50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

トルバドール・コンサート

2006-01-31 01:03:07 | 美術・音楽
29日夜、中世美術館で行われたトルバドール・コンサートへ行ってきました。

トルバドール(les troubadours)とは? 12・13世紀に活躍した吟遊詩人。オック語が話されていた地域(ロワール川以南の南仏の大部分)で、宗教音楽から逸脱した世俗的な意味合いの詩にメロディーをのせ、かつ自ら楽器を演奏しながら歌った人たちで、その歌の多くは女性賛美だった。ちなみの北フランスではオイル語が話され(オック、オイルはともに今日のウイ)、その地域の吟遊詩人はトルベールと呼ばれています。

この日のトルバドールたちは、アンサンブル・ローザサルバージュ(Ensemble RosaSalvatge)。南仏ぺリゴールに本拠を置く中年男性3人組で、さまざまな楽器を演奏しながら愛の歌を朗々と、切々と歌い上げました。バイオリン、ベース、ギター、マンドリンなどの先祖や、バグパイプ、三弦、尺八の親戚みたいな楽器など(素人なので的確な表現ができず残念!)、古楽器を各人が何種類も演奏します。

9曲の構成でしたが、各曲のはじめに今のフランス語で詩の内容が説明され、その後でオック語の歌が披露されました。「原本に忠実に、しかしメロディの豊かさ、詩の官能的な美しさ、地中海の香りを十分に加味した」美しい演奏でした。

会場は、古代ローマの首なし彫像が並ぶ中世美術館の一室で、まさに過去へタイムスリップしたような1時間半でした。

*Ensemble RosaSalvatgeのホームページは、
 http://www.mick-rochard.com/rosa-salvatge/rosasalvatge.htm 
(フランス語)3人の顔写真も見れます。
*上の写真を拡大して見てください(この記事のタイトルをクリック)。楽器の一部がかろうじて見えます。

古代ローマの遺跡がパリにもある!

2006-01-30 00:27:12 | パリ
"Le nouvel an chinois"(中国の新年)とWanadoo(フランステレコム)のトップページにも出てるように、29日は旧正月。ステキな青空、そして昨日までの底冷えのする寒さが少し治まって、さわやかな元日となりました。

という春節とは全く関係なく、今日のテーマは古代ローマの遺跡です。2つご紹介します。



まずは、リュテス円形競技場。5区、モンジュ広場の近くにあります。1世紀末に造られ、3世紀末まで使用されていたとか。その後、廃墟となり長い間忘れられていましたが、19世紀後半に修復され、1892年から一般に公開されています。かつては、今の倍の規模だったそうで、17,000人収容できたとか。かつての栄華は今いずこ、といった感じで、子供たちのサッカー場と化しています。そういえば、藤田宜永氏の『過去を殺せ』に待ち合わせの場所として登場していたと思います。



もう一つは古代ローマの共同浴場。サンジェルマン大通りとサンミシェル大通りの角にあります。これも1世紀から3世紀にかけて使用されたそうで、20.35mx11.70mの大浴場です。隣接するクリュニー大修道院長の館(l'hotel des abbes de Cluny)と一緒に1843年、中世美術館となりました。パンフレットにもgallo-romain(古代ローマ時代のガリア)と書かれているように、フランスがまだガリアと呼ばれていた時代の遺跡です。

これら古代ローマの遺跡が南仏の遺跡のように注目されないのは、パリには他に見るべきものが多すぎるからでしょう、きっと。


パリの春節。

2006-01-29 00:46:43 | パリ


「新年好」と言いながら中国人向け情報誌を配っている男性がいます。「新年好、謝謝」と言いながら一部もらう。陳氏百貨商場(Tang Freres)前。明日(29日)は春節(旧正月)です。




さぞや、にぎやかな装飾があるだろうと思って出かけましたが、拍子抜け。主な通りに中国語とフランス語のバナー(幟)があるだけで、後はそれぞれの店に正月らしい装飾(福の字のパネルや爆竹をかたどった飾りなど)があるだけ。上の写真の人形が唯一目立つ程度です。



しかし、大晦日の夕方と元日の朝には、さすがに獅子舞があるそうです。それが中国正月らしい雰囲気をかもし出してくれるのでしょう。一日どんより曇って、底冷えのする大晦日。狗年の元旦はワンダフルな晴天(平凡だ!)になってほしいものです。

