植物園の入り口に縁の自慢の一品なのでしょう、キミノガマズミが植栽してありました。自然界にごくまれに存在するものを展示してあります。私ももちろん初めて見るものでとても感激しました。黄色い実のガマズミというのは聞いたことはあるのですが、思いもかけず出会ってしまうと「おおっ!」と声が出てしまいましたね。すごい!なかなかの株です。
名前の通り「黄色い実」のガマズミです。普通のガマズミは赤い実であることはご存じのとおりです。どうしてこういう実ができる種になったのか。突然変異といえばそれまでで、赤い色素と黄色の色素の具体的な化学構造が判ればどういう化学変化の際に間違いが起こるようになったのかがわかるはず。そこをつかさどる酵素の遺伝子の問題という結論になるはずです。
もっとも、実ばかりでなく株の高さが低い感じがしましたから他の遺伝子も変化してしまっている個体のようです。
もっとも、実ばかりでなく株の高さが低い感じがしましたから他の遺伝子も変化してしまっている個体のようです。
ノコンギク?「ノ」が落ちているのに怪訝な面持ちでとりあえず記録に撮って、持ち帰り調べることにしました。結論はノコンギクでよく、花色が特に濃い紫色になる種が昔から選抜栽培されていてこれをコンギクということがわかりました。私が見てきた新潟のノコンギクは普通は白い色。他県には薄青いものから白色まで変化がある種が自生しています。白しか知らないものにとっては青いノコンギクは少々驚きですが、これも変化の幅の範囲。同じ種でも場所により顔は様々ですね。
本当に青い色が強い種です。福島で見たノコンギクの青色はもっとずっと薄い感じでした。さらにこの株は、花弁もやや短めで相当園芸化されたものなのでしょうか。湿性植物園にあったものですからあまり栽培種は入っていないと考えたいのですが・・・・。
10月下旬、箱根近辺には白い野菊が花盛りで道路わきの法面など至る所で目撃されました。草丈は30~40cm位の株がほとんどです。ものを確かめるために車を止めて観察すると、越後にもこの季節普通にあるシロヨメナでした。しかし、越後の種は「タマバシロヨメナ」という名で区別されますからここのシロヨメナとは異なるはずですが、一見した範囲ではわかりません。強いて言えば葉がさらに細身であることくらいでしょうか。持ち帰っての調べではやはり細い葉が決め手のシロヨメナでよいと判明。この種は関西圏など西日本では似たような他の野菊がいくつか自生しているためしばしば混同されるとのこと。しかし、この季節越後ではタマバシロヨメナをしっかり覚えておけば多種との混合はまずありません。難しいキク科の同定には助かっています。
・・と思っているとしばらく行くと、ミカエリソウが出てきました。まだわずかに花があってその容姿の一角が想像できます。後で調べて分かったのですが、ミカエリソウは西日本だけでなく関東南部にも自生する種。箱根にもあるようです。この季節は見返りを起こさせるほどの花の魔力はなくて、枯れ草色に埋没していました。
しべの色がきれいですね。確かにテンニンソウとは格が違う美しさを誇ります。この花であたり一面覆われたらさぞかし砂らしい花園になることでしょう。花冠はしべと異なってテンニンソウと同じく小さいのでわずかにがくから出ているのがわかりますが、それと注意してみないと気づきません。
テンニンソウはブナ帯の幾分湿った場所に大きな群落をつくる種で、越後でも奥山に行くと良くみられます。ここは群落を見せる場所ではありませんから、少量のテンニンソウが展示栽培(?)されていました。私の中ではテンニンソウは「里」の花ではなくて「奥山」の花。人のほとんどいない深い深い山の中で出会う花のイメージで、日常から離れて別世界に来たという証の種でもあるのです。派手な花ではありませんが「テンニン」という言葉の響きもあってなんとなくそういう気分を持つようになりました。(でも、花の語源はよくわからないとか・・・)
同じ属にミカエリソウがあります。図説ではこちらの方がずっと美しい花を持ちます。まだ見ていない種ですから、一度ミカエリソウの大群落を見てみたいなぁと思っています。西日本の種ですね。
同じ属にミカエリソウがあります。図説ではこちらの方がずっと美しい花を持ちます。まだ見ていない種ですから、一度ミカエリソウの大群落を見てみたいなぁと思っています。西日本の種ですね。
「ハグマ」とつく中でコウヤボウキ属に属する種です。越後ではクルマバハグマがその仲間です。オヤリハグマという種もあるのですが、こちらはずっと少なくなります。カシワバハグマは県内にはないと思いますし、私も実物は初めてでした。「カシワ」は柏餅に使う「カシワ(柏)」かと思いきやアカメガシワ(トウダイグサ科)の方なのだそうです。いづれもあまり似ていないと思うのですが・・・。