運賃が均一でないワンマン交通機関の必需品が「整理券」。乗車する駅や停留所(もしくは運賃境界)ごとに数字などが印字され、それを元に後で精算する。秋田市営バスの整理券の話。
路線バスの整理券は、始発点での扱いは事業者によってまちまち。整理券が出ていなかったり、「1」番から始まったり、往復の復路の始発点では大きい数字から減っていったり。
現在の中央交通は「1」から増えていくが、秋田市営バスでは「0」番から増えていく方式だった。※二ツ屋福島線など末端で環状運行する路線の復路は例外。
たまに「始発から乗るから整理券を取らなくていい」とか「フリー乗車券だから(以下同)」と言う人がいる。客としてはそれでいいかもしれない。
だけど、バス会社側で乗車人数あるいは利用実態の調査のために、後で回収した整理券を調べる場合がある。整理券が1枚足りなければ、1人乗っていなかったことにされて、それが積み重なれば乗客が少ないと判断されて減便されるなど客にとって不利な結果をもたらしてしまうかもしれない。
均一料金の秋田市中心市街地循環バスや高齢者コインバス対象者に整理券を取らせているのも、その目的だから、協力しましょう。
あと「定期券だから(以下同)」と言う人もいたが、これも取らないといけない。
定期券区間の手前から乗車して、その分の追加運賃を支払わずに降りてしまう可能性が否定できない。運転士はいちいち誰がどこから乗ったかなんて覚えていないだろうから、整理券こそが正規の停留所から乗った唯一の証明になるのだ。
と言っても、例えばJRの場合は降車駅で自動改札機を通る時は整理券のチェックのしようがないから、実質的には整理券は不要なのですが…
秋田市営バスの始発バス停発車後の車内放送の冒頭で、「ご乗車の際は、必ず整理券をお取りください。お待たせいたしました。ご乗車ありがとうございます。このバスは○○経由××行きです。…」と言っていたのは、こういう思いが込められていたはず。
この言い回しは、音声合成化されて中央交通にも“移管”されている。
どうせなら、発車後ではなく、(JRのワンマン列車のように)発車前のドアが開いたタイミングで言ったほうが意味があると思うけど…
【2018年6月14日追記】その後、2017年秋頃から、実際に中ドアが開いた時、行き先に続いて「ご乗車の際は~」を放送できるようになったようだ。ただ、乗車客が少なくドアが開く時間が短いと、そこまで言わないで閉まってしまう。
大昔の整理券は、再利用するプラスチックの札だったそうで、秋田市営バスも当初はそれだったようだ。
わりとすぐに紙の券に代わり、長らくインクでスタンプ式に印字していたが、1990年代中頃からは感熱紙のサーマル方式が普及して現在に至る。
記憶と記録にある市営バスの整理券をまとめる。
秋田市営バスに限らず、「昔の整理券」といえばこれをイメージする人が多いかもしれない。
事業者によっては、紙の上下に社紋や社名を入れた専用用紙を使っていたようだが、秋田市営バスでは真っ白い紙。
数字は赤紫~濃いピンク色のインクで両面に印字。
片面にだけ青で「整理券/通用当車限/417 秋田市交通局」とある。青い文字は重要視されていなかったようで、インクが薄くてほとんど読めない場合も多かった。「417」の数字の部分は、車両ごとに違う番号だったはずだが、号車番号とは一致しない。※僕は今回まで「適用当車限」だと思い込んでいた。適用ではなく通用でした。
写真では分かりにくいが、中央部の「通用当車限」とある辺りに端から端まで「|||||||」状に凹凸の帯がある。用紙送りのローラーの跡だろうか。
これは、小田原機器製の整理券発行器のもの。
(再掲・札幌市営バス)小田原機器製発行器
1985年度頃から268号車を除く1991年度までに導入された全車両と、1992年度の秋田八丈塗装のワンロマ車4台がこの整理券だった。
別にこういうタイプも。
書体が違う。数字以外の文字はどうだったか不明
インクの色が違って赤が強い感じ。やはり中央部に凹凸の帯があるが、長さや幅、深さが上のものとは異なる模様。
1984年度以前の導入車両がこの整理券だった。発券器のデザイン(大きさは同じくらい)も違って、旧型の整理券なのかと思っていた。
