーニュ通りやフランソワ1世通りとは、別世界。


モンテーニュ通りの歴史は古く、1714年の地図にはすでに登場しているそうで、名前がモンテーニュ通りになったのは1850年。そして、一大変化が起きたのは、1913年。この年、高級ブランドの“Madeleine Vionnet”(マドレーヌ・ヴィオネ)がこの通りでコレクションの発表会を行なったそうです。同じ年の秋には、高級ホテルのプラザ・アテネが同じくこの通りに開業。それ以降、一挙に多くのファッション・デザイナーの集まる通りとなったそうです。伝統の老舗・・・やはり格が違う感じがしますね。

さて、前口上が長くなりましたが、ご紹介するよなブランドは、皆さんのほうが良くご存知のことと思います。では、パソコン上で、二つの通りに並ぶ高級ブティックのウィンドー・ショッピングへ、さあ、お出かけください。




(CHANEL)













こうした高級ブティックの並ぶ二つの通り、はじめにも書いたように、歩いていたのはお金持ちそうな、馴染みのお客さんといった地元の人たちが多かったのですが、それ以外で目に付いたのが、日本人。旅行の方か、駐在のご家族か、とにかく普段は街で出会うことの少ない日本人に多くすれ違いました。家計がどうのこうのと言っても、やはり日本人はお金持ち! あるいは、日本も階級社会になってしまっていて、あるところにはある、ということなのでしょうか・・・つまらないことを考えてしまいました。えっ、私ですか、もちろん写真を撮るだけで、1軒も店内までは入りませんでした。どの店にも入り口にいるガードマンから胡散臭そうに見られただけ。下町やおのぼりさんの多いところのほうが、合っているようです。

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速さ自慢・・・列車の話です。

2007-12-23 06:02:13 | 美術・音楽
“bullet train”(弾丸列車)というよりも“Shinkansen”として有名な、日本の列車技術。しかし、それがどうした、と新幹線など歯牙にもかけない国があります。そう、フランス。何しろ、こちらのほうがスピードでは世界一! 確かに、おっしゃるとおり! 今年も、世界一の高速を更新したばかり。さすが、TGV! と、ちょっぴり残念な気がするついでに、どうして列車のように早く仕事ができないの? 仕事も歩くのも、遅い、遅い! と、フランスへの嫌味のひとつも言ってやりたくなってしまうのですが、そのフランス国鉄(SNCF)が来年設立70周年だそうです。1938年に全国組織として設立されたそうで、それ以前は6大私鉄を中心に営業運転していたとか。その70周年を記念して12月21日から1月6日まで、グラン・パレで“L'Art entre en Gare”(「アートが駅に入る」)という展示を行なっています。


会場入り口には、シルバーに輝くTVGの模型が展示されています。見事に光り輝いていますね。世界一ならいっそゴールドにすればよかったのに、とこれはひがみ。

この企画を実施するに当たって、最も困難だったのは、電車の実物をどうやって会場に搬入するか、だったそうです。でも、無事展示できていました。


これは、未来の電車。未来といっても、2009年からイル・ド・フランス地方を走ることになっているそうです。外観も内装も、すでにパリとその郊外を走っているトラム(路面電車)そっくりです。実物の汽車というより、プラモデルっぽい雰囲気がしていませんか。


その汽車、蒸気機関車です。1942年と言いますからナチスによるパリ占領下でも走っていた蒸気機関車ですね。


これは、1955年3月29日に当時のスピード世界一を記録した電気機関車。4軸の直流電気機関車だそうで(と、調べて書いてはみたものの、他の列車とどう違うのやら・・・)、時速331km! 私の生まれた年に、すでに300km/hを超す列車があったのですね。さすが、というべき伝統ですね。はじめの嫌味は撤回しないといけないかもしれないですね。


そして、ご存知TGV。1981年の開業で、当時260km/hという世界一の速さを実現(上の電気機関車とはシステムが違うのでしょうか、これまた世界一の速度だそそうです・・・)。因みに新幹線の開業当時(1964年)の速度は210km/hだったそうです。


