50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

10月に白夜!?

2007-10-08 00:44:47 | パリ
10月6日、パリに白夜が・・・白夜は真夏のもの。どうして、今頃、それも北極圏じゃないパリに・・・

これは、白夜は白夜でも、夜を徹して現代アートに触れようという、パリ市主催の文化イベント。2002年から行なわれていて、そのタイトルが“La Nuit Blanche”、白夜です。



美術館や画廊をはしごしてコンテンポラリー・アートを鑑賞する。今年もポンピドー・センターやグラン・パレなどが夜間無料開放されました。また、一部のメトロやバスも終夜運行。これに、パリ市自慢のレンタサイクル“Velib'”を加えれば、中心部で行われる多くのイベントを見てまわることができます。

6回目の今年は、会場に入るための行列をなくして、より多くの人に見てもらえるようにと、屋外でのイベントを充実させました。そのいくつかをご紹介しましょう。


チュイルリー公演で行われたのが、“Le feu createur”(火の創造者)。植木鉢のようなかたちの器に火を灯す、火の芸術。ドラノエ市長の日々の行いが良かったのか、この日は快晴。夜でも暖かく、チュイルリー公園も、コンコルドからルーブルまで火のアートを見ながら散歩する人で大賑わい。


池に写る火は、まるで日本の夏祭り。


コンコルド広場に移された観覧車に、遠くにはエッフェル塔。火と電気の一緒になった、輝きのアートになっています。

次は、コメディ・フランセーズ前の広場。見るだけじゃなく、参加したい!という人のためにステージが用意されていました。

音楽に合わせて明かりが広がったり狭まったり、色も変わったり・・・その前で自慢のダンスを披露するアマチュア・アーティストから記念撮影に夢中のカップル、音楽に合わせて身体をくねらせる子どもたち。

そして、夜10時半からは、コメディ・フランセーズのすぐ前で、現役やOBの役者による、台詞劇というか、台詞の朗読。

まるで、芝居の登場人物が目の前に現れたよう。迫力のある熱演でした。

そして、そして、この夜、実はいちばん盛り上がったのが、市役所前広場。夜11時からロッシーニのオペラを大きなスクリーンで見せてくれることになっていたのですが、9時前から人・人・人・・・ビールをラッパ飲みしながら多くの人が集まってきました。目的は・・・

この日、ラグビー・ワールドカップの準々決勝、フランス対ニュージーランドの一戦がウェールズのカーディフで行なわれました。本当は予選グループをトップで通過し、日曜日にフランス国内で準々決勝を、という目論見だったのでしょうが、緒戦のアルゼンチン戦に負けてしまい、そのアルゼンチンが全勝で予選を突破してしまったので、フランスは、せっかく自国開催なのに、特例的にウェールズで、しかも優勝候補筆頭のニュージーランドと。そこで、市役所前広場に設置したビッグ・スクリーンを急遽、パブリック・ビューイングに。

広場だけでなく、電話ボックスだろうが何だろうが登れるところはどこも鈴なりの人だかり。下を見れば、ビール瓶の破片がそこかしこに散乱。そして、熱狂。結果は・・・なんと、戦前の予想を覆して、フランスが接戦をものにしました。ものすごい盛り上がり。走る車はクラクションを鳴らし、去年のサッカー・ワールドカップの再現でした。

古いものを大切にしながら、ただ単に伝統を守るだけでなく、常に新しい文化を創造しようとするフランス。その精神はパリ市の文化政策にも反映されています。文化担当の助役がいて、いろいろな新しい試みを始めています。「音楽の祭り」にしろ、この「白夜」にしろ、新しい文化イベントがパリ発で多くの街や国に広がっています。伝統と創造―――フランス、そしてパリの魅力の一つなのでしょうね。

そして、蛇足ながら、これもフランスらしいといえそうな、関連記事を見つけました。

「白夜だって、私たちは毎晩さ」・・・年に一度の夜を徹してのコンテンポラリー・アートのお祭り。でも、毎晩夜を徹して働いている人もいる、という現実を伝えるマタン・プリュス紙(5日付)です。毎晩、あるいは時々夜間勤務をする人がフランス全土で、300万人(2002年)いるそうです。飲食、娯楽、医療機関、交通、あるいは早朝勤務の多いパン屋さんや野菜・魚類などの市場関係者など。また、2001年に成立した職業上の男女平等法により、女性の深夜勤務も増えているそうです。

文化は文化、その一方で深夜働く人たちがいるのも現実。文化だけの夢の国ではなく、現実もあるフランス。当然ですが、マスコミがきちんと語ってくれています。

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