でも、同時期に違う色合いのインクが並行して使われていたように見えること、たしか弘南バスではもっと新しい車両でもこの整理券が使われていたことからすれば、小田原機器ではない別のメーカーの整理券だったのかもしれない。
【2018年8月4日追記】「奈良工業」という企業も整理券発行機を作っており、ネット上の趣味のサイトによれば、インクの色合い・書体や、発行機のデザイン(大型で無塗装のような銀色、横書きの「整理券」「整理券をお取りください」の表示)が、市営バスのこのタイプと同じ感じ。奈良工業がどういう企業かは不明だが、インク式だけで感熱紙式の発行機は作っていなさそう。
以前触れたように、1991年度導入の268号車では、1台だけおそらく試験的に感熱紙タイプが導入。
黒い印字や日付、「バスツアーは市営バスでお出かけ下さい」という宣伝文が印字されるのが目新しかった。
【10月3日追記】268号車の整理券は1993年13月頃には、インク式に交換されてしまっていた(自分で記録していた)。印字が欠ける部分があったり、下記の感熱紙式とはメーカーが違ったのかもしれなくて、扱いにくかったのだろうか。
1992年度の新車から、本格的に感熱紙タイプが導入されていく。既存車のインク式を感熱紙式に交換することはなかった。
【20日追記】以下、感熱紙の整理券は各タイプとも裏表とも同一の印字。
1992年度(上記4台以外)と1993年度導入車(小型車も含む)では、
バーコード付き
1992年度と1993年度で整理券のスタイルは同一だと思っていたが、バーコードの書式が違うようだ。
日付と号車番号とともに、バーコードが印字されたのが画期的だった。バーコードは整理券の番号を示していたと思われる。
同時に、新タイプの運賃箱が導入された。運賃箱は運賃表示器と連動していて、投入されたバーコードを読み取って、運賃額を表示、さらに投入された硬貨をカウント(自動計数)するという、当時としては最新鋭であろうシステム。メーカーは三陽電機製作所(現・レシップ)のはず。
ただし、回数券で支払った場合はカウントできず、中で引っかかることもあり、価格も高かったのだろうか。導入は2年間だけに終わってしまった。
一時期、この装置を搭載した一部の車両を用いて、バスカード(磁気カード)の試験がひっそりと実施されていたが、それも結局実用化せずに終わった。
さらに、これらを全車両に設置すれば、利用実態をほぼ完全に把握でき、ダイヤ設定に活用することも可能であっただろう。
1994年度から最後の1996年度までは、
市営バス最後の日付
大きく「整理券」と印字され、バーコードがない感熱紙に代わった。(今の中央交通のもこれだっけ?)
【20日追記】これは小田原機器製だと思われる。現在の中央交通のもこれとほぼ同じ。相違点は、車両番号の表示がなく、「整理券」だけ明朝体であること。
市営バス末期には、中央交通へ譲渡した車両とのやり繰りの関係で、車両間で整理券や運賃箱の付け替えが行われたらしい。その結果、
号車番号が「0000」の整理券
号車番号が表示されない整理券や、1つの車両にバーコードがない整理券とバーコード読み取り機能付き運賃箱が搭載されるというちぐはぐなケースもあった。
さらに、ごく短期間だけ使われた整理券も。
初めてバーコードが付いた1992年度導入の一部車両は、当初は違う整理券だった。
272号車
書体は同じだが、レイアウトが違い、番号が2ケタでバーコードが密だったりといった違いがある。
このタイプは、大量に導入された三菱製中型車のうち、後から導入された4台(272~275号車)がこれだった。
さらに、先に導入された3台(269~271号車)では、また違うバーコードの整理券だった。券面のほとんどがバーコードで、「秋田市交通局」ではなく「秋田市」としか印字するスペースがなかったはず。
さらに、269~271号車では、当初は運賃箱も別のタイプが設置されていた。「両替式運賃箱」と表示された銀色のボディで、おそらく両替しなくても自動的に釣り銭が出てくるタイプ。【10月3日追記】日産ディーゼル製の276~278号車もこのタイプの運賃箱が設置されていたようだ。整理券は??
