蛇女の斬撃が、Gの腹部を薙ぎはらった……と見るや、Gの姿は空気中に霧散するように消えた。あとには何も残らない。
本体は、つまりG本人は、白刃の脇をすり抜けていた。魔法で作りあげた精巧な幻影が身代わりとなってくれたのだ。
ボッ。
突如として、辺り一帯を炎が舐めた。炎の高位魔法。焦げ臭い匂いが鼻をついた。
だがそれも、Gに傷をつけるには及ばなかった。身体を覆うようにして張った耐衝撃魔法が本体へのダメージを許さない。
Gは走っていた。戦場となったアルザビ。己の防御魔法を信じながら、狭い路地を駆け抜けた。
広場へ出ると、怪物どもの発する瘴気のせいで、ズシリと身体が重くなった。海の中を走っているように、息が苦しく遅々として進まない。
目に付いた味方に回復魔法をとばすと、いったん路地に戻って防御魔法を張りなおした。ぴしゃりと頬を叩き、勢いをつけると再び広場へ踏み込んだ。
ビシージ、つまり皇都防衛線に傭兵として参加するのは二度目になるが、一度目も同じような状況だった。攻撃も、防御も、魔法も、自分の行動のすべてが遅く感じる。他の者も似たような状態にいるらしいが、Gの実感としては湧かない。ただストレスだけがたまる。なにせい、自分が魔法を詠唱できているのかどうかわからないというのは不安なものだ。
だが、それでも戦うしかない。
だからGは走った。
目指すは瘴気の薄い、戦場の外縁部。
敵軍を端から崩していく。
手数が勝負の赤魔道士。己の力を最大限に発揮できる場所はそこしかない。
本体は、つまりG本人は、白刃の脇をすり抜けていた。魔法で作りあげた精巧な幻影が身代わりとなってくれたのだ。
ボッ。
突如として、辺り一帯を炎が舐めた。炎の高位魔法。焦げ臭い匂いが鼻をついた。
だがそれも、Gに傷をつけるには及ばなかった。身体を覆うようにして張った耐衝撃魔法が本体へのダメージを許さない。
Gは走っていた。戦場となったアルザビ。己の防御魔法を信じながら、狭い路地を駆け抜けた。
広場へ出ると、怪物どもの発する瘴気のせいで、ズシリと身体が重くなった。海の中を走っているように、息が苦しく遅々として進まない。
目に付いた味方に回復魔法をとばすと、いったん路地に戻って防御魔法を張りなおした。ぴしゃりと頬を叩き、勢いをつけると再び広場へ踏み込んだ。
ビシージ、つまり皇都防衛線に傭兵として参加するのは二度目になるが、一度目も同じような状況だった。攻撃も、防御も、魔法も、自分の行動のすべてが遅く感じる。他の者も似たような状態にいるらしいが、Gの実感としては湧かない。ただストレスだけがたまる。なにせい、自分が魔法を詠唱できているのかどうかわからないというのは不安なものだ。
だが、それでも戦うしかない。
だからGは走った。
目指すは瘴気の薄い、戦場の外縁部。
敵軍を端から崩していく。
手数が勝負の赤魔道士。己の力を最大限に発揮できる場所はそこしかない。
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