こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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リンパドレナージは難しい・・

2011-06-29 22:55:50 | 訪問看護、緩和ケア
終末期の患者さんが多い以上、リンパ浮腫の患者さんも結構いらっしゃいます。

特に、下肢から始まり、どんどん上に上がってきて、腰回りから背中の方までまるで水風船を敷いているようになることもあります。

歩ける方は、何とかトイレくらいはと頑張りますが、足が思うように上がらず、転倒したり動けなくなったりと、やっかいな問題になります。
それに、浮腫が増強することで神経や血管も圧迫して、血流も悪くなり痛みも伴うようになります。
また、さらに悪化すると浮腫みでパンパンになり、薄くなった皮膚が破れリンパ液が染み出て、潰瘍形成することさえあります。
こうなると、フラット紙おむつで足をくるんでも、どんどん染み出るリンパ液ですぐにおむつがびっしょりになることも・・。

何とかこれは避けたいので、早めに対処したいのですが、利尿剤を使ってもなかなかひかず本当に困ってしまいます。

3年ほど前までは、このリンパ浮腫を改善するリンパドレナージの資格を持っている看護師がいましたが、残念ながら夫の転勤で信州に行ってしまいました。

以前、セラピストの講師も呼んで勉強会もしましたがかなりたっているので、再度お願いしないといけませんね。

とりあえず、ビデオを買ったり本を買ったりしていましたが、これはなかなか難しくて、簡単にできるものじゃありません。
術式によって、リンパ廓清したところが違いますから、廓清したリンパに流すことはできないので、じゃあどこに流すのかとか、病気によっては(心臓病とか)負荷がかかって危険な場合もあり、ちゃんと勉強をしないとリンパドレナージとしてはできないものなんだと思います。

とはいえ、ある程度の範囲でリラグゼーションもかねて行う事は出来ると思いますので、今日はちょっと復習をしてみました。

夕方、暇そうなナースMを相手に、ビデを見ながらの手技確認です。
本当は、裸でやるのがベストみたいですね。
まあ、そうはいかないので衣服上からなので、なんだかうまくいかなですわ・・。
オイルとか、クリームとかをたっぷり塗って滑らすようにごく軽くマッサージをしていくわけですが、なんだかつっかるしぎこちなくて嫌になりました・・。

明日訪問するKさんは、最近下肢にリンパ浮腫が増大傾向で、男性包帯での圧迫の指示が出ましたが、どうせならある程度は流してあげたいじゃありませんか。

本来、リンパ浮腫はセルフマッサージも可能です。
Kさんは、このところ体調がすぐれないので、ほとんどこちらでやってあげることになりますが、出来るだけセルフマッサージの補助の形で行えば安全に行えるかな・・と思っています。

肩の後ろ回し10回から始まり、胸や脇腹、腋下のマッサージ、腹部のマッサージ臀部、鼠蹊部と降りていきますが、ストマがあるし腎瘻もあるしで、この辺は余りできないですね。
大腿からひざ裏、ひざ下から足首、足指まで行って戻ってくるのですが、ビデオを見ていると、交互に仰臥位、腹臥位でやっているんですが、こんなに上向いたり下向いたりできないでしょうね、実際。

まあ、なでる程度のことしかできないと思いますが、それでも体にそっとタッチするだけでも癒しの効果はあると思いますので、やってみます。

また、弾性包帯は気持ちよかったとと言っていたそうですが、歩いたり動いたりでだんだんずれ落ちちゃうのを何とかしてほしいと言われています。
弾性ストッキングは、とても高価で今の経済状況では手がでません。
使っていない股敷でもあれば、切っちゃってかぶせるのはどうだろうか、などいろいろ考えています。

どなたか、よい方法があったら教えてください。

リンパ浮腫、在宅ではかなり多いのですが、専門のセラピストにみてもらうには、移動が難しい上に施術料がかなり高いので、なかなか専門家にみてもらうのが難しいです。

やはり訪問看護師のスキルとして、持ち合わせていたいものですが、さてなるべく早く次の勉強会を設定したいものです。

あす、Kさんの足が少しでも軽くなってくれればよいのですが・・。

ところで、今日は朝のカンファレンスで嚥下訓練のためにトロミの勉強をしました。
昨日、Kさんのお父さんの摂食訓練のためのカンファレンスに出席したナースSと、サ責Aが伝達講習をしてくれたのです。
これにかんしては、なるほどーと思えることがありましたので、近いうちにご紹介しますね。

明日の夜は、区役所の人たちと医師会役員との懇談会、交流会です。
医師会立のステーションのため私も、常勤スタッフと共に交流会から参加することとなっています。
区役所は、やっと意思の疎通がスムーズになったころに、配置換えや転勤で人が変わっちゃいますから、なかなか継続したプロジェクトが難しいこともあり、一年に一回でもこうして全員と顔を突き合わせるのも、地域の医師会としては、重要な役目となります。

とうことで、今夜は寝ます。

熱中症予備軍

2011-06-28 23:43:37 | 訪問看護、緩和ケア
暑いですね~。

この時期から熱帯夜とは、いったい日本はどうなっているのでしょうか??

スタッフも訪問のたびに、高齢の患者さんがぐったりしている場面に遭遇しては、エアコンを入れたり水分を取らせたり、何度脱がしても次にはまた着込んでいるフリースやセーターを脱がし、悪戦苦闘をしています。

高齢の方の多くは、どうやら暑さを感じにくいようで、この気温でも窓を閉め切って長袖を着込んでいたり、暖房器具を使っていたりします。

そこにエアコンをいれても、カゼがそよそよ来たとたん『寒い!寒い!』が始まります。
なるべく風のこない場所にベットを入れて欲しいのですが、残念ながら家具やら荷物やらの関係で、思うようなところにセッティングはされていません。

特に独居や老々家庭では、30度以上になった部屋で真っ赤な顔をして、体温も上昇して朦朧としている方に良く出会います。
たいがい汗びっしょりで、ぐったりしていますし、もっとひどければ皮膚もカサカサで、脱水症状になっていたりします。

毎年、この時期になると緊急のご依頼で、点滴の患者さんが増えたりします。

うちのおじいちゃん、90歳ですが炬燵をしぶしぶ外したのが先週です。
未だに、ちょっと涼しくなると『寒いね。みんな寒くないの?』などと言っていますから、こちらもかなり危険だなと思っています。