その後、たしか半年もしないうちに、整理券と運賃箱が替わってしまった。【10月3日追記】半年よりは長かったかもしれないが、長くても1年程度だった。
整理券は設定変更や部品交換で対応できたかもしれない。新しい運賃箱は、上部が水色の「自動両替機付運賃箱」。これが最後まで使われた。
いくらなんでも半年で買い換えないだろう。メーカーと協力して最新式の装置を試験導入したとか、メーカーからお試し用に借りた物だったのだろうか。
大きさを比較
インク式の整理券はやや長かった。技術的な限界だったのかもしれない。感熱紙に慣れないうちは、短くて取りにくく感じたことがあった。【17日追記】感熱紙は表面がツルツルしているのに対し、インク式ではややザラザラした紙であり、ローラー跡の凹凸が滑り止めの役目を果たしていたことも取りやすさの違いだったかもしれない。今は感熱紙にすっかり慣れて大きな問題ではないけれど。
【20日追記】市営バス時代に1度だけ、「インク式の発券機に感熱紙のロールをセットしてしまった」車両に遭遇した。インクが乾きにくそうだけど、機器内部で紙が滑るようなことはなかったようで、手触りがちょっと違うな程度にしか感じなかった。(紙は感熱紙のほうが高いだろうから、交通局としては浪費ではあった)
【10月3日追記】上から3つめの「00」の整理券は、紙サイズが5センチ×2.5センチだったようだ。幅2.5センチは他も同じかな。
秋田市営バス亡き後の秋田のバスでは、感熱紙整理券はバーコードなしが一般化した。
高機能な運賃箱は市営バス以外は採用されず、機能としては昔と同じ運賃箱に戻っているのが実情。費用対効果からして仕方ないだろう。
全国的には、地方都市でも高機能なシステムを採用しているバス会社も多い。
静岡のしずてつジャストラインの小田原機器の整理券
現在の整理券のバーコードは、横に長いタイプが主流で、かつての秋田市営バスのようなものはなさそう。
【21日追記】感熱紙式の整理券発券機が老朽化すると、横方向に印字が薄れる場合がある。プリンタの特定のドットが機能しなくなるとそうなるのだろう。かつての市営バスのような向きのバーコードでそれが発生すると、まったく印字されないバーが出現し、読み取れなくなる可能性がある。それを防ぐために、今は向きが変わったのかもしれない。(上記、最初期の269~271号車のバーコードは今と同じ向きだったはず)
ICカード乗車券が使えれば整理券は不要(乗車バス停がカードに記憶されるので)だが、現金で利用する人もいるから、しばらくは整理券が活躍することだろう。
【10月7日追記】2015年時点の中央交通でも、一部ではインク式整理券がまだ使われていた。
2001年に導入された三平バスがそれ。小田原機器製のようだが、上の写真のものよりボディの幅は狭く、カラシ色。数字も異なり、角ばっている。【2018年初め時点でも継続使用】
【2018年3月12日追記】2018年時点で使われている小田原機器の感熱紙式整理券発行機では、中央交通のようなバーコードを印字しない機種でも、「運行ごと・整理券番号ごとに、何番目のバス停で何枚発券したか」を集計した一覧を出力(整理券と同じ紙だから細長くなる)できるそうだ。ダイヤと路線図と突き合わせれば、バス停ごとの乗客数をほぼ把握できる(券を取らなかった人は当然カウントできないし、おそらく同じバス停でいったんドアを閉めて再度開けて乗車させた場合などはずれる可能性もありそう)。市営バス時代の発券機には、集計機能はあったのだろうか。
※整理券についてのちょっとした考察。
路線バスの整理券は、始発点での扱いは事業者によってまちまち。整理券が出ていなかったり、「1」番から始まったり、往復の復路の始発点では大きい数字から減っていったり。
現在の中央交通は「1」から増えていくが、秋田市営バスでは「0」番から増えていく方式だった。※二ツ屋福島線など末端で環状運行する路線の復路は例外。