今年4月3日に出した時速574.8kmをスクリーン上で体感できるようになっています。停まった状態から一気に加速していくのですが、さすがに200km/hを超すと速さを実感できます。それが350km/hともなると、物が後ろに飛んでいくという感じ。そして500km/hを超すと、怖くて運転席には間違っても座れないほどの速さです。


こうした高速運転になる頃、車内はどうなるのか・・・いろいろなアイディアを模型で見せてくれています。でも、横向きで、背もたれなし。車内を自由の動き回る人には良いでしょうが、じっとは座っていられないですね。じっと座っている間もないほど、早く着いてしまうと言うことなのでしょうか・・・でも、何しろ進行方向を向いて座ることに執着するフランス人のこと、横向きには座らないでしょうね。

こうした実物だけでは、マニアックな展示になってしまいますが、そこは文化の国・フランス、いろいろ工夫をしてくれています。


鉄道、そして特にその駅と言えば、そこはもう出会いと別れの場。さまざまなドラマが生まれます。映画にとっては、まさに、恰好の状況設定。多くの映画の舞台になりました。上の写真は、いうまでもなく『シェルブールの雨傘』(1964年)。カトリーヌ・ドヌーヴとニーノ・カステルヌオーヴォ。なお、ドヌーヴの吹き替えは、ダニエル・リカーリでしたね。懐かしい映画ですが、これ以外にもフランスの列車や駅を舞台にした映画の名場面を6分にまとめた映像をここで楽しむことができます。『終着駅』をはじめ、イタリアの駅を舞台にした懐かしい映画もたくさんあるのですが、ここはフランス国鉄の展示。フランス国内が舞台になった映画だけです。


列車や駅はスチールのカメラマンにとっても、その創造性を刺激される場所のようです。多くのカメラマンがその姿をフィルムに残しています。上の写真は、アンリ・カルティエ・ブレッソン。

こちらは、ドワノー。

そして、ロニス。三人とも、パリの街を撮った名カメラマンとして、いつも登場してくるお馴染みのカメラマンたちですね。プロジェクターで映し出されるのですが、好きなカメラマンの作品を選んで見ることができるようになっています。


そして、今やマンガの時代。マンガにも列車や駅が登場してきます。その中に、日本が・・・

ご存知ですね、『銀河鉄道999』。松本零士作で、アニメにもなっていますので、テレビや映画館でご覧になった方も多いのではないでしょうか。星野哲郎と謎の美女メーテル。それに車掌がいい味出していましたね。なお、フランス語訳がでているようで、吹き出しの台詞はフランス語になっています。


また、各地への列車の旅をPRするポスターも展示されています。絵画の国でもあるからでしょう、風光明媚な写真ではなくイラスト中心のポスターになっています。


親と一緒に来た子供たちも飽きないよう、ミニ列車も運行されています。その奥には、ミニチュアの列車。これは子供というより、お父さんが夢中になってしまいそうですね。


そして、フランスと言えば、忘れてはいけないのがモード。乗務員などの制服、バレンシアガやラクロワといった有名デザイナーの手によるものだそうです。

今年のTGVのスピード新記録樹立は、中国やブラジルへの売り込みのためのデモンストレーションだとか、国内航空網に対抗するための意気込みを示したものだとか、いろいろ言われているようですが、スピードの前に、まず安全。その上で早ければ利用者としてはありがたいですね。でも、各駅停車の旅も捨てがたいと言う方もいらっしゃるでしょうが・・・ともあれ、マニアックにも、たんなる歴史の回顧にもならず、さすが文化を大切にするフランスらしい展示になっていました。やりますね、フランス国鉄さん。拍手。でも、ストはやらないでくださいね!

