50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

逃げる外資に、追う日本。

2007-10-22 00:52:48 | パリ
外国から日本への直接投資が2006年はマイナスだったというニュースは、日本でも報道されていたかと思います。



そのことを伝える18日付のフィガロ紙です。「外国人投資家をひきつけない日本」・・・1989年以来のマイナス、つまり日本に投資した額より撤退した額のほうが多かった。

2003年に当時の小泉首相が「2008年末までに外国からの直接投資を倍増する」と約束したものの、どうも達成は難しそうな雲行きです。日本経済は成長軌道に乗っているといわれ、海外からの直接投資を増やすと政府が言っているにもかかわらず撤退のほうが多かった。去年、ジェトロは海外からの投資家を前に“Japan is back !”(日本が戻ってきた)と声高に叫んだそうですが、実態は・・・。どうしてなのでしょう。

日本においては外国からの直接投資はGDPのわずか2.5%、一方EUは38.0%。もともと海外からの投資を歓迎しない風潮があるのではないか・・・孤立主義。しかも三角合併の法制化などを契機に、「はげたか」といわれる外資に対する規制は逆に強化されつつあるようだ。しかも企業に対するチェックが厳しくなっただけでなく、外国人個人に対するサービスも低下している。長期滞在ビザを持っていれば、日本入国の際日本人用窓口に並べたのに、今や観光客と一緒に長蛇の列に並ばなければならなくなった。またかつては救世主ともてはやされたカルロス・ゴーン氏も日産の業績低迷を受け、いまや全否定とも受け取れるような批判の矢面に立たされている(このあたり、いかにもフランス人記者が書いているといった感じがしますね)。こうした状況に、多くの外国ファンドは拠点をシンガポールに移している。そして、日本が経済大国としての古き良き時代へのノスタルジー、その夢の中に耽溺しようとしているのは残念なことだ、と指摘する人もいるそうです。



外資の撤退を紹介する記事のすぐ上には、今年と来年の主要国の経済成長率に関するIMFの予想が出ています。BRICsを中心に大きな伸びを見せる中、日本は、今年が2.0%、来年が1.7%。特に来年はここに紹介されている主要国の中では、イタリアに次いで下から2番目の低い成長率です。

このように紹介されてしまうと、経済大国としてのかつての栄光にしがみつく、日沈む国・日本、と読めてしまいますね・・・。

しかし、外資が逃げる一方、海外マーケットを追って外国に進出する日本企業もしっかりあります。例えば・・・


無印良品。日本の流通小売は海外で苦戦しているところが多いのですが、この店はパリにしっかり根づいているようです。


路面店も数ヶ所で出店しています。フランス国内で8店舗。また、この店のショッピングバックを持った地元の買い物客を街の中で見かけることもよくあります。

そして・・・


まだ工事中ですが、ユニクロもパリへ進出してきます。場所は、ラ・デファンス地区のショッピングモール、Les Quatre-Temps。一番上の写真の無印良品のほとんど斜め前といってもいいような場所で、今年12月にオープン。さらに、2009年にはパリ中心地にFlag Ship(旗艦店)もオープン予定だそうです。

かつての栄光に浸り、外資を敵対視するかのように外からは見える日本。でもその日本から海外に進出する日本企業。そして、その両方ともが現実。内に籠ろうという人たちと、外へ出ようとする人たち。こうした面を見ていると、金太郎飴ともいえるほどの均質社会だった日本においても、少しずつ多様化が進んできているのか、とも思えます。しかし、「外へ出ようとする人たち」ではなく、「外に出ざるを得ない人たち」だと、やはり粘度の強い均質社会に風穴は開いていないのか、とも思えてしまいます。日本人は、そして日本社会は、変化してきているのか、やはり変わっていないのか・・・

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