たまに「始発から乗るから整理券を取らなくていい」とか「フリー乗車券だから(以下同)」と言う人がいる。客としてはそれでいいかもしれない。
だけど、バス会社側で乗車人数あるいは利用実態の調査のために、後で回収した整理券を調べる場合がある。整理券が1枚足りなければ、1人乗っていなかったことにされて、それが積み重なれば乗客が少ないと判断されて減便されるなど客にとって不利な結果をもたらしてしまうかもしれない。
均一料金の秋田市中心市街地循環バスや高齢者コインバス対象者に整理券を取らせているのも、その目的だから、協力しましょう。
あと「定期券だから(以下同)」と言う人もいたが、これも取らないといけない。
定期券区間の手前から乗車して、その分の追加運賃を支払わずに降りてしまう可能性が否定できない。運転士はいちいち誰がどこから乗ったかなんて覚えていないだろうから、整理券こそが正規の停留所から乗った唯一の証明になるのだ。
と言っても、例えばJRの場合は降車駅で自動改札機を通る時は整理券のチェックのしようがないから、実質的には整理券は不要なのですが…
秋田市営バスの始発バス停発車後の車内放送の冒頭で、「ご乗車の際は、必ず整理券をお取りください。お待たせいたしました。ご乗車ありがとうございます。このバスは○○経由××行きです。…」と言っていたのは、こういう思いが込められていたはず。
この言い回しは、音声合成化されて中央交通にも“移管”されている。
どうせなら、発車後ではなく、(JRのワンマン列車のように)発車前のドアが開いたタイミングで言ったほうが意味があると思うけど…
【2018年6月14日追記】その後、2017年秋頃から、実際に中ドアが開いた時、行き先に続いて「ご乗車の際は~」を放送できるようになったようだ。ただ、乗車客が少なくドアが開く時間が短いと、そこまで言わないで閉まってしまう。
大昔の整理券は、再利用するプラスチックの札だったそうで、秋田市営バスも当初はそれだったようだ。
わりとすぐに紙の券に代わり、長らくインクでスタンプ式に印字していたが、1990年代中頃からは感熱紙のサーマル方式が普及して現在に至る。
記憶と記録にある市営バスの整理券をまとめる。
秋田市営バスに限らず、「昔の整理券」といえばこれをイメージする人が多いかもしれない。
事業者によっては、紙の上下に社紋や社名を入れた専用用紙を使っていたようだが、秋田市営バスでは真っ白い紙。
数字は赤紫~濃いピンク色のインクで両面に印字。
片面にだけ青で「整理券/通用当車限/417 秋田市交通局」とある。青い文字は重要視されていなかったようで、インクが薄くてほとんど読めない場合も多かった。「417」の数字の部分は、車両ごとに違う番号だったはずだが、号車番号とは一致しない。※僕は今回まで「適用当車限」だと思い込んでいた。適用ではなく通用でした。
写真では分かりにくいが、中央部の「通用当車限」とある辺りに端から端まで「|||||||」状に凹凸の帯がある。用紙送りのローラーの跡だろうか。
これは、小田原機器製の整理券発行器のもの。
(再掲・札幌市営バス)小田原機器製発行器
1985年度頃から268号車を除く1991年度までに導入された全車両と、1992年度の秋田八丈塗装のワンロマ車4台がこの整理券だった。
別にこういうタイプも。
書体が違う。数字以外の文字はどうだったか不明
インクの色が違って赤が強い感じ。やはり中央部に凹凸の帯があるが、長さや幅、深さが上のものとは異なる模様。
1984年度以前の導入車両がこの整理券だった。発券器のデザイン(大きさは同じくらい)も違って、旧型の整理券なのかと思っていた。
でも、同時期に違う色合いのインクが並行して使われていたように見えること、たしか弘南バスではもっと新しい車両でもこの整理券が使われていたことからすれば、小田原機器ではない別のメーカーの整理券だったのかもしれない。