こういう方が多いので、エアコンをつけて水分を取らせて、環境を調整する事に躍起になりますが、これも本当に追いかけっこです。

今年は特に、3.11以来節電の啓蒙が進んでいて、必要以上の節電で体調を崩す人が増えてくるのではないでしょうか。

現在「、夏のピーク時の電力不足で大規模停電がおこる!」
とか、「節電をしないのは、自分勝手な人」のように言われたりしていますが、少し冷静にリサーチすると、どうも原発がなくても電力は足りているようですね。
火力発電は地球温暖化に悪影響、原発は空気がクリーンみたいに言われていますが、そもそも原発を稼働させるために排出される熱水で海の温度が上昇して潮流に異変が起きていたのだという話も聞きました。

また、PPSと言う自前の発電所では、関電などよりも安い電気を、企業対象に売ることができるそうですが、これはいろいろな規制が罠のようにかけられていて、簡単に契約できないようになっているそうです。
特にガスコンバインという、火力発電でもCO2を抑える仕組みもあるそうで、どうやら原発を巡って利権がらみのきな臭いたくらみが働いているようですね。

現存する原発を安全だと言っている海江田さんとか、本当にそうですかね?
あとで、「想定外でした。」はもう許されないんですけれど・・。

・・って、全部受け売りですので、事の真偽は皆さんもご自分で調べてみたらいかがでしょうか?
政府や関電の報道を鵜呑みにするのも、どうも危険なようですよ。
放射線量も、そうとうまずいらしいですし・・。

原発で命がけで働いてくれている人の安全も、ちゃんと守ってくれるのかすごく不安です。

まあ、そんなこともあって、ずっとクーラー我慢して、扇風機を取り付けたりしたステーションですが、今週はガスのほうのクーラーを使い始めました。
ムンムンの患者さんのおうちで、シャワー浴で汗だくになったスタッフが、熱いハンドル握って帰ってきます。
患者さんの体調を維持する前に、スタッフが体調を崩さないようにしていきたいと思います。

不要な電力は使わないのが大前提ですが、間違った解釈は命とりですから、みなさん必要なエアコンは入れましょうね。

今日は呼吸器勉強会

2011-06-27 23:54:51 | 訪問看護、緩和ケア
本当は3月11日に行われるはずだった勉強会。
今日やっと実現することが出来ました!!

「終末期の呼吸不全への対応」
  ~家で呼吸が苦しくなったとき~

という演題で、コメントでおなじみのYamamoto先生に講師をお願いしました。

今回は、瀬谷区医師会の40周年イベントも合体し、区役所や医療機器メーカーも協賛する講演会になりました。

司会がK医院のK先生で、私が座長ということで、ちょっと緊張をしましたが、Yamamto先生の私への無茶振りがうけて、意外とリラックスムードで終わることが出来ました。

近隣のステーションやケアマネや、いろんなサービス事業所など、うちのステーションの連携先に声をかけ、100名を越す出席希望者が集まりました。
医師会薬剤師会は数人でしたが、地域を支える参加社は、全員真剣に聞き入っていました。

時々私をネタにする他は、、本当に面白いし興味があるお話しばかりでした。
終わってみれば、みんな大満足の講演で、「わーん。うちのスタッフもっと連れてきたかった~」と隣の区の管理者が残念そうに言っていました。

会の終了後、Ymamoto先生とともに2次会へ行きました。

三ツ境商店街にある「串工房」です。
無理を言って21時からの予約を取ってくれました。

医師会長をはじめとして、K先生やM病院のO先生、区役所のIさん、そして私たち女性軍5人。

和気あいあいで楽しかったです~。

私は初めて「マッコリ」を飲んでほほ~という感じ。
いわゆる乳酸飲料に炭酸を入れて、それに酒粕を混ぜた感じ???
思ったほどまずくないかな。
               

何故ヤカンにアルマイト?
ま、なんとなく風情があるというものですね。

飲んだり食べたりおしゃべりしたり・・。
楽しい時間でした。

今夜は、そんなわけでもう寝ます。
先生方もおやすみなさい。(もう。。朦朧状態です~)

学童保育のOBたち

2011-06-25 23:53:00 | 日々のあれこれ
今日は、子供たちが小学生の6年間を過ごした学童保育所「三ツ境なかよし学童」のOB会でした。
通常、OB会に親が行くことはないのですが、主任指導員の忌引きのため、頼まれて3人の母ともう一人の指導員とで見守ることとなりました。

しかも今日は、先月亡くなった元指導員の先生の追悼会でもあります。

食事の準備は、ケータリングを利用してすごく楽をしました。

そして、開始と同時にばらばらとOBたちが集まってきました。

今日集まってくれた子供たちは、上は26歳から中学3年生までで、26名ほどでした。

みな、それぞれ学生だったり社会人だったり、結婚している子もいました。

小学生だった子供たちが、それぞれ大人になって、入り口がガラッとあくたびに「誰?」「あ!!○○ちゃんだ!」と歓声が上がります。
「わー、久しぶり~!元気だった~?」
やがて、みんなガヤガヤワイワイと楽しそうなOB会の始まりです。

ここは、6年間学校から帰った後で過ごした、いわば第2の家ですから、みな「同じ釜の飯を食った仲間」ということになります。

私たち親は、普段会わないOBが来るたびワクワクドキドキです。

なかには、ジャニーズばりのイケメンになっている子もいたり、的屋のアンちゃんみたいな恰好で来る子もいたり、なかなか楽しめました。

大きな身体で「こんばんは―」と入ってきたK君。
子供の頃はとんでもない悪がきで、まず言う事を聞かないし、すぐに手が出る足が出るの暴れん坊でした。
でも、あるときお母さんの再婚で、学童をやめて引っ越して行ってしまった子です。
そのK君が、何と敬語で話をしてきました。
「えー!!K君が敬語をしゃべってる~!?」びっくりしました。

でも、思い白いものです。
見ていると、あのころの落ち着きのなさや、食欲や、大きな身体の割に甘えん坊のところは全く変わっていませんでした。

他の子たちも、それぞれ大人っぽくなったと思っていたら、結局終わりころには「ドンじゃらやろうか!」「ウノやろうよ!」と、あちこちでゲームが始まります。
そのうえ、ワーワーキャーキャーと大騒ぎで盛り上がっていました。

