50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

教室に、もっと規律を。

2007-10-11 01:21:51 | マスコミ報道
秋に新学年が始まる、フランス。そのタイミングで、学校教育に関するアンケートの結果が発表になっています。


9日付のフィガロ紙です。調査結果の主眼は、学校にもっと規律を、という見出しに表れています。

例えば、教師が教室に入ってきたら、生徒は起立を! ・・・だから、規律。なんていう駄洒落は措いておいて、教育にもっと規律を、と望んでいるフランス人が多いという結果になったそうです。

実際、起立に関しては79%が賛成。ということは、今は起立していない教室が多いということなのでしょうね。日本はどうなのでしょう。私が生徒だった頃は、起立していましたが・・・

各論に入る前に、まずは、全体評価。フランスの教育の現状に満足している層が56%、不満だという人が40%。若い人、高学歴な人ほど、満足度が高いようです。不満な点としては、生徒の規律尊重がなっていない、就職への準備が不十分、一クラスの生徒数が多すぎる、問題を抱える生徒への支援が不十分、ハンディキャップを抱える生徒児童の受け入れが不十分、など。

こうあってほしいという要望では、ハンディキャップを抱える生徒児童を少なくともクラスに一人は受け入れる、教師が教室に入ってきたら起立する、学校の敷地内での携帯電話の使用禁止、教師のストライキの際にも最低限の教師の確保を、土曜午前中の授業の廃止を、英語の授業を幼稚園から(!)・・・一方、反対意見が多いのは、宿題の削減、制服の復活など。

また、2006年に義務教育が16歳までから14歳までに引き下げられたことに対しては、職業につく生徒にとっては早いほうが身につくことも多いのでは、ということで賛成が55%と反対を上回っています。このへん、学歴一辺倒でなく、職人はその技量で尊敬もされるフランスというか、ヨーロッパの伝統が生きているような気もします。


こちらは、10日付のマタン・プリュス紙なのですが、見出しは同じく、学校にもっと規律を。この写真、男の子がカメラ目線ですのでやらせっぽい気もしますが、いずれにせよ、教室内が乱れている、ということを言いたいのでしょうね。

この記事で面白いのは、定年間近の女性教師の言葉。10年前までは、教師の権威なんていうのは、時代錯誤と否定されていたものなのに、いまや父兄がそれを求めている。今や生徒は教師に対して丁寧語(vouvoiement)を使わなくなってしまった。しかし、教室の問題は、家庭でのしつけに主な原因がある。父兄はしつけを全て学校に依存してしまっていて、家庭では一切しつけをしようとしていない・・・フランスと日本、同じ問題を抱えているような気がしますが、どう思われますか。

5月には、文部大臣が、生徒たちは当然教師に対して丁寧語を使うべきだし、教師も生徒に対して丁寧語で話しかけるべきだが、こうしたことは法律で決めるのではなく、現場で対応するようにしたい、と言っていたそうです。そういえば、以前、ソルボンヌ文明講座の教師が、フランスでは教師は学生を一人の立派な人格として認めているので、生徒に対して丁寧語で話す、と言っていたのを思い出します。この場合の学生は大学生を指すのでしょうが、きっと昔は、生徒と教師、小さい頃から丁寧語で話していたのでしょうね。それがいつの間にか、丁寧でない言い方(tutoiement)になってしまい、規律も乱れてしまった、と思われているようです。

因みに、罰則に関しては、1991年に一切の体罰が禁止され(それまでは認められていたんですね!)、2000年には連帯責任が廃止されましたが(個人主義の権化のようなフランスに、連帯責任みたいなものがあったのにはビックリ!)、2004年には補習(居残り)のようなかたちでの連帯責任が復活されたそうです。

子どのものしつけを学校に期待する父兄、問題は家庭でのしつけの欠如と指摘する教育関係者・・・国は違えど、学校教育に関しては同じような問題を抱えているようです。ここはどうでしょう、共同で解決策を探るような取り組みはできないものでしょうか。思わぬ視点からのアイディも出てくるかもしれませんものね。それとも、すでにそうした取り組み、始まっているのでしょうか。いずれにせよ、教育、大切であるだけに、より良きものへ、これこそ「改革」が求められているようです。

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