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広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

長岡駅周辺3・東側

2016-05-29 00:11:27 | 旅行記
薄曇りで暑からず寒からず、歩くにはちょうどいい朝の長岡駅周辺。※前回の記事
駅裏に当たる東口側に、手際よく回れそうな気になるものがいくつかあったので、足を伸ばしてみた。

駅からすぐのホテルニューオータニのすぐ先に、川?
両岸に桜並木
川幅にしては、大量の水がぎりぎりの高さまで流れているなと思ったら、人工の用水路だった。17世紀に作られ、20キロの長さがある「福島江(ふくしまえ)」。
桜並木は、市民に親しまれる名所とのこと。

その対岸に、事前にGoogleストリートビューを見て気になっていたものがあった。
学校
長岡市立阪之上小学校。新しそうな校舎が建つ、適度に開放的な敷地。
2002年竣工の校舎本体は箱型だが、円形校舎かのような体育館らしき部分もある。
「米百俵の学校」という垂れ幕
2001年に小泉総理が取り上げて広く知られた「米百俵」。
明治初期、困窮していた長岡藩だったが、贈られた100俵の米を換金して学校を建て、目先ではなく将来ために役立てたというエピソード。
その時に建てられた学校の流れを汲むのが、阪之上小学校なのだった。

公式ホームページによれば、阪之上小には、開学記念日、開校記念日、創立記念日の3つが別々の日に設定されている。
明治2年に「国漢学校」の仮学校ができたのが開学、明治3年に国漢学校が新築開校(これに米百俵が使われた)したのが開校、明治7年に国漢学校の校舎を使って公立学校ができたのが創立だそう。
創立にしても今年で143周年となる。
校内には資料館があって、事前申し込みすれば見学可能。


小学校の隣に、「長岡市阪之上コミュニティセンター」があった。秋田市の各地域コミセンと同機能。
駐車場も茶色い
新しくはなさそうな建物で、その前に木が植えられている。
ヤシの仲間のシュロが3本。しかも、
花が咲いている!
花は初めて見たかも。
雪国には似つかわしくないけれど、今旅行中に他のどこかでも花が咲いているのを見た。シュロは耐寒性がそれなりにあるそうだ(Wikipediaには自生は九州まで、栽培では東北までとある)。
秋田でも地植えされているのは見たことがあるような気はするけれど、ほとんど見ないから、それだけ秋田が北ということか。


最後。長岡駅東口から東方向を見た時、気になったものがあった。(前回の写真にも写っています)
アップで
広い道路の向こうに栗の実のような大きな建物。
カマボコ状屋根の古いタイプの体育館っぽい。
単なるカマボコではなく頂部がとがっているし、錆びているのか茶色く汚れていて、いかにも栗。

汚れ具合は、一定レベルの維持管理が行われるであろう公立学校の体育館にしてはひどい。だから、もう使われていない体育館なのか、私立学校とか民間の体育館なのか、体育館じゃなく工場か何かなのかなどと予想。

ところが、スマホの地図で確認すると新潟県立長岡高等学校らしい。
駅から600メートルほど。所在地はその名も「学校町」。
狭い公道が体育館の裏(東側=駅から見た反対面)を通っており、間近に体育館を見ることができた。
かなり茶色い…
大きい体育館。全体的には、昔ながらの体育館で懐かしい姿ではあるが、茶色い汚れと頂部のとんがりが目に付いてしまう。
横から屋根をアップ
途中でカマボコのカーブの角度が変化しているのが分かる。そこがとんがりの始まりか。

帰ってから調べると、この体育館は1963(昭和38)年3月築。鉄骨造3階建て、延べ床面積2553平方メートル。耐震改修済み。(以上、新潟県ホームページhttp://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/943/48/prefeachbuild.pdfより)

現在は「大体育館」と呼ばれているらしく、たしかに隣に小体育館っぽいのがあった。(1984年築)
大体育館の耐震補強工事は2014~2015年頃に行われ、内部はそれなりにきれいなようだ。
なお、校舎各棟は1970年前後に竣工。

以上から、これで現役の体育館であり、かつ当分は使い続けるつもりらしい。
耐震工事を行ってはいるものの、外部には手がつけられていないのだと思われる。補強材が外観では分からないのが珍しい(弘前大学第1体育館は明らかなつっかえ棒で補強されている)。


ところで、以前取り上げたように、積雪地では屋根からの落雪が危険。特にカマボコ屋根の体育館は、形状のせいか一気にどどっと落ちることがある。
秋田市立学校では、1961年頃の保戸野小が、最初の鉄骨造の体育館(当時は他に秋田大学にしかなかったとか)で、これがカマボコ屋根。1970年頃にはカマボコから逆V形の切妻屋根に変わっている。1990年以降は、落雪しない平らな陸屋根に切り替わり、古いものも改築されてカマボコ屋根の体育館はなくなっている(切妻屋根は残る)。
秋田市よりも雪が多く積もる長岡では、体育館の落雪はさらに問題だろう。

長岡高の体育館は、ごく初期の大型体育館ということになる。
当時の建築技術ではカマボコ屋根にせざるを得ず、対策として、てっぺんをとがらせて急角度にすることで、頂部に積もった雪を迅速に落とす意図なんだろうか。


それにしても、金属製ではない壁面が、どうすればこんなにサビサビになるんだ?
秋田の体育館では見たことがない状態で、前回アップした消雪パイプによる道路面の錆みたいな感じ…
あれ? 上の屋根のアップ写真に再度注目。
屋根のてっぺんに、棒のような管のようなものが渡されている。よく見ると、その管と体育館内がパイプらしきものでつながっている。
ひょっとしたら、ここから水を流すことで屋根の積雪を防ぐ(=落雪をなくす)仕組みがあって、そのせいで路面と同様に壁が錆びてしまったのかも。
同校ホームページの「年譜」を見ると、2001年に「大体育館屋根融雪設備工事」が行われている。これのこと?