そうか~。
子供たちは、私たちにとってはやっぱり子供たちなんだなぁ。
みんな大人になったけれど、中身は相変わらず人なつっこくて、ここに来れば無邪気な仲間に戻ってこれる。

大人たちはそんな子供たちを眺めつつ、「なんだ、結局中身はそのまんまなんだね~。」と妙に納得。

そういえば、主任指導員が「おやじたちを見てみればわかるよ~、みんな本当に子どもみたいだから。」って言ってました。

一緒に手伝ってくれたOさんは「ってことは、やっぱり人間の中身は小学生くらいまでで完全に形成されちゃうんだね。勉強になったわ~。」とつぶやいていました。

三つ子の魂百までも・・って言うけれど、本当にそうなんだねーと実感したOB会でありました。

10時の解散後は「19歳以上駅集合~!」とか言ってました。
真っ赤な顔した成人のOBたち。

みんなそれぞれがんばれよ~。



朝から大笑いも・・。

2011-06-24 23:34:02 | 訪問看護、緩和ケア
緩和ケアの話が多くて、重い話題のなりがちな私のブログですが、実はけっこうおバカな会話も多いわがステーションです。

今朝も朝からカンファレンスは大爆笑でした。

嚥下訓練中のMさん、ゴックンのときに空気も飲んでしまう癖があります。
そのため、嚥下サポートチームの指導として、いくつかの注意事項がサイボウズLiveで申し送られてきました。

そのなか、5口食べたら背中をポンポンと軽くたたき、げっぷを誘発させる。というものでした。

担当が読み上げると、ナースMがにやりと笑いながら、「え?肩に乗せてポンポンするの?」
「赤ちゃんじゃないんだから!」と大笑い。

私は、担当ナースSちゃんが「はい、じゃあMさん。私の肩に乗ってください!」というと、甘えん坊なMさんが顔を真っ赤にして「それでは、甘えさせていただきます。」と言ってうれしそうに肩に乗るところを空想して、カンファ中ずっとニタニタ笑いになってしまいました。(身内ネタですみません・・)

あとでその空想を話すと、みんなも爆笑でした。

ご高齢の患者さんや、そのご家族との面白い会話も、実はみんな大好きです。

そんなたわいのないバカ話が、私たちにとっては結構癒しになるのです。

患者さんやご家族とのやり取りは、重苦しいいこことばかりじゃなくて、大変な中でも心の底から笑える会話だったりしますがら、みんなそこを承知で時々カンファでも伝えられ、みんなの笑顔に変わっていきます。

ご高齢の、特に認知のある方との会話は、時間に追われる私たちをほっとさせてくれるし、苦しそうな呼吸の中でも「もう帰っちゃうの?また来てね~。それから遊ぼうね~」なんて言われちゃうと、もうたまらなく愛おしくなってしまいます。

朝から、みんなが大笑いできるような話題がある日は、みんなの顔が笑ったまま『行ってきまーす!』と元気です。

悲しいことも嫌なこともあるけれど、やっぱり笑って過ごせる時間は大事です。

大笑いでエネルギーチャージしながら、みんなでいいお仕事をしていきたいですね。


ところで、昨夜は友人の亡くなったお母さんのお清めに行ってきました。
在宅サポートネットワークが終わってからの訪問だったので、8時半ごろになっていしまいましたが、
お線香をあげお顔をみたら、4日立った今もあの眠るようなお顔そのままでした。
実の娘よりも、その夫のほうが堪えているようで、「淋しい・・」と言っては、眠っているお義母さんに何か話かけていました。
自分の妻のお義母さんに、ここまで尽くせる旦那さんは初めてで、それが本当に好きでやっているので、まったく頭が下がります。
オムツ交換から着がえから、妻が不在の時の介護から、夫婦そろっておばあちゃんをつれて、あちこち旅行にまわったりと、いつもニコニコおばあちゃんのお世話をしていました。
うちの夫なんて、自分の親でも出来ないのに・・。

そして、兄弟や近所の人や、関わりのあった仲間とともに、おばあちゃんをしのんでお酒を飲みました。
94歳の天寿全うなので、にみんなで賑やかに楽しくすごし、気が付けば11時をとうに回ってしまいました。
結局帰宅したのが12時過ぎてしまいました。

明日は、その友人に頼まれて、彼女の職場である学童保育所のOB会のお手伝いの予定です。

毎日、次々といろんな仕事が舞い込んできますが、
出来ることを精いっぱいやる。
恥ずかしくない人生を送る。
あっぱれ穏やかな死に方をする。

それを目標に、精いっぱい毎日を頑張ろうと思います。


「来てもらってもどうしようもない?」

2011-06-22 23:31:08 | 訪問看護、緩和ケア
苦しんでいる患者さんを前に、何もしてあげられない無力感は、医療者であれば誰でも経験したことがあると思います。

どうしようもない、何もしてあげられない苦しさ。

「それでも逃げずにそこにいる。」事が大切なのだと言われても、やはりそこにいるなら何とかしてあげたいのが人間です。

今日もそんな場面に出会いました。

肺がんの末期で、感染も起こしているようです。
仲の良いご夫婦で、病床にある認知症の妻が、愛おしくてしょうがないのだと、夫の目が語っています。

一度痰があふれ出すともうとめどなくて、ゼロゼロとして気道をふさぐのです。
一生懸命力を振り絞って、ピンク色の痰を吐きだしながら「苦しい・・」と言葉が漏れます。

結局酸素を上げたり、オプソをなんとか飲ませたり痰を出しやすいように補助したり・・なんとか落ち着き徐々にSPO2も回復していきましたが・・。
これを繰り返せば、身体はますます衰弱するでしょうし、夫の苦しみも増すばかりです。

