はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

プロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチ 内藤大助VS亀田大毅

2007-10-12 17:05:42 | 格闘技
 ガードを固めて前に出た。牽制のジャブも幻惑するフェイントも気にせず、プレッシャーをかけ続けてフックを振るう。手数の少なさは一撃の重さでカバーする。判定にもつれこむことなど想定しない、いつも通りの強気の戦法。
 だが、大毅は盛んに首を捻った。今日の相手はいつもと勝手が違う。ロープ際に追い詰めてもするりとかわされ、何より相手の打ち終わりに合わせた得意の左フックが空を切る。
 スピードが速いとかフットワークが軽いとかそういう次元の問題ではない。いるはずのところにいないし、来るはずのないところから手が出てくる。創意工夫を重ねたパンチと体さばきの前に、始終ペースは狂わされっぱなしだ。
 4Rと8Rで公開されるマストシステムで、相手に大差のポイントで負けていることを知った大毅。セコンドの父親・史郎の指示で顔を上げた。このままずるずるいってしまえば判定で勝ち目はない。ガードの綻びには目を瞑って、遮二無二前に出た。
 だけど、それはつまり相手のボクシングに合わせるということでもある。変幻自在の王者のボクシングに付き合うということでもあるわけで、当然被弾は増す。こちらのパンチも当たるが、王者は手数で勝る。
 大毅は焦った。12Rのゴングは刻一刻と近づいているのに王者を捉えきれない。カットさせた右のまぶたも傷は浅く、TKOが狙えない。
 この試合に負ければすべてを失う。無敗記録も、人を食ったパフォーマンスも、ビッグマウスのすべてが自分に返ってくる。そしておそらく親父の愛も……。

「プロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチ 内藤大助VS亀田」

 正直アンチだ。強けりゃなんでもいいとは思うが、この男は強くない。裏づけのない自信と功名心があるだけで、挫折も苦境も知らない。振り絞れる精神力の底が浅い。
 対する王者・内藤にはドラマがある。誰にも必要とされたことのないいじめられっ子がボクシングを通して人との繋がりを得、最強王者ポンサクレック・ウォンジョンカムに瞬殺されて「日本人の恥」といわれる恥辱に耐え、這い上がって掴んだ血みどろのベルト。拳の重みが違う。
 試合も大方予想通りの展開だった。亀田側の完全な戦略ミス。内藤をなめすぎていた。突き上げるアッパー、飛び込んでのボディ、視線とは逆の方向からくるフックなどトリッキーなパンチに悩まされた。追い込んでもかわされ、クリンチされて逃げられて、大毅の拳は届かない。空を切った距離は、そのまま世界との差だ。100年早い。
 サミング等は常套手段だからかまわないと思う。すくなくともゴキブリ相手にとる作戦ではないが、王者のベルトは自分を曲げてでも狙う価値がある。終盤のキレ方、試合の投げ方は論外。
 相変わらずだが、解説陣のフォローもアホらしい。浅いカットごときでTKOの心配。亀田手が出ないのに「王者やりづらそう」。挙句の果てには「ごまかしがうまい」? 鬼塚だか佐藤だか知らないが、恥を知れ。

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