【2018年8月4日追記】「奈良工業」という企業も整理券発行機を作っており、ネット上の趣味のサイトによれば、インクの色合い・書体や、発行機のデザイン(大型で無塗装のような銀色、横書きの「整理券」「整理券をお取りください」の表示)が、市営バスのこのタイプと同じ感じ。奈良工業がどういう企業かは不明だが、インク式だけで感熱紙式の発行機は作っていなさそう。
以前触れたように、1991年度導入の268号車では、1台だけおそらく試験的に感熱紙タイプが導入。
黒い印字や日付、「バスツアーは市営バスでお出かけ下さい」という宣伝文が印字されるのが目新しかった。
【10月3日追記】268号車の整理券は1993年13月頃には、インク式に交換されてしまっていた(自分で記録していた)。印字が欠ける部分があったり、下記の感熱紙式とはメーカーが違ったのかもしれなくて、扱いにくかったのだろうか。
1992年度の新車から、本格的に感熱紙タイプが導入されていく。既存車のインク式を感熱紙式に交換することはなかった。
【20日追記】以下、感熱紙の整理券は各タイプとも裏表とも同一の印字。
1992年度(上記4台以外)と1993年度導入車(小型車も含む)では、
バーコード付き
1992年度と1993年度で整理券のスタイルは同一だと思っていたが、バーコードの書式が違うようだ。
日付と号車番号とともに、バーコードが印字されたのが画期的だった。バーコードは整理券の番号を示していたと思われる。
同時に、新タイプの運賃箱が導入された。運賃箱は運賃表示器と連動していて、投入されたバーコードを読み取って、運賃額を表示、さらに投入された硬貨をカウント(自動計数)するという、当時としては最新鋭であろうシステム。メーカーは三陽電機製作所(現・レシップ)のはず。
ただし、回数券で支払った場合はカウントできず、中で引っかかることもあり、価格も高かったのだろうか。導入は2年間だけに終わってしまった。
一時期、この装置を搭載した一部の車両を用いて、バスカード(磁気カード)の試験がひっそりと実施されていたが、それも結局実用化せずに終わった。
さらに、これらを全車両に設置すれば、利用実態をほぼ完全に把握でき、ダイヤ設定に活用することも可能であっただろう。
1994年度から最後の1996年度までは、
市営バス最後の日付
大きく「整理券」と印字され、バーコードがない感熱紙に代わった。(今の中央交通のもこれ
【20日追記】これは小田原機器製だと思われる。現在の中央交通のもこれとほぼ同じ。相違点は、車両番号の表示がなく、「整理券」だけ明朝体であること。
市営バス末期には、中央交通へ譲渡した車両とのやり繰りの関係で、車両間で整理券や運賃箱の付け替えが行われたらしい。その結果、
号車番号が「0000」の整理券
号車番号が表示されない整理券や、1つの車両にバーコードがない整理券とバーコード読み取り機能付き運賃箱が搭載されるというちぐはぐなケースもあった。
さらに、ごく短期間だけ使われた整理券も。
初めてバーコードが付いた1992年度導入の一部車両は、当初は違う整理券だった。
272号車
書体は同じだが、レイアウトが違い、番号が2ケタでバーコードが密だったりといった違いがある。
このタイプは、大量に導入された三菱製中型車のうち、後から導入された4台(272~275号車)がこれだった。
さらに、先に導入された3台(269~271号車)では、また違うバーコードの整理券だった。券面のほとんどがバーコードで、「秋田市交通局」ではなく「秋田市」としか印字するスペースがなかったはず。
さらに、269~271号車では、当初は運賃箱も別のタイプが設置されていた。「両替式運賃箱」と表示された銀色のボディで、おそらく両替しなくても自動的に釣り銭が出てくるタイプ。【10月3日追記】日産ディーゼル製の276~278号車もこのタイプの運賃箱が設置されていたようだ。整理券は??