13区、パリの中華街。かつて駐在した中国の匂いがします。

パリで一番長生きの木。

2006-01-28 02:37:40 | パリ
樹齢400年を越える木がパリにあります。

パリで一番長生きの木といわれるその木は、ノートルダム大聖堂を左岸に渡ってすぐ、セーヌに面した小さな公園、ヴィヴィアニ公園にあります。

公園入り口にある説明板によると1601年、その木の根元にあるパネルによると1602年、いずれにせよ17世紀に入ってすぐに植えられたニセアカシア(le robinier)がその木です。

1601-2年と言えば、ナントの勅令(1598年)によりユグノー戦争が終結し、ブルボン朝・アンリ4世のもと、絶対王政が全盛期へ向かおうとする時期。日本では言うまでもなく関が原の戦い(1600年)を経て江戸幕府が始まる時期。そんな昔から生きてきた一本の木です。

いろいろな歴史、さまざまな出来事を見てきたのでしょう、その思い、喜び、悲しみが重過ぎるのか、今ではコンクリートの支えが必要になっています。高さ15m、根元の周囲3.5m。しかし、葉は青々とし、まだまだ倒れないぞといった気力が感じられる木です。

フランス人は、怒っている!

2006-01-27 00:17:52 | マスコミ報道
何に怒っているのか? IT業界、特にプロバイダーに対して怒っているのです。



数日前の新聞。見出しは「バカにするのもいい加減にしろ」。新しいプロバイダーが次々と誕生し、競争から料金は下がった。それは良いが、なかなか繋がらない、請求書の金額が間違っている、アフターサービスがなってない・・・不満が噴出しています。

インターネットに接続しているのは1,200万人とか。でもこの数字は事業所も含んだ登録件数でしょう。モデムが機能しない、すぐフリーズしてしまう、テクニカルサポートへの電話が有料でしかも普通の電話料金より高いのはけしからん、契約解除が簡単に出来ない・・・みんなフラストレーションが溜まっています。

ソルボンヌのクラスメートに、昨年9月のパリ到着以来まだインターネットが繋がらず困っている日本人がいます。こちらでインターネットをやろうとせっかく新しいノートPCを買ってきたのに、4ヵ月半経って、まだ繋がらない。電話回線の名義変更、プロバイダー契約、モデムの入手それぞれに時間がかかった上に、肝心のモデムが機能しない。どうすればいいの? 今年の夏には帰国してしまうのに!!



同じ新聞に出ていたマンガ。「接続は諦めた。気を落ち着かせるために、ちょっとテレビを見よう」という吹き出しですが、奥さんがテレビを守っている。インターネット、電話、ケーブルテレビを一緒に扱っているプロバイダーが多いので、ひどいところは、テレビでも問題がある。テレビまで壊されてはたまらない、というところでしょう。

当地のIT事情に困惑しているのは、日本人だけではなかったんですね。

ノートルダム・コンサート

2006-01-26 00:32:40 | 美術・音楽


24日夜、ノートルダム大聖堂で行われたパイプオルガンのコンサートへ行ってきました。

演奏は、コンセルバトワール(Coservatoire National superieur de Musique de Paris)の学生4人。演目は、バッハ2曲とシャルル・トゥルヌミル、、ルイ・ヴィエルヌ、マルセル・デュブレ。即興を取り入れた演奏でした。入場は15ユーロ。ノートルダムはこのような催し物を時々やっています。この日の入りは超満員というほどではありませんでしたが、みんな熱心に聴き入っていました。



教会で行われるパイプオルガンのコンサート。神の啓示に打たれた、という経験をした方々のエッセイを読んだことがありますので、もしかして自分も、と淡い期待をして行ったのですが、全くなかったですね。ただ、黒の濃淡だけになっているステンドガラスとやさしい光の中に浮かび上がる十字架は、それはきれいでした。

この雰囲気で魂が揺さぶられないのは、演奏のせいなのか、自分の魂がみずみずしさを失っているのか。間違いなく後者ですね。サラリーマン25年の間に干からびてしまった魂に水を上げるのも、このフランス滞在の隠れた目的の一つです。

松井大輔に、注目集まる!

2006-01-25 01:31:44 | スポーツ
日本の小さな天才!

