墓じまいし、褒められることは少ないだろうが、まさか訴えれるとは思わなかった。朝刊を見て、一歩間違ったら、我が家のお墓の移転も大騒動になったかもしれない。今後なるかもしれないが、時が過ぎているから時効?。
提訴の顛末。父親のお墓に参ろうとした娘(90)だったが、墓じまいされ、墓は無かった。墓じまいしたのは、父親の息子の妻(共に故人)の妹と弟。つまり、姉の嫁ぎ先の墓守を頼まれたのだろう。姉夫婦の姉弟を詳しく知らなかったのは、子供の多い昔なら、ありふれたことだ。
これを読み、私が改葬した墓は、父親、母親、三人の兄の墓である。兄二人は三才、〇才で亡くなっているからお骨は無い。故郷の風習で、墓には骨壷から取り出した骨を、直接カロート(納骨室)へ入れる。カロートは地盤面だから、長い年月で骨は土に戻る。最近これを促進する薬品があると聞く。土と混じり合っているから、分骨などは不可能だ。
父は母以外の女性に子が一人あった。母が私達と暮らし始め、母はその女性に墓守をさせた。腹違いの子は成長し、我が家にも来たことがあるし、大学受験には同伴し、兄貴らしいことを一度だけした。時が経ち、女性は認知症を発症、子は家を出た。風の便りに死亡を聞いた。
死んだ兄は、私が結婚したしばらく後、妻子を残し、女と暮らすために出奔、しばらく行方不明だった。離婚が成立し、義姉は娘を連れて再婚した。兄は籍を入れ、子を認知した。
兄は49歳で病死した。葬儀を行い滞りなく終えた。その時女は39歳、身辺の整理を終え、故郷へ帰ると話した。しかし、その話はいつしか消え、兄の墓が高くて買えないと相談された。再婚の準備だろうと、快く兄の骨を我が家の墓に納めた。
私の長兄家族は、兄を除きエホバの証人、兄はたびたび、故郷の墓に入れて欲しい、と言った。今から思えば『俺は信者ではない』と言いたかったのであろう。
墓を改葬してしばらく過ぎ、故郷へ帰ることも、再婚もしなかった女の子供と嫁が、我が家の墓参りをしていることを知った。悪いことでは無いし、兄も喜ぶだろうと考えるようにしているが、兄が家と妻子を捨て出奔した後の苦労は、耐え難いものであった。女はそれを知っているからこそ、我が子には伝え、子の嫁には諭して欲しいと、毎年盆に思う私。
離婚した義姉の子は『いつかお爺ちゃんのお墓参りをさせてね』と言う。その爺の実子は、実の父親を知っていながら、誰にも語らず聞けず、お墓を実母と守ってくれた時期があったのは確かだ。
近頃の私と妻は、楽しみながらではあるが、毎月お墓に参っている。できるうちにしておくのだ。歳をとったらできなくなる。『墓じまいは、息子の好きなようにせよ。無理をするな』とくどいくらい言ってある。
お墓の状態に口を挟む人は、年に数回しか訪れない、極めて楽な人達だと私は思う。こんなことで裁判沙汰になるようでは困ったものだ。
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提訴の顛末。父親のお墓に参ろうとした娘(90)だったが、墓じまいされ、墓は無かった。墓じまいしたのは、父親の息子の妻(共に故人)の妹と弟。つまり、姉の嫁ぎ先の墓守を頼まれたのだろう。姉夫婦の姉弟を詳しく知らなかったのは、子供の多い昔なら、ありふれたことだ。
これを読み、私が改葬した墓は、父親、母親、三人の兄の墓である。兄二人は三才、〇才で亡くなっているからお骨は無い。故郷の風習で、墓には骨壷から取り出した骨を、直接カロート(納骨室)へ入れる。カロートは地盤面だから、長い年月で骨は土に戻る。最近これを促進する薬品があると聞く。土と混じり合っているから、分骨などは不可能だ。
父は母以外の女性に子が一人あった。母が私達と暮らし始め、母はその女性に墓守をさせた。腹違いの子は成長し、我が家にも来たことがあるし、大学受験には同伴し、兄貴らしいことを一度だけした。時が経ち、女性は認知症を発症、子は家を出た。風の便りに死亡を聞いた。
死んだ兄は、私が結婚したしばらく後、妻子を残し、女と暮らすために出奔、しばらく行方不明だった。離婚が成立し、義姉は娘を連れて再婚した。兄は籍を入れ、子を認知した。
兄は49歳で病死した。葬儀を行い滞りなく終えた。その時女は39歳、身辺の整理を終え、故郷へ帰ると話した。しかし、その話はいつしか消え、兄の墓が高くて買えないと相談された。再婚の準備だろうと、快く兄の骨を我が家の墓に納めた。
私の長兄家族は、兄を除きエホバの証人、兄はたびたび、故郷の墓に入れて欲しい、と言った。今から思えば『俺は信者ではない』と言いたかったのであろう。
墓を改葬してしばらく過ぎ、故郷へ帰ることも、再婚もしなかった女の子供と嫁が、我が家の墓参りをしていることを知った。悪いことでは無いし、兄も喜ぶだろうと考えるようにしているが、兄が家と妻子を捨て出奔した後の苦労は、耐え難いものであった。女はそれを知っているからこそ、我が子には伝え、子の嫁には諭して欲しいと、毎年盆に思う私。
離婚した義姉の子は『いつかお爺ちゃんのお墓参りをさせてね』と言う。その爺の実子は、実の父親を知っていながら、誰にも語らず聞けず、お墓を実母と守ってくれた時期があったのは確かだ。
近頃の私と妻は、楽しみながらではあるが、毎月お墓に参っている。できるうちにしておくのだ。歳をとったらできなくなる。『墓じまいは、息子の好きなようにせよ。無理をするな』とくどいくらい言ってある。
お墓の状態に口を挟む人は、年に数回しか訪れない、極めて楽な人達だと私は思う。こんなことで裁判沙汰になるようでは困ったものだ。
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