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高校野球あれこれ

2018-08-27 00:17:51 | 秋田のいろいろ
秋田県立金足農業高等学校の甲子園準優勝は喜ばしい。それはまったく否定しない。
だけど、さらにいろいろ知るにつれ、どうして高校の硬式野球だけが、こんなにも騒ぎ立ててもてはやされるのか、やっぱり納得がいかない。
そんな視点で、金農準優勝周辺の話題をまとめさせてもらう。


まず、前回、秋田県立能代高等学校の軟式野球部が、全国大会に何度も出場し、何度か優勝・準優勝していることに触れた。
すると、まさに8月24日から「第63回 全国高等学校軟式野球選手権大会」が始まり、北東北代表として、能代高校が出場していたのだった。新聞には出ていたけれど、テレビでは報道されただろうか。金農準優勝の後日談なんてそれこそ後日の報道でいいから、まずは「能代がんばれ! 金農に続け!」と報道すればいいのに…
ただ、能代高校は25日の初戦で、惜しくも敗退してしまった。

それにしても、高校野球の軟式と硬式で、こうまで扱いが違う理由は、きっと主催者が違うのだと思いこんでいた。
しかし、どちらも主催者は「高野連」こと「公益財団法人 日本高等学校野球連盟」。硬式の大会を主催する、朝日新聞と毎日新聞も後援。
じゃあ、どうしてこんなに格差があるんだろう。競技人口は違うし、硬式野球の選手はプロ野球選手になることも多いから、そういうのはあるだろうけど。

まあ、個人的には大した疑問でないからどうでもいい。
それにしても、スポーツにほぼまったく興味のない僕が、どうして高校軟式野球の存在、さらに能代高校が強豪であることを知っているかというと、2人の先生のおかげ。
中学の担任の先生が、秋田高校で軟式野球をやっていたのと、高校の理科の先生が、まさに能代高校軟式野球部の部長(監督より立場は上だけど、実態は小間使いと謙遜していた)をしていたそうで、おふたりとも「マイナーだけど、軟式野球というものもあるんだ!」と、ちょっと自虐的に紹介していたのが印象に残っていた。


金農準優勝に話を戻す。先週の秋田は、金農の話題でもちきり。
秋田駅みどりの窓口前の横断幕
上の写真の秋田駅や秋田空港には、朝日新聞社が作ったと思われる、高野連の名前も入った公式のお祝い横断幕が掲出。フォンテAKITA前には、これの縦版の垂れ幕も。いずれも「祝 優勝」で作っておいて、すき間に小さい「準」を貼っている。
ほかにも、それぞれの店などが独自に作成したお祝いのPOP類があちこちに出ている。
ただ、「金農準優勝記念セール」の類は、日本学生野球憲章に定める商業利用に該当するとして、自粛が求められている。
だったら、以下のように各社が過剰といえるほど報道したり、記念誌やDVDなどを発売しているけど、それはいいのだろうか。結果的に学生野球で金儲けをしているのに。


23日には、金農で遅らせていた始業式に続いて、報告会が開かれた。地域の人などにも公開したためか、猛暑日となった屋外でやっていたのは、みなさんツラかったのでは。
全国からの寄付金の総額が1億9千万円に達したことが発表された(これ以上の寄付は、お気持ちだけもらうとのこと)。いやはや、すごい。
秋田県内のローソンでは、金農パンケーキの再発売が始まり、マスコミの全国放送で報道されたこともあり、その影響か当ブログへのアクセスがさらに増えた。【27日追記】具体的には、18日までは1日あたり1600IP程度の訪問者・5000PV弱の閲覧数だったのが、19日からは訪問者数はあまり増えず、閲覧数は連日1万を越えるようになっている。訪問したひとりひとりが多くのページを見てくれるようになったことになる。当ブログ過去記事には、パンケーキの話題以外には金農の記事はないはずだから、その記事を順を追って見てくれているということか。
【27日追記】ちなみに、再発売された金農パンケーキの人気は衰えていない。27日昼前の秋田市中央部のとあるローソンでは、ドアに「本日分完売」の張り紙。それを見た高齢女性客が店員に尋ねていたところによれば「(その店では)朝4時頃に1度入荷するだけ」らしい。どうしても買いたいなら、早朝を狙え!

そんなその日ごとの新しい話題ならともかく、NHKの夕方のニュースでは、吉田投手の三振を取った場面だけのダイジェストを放送するなど、もう総集編的なものも。年末とかもっと後にしてほしい。
【27日追記】秋田魁新報では、ここ1週間は連日、見開き社会面(いわゆる第一&第二社会面)の少なくとも3分の1以上が、金農関連の記事。

芸人「はなわ」の15年ほど前に流行った「佐賀県」ネタで、「佐賀の高校が甲子園で優勝した時、サガテレビがその試合を何度も再放送した」というのがあった。
調べると、1994年の佐賀商業高校の時、ゴールデンタイムに4日続けて放送したらしい(サガテレビはフジテレビ系列だが、佐賀県唯一の民放局)。
それに近いことは、秋田でもやっていると言える。


