こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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久しぶりにうららのこと ~ ヘルニアの恐怖

2014-05-20 23:41:57 | うらら
うららは、2歳のフレンチブルドックです。
2年前の4月に、我が家にやってきました。
「娘のために」という名目でしたが、結局は私のためにやってきたのです。
この2年間の、苦しみや悲しみや、悔しさや、辛さは、うららがいたから乗り越えて来れました。
私にとっても、うららにとっても、お互いはなくてはならない存在で、今の私にとっては、肉親そのものの存在です。

うららはよく遊ぶ子で、フレンチブルドックにしては珍しいねと言われるくらい、よく走る子です。
お友達のワンコ達と、野原を全速力で走り、じゃれあっては私のところに戻ってくるのです。



               

休日に、野原でワンコ仲間たちと一緒に過ごす2時間程のあいだ、楽しそうなうららを眺めながら、ワンコたちのパパやママと話をするのが、私の一番お気に入りの時間でした。

この前の日曜日も、暖かな5月の空の下、たくさんのワンコ達と走ったり、転がったり、じゃれあったり、本当に嬉しそうにはしゃいでいました。

いつものように,帰ってからは疲れて食事をたっぷり食べたあとは、私のそばでぐっすり眠っていました。

私もとても疲れていて、「おいで、先に行ってるよ。」と、うららに声をかけて寝室に行きました。

いつもなら、あとからとことこ付いてきて、ベットに登ってきて私のとなりに滑り込むのですが、その日は来ませんでした。
最近、時々居間で夜中まで眠って、深夜にやってくることもあったので、私もぐっすり寝こんでしまったのです。

ふと気がつくと、ハアハアと苦しげな声でうららがベットの下に立っています。

すごく荒い息と、辛そうな表情。
起きてみると足が異常に硬直して、変な歩き方ををしています。
何より、だこうとすると痙攣するようにもがいて嫌がるのです。

朝の4時でした。
嫌な予感、ただ事ではないと感じました。

24時間診療の近くの病院に連れて行きましたが、夜中なので検査はできないと鎮痛剤の注射をしてもらいましたが、朝までには再び苦しそうにして、横になって眠ることができなくなっていました。

かかりつけの獣医さんに預け、仕事に行きましたが、2時間ほどすると獣医さんから電話が有り、「麻痺がすごく進んでいます。早くMRIがあって、緊急手術ができる大きな動物病院へ運んでください!待てません!」と言われました。

この時職場の知人に戸塚にある高度救命救急の動物病院を紹介されて、かかりつけ医の情報提供書も持って車で運びました。
すでに抱き上げることもできず、ケージを借りて行きましたが道中の麗は、本当に不安と苦痛と恐怖の中にいました。

それからCT,MRIをとり、結果椎間板ヘルニアの最重度の状態とわかりました。
このとき、すでにうららの痛覚も失われていました。

私はただただオロオロとして、結果を待つあいだも、泣いてばかりいました。
一番辛いのはうららなのに。

残された選択肢はそのまま手術するしかありませんでした。
どうか、うららを助けてください。痛みをとってください。

手術を待つ間、娘を迎えに行き一緒に待ちました。


そして、手術が終わりやっとうららに会えると思ったら、それはマジックミラー越しでした。

麻酔から覚めたばかりで、ぼんやりとした目でしたが、じっとミラー越しにこちらを見ていました。
体を支えられ、頭を撫でてもらっていましたが、ふるふると全身を震わせて、どうしようもなく儚げで悲しげで、娘はドアの前にうずくまって泣いていました。
私もその場に立ち尽くしたままで、ボロボロ泣くことしかできませんでした。

愛しくて、愛しくて、何故こんなことになってしまったのか、考えても後悔しても致し方のないことを、とめどなく考えては泣きました。

手術は成功しました。

けれど、今の状態では下半身は完全に麻痺が残ってしまいました。

このあとは、リハビリのため3週間入院が必要だと言われました。
そして、その間家族はこのミラー越しにしか会うことを許されないと言われました。

あってしまえば、興奮して暴れたりすることもあるからと。今は絶対安静が必要だと。
会ってしまえば、一緒に帰れないことが理解できず、余計可愛そうだと言われました。
今は、心を鬼にしてくださいと。

それでも、うららが痛みから解放されたことにほっとしました。

たとえ、足が動かなくても、生きてさえいてくれたなら、私たち家族でどんなことでもしよう。
大事な家族なんだから、ずっとずっと大事にしようと、単身赴任先の夫からも、何度も電話がありました。

でも、それだけではないことがわかりました。

この病気の恐ろしい合併症。

この術後の1割未満の確率で併発する、致死率100%の恐ろしい病気。

術後3日を乗り切れば第一関門突破。1週間乗り切れて始めてほっとできる状態になるらしいのです。

「脊髄軟化症」
脊髄に炎症と虚血が起こることで、進行性に脊髄が壊死し始め、やがて全身麻痺から呼吸筋麻痺をきたして死亡する恐ろしい病気が、虎視眈々とうららを狙っているのです。


怖くて、怖くてこの病気をネットで知って、読み進んでいくうちに手が震え、気が遠くなるほど恐怖でした。
うららが連れ去られるのではないかと、喉が詰まって動悸がしました。
今朝、その病気の危険性を電話で担当医に聞いたら、「まず3日、それから1週間が山場。予測もつかないし、発症したら絶対に助けられない、」と改めて言われてしまったのです。

