平標山の山体には針葉樹林が見当たりません。わずかにオオシラビソがまばらにかつ細々と生えている場所を確認しましたが大きく育った針葉樹は皆無に等しい状態です。存在しない訳ではないのですが、針葉樹は5種ほど確認できました。ネズコ(クロベ)、コメツガ、オオシラビソ、イチイそれにかなり低いところにキタゴヨウです。ネズコは山頂から平標山の家へ下るときに確認できました。
ネズコはヒノキ科の高木。亜高山帯の新葉樹林帯では大径木になっているものをときどき見かけます。だいたい風当たりの強い場所に生活することもあって樹形が複雑な形になることもしばしばです。平標は2000m程度の海抜で風も強く当たるのでしょう、積雪も関係して新葉樹林帯ができるには難しい場所のようです。ここにわずかに生育するネズコは斜めに傾いていて、樹形が環境の厳しさを伝えています。
イチイも稜線上に点々と見られました。いずれも矮性でよく見ると幹が折れ曲がっている状態です。よほど風が強いのですね。そういえば、イチイは新潟県内では山麓部では見られず、このような稜線上に見られます。隣の長野県で気づいたのは、もっと海抜の低いところでのびのびと育っているものを見かけますが、新潟県内では経験がありません。積雪や雪質との関係があるのではと考えています。