ローカルのみならず、全国放送でも。
しかもワイドショーのみならずNHKの定時ニュースでも、決勝進出・準優勝・秋田へ帰った・報告会があった・パンケーキが売られたと、逐一、かなりの時間をとって伝えられていた。優勝した大阪桐蔭の何倍(何十倍?)もの扱い。

秋田に系列局がないTBSでも秋田で取材をしていたし、秋田に系列局あってもキー局のレポーターも秋田へ来ていて、例えは悪いが重大事件並みの扱い。
フジテレビの木村拓也アナウンサーも来ていたが、彼は秋田市に住んでいたことがあるとのこと。Wikipediaには、1990年生まれで幼稚園から中学校卒業まで秋田県にいたとあるので、2000年前後ということになる。

ただ、TBSでは、同時期にジャカルタアジア大会を(地上波)独占放送しており、この週末のレギュラー番組はほとんど休止。
そのため、「情報7days ニュースキャスター」の北野武、「サンデーモーニング」のご意見番、「サンデージャポン」の爆笑問題やコメンテーター陣(秋田生まれ【27日補足・「エセ秋田人」と自称することもある】の壇蜜もいる)の金農準優勝へのコメントは、今のところなし。来週だと、もうやらないかな。

26日の日本テレビ24時間テレビ内の「笑点」では、三遊亭円楽が、「金足農業のスクールカラーの(着物を着ている)円楽です」と自己紹介していた。


ちなみに決勝戦と同じ日の同じ時間には、秋田県立体育館で大相撲の地方巡業「秋田場所」が開かれていた。
豪風(たけかぜ)が金農の出身だし、今回の秋田場所の実行委員会には、秋田放送、秋田魁新報社、豪風後援会とともに、金農同窓会と相撲部OB会も名を連ねていて、なんともタイミングが悪い。
結果としてあまり報道されなかった(魁・ABS以外は扱いにくいこともある)けれど、観客はけっこういたようで、野球の展開を携帯で気にしながらの観戦だったようだ。
さらに、その直前、貴乃花親方が倒れて、秋田市内の病院へ救急搬送されるという出来事も発生。翌朝には退院して帰京。このような、秋田市が舞台のもう1つのニュースもあった。



決勝進出や準優勝に当たって、秋田県知事と秋田市長はメッセージを出した。
過去に秋田代表が勝ち進んだ時には、知事が甲子園まで行って応援したこともあったはず。でも、今回は知事・市長の影は薄かった。
それもそのはず。先週は知事・市長が揃って台湾と中国へ出張中。秋田県知事と秋田市長は、トップセールスと称して以前から仲良く海外出張をすることがある。その是非はともかく、決まっていた仕事だから、それはしょうがない。
【30日追記】帰国後の知事の話によれば、台湾側の計らいにより大画面で中継を見せてもらえたそうで、リアルタイムで応援できたらしい。



硬式高校野球について、もう1つの疑問と不満。NHKが実況中継すること。
いくら需要があるといっても、公共放送局が受信料を使って、長い時間を割いて中継放送する必要性があるのか。
高校野球は、春は毎日新聞社、夏は朝日新聞社の主催で、それぞれ系列の民間放送局がある。そこに任せればいいのではないか(系列局がない県でどうするかは課題)。
NHKではテレビとラジオそれぞれで、県大会から中継をするわけで、かなりの人員と費用(=受信料)が使われている。

夏の県大会は、秋田では、NHK秋田放送局と秋田朝日放送(AAB)がそれぞれ中継(全試合ではない)している。複数会場を両者で調整してすみ分けるというわけでもないはず。
全国大会は、NHKと大阪の朝日放送(ABC)が中継を製作。ABC版はBS朝日でも放送。
今年も開会式はNHKとAABを含むテレビ朝日系列各局で中継。AABでは金農の試合ももちろん…と思っていたのに、やらない。

かつてはAABでも、開会式、秋田代表の試合、決勝戦は中継していた。秋田代表の試合は、AABのアナウンサーが実況する「ふるさと応援実況」であったこともあったのに(Wikipediaには、AABがこれまで応援実況をやったことがなかったような記載もあるが、昔はやっていたはず)。
調べてみると、決勝の全国ネットは2014年(AABは2015年)で終わったそうで、地元代表の中継もその流れで取りやめたのだろうか。
ということは、朝日側が自ら、全国向け中継を放棄した状態と言える。(NHKと競合してまで中継する意味が薄いのは理解できるが、だったらNHKが身を引けばいいのでは?)