21日の試合で2得点したリーグ1、ル・マンの松井選手。その特集記事が24日の"Le Parisien"に掲載されていました。

10代で参加したツーロンの国際大会でフランス・サッカー界の注目を集めたこと、そして「先週、メディアに意図的に松井への皮肉を流したら、見事それに得点で応えてくれた。彼は技術と抜け目なさ(戦術眼)を持ったアーティストで、クラブの誰からも好かれている」という、ル・マン、アンツ監督のお褒めの言葉が紹介されています。

やはり日本人選手の活躍はうれしいものです。中田浩二はフランスを去ってしまうようですが、グルノーブルに加入した大黒にはぜひ得点を期待したい!

2月18日には松井のル・マンとパリ・サンジェルマンの試合がパリであります。すでにチケットは入手済み。レポートをお楽しみに! 

(実は、大のサッカー狂。1970年のメキシコ・ワールドカップから、サッカーを追い続けています。)

植民地主義は、よかった?!

2006-01-24 02:50:10 | パリ
24日、日本に長く住んで、大学でフランス語を教えていたというフランス人と話す機会がありました。

はじめは日本の思い出話だったのですが、昨年のパリ郊外の暴動の話から話題はかつての植民地主義へ。

「アフリカの国々から多くの移民が押しかけてきている。それは彼らの祖国が貧しく混乱しているからだ。誰がそうしたのか。彼らが独立したときは、ずっとよい状況だった。フランスは、教育を充実させ、衛生状態を改善し、道路や鉄道、病院などを整備した。もう自分たちで出来るから大丈夫だ、独立したい、と彼らから言ったのだ。その後はどうだ。腐敗、汚職、部族闘争・・・植民地時代のほうがずっとましだったのじゃないか。彼らには何かが不足しているんだ。」

現在の状況だけを見ればそうかもしれません。しかし、自主独立できないのは、植民地時代に出来ないように教育されてしまったのではないのか? 部族間の争いは、アフリカの大地に恣意的に引かれた国境線のせいではないのか?

しかし、スーパーのレジで白人にはボンジュールと言うくせに、アジア人には挨拶もしないアフリカ系レジ係が多く(殆どのクラスメートが体験しています)、しかもアジア人を自分たちより劣っていると公言して憚らないアフリカ系が多いと言いきる日本人もいたりして、心情的には今日会ったフランス人の言葉に頷きたくもなってしまいます。

でも、それでは、何の解決にもならない。人種差別。すぐには解決できない問題であることは分かっています。でも、何かをやらないと、解決へ進んでいかない。遅い歩みでも良いから、歩みださねば。でも、フランスにいる日本人として、何を、どうやって・・・。重い課題です。

(写真は、そのフランス人に会ったカフェの近くにあるサントギュスタン教会)

蚤の市は、今---。

2006-01-23 00:51:47 | パリ
22日、朝からきれいに青空が広がりました。近くにあるモントルイユの蚤の市に行ってきました。週末ごとに立つ市です。

蚤の市(marche aux puces)といえば古物(古い家具・小物など)が中心と思いがちですが、ここにあるのは、セーター30ユーロ、スカーフ1ユーロ、ジーパン10ユーロなど衣類が7~8割を占め、他に化粧品(ニベアやダブもありますが、パッケージの一部が変。中身は本物かしら・・・中国で本物そっくりなニセモノを嫌というほど見てきたので、つい心配になってしまいます)、携帯関連品(充電器など)、DVD(成人用含む)、メガネなどで、本来の古道具は数軒が扱っているだけです。

売っているのは(brocanteurs)、殆どがアラブ系。店を持てない行商人みたいな人もいて、出入り口で靴下一箱を持ち、一足ごと売っていました。客もアラブ系・アフリカ系が中心。売るのも買うのもほぼ白人のみの食品市場とは、雰囲気が全く違います。

いろいろな市場があります。

セーヌ河畔の音楽会。

2006-01-22 03:17:56 | 美術・音楽
ようやく、試験が終わりました。

いや~、今日(21日)の語学の試験、難しかったです。特にレジュメがよく分かりませんでした。La fete de la musique(音楽祭)など新しく始められたフランスのお祭りに関する背景・意義などがその内容だったのですが、難しかった!

でも、終わったことはもう仕方がない、と思いながらトボトボ歩いていると、セーヌ河畔からにぎやかな音楽が・・・。

駆け寄ってみると、この寒い中、なんと、バンドが演奏しているではありませんか。わざわざそこまで下りて聞いている人、橋の上から聞いている人。そういえばメトロの通路でも、時にはメトロの車中でも演奏している人たちがいますし、パリでは音楽が非常に身近にありますね。

試験も終わったことだし、次の学期までの3週間、コンサートにでも行ってみましょう。