主治医に連絡をすると、今日往診に来てくれるとのこと。
それを伝えると「来てもらっても、治るわけじゃないんだろ・・。」と夫がつぶやきました。

「それなら、来てもらってもしょうがないじゃないか・・。」

絶望的なことば・・。

「それなら、一時的に人工呼吸器でもなんでもやってくれ。長い間じゃなくてほんの一時だけでいいんだ。」

何とかしたい思いが、極論になります。

「おとうさん。人工呼吸器は、一度つけることを選んだら、そんなに簡単には外せないのよ。」
「え、そうなんだ・・。苦しい時だけじゃダメなのか。」

「あんたたちだって、電話したらどれくらいで来れるんだ?それで来てもらってどうするん?」

それからしばらくお話をしました。
そして、主治医の先生に、その内容をお伝えしました。
「お父さん。やっぱり先生に来てもらおう。そして、今夜もまたこれがひどくなったときにどうするかをちゃんと決めておこうよ。だから、お父さんも考えておいてね。」
「そうか・・。わかった。」

結局、まだ穏やかな時間もある中で、意識だけを落としてしまう事はしたくないからと、定時の麻薬を増やし、レスキューもちょっと変えることとなりました。

何もできない、何もしてあげられないことの悔しさの中で、それでご夫婦の時間が少しでも穏やかであれればと願うだけです。
そして、唯一出来るとしたらその苦しみを聴くことと、医師との連携で緩和することだけです。
まだまだこれから在宅で可能になっていく治療もあるのだとは思います。
でも今は、出来ることで最善を尽くす。
それしかないし、それが限られた命の天命なのだとも思います。

「何をしてくれるのか?治してくれるのか?」

きっと、患者さんのご家族の本音なのだと思います。

それでも、なんとか向き合っていけるように、やっぱり私たちはそこにいるべきなのだと思います。

旅立ちの身支度

2011-06-21 23:20:58 | 訪問看護、緩和ケア
今朝、静かにスッと旅立たれたおばあちゃん。

本当に自然のままに、ゆっくりと残りの蝋燭を燃やしきるように、逝かれました。

余分な輸液をしない分、浮腫みもすっかり消えて、痰がらみも全くななかったので、ぎりぎりまでスースーと眠るような呼吸をしていました。
下顎呼吸になったのは、ほんの数十分だったようで、ほんの数分の間に旅立ってしまいました。

もともと、信仰に篤くご先祖様もしっかり守ってきた方です。
遠い東北の地から、娘さんのお宅に引き取られて3年。
死出の旅は、古くからの支度が望みのはず・・と、白装束を希望されました。

最近は、ほとんどの方が一番お気に入りの服であったり、着物であったり、時にはドレスであったり民族衣装であったりと、それぞれご家族が選んだ装いをしての旅立ちをされていました。

まれに、宗教的な意味合いでお寺からの装束で支度をされる方がありますが、あとはお洋服の上に白装束をかけたりと、それぞれの方法で支度をされていました。

でも、今日は質素ではあるけれど、真新しい白い装束を着ていただきました。

色の白いおばあちゃんのお顔に、真っ白い着物がとても似合って、とても清らかな神々しい姿となりました。

やはり、功徳を積まれた方なのだな・・、と眠るようなお顔を見て思いました。

映画『おくりびと』でも、白装束のお別れの儀式をやっていましたが、日本人としてこれもなかなかいいものだなと改めて思いました。

白装束と言っても、一般的にはお遍路の衣装を指すようで、「死装束」とか「仏衣」などというようですね。
ネットで検索すると、ほとんどがとんでもなく高額な代物ばかりで、安くても50000円くらいから、上を見れば数十万もするものばかりで、びっくりしてしまいました。
素材も絹100%豪華刺繍入り、フリル付きみたいなものがほとんどでした。

岩手県出身のスタッフ曰く「昔は、家族みんなで白装束を縫って用意していた。」とのこと。
本来は、清楚でシンプルなものなのだと思います。

今回、Tステーションで購入しているものを分けていたのですが、値段も5000円以下で、とても清楚なものでした。
余計なものは一切ない、肌襦袢と腰巻、そして仏衣は2重ガーゼの浴衣のようなもので、肌に優しそうなセットになっています。
値段はやすいけれど、決してみすぼらしいものではありませんでした。

お別れの準備について説明をするときに、何を着せようかずっと悩んでいるご家族が時々いらっしゃいますので、そういう時に仏衣があると余計な心配をかけずに済むかもしれませんね。

うちのステーションでも、お譲り出来るように用意してもいいかなと思いました。



ところで、数日前に市の役員だったHステーションの管理者Hさんから、大きな封書が送られてきました。
何かなー??と思って封を開けると「アルツハイマー型認知症」の新薬のパンフレットでした。



来月発売の、今話題の新薬のパンフで、同時に2社から出るんですね~

リバスタッチパッチとイクセロンパッチ。
小野薬品とノバルティス。
しかもパッチですね。

毎日交換で、4.5㎎から始めて18㎎まで増量するんだそうな・・。
たしかに、服薬だと飲んだり飲まなかったりで、飲んでもらうのも一苦労だったりしますが、背中に何気なく貼っちゃえば、確実に必要量は吸収されるわけですね。
でも・・、貼ってくれる介護者がいないとやっぱり難しいかも。

いろんなパッチが出てきて、みんなで想像してしまいました。
「喘息でホクナリンテープ貼って、狭心症でフランドールテープ貼って、癌性疼痛でフェントステープとか貼って、これを貼ったら、テープだらけになっちゃうね。」(笑)

でも、ADLがすごく改善するとかって書いてあるし、ちょっと期待できそうですね。


それにしても、18時半からめぐみ在宅クリニックの『地域緩和ケア研究会』もあり、今日も遅くなってしまいました。
今日は学生さんがたくさんいたのか、随分たくさん参加者がいました。

今日も事例の検討でしたが、Aステーションさんも随分大変な患者さんと向き合ってきたのだなぁ・・と感心。
困難事例に出会っても、みんなで向き合って乗り切れたらいいなと思います。
なにより、患者さんとそのご家族が、悔いのない在宅療養が出来るといいですね。

何作る?

2011-06-19 18:07:21 | 草、花、収穫
最近、手作りスウィーツにはまっている娘。
昨日は、フルーツたっぷりのケーキに挑戦しました。
とはいっても、なんだかんだと手伝ってやっと完成となりました。

 このボリューム感は何?。

無理やり果物を全部乗せた娘。
せっかくのベリーが下になって、彩りがいまいちに・・。
昼過ぎに作り、冷蔵庫に入れて食べたのは夜でしたが、ケーキはちょっと寝かせ他方が美味しくなりますね。

夜、みんなで切り分けて頂きました。 

想像していたよりも、すごく美味しくてびっくり!