今回の快進撃で、さすがにAABも中継しないのはマズいと判断したようで、前日の準決勝終了直後に、急きょ決勝戦を放送することになった。見なかったけれど、ふるさと応援実況であったようだ。
科捜研の女(再放送)、渡辺篤史の建もの探訪(再放送)、テレビショッピング辺りが休止されたのかな。

AABの公式ツイッターでは、翌日の決勝中継が決定して告知するつぶやきにおいて「弊社甲子園の放送は初めてです!!」との文言があり、文章の言葉足らず(というより投稿担当者の認識不足では?)により、見た人に戸惑いと誤解を生んだ。
これまでAABが甲子園からの中継を一切放送していなかったようにも受け取れる。
2時間後に「弊社 甲子園の《決勝で秋田県勢の中継をするのは》初めてです!」の意味であったと訂正したが、そりゃそうでしょ。秋田県代表が決勝戦に出たのが103年ぶりで、103年前に御社は存在していなかったんだから。NHKだって「決勝で秋田県勢の中継をするのは初めて」ということになる。
ツイッターは速報性が大事なんだろうけど、特に企業や組織として情報を発信する時は、落ち着いて、吟味してから公開してほしい。

今回は、金農が逆転したり勝利が決まった直後に「ああああああ」などとツイッターに投稿するのが流行って話題になったらしい。AABも投稿した。
NHKの全国ニュースでもそれが取り上げられ、エフエム秋田とタワーレコード秋田オーパ店のつぶやきが、それぞれの名前入りで画面上で放送された。
さすがに同業他社のAABを取り上げるわけにはいかなかったのだろうけど、FM秋田ならいいの?



さて、夏の高校野球といえば、大会歌「栄冠は君に輝く」。作られたのは戦後だが、甲子園・高校野球に直結する曲として、多くの国民に認識されている。
開会式・閉会式など球場内で演奏される/歌われる曲のほか、NHKの中継やニュース内においても、BGMとして使われていた。
有名なところでは、初戦の中継での各代表校の“ふるさと紹介”VTRのBGM。「ローズ・ピアノ」という電気式鍵盤楽器で演奏した、柔らかく穏やかな音色。
秋田放送局では、ニュース番組内の県大会の対戦組み合わせ決定や、1・2回戦辺りまでの試合結果一覧を伝える時のBGMとして、インストゥルメンタル版【27日訂正】歌詞なしの行進曲版(いろんな楽器が使われ、出だしのメロディはフルート、あとはミュートトランペットとか鐘も入る【27日追記】ホルンみたいなのも)が流れていた。
【27日追記】秋田局で使っているのは、「行進曲」としてアレンジされたバージョンの、前奏を省いたもののようだ。日本コロムビアから、歌詞入り・歌詞なし(本当のインストゥルメンタル版)・NHK学校紹介用(ローズピアノ版)とともに、CDが発売されている。

それが、今年の大会では、あまり聞くことができなくなってしまった。
もちろん、球場内で流される時は別だし、秋田放送局では県大会組み合わせ決定時はまだ流していた(終了後の24日放送でも、男鹿水族館でのイベントを伝えるBGMとして流れた)。
代わりに、100回を記念して、NHKが福山雅治氏に依頼(作詞作曲歌)した、その名も「甲子園」という歌が流された。独自のイメージソングを流す、最近のオリンピック中継と同じような方式。

でも、終わってみれば「甲子園」の印象は薄く、歌詞も曲も、まったく思い浮かべられない。ふるさと紹介VTRのBGMであったのかどうかも、記憶にない。(熱心に視聴していないせいもある)
100回だからといって、中継しているだけで主催者でもないNHKが余計なことをしたように思えてならない。開会式閉会式では、どうしても「栄冠は君に輝く」が流れてしまい、それをカットして放送するわけにはいかないのだし。来年以降はどうするんでしょう。


NHKの中継では、応援席のレポーターもいる。昔から、ふるさとリポーターとかいって、特に初戦は各放送局からアナウンサーや契約キャスターが派遣されることが多かった。勝ち進むと、その地元局のリポーターがまだ甲子園に残っているのに、別の人がレポートを担当することが多く、リポーターが1つの学校につきっきりではない。
今回もそうだったけれど、過剰な演出が気になった。
炎天下のスタンドに地元特産の生の食べ物を持ちこんだり、ダジャレを言い合ったりして、さらにそれを受けて実況のアナウンサーがつっこんだり。リポーターが自分の名前をフルネームで名乗るのも、気になるというか、今まではなかったのではないか。
しかも、2回戦以降になると、初戦のあのテンションはどこへ行ったのかと言いたくなる、淡々としたレポートに戻った。



あとは、決勝戦当日の甲子園球場前の立看板。
縦書きで「金足農」「大阪桐蔭」と書かれていた。手書きでなく活字のようだった。
金農には「かなあしのう」とふりがなが振ってあったのに、大阪桐蔭にはなし。
たしかに「金足」は地名としても難読。秋田市民以外は読めなくても当然だから、ふりがなは親切。「農」にまで必要なのかは疑問。
一方、「桐蔭(とういん)」だって難読では? 地元同然だからいらないんでしょうか。


決勝戦の試合終了後、甲子園球場には虹がかかった。
同じ頃、金足を含む秋田市でも、小さいながら虹が出たそうだ。奇跡的偶然。

今後の金農野球部、秋田県勢の甲子園での活躍はどうなるだろうか。
期待しつつも、無理をせず、極端に騒ぎ立てずに、というのもムリなんでしょうな…
興味がないクセにつべこべと失礼しました。
コメント
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