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(国友さんが住んでいたというワグラムの街角)
・フランス人と話していると痛感することは、誰でも大変なお国自慢(ショーヴァン)で真から自国の長所を認めている。従って、過去の栄光のみを追い求め、時代遅れの大国になってしまうのではないか。
・パリで生活する人々は、異邦人(エトランジェ)であることを特別に意識しないで、ごく自然にとけ込んで行ける。
・パリでは肌の色の違いも忘れて、単に一人の女性として特に他人の目を気にする必要も無く、自由に生活できる。日本では没個性的で、目立たないことが、当たり前であり、他人と違っていることは、変わっていると見做される。その意味で、不文律の拘束があるが、パリで生活している場合、個性的と評価されるのは素晴らしいことである。このように相手を認めて生活できる広い包容力のある首都は、ヨーロッパ諸国のうちでも数少ないのではないかと思う。
今から40年近くも前に日本人女性が一人でパリに住む。彼我の差を強烈に実感されたことでしょう。こうした経験に基づくコメントはもちろんですが、もうひとつ面白かったのが、90年代に若きフランス人通訳者(仏語・日本語の通訳)へ行った質問とその答えです。
「日本に短期滞在する場合、同じ立場の外国人がそうであるようにビジターとしての行届いた待遇を受けるので、皆が再度来日したいと願う。しかし長期滞在となると様相は一転し、大きな組織の一部として機械的に扱われる。非常に厳しく扱われ、事務所に働いている他の日本人と同様に発言権もなく、着想を活かす権利もない。この点では、日本人は全く従順である。尊敬される偉い人と、そうでない人との識別が存在し、偉い人は部下に対して非常に手きびしい。日本人は常に他人に対して十分敬意を払っていると信じていたので、これは意外だった。日本は階級社会であって、この秩序はいつも守られている。日本人の一員としての扱いは、私にとって難しい面もあるが、私はこれに耐えられるであろうし、多くの教訓を学んでいる」
―――フランス人は個人主義ではありませんか。
「たしかにそれは衆知のことである。日本人のグループは、個人主義者ではなく、むしろエゴイストだ。第一グループは、他のグループに対してエゴイストであり、後者はそれ以外のグループに対してエゴイストであり、この現象は大きなグループから小さなグループに至るまで共通している」
「例えば、事務所内で、人々は小さなグループに分かれ、お互いに好意的ではなく、エゴイストである。さらに、この事務所は、他の事務所に対して、防衛し、闘う。小グループはその中で徒党を組み、その徒党が、また他の徒党と闘う。即ち、大から小に至るグループが、全て闘うのである。しかも日本はアメリカと闘っている」
「フランス人は、もっと自分以外の人間や人格を尊重する。私が日本で発見したことは、日本人は自分以外の人間に対して、配慮しないと言うことである。これは、日本人のみではなくアジア民族に共通する極めてアジア的な特質であり、同じ傾向を中国でも認めたことがある」
―――日本の最近の経済的発展の要因は、どのような点にあると思われますか。
「一般に、企業がよく構成されているからと言われているが、私は必ずしもそうだとは思わない。日本人が非常に規律正しく、与えられた指令に忠実に従うからだと考える。大企業においては、良い指令が出されるので、会社全体が円滑に機能する。小企業においては、社員は長時間働かざるを得ないが、これは命令そのものが良くないからである。指令の出された時点で、何一つ討議することもせずに盲従する。私は今まで何人かの担当者と、度々議論したが、指令そのものが良くないことがある。しかもこうした議論に耐えうることができない場合もある。従ってその企業の業績が良好ではないということになる」
最後のコメントは、良い点も悪い点も、企業だけでなくいろいろな組織に、しかも規模の大小にかかわらず存在しているような気がします。
集団に帰属することを求められ、その中では濃密な人間関係が築かれるが、その集団の外に対しては好戦的で常に緊張関係にある。それが、フランス人通訳から見た日本の姿・・・。いかがお読みになりましたでしょうか。
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