スポンジもふんわりしっとり、見た目はともかく味はかなりのものでしたよ。

確かに面倒といえば面倒なのだけれど、娘とケーキを作るのは結構幸せな気分です。

次々といろんなものにチャレンジする娘が、少しずつ大人になっていくようで、まぶしい時があります。

次は何を作ってくれるんでしょうね。

ところで、庭は今日もどよーんと薄曇りです。

でも、緑はどんどん色濃くなって、庭中草でボーボーとなっています。

つい最近まで蕗で覆われていた裏庭は、今はミョウガで覆われています。
うちのミョウガは秋茗荷なので、8月の終わりから9月にかけてが収穫となります。
              

その奥に見えるのが山椒の木。
うちには3本ほどありますが、今は青い実がたくさんついています。


今日はこの実を摘んで、縮緬山椒を作りました。
青い実は、潰すと鮮烈な山椒の香りがします。
潰した実とそのままの実を、今日は釜揚げのシラスと共につくだ煮にしました。
チリメンジャコとシラスの違いはよくわかりませんが、きっと固めに干したものがチリメンジャコなんだと思います。私的には、あまり固いおじゃこで作るよりも、釜揚げのシラスでふっくら煮る方が好きです。
山椒の香りと、ピリッとしてちょっと舌がしびれるような実の刺激が、食欲を増進しちゃいます。
このチリメン山椒を熱々のご飯に混ぜて、おにぎりにすると止まらなくなります。
要注意ですね~。

そして、庭の手前奥の方は、雑草と紫蘇でやはりボーボーです。

なんじゃこりゃ状態。

紫陽花が最盛期です。

ちなみに、イチジクが変な格好で実を着けています。
 これから熟すのかな??
このままではあんまりおいしくないのですが、ワインでコンポートにすると結構美味です。

そしてお花。
大好きな下野(しもつけ)の花。 
可憐で線香花火みたい。

 ストケシア

 ムラサキツユクサ

これは山桜桃梅(ゆすらうめ)
子供の頃はすごく美味しいと思ったんだけど、今は酸っぱくて・・・。

先日、こんな苗を植えてみました。
 シカク豆って書いてあった。
沖縄のマメらしいのですが、なってからのお楽しみです。

周りに置いてあるトゲトゲは、柚子の枝です。
猫に苗を掘り返されちゃうので、これを置いておくとさすがの猫ドンも掘り返せません。

あんまり暑いのもいやですが、そろそろお日様が恋しくなりますね。

病状説明をだれがするか。

2011-06-18 20:18:24 | 訪問看護、緩和ケア
入院中の場合、患者さんの病状説明は医師の仕事です。
看護師に「今どんな具合ですか?あとどのくらいですか?」と聞いても「主治医に聞いてください。」と言われます。
ですから、状態を知るためには、医師のスケジュールに合わせてアポイントを取り、それよりもさらに何十分も待たされて個室に通され、緊張の中病状説明を受けるという手順が一般的になります。

でも、在宅はどうなんでしょう?

普段看ているのは家族で、その次に関わるのはヘルパーであったり看護師であったりします。
だからと言って、ヘルパーは病状に関しては専門外ですから、その疑問を一番聞きやすいのは、やはり訪問看護師と言う事になります。

医師は、定時往診のほかに臨時の往診はありますが、毎日の状況を把握しているわけではありません。

うちのステーションでは、もうずいぶん以前から病状の説明と、どこで最後を過ごすかの最終確認について、文書を交換しています。
そのうえで、最後を在宅で過ごされるという方には「お別れ」の説明を、やはり文書でお渡ししています。

だんだん食事が食べられなくなること、眠る時間が時間が長くなることから始まり、浅くて速い呼吸から、呼吸と呼吸の間が少しずつ長くなり、顎が上がるような短い呼吸になること、やがて間隔があいて呼吸が止まることなど、ほとんどの方が通る経過を順に書いたものです。

そして、最後ご家族が時間を確認し、連絡を入れてもらうまでの手順が、わかりやすいように書いてあります。

時期をみて、いよいよお近くなった時に、落ち着いて話せるように時間を頂き、お話しをします。

多くの患者さんのお看取りをしてきて、一番の不安は何かを聞いたとき、ほとんどの患者さんのご家族が訴えることは「先の見えない不安」でした。

「これからさき、看取るといってもどうなっていくのかが分からない。」
「もし苦しんだらどうしよう。」
「どんなふうに看取るのかわからない。」

こういう言葉をかならず聴いてきました。

このために、時期に合った病状説明をし、この先の起こるであろうこと、その時どのように対応するのかを予測しながらお伝えすることで、ご家族は安心して過ごすことが出来たと言ってくださいました。

これからの治療方針や、詳しい病態は医師でなければ説明はできないと思いますが、生活の中で予測される状態の変化は、日常の中で受け止められるようにしなければならないと思います。

今まで、いつも連携している先生方は、このことをよく理解してくださっていて、医師とは別に行われる状態説明やお別れの予測、説明に関して何も問題はありませんでした。

でも先日、ある先生から「患者さんのところへ行ったら「お別れ」とか書いてある紙があったけれど、誰がそれを判断したの?僕は医者なんだけれど、僕はまだそう判断してないんだけれど。」と。

うーん。ちょっとびっくりでした。

確かに、今の状態は誤飲性肺炎によるもので、抗生剤で治る可能性が全くゼロではないのだと思います。が、廃用症候群による衰弱やけいれん発作や、栄養状態の悪化や点滴の拒否などを考えれば、予備力もなく血圧もSPO2も低下している今、状況は切迫していると思われます。
なにより、ご家族の心理的な動揺や混乱を考えた時に、しっかりと現状を見据えていただく必要があると判断しました。

主治医にはその理由をお話しし、わかっては頂きましたが、やはり「僕を通して全部やってほしい。」という事なのかな・・と思うとなんだか複雑な気持ちです。

この方の場合も、最終確認をしてお別れの説明をしたことで、ご家族は落ち着きを取り戻し、今後のことを姉妹にも相談し、もしもの時を受け止めることが出来ました。
表情にゆとりが出来て、穏やかに見まることが出来るようになったと言います。


