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ドル基軸通貨体制延命の犠牲となった日本

2017-01-04 09:13:39 | 金融
大統領ドナルド・トランプDonald Trump本物米国公認1ドル札紙幣2 [並行輸入品]
Celebrity banknotes


 変動相場制下の為替取引が実需に伴って行われていれば、通貨価値の変動により貿易不均衡が是正される。しかし、主要な市場取引での外国為替総取引高に比べ、実需を産む貿易規模は1.2%程度である。70年代に資本取引の自由化、為替取引における実需原則の撤廃がおこなわれ、為替取引は証券投資及び金融機関の自己売買による取引の比重が極めて大きくなっている。日本においては1980年外為法改正により、対外取引を原則自由とした。
 1984年アメリカは純債務国転落し、1986-87年には経常収支の赤字がGNP比3%にまで達した。アメリカは貿易収支の赤字に加え財政赤字も増加した。アメリカは多額の中・長期の国債を発行し、それを日本の生保・損保等の機関投資家が購入し、証券会社は個人投資家に売り込んだ。日本は対米貿易黒字を積み上げ、米国債の購入を行い、アメリカの対外債務のかなりの部分を肩代わりすることになった。
 1985年9月22日プラザ合意に基づいて各国の協調介入が行われた。1ドル=240円から87年2月の行われたG7のルーブル合意時には、1ドル=150円まで円は切り上がった。87年10月にはブラック・マンデーの株式市場暴落で1ドル=120円にまで至る。更には「ドルの悲惨な暴落」を避ける為、日本政府は対米協調の名の元に超低金利政策を打ち出して、対米債権投資への勢いを維持しようと腐心する。
 国内金融機関のドル建資産の増加は為替差損をも増大させることになり、1997年には日産生命の破綻により顕在化する。大蔵省が要求する「外債二割運用」という暗黙ルールの元、生保・損保の機関投資家は対米投資にのめり込んだ。ドル建ての金融資産は、多くを機関投資家が保有している。機関投資家の原資は、殆どが個人の国内金融資産である。日本の貿易黒字はドル建金融資産購入を通じて、アメリカ国民の豊かな生活を維持するために使われた。加えて輸出に関連する企業も、円高によって利益の減少を余儀なくされている。利益減少は賃金の減少として、国内景気に影響してきた。
 ドル建債権の購入は機関投資家に留まらず、銀行・証券・農林中金・年金積立金・郵貯簡保・外為特会経由の外貨準備を通じて積み上がった。2003-4年には為替介入に伴い、外貨準備金を通じて35兆円もの巨額米国債購入が行われた。一説にはアメリカが遂行するイラク戦争の資金になったとも言われている。
 日本は内需需要に比べて過大な生産力が生み出す貯蓄部分を国内再投資で消化しきれなかったため、余剰分はドル資産の蓄積に向かった。日米間には政治力による抑圧も有り、日本はアメリカ市場に進出する代償として、資産運用で多大な犠牲を払った。

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