そうだとすれば、たしかに雪は積もらないだろうけど、水を屋根まで上げるのが大変そうだし、ずっと雨が降っているようなものでうるさくないだろうか。体育館周りの屋外も土砂降り状態で通行に支障が生じそう。
極端に冷えこめばツララができてかえって危ないかもしれないし、管理をおろそかにすると屋内に雨漏り(雨じゃないけど)するかもしれない。スマートな方法ではない気がする。

以下、よそ者の勝手な意見です。
古い建物を大切に使い続けることは、悪いことではない。特に行政機関では。それに、見栄えだけにこだわるべきではないし、建物としては安全なのは分かる。
だけどこれじゃあ、知らない人にはあまりいい印象をもたらさない状態だ。地域を代表し次世代を担う人が通う県立学校という施設、かつ駅からも見えて(新幹線ホームからも見えるそうだ)街の風景をかたちづくる1つの建物なのだから。
駅の反対側には、あんなすてきなアオーレ長岡という建物があるのに、反対側がこれでは…

まったく放置されているわけでもないようだ。
2014年度の同校の「学校自己評価表(報告)(http://www.nagaoka-h.nein.ed.jp/contents/information/hyouka_H26kekka.pdf)」には、「学校評議員の質問・意見など」の1つに「校舎の老朽化が目立つ。特に大体育館の外側・屋根の汚れが遠くからも認識できる。体育館の汚れの対応を早く行うことを望む。」というのがあった。

また、2015年2学期始業式の学校長の「訓話(http://www.nagaoka-h.nein.ed.jp/contents/kotyokowa/h27_2gakki_shigyoshiki_kouwa.pdf)」では、「大体育館屋根の消雪パイプが一部不具合があり、また壁面や屋根の汚れが大きくなっています。まだ工期は明確でありませんが、大体育館の消雪パイプ修繕と屋根・壁面の塗装を同時に行うことになりました。9月から12月に掛けて、大体育館全体に足場を掛けて、改修工事を行うことになりますので、承知しておいてください。」と言及されている。
ただし、その後、年度を越えても実施されていないことになる。

体育館の裏には、
薪?
薪ストーブでも使ってるの?


長岡高校は、1872年を創立としているが、さらに「国漢学校」までさかのぼることができる。
つまり、阪之上小学校と起源は同じで、「米百俵」でできた学校だった。

体育館の反対側にある正門は、国の登録有形文化財。
帰りに通ると、赤れんがのさほど大きくはない門柱。個人的には大体育館のほうが見応えがありました。


ちなみに、列車の車窓から見つけた、長岡市立川口中学校の体育館も、栗形カマボコ屋根だった。(川口町だった1976年開校時の建築?)
散水設備はないらしく、屋根・壁ともきれいな状態。


前回述べたように、長岡駅東側は、地方都市の駅裏によくある、お店よりも住宅が多い一帯。しかし、歴史ある学校や比較的古そうな民家もあって、秋田駅東口側よりは古くから宅地化されていたのだろう。かつては越後交通の鉄道路線(栃尾線。1975年までに段階的に廃止)が通っていて、長岡高校近くにも駅があったそうだ。

長岡市は、中心部には大きな観光地はなさそうだけど、ほんのわずかな滞在でも、歴史や人々の暮らしが感じられる興味深い街だった。
長岡を後にして、いよいよ信州へ向かう
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屋根 (りお)
2016-05-29 01:17:20
長岡高校の体育館は、大変失礼なのですが、廃工場に見えてしまいました。
横手ですと、大抵の戸建ての住宅の屋根に、梯子が立て掛けてあるのを見かけます。雪下ろし用の梯子をそのままにしているようです。

駐車場の融雪装置ですが、そういえば新屋にも使っていたような痕跡があったのを思い出しました。個人のお宅でしたが、ホースに小さな穴を開けて、そこから水を流していたようです。
水道代はいくらかかるのでしょう…
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融雪装置 (taic02)
2016-05-31 00:04:23
失礼ながら、学校(しかも公立の地域を代表する高校)だとは信じがたい状況ですよねぇ。

昔は、豪雪地は2階から出入りするための階段があったと聞きますが、最近はそこまでではないでしょうか。
弘前では、ガラスを雪から保護するための板を引っ掛ける金具が、窓周りの壁に装備されていましたね。

私有地では穴あきホースの融雪をたまに見ますね。
電熱線を入れた融雪装置を埋めるお宅もありますが、「電気代がものすごくて、よほど積もる時しか使わない」とのことでした。
電気代に比べれば、水道代のほうが安いのかもしれませんが、どちらにしてももったいない気がしてしまいます。

公道の融雪は、地下水やヒートポンプの熱を使うのが主流だそうですが、それにしても、地盤沈下、サビ、老朽化と課題はあります。雪国の宿命とはいえ、悩ましいです。
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