ターミナルケアにおけるコミュニケーション―死にゆく人々・その家族とのかかわり
Jean Lugton,浅賀 薫,宮本 祐一,柿川 房子
星和書店


この本の中第4章 「継続的な情報提供とサポートが出来ているか」

のなかで、家族のニーズについてこのような記述があります。

<ライトとダイクはがん患者と家族のニーズについて調査した。中略、家族には患者の状態について情報を知り続けることと本人が安楽であると保障されていることが第一であった。

中略

家族は医師からの明快な答えを引き出せないし、医師と会えないし、電話での問い合わせも、看護婦から毎日進行状況を聴くのも困難になった。ライクとダイクは、患者や家族のこのような情緒不安、苦痛を緩和できる立場に最も適しているのは看護婦であると述べた。

「家族は看護婦に毎日の治療や薬や副作用などの説明を聞きたがっている。これらの情報は家族にとって近い将来への現実的なコーピングに役立つ。待つことの辛さを看過してはいけない」

中略

家族の多くは問題が起きればその都度それに向き合い、新たな不安が出てくればその日その日でうまく対処していくことを望んでいた。家族は直面する辛さにその場で対処したいのだ。>


この著者はアメリカ人ですし、ホスピスでの研究ではありますが、家族の思いがかけ離れているとは思えません。
特に在宅では、日常を家族だけで見ている分、訪問看護師に望むことは大きいような気がします。
医師はもちろんのこと、日常のなかで心穏やかに起こり得ることを知っておく必要があると考えています。

とはいえ、関わる人もそれぞれ考え方がありますし、今後関わっていく医師や他のサービス関係者などとも、さらに分かり合っていかなければならないと思います。
そして、自分たちがやっていることを、もう一度再確認していく必要も感じています。


寝ちゃいましたぁ・・・

2011-06-16 23:55:45 | 訪問看護、緩和ケア
さて、今日は何を書こうかな・・と思っているうちに、とてつもない睡魔に襲われて、9時半過ぎにちょっとだけと横になりました。

そして、はっと気が付くと部屋には誰もいず、すでに12時近く・・。

結局2時間近くも爆睡していたわけで、最近は時々こんな状態でブログ更新もさぼります。

こういう寝方をすると、身体は痛いしどうも中途半端でボーっとしてしまうので、なるべく避けたいのですが、なんだか今は目が覚めてしまいました。

まあ、明日は金曜日なのであと一日頑張って過ごせば、また寝だめができるのでいいとします。

それにしても、今週は結構濃い一週間でした。

随分とたくさんのお別れに関わってきましたが、「死」というものをじっくりと考える時間が持てたような気がします。

何かがわかったような。(何かが何かは表現できないのですが・・)

今日は、看護学生が二人と、訪問看護研修の実習生が二人来ていて、ステーションも賑やかでした。
研修の二人は、現役で訪問看護をやっている仲間ですから学生さんとは違い、より実践的な視点で同行をされたり質問をされたりしていました。

やはり各ステーションで、モチベーションや取り組み方や考え方は違うので、他のステーションを見るというのは、とても刺激になりますね。

一人の方が、うちのスタッフの横との連携や、患者さんの心に寄り添う姿勢に感銘を受けてくれました。
日常のスタッフ同士の会話にも、いつも熱い思いがこもっていて、心に寄り添おうとするのがよくわかると言ってくれました。
それは、どんなほめ言葉よりもうれしい言葉です。


いま、二人の娘さんがお母さんとの別れを前に、それぞれが死と向き合っています。


心揺れながら、無我夢中で介護をし、常に葛藤の中、張り詰めた糸のような繊細さで向き合うひと。
穏やかな時間に身をゆだねて見守っているひと。

病気も背景も、そこに至る過程も全く違うご家族ではありますが、お母さんへの思いは、皆同じだと思います。

そこに寄り添うスタッフもまた、その家族の思いに揺れながら見守っています。

その反面、新しい患者さんも次々と入ってきます。

めまぐるしい毎日の中で、どんなに忙しくても、やはり心に寄り添える訪問看護ステーションでありたいと思います。


                   

ウソみたいに穏やかな時間

2011-06-14 23:37:32 | 訪問看護、緩和ケア
ついさっきまで昨日、一昨日の記事へのコメントにお返事を書いていて、人の死にゆく姿を思いめぐらせていました。

私の友人のお母さんの訪問を依頼され「最後にお粥を一口食べて死にたい。」という希望を抱えるためにかなり強引に家に連れ帰ってきて3年。
長い間CVからの輸液のみで、認知の症状まで出始めていたお母さんが、家に帰ったとたん元気になって、「食べたら死ぬよ。」と言われていたのに、5日後には刺身を食べていました。
1週間後には、CVラインも抜去。
以来、ヘルパーさんや愛犬と昼は留守番。
車椅子であちこち旅行へ連れて行かれ、故郷への帰省もはたし、そして今、あちらの世界へ旅立つ準備をしています。

友人は、まるではしゃいでいるように見えるほど、明るく振舞ってはいますが、そうすることで、母との別れを自分に言い聞かせているのではないかと思います。

どれほどの親孝行をしてきたか、私たちは知っています。

お母さんは、もうほとんど水も飲めません。
けれど、とても穏やかに、そして安らかな息をして、眠っています。
痛みや苦しみはなく、額に縦しわもなく、周囲の言葉はわかり頷きますが、言葉はありません。
浮腫みはすっかり消えて、自分の身体のなかの燃料を、少しずつ燃やして静かに呼吸をしています。

「食べることをやめたんだね。」みんなそう思いました。

「これはどういう事なんだろう?不思議なほど元気に見える。血圧も酸素飽和度も全く異常がないなんて・・」と娘。

私は思わず「功徳・・じゃない?生きてきた過程が、最後に写るんじゃない?」
むすめ「功徳。うんそうだね。そういう人生だった。」

昔から、おじいちゃんやおばあちゃんが「これは功徳だよ。」といって、困っている人を助けたりしていました。
なんとなく「功徳」という言葉は知っていましたが、この時「功徳だな。今までの。」って思いました。