その後、たしか半年もしないうちに、整理券と運賃箱が替わってしまった。【10月3日追記】半年よりは長かったかもしれないが、長くても1年程度だった。
整理券は設定変更や部品交換で対応できたかもしれない。新しい運賃箱は、上部が水色の「自動両替機付運賃箱」。これが最後まで使われた。
いくらなんでも半年で買い換えないだろう。メーカーと協力して最新式の装置を試験導入したとか、メーカーからお試し用に借りた物だったのだろうか。
大きさを比較
インク式の整理券はやや長かった。技術的な限界だったのかもしれない。感熱紙に慣れないうちは、短くて取りにくく感じたことがあった。【17日追記】感熱紙は表面がツルツルしているのに対し、インク式ではややザラザラした紙であり、ローラー跡の凹凸が滑り止めの役目を果たしていたことも取りやすさの違いだったかもしれない。今は感熱紙にすっかり慣れて大きな問題ではないけれど。
【20日追記】市営バス時代に1度だけ、「インク式の発券機に感熱紙のロールをセットしてしまった」車両に遭遇した。インクが乾きにくそうだけど、機器内部で紙が滑るようなことはなかったようで、手触りがちょっと違うな程度にしか感じなかった。(紙は感熱紙のほうが高いだろうから、交通局としては浪費ではあった)
【10月3日追記】上から3つめの「00」の整理券は、紙サイズが5センチ×2.5センチだったようだ。幅2.5センチは他も同じかな。
秋田市営バス亡き後の秋田のバスでは、感熱紙整理券はバーコードなしが一般化した。
高機能な運賃箱は市営バス以外は採用されず、機能としては昔と同じ運賃箱に戻っているのが実情。費用対効果からして仕方ないだろう。
全国的には、地方都市でも高機能なシステムを採用しているバス会社も多い。
静岡のしずてつジャストラインの小田原機器の整理券
現在の整理券のバーコードは、横に長いタイプが主流で、かつての秋田市営バスのようなものはなさそう。
【21日追記】感熱紙式の整理券発券機が老朽化すると、横方向に印字が薄れる場合がある。プリンタの特定のドットが機能しなくなるとそうなるのだろう。かつての市営バスのような向きのバーコードでそれが発生すると、まったく印字されないバーが出現し、読み取れなくなる可能性がある。それを防ぐために、今は向きが変わったのかもしれない。(上記、最初期の269~271号車のバーコードは今と同じ向きだったはず)
ICカード乗車券が使えれば整理券は不要(乗車バス停がカードに記憶されるので)だが、現金で利用する人もいるから、しばらくは整理券が活躍することだろう。
【10月7日追記】2015年時点の中央交通でも、一部ではインク式整理券がまだ使われていた。
2001年に導入された三平バスがそれ。小田原機器製のようだが、上の写真のものよりボディの幅は狭く、カラシ色。数字も異なり、角ばっている。【2018年初め時点でも継続使用】
【2018年3月12日追記】2018年時点で使われている小田原機器の感熱紙式整理券発行機では、中央交通のようなバーコードを印字しない機種でも、「運行ごと・整理券番号ごとに、何番目のバス停で何枚発券したか」を集計した一覧を出力(整理券と同じ紙だから細長くなる)できるそうだ。ダイヤと路線図と突き合わせれば、バス停ごとの乗客数をほぼ把握できる(券を取らなかった人は当然カウントできないし、おそらく同じバス停でいったんドアを閉めて再度開けて乗車させた場合などはずれる可能性もありそう)。市営バス時代の発券機には、集計機能はあったのだろうか。
※整理券についてのちょっとした考察。
秋田市の電車やバスでもSuicaを使えるようにしてほしいと切望しているのですが、特に中央交通は新しい設備投資に消極的でしょうから、難しいですよね…。
仮に秋田市営バスが今も存続していたら、同じようなシステムを採用していたかもしれません。
2020年のオリンピックを機に、国主導で全国でIC乗車券を使えるようにしようという計画があります。
そのおかげで、秋田のJR在来線では使えるようになると予想していますが、ひょっとしたら中央交通のような地方バス会社にも補助金が出たりして導入できるかもしれません。
多少は期待してもいいような気がしますが、どうなるでしょうか…
そう考えるとなんだか残念です。
民間会社だとなかなか導入が難しいのか、それとも中央交通が新しい機器を導入しようとしないだけなのか分かりませんが。
私が生まれる前の整理券もあり、貴重なものを見ることが出来ました。
そういえば、何気なく聞いていましたが、「ご乗車の際は、必ず整理券をお取りください」という案内は市営バスからの移管だったのですね。(昔の中央交通では流れていなかったのでしょうか。)
細かいですが、中央交通で発車の際にある「おまちどおさまでした」は、「お待たせ致しました」にしたほうが丁寧で適しているように思いました。
