年々増加を続ける生活保護の国庫負担金が、2009年度に初の2兆円台となる見通しとなった。厚生労働省は同年度当初予算案に前年度比4.7%増の2兆585億円を計上。当初予算ベースでは過去最高額だ。生活保護の受給世帯割合を示す「保護率」は、失業率と一定の相関関係があるとされ、雇用情勢がさらに悪化すれば給付額が当初予算を上回る可能性すらある。
生活保護の受給世帯数は2007年度で1カ月平均110万5275世帯と、前年度を3万世帯近く上回り過去最多を更新、その後も増加傾向にある。同省はこうした傾向や、直近の景気状況を加味して09年度は2兆円以上が必要になると推計した。
2009年度政府予算案88兆5480億円の内、社会保障予算が24兆8344億円で全体の約28%を占めている。社会保障予算の内、生活保護予算は約8%に当たる。
しかし、今後、生活保護費は年を追って増えてくることは間違いない。その要素が最も大きいのは、やはり高齢化の進展だ。
我が国では65歳以上の高齢者が総人口に占める割合(高齢化率)は、2020年に29%となった後も更に増加し続け、2050年には40%に達すると推計されている。
もちろん、高齢化の進捗につれて、高齢者の就業年齢も高くなっていくことは必然だが、一方、傷病者も増えていく。従って、この中から生活保護に頼らなければならない層が出てくることも間違いなかろう。
もう一つ、生活保護者が増える要素は、将来、無年金者が増加してくる可能性のあることだ。現在、非正規労働者が全体の三分の一に達しているが、これらの人たちの多くが、年金保険を支払っていないというのが現実だ。また、中小零細企業に働いている非正規労働者の内、厚生年金への未加入者も多数いる筈だ。
これらの人たちは、納税もままならない状態で、国家予算の立場で考えると、入るものが入らず、出るものだけ出るという往復びんたの関係になる。
このように、将来にわたり、生活保護世帯がますます増えるという予測に対して、政治、経済の立場でほとんど対応していないばかりか、非正規雇用の見直を図ろうとする意思が見られない。
高齢化と無年金者の増加は、将来にわたり生活保護者を間違いなく増やしていく。高齢化は防ぐことはできないが、無年金者を増やさないことは、政治、経済の対応ひとつで可能になる。
生活保護者が増えてきている中で心配なのは、絶対に生活保護を必要とする人に対し、必要以上に無理な条件を押し付けて拒もうとする行政の対応があることだ。 反面、生活保護を文字通り食い物にしている者がいることは確かだが、この見分けを正しく行うことが行政の仕事である。「関連:12月5日」
生活保護の受給世帯数は2007年度で1カ月平均110万5275世帯と、前年度を3万世帯近く上回り過去最多を更新、その後も増加傾向にある。同省はこうした傾向や、直近の景気状況を加味して09年度は2兆円以上が必要になると推計した。
2009年度政府予算案88兆5480億円の内、社会保障予算が24兆8344億円で全体の約28%を占めている。社会保障予算の内、生活保護予算は約8%に当たる。
しかし、今後、生活保護費は年を追って増えてくることは間違いない。その要素が最も大きいのは、やはり高齢化の進展だ。
我が国では65歳以上の高齢者が総人口に占める割合(高齢化率)は、2020年に29%となった後も更に増加し続け、2050年には40%に達すると推計されている。
もちろん、高齢化の進捗につれて、高齢者の就業年齢も高くなっていくことは必然だが、一方、傷病者も増えていく。従って、この中から生活保護に頼らなければならない層が出てくることも間違いなかろう。
もう一つ、生活保護者が増える要素は、将来、無年金者が増加してくる可能性のあることだ。現在、非正規労働者が全体の三分の一に達しているが、これらの人たちの多くが、年金保険を支払っていないというのが現実だ。また、中小零細企業に働いている非正規労働者の内、厚生年金への未加入者も多数いる筈だ。
これらの人たちは、納税もままならない状態で、国家予算の立場で考えると、入るものが入らず、出るものだけ出るという往復びんたの関係になる。
このように、将来にわたり、生活保護世帯がますます増えるという予測に対して、政治、経済の立場でほとんど対応していないばかりか、非正規雇用の見直を図ろうとする意思が見られない。
高齢化と無年金者の増加は、将来にわたり生活保護者を間違いなく増やしていく。高齢化は防ぐことはできないが、無年金者を増やさないことは、政治、経済の対応ひとつで可能になる。
生活保護者が増えてきている中で心配なのは、絶対に生活保護を必要とする人に対し、必要以上に無理な条件を押し付けて拒もうとする行政の対応があることだ。 反面、生活保護を文字通り食い物にしている者がいることは確かだが、この見分けを正しく行うことが行政の仕事である。「関連:12月5日」