「功徳」とは、宗教、信仰、文化などにかかわらず「普遍的によいことをする」事だそうです。
また、仏教でいう「功徳」とはと調べると、これは宗派によって微妙にとらえ方が違うような・・・
よくわからないけれど、辞典では「よい果報を得られるような善行。普通、供養(くよう)・布施(ふせ)の類をいう。」 らしいですね。

私は、「普遍的に良いことをする。」という意味がいいな、と思いました。
お念仏を唱えるとか、お題目を唱えるとかになると、仏教なのかな。

でも、古くからの善行に対する尊敬や感謝の気持ちの表れとして、「功徳を積む(くどくをつむ)」と言うように私はとらえています。

今日、クリニックのIナースが「今日会ってきた。会えたことに感謝。まるで仏様のようなお顔だった。」と涙ぐんでいました。

うちのスタッフも、おばあちゃんにあってくると同じことを言います。

そんな風に周囲に思わせて「逢えて感謝。」と言われて、旅立てたらなんて素敵な事なんでしょうね。

                  

家族の苦しみ

2011-06-13 22:46:30 | 訪問看護、緩和ケア
長い介護の中で、多くの人が「生きていてほしい。」「出来るだけのことをしてあげたい。」と思います。
それは至極当たり前のことだし、そのためには医療者から勧められた処置を施し、小康状態を保てたことに安堵します。
その安堵の時間のなかで、家族との大切な時間を過ごすことが出来れば、それは本当に幸せな療養生活(介護生活)にもなります。

けれど、人は必ず死ななければなりません。


いつの頃からか、徐々に落ちていく体力、合併症の悪化、次々に起こる病状の変化。

出来ることはないのか、苦しむことはないのか、辛い治療はもうしたくないけれど、失いたくない。

どうすればいいのかわからず、このころは本当に苦しく辛い時間となります。

時に、自分のしてきた介護に後悔をしたりもします。
「あの時こうすればよかった。ああすればもっといい結果になったのに・・」

胃瘻や、気管切開や、IVHやあらゆる延命措置を行うかどうかの選択を強いられ、「生きていてほしい。」思いと「苦しませたくない。」思いの間で、葛藤して答えを探して、決定するのです。

それでも、あとからまた後悔したり、これでよかったと言い聞かせたり・・。

そんな苦しみを経て、お別れも近いあるとき、ふとこんな言葉を聞くことがあります。

「私、どうしても生きていてほしくて、随分と無理をさせてきたと思います。胃瘻もそうだし、こんな形で母は私のために無理やり生かされてきて・・。私の我儘で本当は辛い思いをさせているのかもしれません。」

今までも何度となく聴いてきた言葉です。
必死に生きるすべを模索してきたあとに、ふとそう思う・・。

そしてそのあと、ふっと肩の力が抜けて、次に目指すものが静かな穏やかな別れとなるのです。

必死に、ストイックなまでに献身的に介護をすればするほどに、その思いは強くなるのかもしれません。

訪問看護師たちは、今日もそんな家族の苦しみに添っています。

愛すればこそ、生きていてほしい。
生きていてほしいけれど、これ以上の苦しみは与えないでほしい。
生きている時間にこだわることが、今苦しみではないのか?

大きく揺れながら変化していく心を、要所要所でキャッチできるように、いつでも耳を傾けていたいですね。



大樹

2011-06-12 22:46:53 | 日々のあれこれ
            

実は、3月のお彼岸にも4月21日の母の命日にも、お墓参りに行けなかったことがずっと気がかりでした。

先日、知人にお墓参りに行けなくても「写真にお供えをしてお線香あげるだけでもいいのよ。そういう事が気になるなら、大きな木に抱き着いて浄化してもらうといいわよ。」と言われました。

すごく気になっていた私は、母の写真の前に出来たてのりんごジェリーヨーグルトをおいて、お線香をあげたりしましたが、なんかこうすっきりしませんでした。
これはもう、気持ちの問題なんだとは思いますが、意外とそっちの世界のことは信じたいほうなので、やっぱり今日お墓参りに行ってきました。

私が育てた花をいっぱい抱えて、母に会いに。

「お母さん。遅くなってごめん。みんなの事、見守っててね。」
それしか言えなかったけど(都合のいいお願いだけで・・)母はきっと笑いながら私たちを見ていてくれると思います。


帰りにお寺の境内にあった楠に抱きついてみました。
仏舎利塔の前にある大きなクスノキです。

なんだか、ナウシカの気分です。

確かに、大きな幹に耳を当てると、かすかに音がする・・様な気が

上を見上げると、緑の葉の隙間から空。

あー、すっきりした~

帰宅途中に、つくし野のツルカメに寄りお買いもの。
相変わらず、お魚市場の盛り上がりがたまりません。

お刺身を買い、果物を買い、赤紫蘇を買いました。
娘のリクエストで今年初の紫蘇ジュースを作りました。

きれいなルビー色。   


ポリフェノール&クエン酸たっぷりの疲労回復ジュースです。

そして、大好きなベビーコーンも買ってきました。

  皮をむくとすごく小さくなってしまいますが、茹でてサラダでも、スライスして炒めてもおいしいですよ。
でも、今夜は酢豚に入れました。もちろん美味し買ったです

結局今日も一日あっという間に過ぎていきました。(お勉強はちょっとだけ・・
明日からは、また忙しい毎日が始まります。

とりあえず、気持ちを切り替えて頑張ろう!