バーコードや自動計数がどれほど役立っていたか、費用対効果が適切にもたらされたのか、と考えると疑問です。
これからやるのなら、IC乗車券のほうを優先すべきだと思います。
そうですよね。意識していなかったですが、インクの整理券を知らない人たちも増えているのですね。
券番号が切り替わる時に「カシャ」、終点でリセットする時に「カシャ、カシャ…」という音が車内に響いたものです。
弘南バスなどでは今も現役ですが、用紙やインクの供給がいつまで続くのか、気になります。
今の中央交通の車内放送のフレーズは、多くが市営バスからの“移管”です。当初、こんな細かい言い回しまで引き継がなくても…と思ったものです。
「これより運賃が変わります」も市営バス発祥(市営バスでは平成元年度に始まったらしい)です。
昔の(テープ時代の)中央交通は、ほとんど乗ったことがないのですが、おそらく余計なことを言わずにバス停名と広告が淡々と流れていたかと思われます。
市営バスでも、時期や路線(?)によって微妙に言い回しの違いがありました。
車内前方にエンジンがあるのが「キャブオーバー」タイプでしょう。ボンネットバスよりはマイナーな存在ですが、秋田の個人でそれを復元して所有されている方がいて、イベントなどで走っています。
今ほど快適ではなかったのでしょうが、バスが頼りにされていた時代ですね。
秋田駅前バスターミナルはじめ、始発バス停に早く来て戸を開けている場合、車外アナウンスでろせんあんないをしていますね。その際、「ご乗車の際は必ず整理券をお取りください」案内してますよ。発車後は逆に聞かないなあ。最近は、なのかな。
新屋地区なので、よくマイタウンバスを使います。整理券もちゃんと「秋田中央トランスポート」で出てきます。けどごく稀に「秋田中央交通」で印字されることも。たぶん車両の都合なんだろうけど混乱を招きますね。なにしろ初乗り運賃も違うのでね。
新屋高校から新屋案内所(西部)まで行く場合、平日19:17だけ、豊岩線が学校内に乗り入れるんです。生徒にとっては「バスの色は同じなのに、運賃がちがう(マイタウンバスは20円中央交通より安い)」から、ちょっと不思議。
中央交通本体とマイタウンバスの競合路線って、初乗り運賃は同額なのに、賃率が違うせいかそんな現象が生じるんですね。知らなかったです。
新屋高校に乗り入れるのは、生徒の帰宅の便宜を図ったのでしょうが、なにかちぐはぐです。
整理券の社名表示は、車両が親会社から子会社に転属したのに、発行器まで手が回っていないのでしょうか。
マイタウンバス化当初は、たまに親会社の車が代走することがあったようですが、今もあるとすれば、それも原因になりそうです。
ピンク印字の整理券は、中央交通ではほぼなくなりましたが、元三平バスの一部では、今も使われています。市営バスのとは書体は違いますが。
小さい頃から気になっていて、今でもバスに乗るたびに思うのですが、停留所でバスの乗車ドアが開く→整理券が印字されて機械から出る→ドアが閉まる(発車)→印字されて出ていた整理券が機械内に戻る(呑まれる)流れの中で、呑まれてしまった、印字済みの整理券は機械の中でどうなっているのでしょうか?
どこかに「書き損じ整理券保管スペース」のようなものがあって、たまった整理券を時々バス会社の人が捨てたりしているのでしょうかね。
30年来の疑問ですが、誰に聞いても質問の意味が理解してもらえなさそうな気がして・・。なんかうまく説明できなくてもどかしいです。
実は先日、羽後交通の今年買ったばかりの新車に乗ることができたのですが、その車では感熱紙式で、無地の紙でした。中央交通と同じタイプで「羽後交通」と印字されます。日付は「19」と西暦でした。
独自の用紙を使うバス会社は、全国的にはちらほらあるようですが、感熱紙では社名も印字できるためインク式だけのものなのでしょう。いずれなくなってしまいそうです。
取られなかった整理券は、次のバス停も同じ券番号であれば再利用されるので、「その整理券番号で最後に印字された券片」の行方ということになります。僕も昔は謎でした。聞きかじりで、間近で見たことはありませんが…
結論としては、ご想像の通りで正解です。
そのような券片を「廃券」と呼ぶそうで、発行機の中に廃券を収納する部分があるそうです。底のほうに落ちるのだと思いますが。
溜まりすぎると、エラーになって止まってしまうことがあるそうで、マメな運転士さんなのでしょうか、待機中に中を開けて除去していることもありますよ。インク式では手が汚れることもあったでしょう。
廃券は、整理券の区間数分出ることになります。羽後交通の本荘-秋田は片道で30番を越えるので、往復すれば60枚以上があの大きくない整理券発行機の中に溜まることになります。何枚くらい収納できるのかは知らないので気になります。