今日で1日目クリアです。
とりあえずあと2日、そこを超えたらあと6日。

うらら、絶対に大丈夫だよね。一緒におうちに帰れるよね。
信じるしかないし、待つしかないことはわかっているのです。

今朝、息子も「俺、4時まで眠れなかった。うららのこと考えると、過呼吸になちゃいそうだったよ。」と、暗い顔でやってきました。
昨日から、犬仲間や友達がメールや電話で何度も励ましてくれます。

怖いことばかり考えてしまって、悪い方へ悪い方へばかり心配していて、気が変になりそうです。

うららは、フレンチブルドッグですが、大切なかけがえのない家族です。
どうか、どうかうららを助けてください。

もう一度一緒に暮らせることを、今は祈るだけです。


大阪 呼吸セミナー <吸引チューブの一件も・・>

2014-05-10 22:58:47 | 訪問看護、緩和ケア
認定呼吸療法士の更新のための講習、近場でいよいよ見つからず、6月いっぱいの期限を前に、大阪まで行ってきました。
内容は、人工呼吸器に関連することが多くて、在宅現場の私にはあまり興味が持てない・・と言ったら怒られるかな(^_^;)。
でも、その中でも興味深い話はあって、安全な気管内吸引の話のなかで、以前にも問題となっていた<吸引チューブの根元を折るか折らないか>という話が出てきました。

そう、あれは随分以前、吸引カテーテルは根元を折り曲げてはいけないことになったと書きました。
なぜなら、急に圧をかけることで気管内の粘膜損傷を起こしやすいからだと。

でも昨年、吸引指導講習の報告で、よくわからないけれど、また根元を折る方が良いという指導に変わったとお伝えしました。
この時、講師の先生に聞いたら、「そうなんですよ・・。私たちもそう指導するように言われたので・・」ということで、はっきりした答えは聞けませんでした。

何なんだ、どっちなんだと思っていたら、今日の呼吸セミナーでその話が出てきたわけです。

「安全な気管内吸引」コヴィディエングループジャパン 日本コヴィディエン株式会社クリニカルサポート課看護師 小川 加奈絵先生のお話の中です。

日本呼吸療法医学会の「気管吸引のガイドライン2013」では、「挿入中は吸引を止めておく」方法になっていますが、一方では「吸引圧をかけながら吸引する」という意見もあり、賛否両論ではあるようです。

では何故「挿入中は吸引を止めておく」のかといえば、圧を最小限でかけるので、低酸素血症のリスクが低くなる。しかし、上部にある分泌物を下部に押し込んでしまう可能性があるということです。

逆に「吸引圧をかけながら吸引する」場合、分泌物を吸引しながら挿入することで、効果的な吸引ができる反面、吸引時間が長くなり低酸素血症を起こすリスクが高くなる。

ということで、どちらがいいということではなく、ケースバイケースでより効果的で安全な方法を選択してけば良いということのようです。

大切なのは、アセスメントをして必要最低限で行うこと。
チューブを挿入する長さ、太さを適切に選択すること。
きちんと解剖・生理を理解し、気管分岐部をつついたり、気道を擦ったりしないこと。(迷走神経反射や、気管内肉芽形成を起こさないために)
1回の吸引時間は10秒以内とし、吸引圧も150mmhg以下とする。
感染対策を遵守すること。

というわけで、気道の上の方に痰が貯留しているような場合は、最初から圧をかけて吸引して、まだ下の方にある場合は圧をかけないで挿入する(根元を折ったり、穴を塞いだりして)など、聴診や触診でのアセスメントによって決めればいいのだと思います。

それから言えば、口腔内から咽頭部にかけて、ゴロゴロ痰が見えるような場合に、なにもわざわざチューブをおる必要があるのかな??とも思いますよね。


最近でも、コメントでこの件の質問がちょくちょくあるので、ちゃんと説明できるようになって良かったです。

で、最後の講義は神戸協同病院の山本昌司先生の「呼吸に関する解剖・生理のABC」という基本のお話でした。

人には言えないけど、何度聞いてもよくわからなかった基本のABCですが、ものすごくわかりやすい先生でしたよ。
なんだか、怒っているんじゃないかと思うくらい、力強い大きな声で、ガツンガツンと説明してくれた「酸塩基平衡」。
本当に苦手な部分ですが、なんかうっすらわかったような・・。
時間が短すぎたので、もっと一から十までこの先生に聞きたかったなー。今日一日、全部この先生なら良かったのにー。
なんてことを思いながら(ほかの先生に失礼ですよね)大阪での講習を終えました。



ちなみに、金曜日の夕方に大阪上本町(うえほんまちです。かみほんちょうではありません。)のホテルに着いて、昔大阪に住んでいた頃時々来ていた鶴橋まで、散歩がてら行ってきました。
鶴橋って、大阪にある大きなコリアンタウンです。
駅からそのままガード下の韓国街に直結していて、その周辺はもう焼肉で白くモヤモヤと煙っています。
四方に連なる焼肉屋さんの呼び込みや、細い路地に出ているちぢみやキンパの屋台、色とりどりの布地のお店や、キムチ屋さんなどなど。

  

珍しいキムチを四種類位買ってプラプラしていたら、匂いに負けて禁断のひとり焼肉に手を出してしまいました。
なんか、やっぱり淋しいかも。カウンターで中年のおばはんがビール片手に肉を焼く・・・。(ToT)

翌日は、朝からセミナーだったので、セミナー終了してから、新幹線の予約時間までのわずか1時間半のあいだに、難波で降りて早歩きで道頓堀まで行き、法善寺をちらりと覗いて帰ってきました。


                 


なんだかどっと疲れたセミナーでした。
もっと自由な時間があれば、京都とかも見れたんだろうけど・・・。
早く自由になりたいですわ。ほんまに。