今夜はインド料理

2011-06-11 22:21:24 | 旅行・グルメ
瀬谷駅そばのインドカレーのお店『ナマステ』

時々ランチを食べに行っていたけれど、夜のメニューも気になっていたので、今夜家族で行ってみました。
「外に出たくない。」という婆ちゃんは、お土産を買っていくことにして、おじいちゃんも連れて行きました。

最近混んでるという話を聞いていたので、予約を入れておきました。
(電話もとっても感じが良いですよ。)

おじいちゃんは、お店の雰囲気にちょっとびっくりしているようで、メニューを見ても「これは、普通のカレーじゃないの?スタンダードなのはないの?」って不安そう。
「ここは、本当のインドカレーのお店だから、ちょっと違うんだけれど、お任せでいいい?」

ということで、私が適当にいろんなものを頼んでいきました。
なんてったって、今日は大食いの息子が一緒なので、いくら注文しても残すことはありません。


まずは旦那がネパールビール「ゴルカ」を注文。
あっさり、すっきりした感じ。
次にネパールビールの「ネパールアイス」
苦みがちょっと残るけど、こっちのほうが美味しい!
大学生の息子も、夫もこちらに一票。

ソフトドリンクはやっぱりラッシー。
昼とは、グラスも違います。

「もも」だって。 だって。
ミニ肉まんのインド風。
 野菜のパコダ インド風かき揚げですね。美味しい。

ガーリックティッカは、ニンニク風味で柔らかくて香ばしくて大好きなので、写真撮るのを忘れて食べちゃいました。
おすすめです。

 サービスのピクルス。
胡椒がめっちゃ効いていて、かなり辛いのだけれどメッチャ美味しい。
大根?ニンニク?人参??
それに何かがかかっていて、うまいです。

チーズのナンと、ガーリックのナンを頼みました。
チーズは、ちょっと甘さが強いのかな?
でも柔らかくって美味しいです。
ナンは、どれも熱々なので要注意ですね。

たくさんあるメニューから選んだカレーはこれ。
なすとジャガイモのカレーこれ美味しいです!

甘さと辛さとコクのバターチキンカレー 

 エビがプリプリエビカレー これも好きです。

うーん。食べた、食べた食べました。

お店のお兄さんは、「カラクナイデスカ?」と何度も娘に気を使ってくれました。
そして、おじいちゃんの英語のお相手まで・・。ありがとうございます。
(じいちゃんは、英語を忘れないように・・なのか、外人がいれば英語で話しかけます。でも・・、日本語喋れるんだってば・・。)

そして、みんな満腹でデザートは無理と言っている中、息子は「これがどうしても気になる。」といってデザートを注文。
「グラブ・ジャブン」だって・・写真だけではよくわからない。
「これは何?」と聞いたら「インドのデザートです。」だって。
わからん・・。

そして来たのがこれ。

この丸いのはなに?ブドウ?
汁イコールシロップ。激甘!!
まるいの。まるいカステラ、もしくはサーダーアンダギーの小さいの。
それが、激激甘いシロップにどっぷり浸かっているものでした。
これは、参りました。
私は無理です。が、息子はなんとか丸いのを食べきりました。さすがにシロップは無理。

あつーい国なので、辛ーいものと甘ーいものを好むのかもしれません。

で、あとはみんなで完食いたしました。
「ごちそー様でした。ナマステ~」 満足です。


家族やヘルパーの吸引指導(口腔)について

2011-06-10 23:56:48 | 訪問看護、緩和ケア
随分前からALSの支援をきっかけにヘルパーの吸引が議論され、現在は医師・看護師の指導がなされることなど、いくつかの条件で可能になっているとおもいます。

とはいえ、これは現実的になかなか難しくて、積極的にこれをやろうというヘルパー事業所はかなり少ないのではないでしょうか。

どちらかといえば、「はい!はい!やります。やりたいです。」と簡単に手上げされても、そちらの方が心配だったりしますから、ヘルパーさんにどうしても依頼する必要があるかどうかは十分検討しないとだめですよね。

吸引と言っても、気管内吸引は別物で、神経難病にかかわる吸引指導は国の指針もあり、障害者施設や障害専門のヘルパーなどは訓練されてしっかりできている方も多いとは思います。

ここでいう吸引は、在宅で長期療養から肺炎を併発したり、廃用症候群などで痰の喀出困難がある方の場合を想定しています。

ですから、必然的に口腔からの吸引です。

鼻からの吸引は、よほどのことがない限りご家族でも難しいので、口腔吸引のみということです。
鼻は、まっすぐにチューブを入れると鼻腔内の壁にぶつかってすごく痛いし、鼻汁や痰がたまっているのはその奥、副鼻腔から上咽頭なので、そのカーブに沿ってしっかりと挿入しないとうまく引けません。
ほとんどのご家族は「絶対無理」と言われますし、やってみたけど鼻血が・・・ということになります。

で、もうすぐヘルパーさんへの講義があるので、そこにも少し触れるため、結構あちこち調べてみましたが、この手のマニュアルはみなそれぞれの施設や事業所、あちこちの団体で個別に作られていて、国が公式に作っているわけではないようです。

内容的には、だいたい皆同じ流れで作られていますが、写真や動画など見ながらのものがわかりやすいようです。
ただ、現場でマニュアルとして置いておくのであれば、出来るだけシンプルな方がいいし、やはりうちでもオリジナルを作って置いた方がいいかなと思いました。
そういえば、県の協議会の訪問看護マニュアルにもありましたが、あれをそのまま使うのは、ちょっとご家族には難しいところもあるので、もっとシンプルかつ見た目でわかりやすいものにしたいなとおもいます。

うちは、昔からの患者さんから贈られた吸引器が6台ほどあり、あまり長期にならないかたに、消毒料と交換の部品代だけ頂いてお貸ししていますので、出来ればそこに添えてお渡ししたいと思っています。
(今は緊急用以外全部貸し出し中です。)

吸引指導をして、ご家族にも覚えて頂いて順調にやっているかと思いきや、見ていると口腔とはいえいつまでも吸引カテを入れたままで、呼吸が止まりそうになっていたりすることもあり、最初の指導だけではなく、毎回の技術指導は欠かせないなと思います。

そういう意味でも、全く怖いもの知らずで吸引を簡単にやってしまうよりも、慎重に考える方のほうが、結果安全にできるのだと思います。

ヘルパー事業所的には、出来ればやりたくないのでしょうし、可能な限りご家族対応が好ましいと思います。
どうしてもの時は、やはり医師の指示、家族の同意と依頼、不測の事態を想定した対処方法や連絡方法の確認、看護師の技術指導が必要になります。
結果、認知のあるご家族が行うのをヘルパーが見守る形だったりして、なんだかなぁ・・と思ったりもしますが。
ご家族とて、口の中に管を突っ込んでまで痰を取るのはとても抵抗がありますので、在宅の場合は割りばしに綿を巻いて取ったり、指でかき出すなどで良しとすることも多いです。
いずれにしても、よくご家族と話し合うしかないですね。

できれば来週中にはうち独自の、見やすく明るい吸引(口腔用)マニュアルを作りたいと思っています。