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人は往く、人は来る・・・2007年の師走。

2007-12-22 05:10:42 | パリ
クリスマス直前、日本では三連休ですね。パリは、寒さの中です。1週間以上、最高気温が0~2度という日が続いています。



ルーヴル美術館のすぐそば、コメディ・フランセーズ脇にある噴水ですが、凍ったまま日昼でも溶けません。この上に立って氷が割れないかどうか・・・さすがにそこまで酔狂な人はいないようです。

どんなに寒くても、やってくるのが、サンタさん。


今一番目だっているサンタです。可愛いでしょ。メモリーカードの広告なのですが、犬のサンタ、どこかちょっと寂しげなところが、行く年を惜しむ年末らしくて良いのかもしれないですね。


もちろん、窓辺のサンタもたくさんいます。一戸建てなら暖炉の煙突からなのでしょうが、集合住宅のパリでは、窓から入って行くようです。サンタを呼び込む人形たち。どんなに寒くても、屋外で頑張っています。

サンタを迎える季節になれば、店頭にはクリスマスツリー。色とりどりに並んでいます。


シャンゼリゼにあるカフェ、フーケッツはグリ-ンのツリーに豆電球。


同じシャンゼリゼでも、こちらは、赤いツリー。


今フランスで何かと話題のディズニー。ディズニー・ショップは、白いツリーです。


こちらは、紅白のツリー。手前の白に左手奥の赤。なんとなくおめでたい感じがしてしまいますね。

そして、ショッピングにやって来る人たちの目を楽しませてくれるのが、ショー・ウィンドウの飾りつけ。


白一色。冬の装いは、やはりこうですね。テーマが北欧なのですが、今年のパリの寒さにぴったりのファッションになっています。天気の長期予報が当たったのかもしれないですね。


人形たちも、白一色。銀世界のイメージがあるのでしょうね。中に、掃除をしている人形もいますね。年末の大掃除は、これからですか。大掃除、パリでは・・・


凱旋門の前に、消防自動車が停まって、そこから梯子が上へ、上へ・・・こんなふうに掃除するんだ~と、思ったのですが・・・

ちょっと作業をしたかと思ったら、すぐ降りてきてしまいました。どうも、作業していた場所からして、ライトアップ用の照明を交換していたのかもしれないですね。「パリの年末大掃除」が撮れた! と思ったのですが、残念。

その凱旋門前のシャンゼリゼ、12月上旬に制服姿の一団が、連日歩いていました。

日本からの、修学旅行。写真を撮って、お土産買って、昼は、何と、マクドで食べていました。それにしても、今や修学旅行は海外。中国でもたくさん見かけましたが、パリまで。いい国際経験になってくれればいいのですが。このユーロ高、費用を負担する親御さん、ご苦労様です。

お金といえば、年末はさまざまな募金活動。街頭での募金、日本では以前よく見かけましたが、今でも続いているのでしょうか。募金に名を借りた詐欺事件もあったりで、減っているのでしょうか。街頭の募金活動、パリでも、見かけました。

人出の多いいくつかのデパートの前で見かけたのですが、日本と同じように鐘を鳴らしながら募金を呼びかけていました。募金する鍋といい、救世軍と同じだなと思っていたら、この“Armee du Salut”というのは救世軍のフランス語名なのだそうです。どうりで同じやり方なんですね。住む家がなく街頭で暮らしている人たちの中には、この寒さに凍死する人も出てきています。多くの人に、暖かな善意が伝わってほしいものですね。

そして、21日には、クリスマスのヴァカンスへ出かける人や帰省する人たちの移動が始まりました。

バッグやスーツケースをもった人たちが、どこの駅でも一杯。特に北駅やドゴール空港へ向かう路線は、平日の日昼だというのに、超満員。乗り込めないほどです。旅先でいい思い出を、そして家族との楽しい団欒を!

人の行き来がいつにもまして多くなる、年の瀬、師走。でも、冬来たりなば春遠からじ。木々を見上げれば、どんなに寒くても、しっかり春への準備が始まっています。

枝先には、木の芽が宿っています(奥の芽にピントが合ってしまっています。見難いですね、すみません)。

中には、フライング気味の木もあります。小さい花びら(ガク?)が集まって、遠目には桜のようにも見えます。

新しい年へ、そして、より充実した日々へ。行く年2007年から来る年2008年へ。でも、まだ10日あります。いい毎日でありますように。

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