こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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自分のための言葉

2013-03-07 23:09:51 | 読書、漫画、TVなど
訪問看護という仕事は、人の生き様を目の当たりにする仕事でもあります。

理不尽な苦しみの中で、もがいて苦しんで、泣いて叫んで・・
その中から、みなそれぞれ思うところがあって、とてつもなく大きな心で周囲を包んでくれたりもします。

苦しみの中から、なぜそんなに優しくなれるのかと思うくらい、穏やかな笑みを浮かべる人もいれば、最後まで険しく戦う人もいる。

そんな人たちの言葉に、私たちは何度も救われたし、心が震えたりしてきました。

何度もブログに書きましたが、私がいつも凹んだ時に読み返す言葉があります。

私は、なんでこんなに苦しんだろう?
なんで私なんだろう?
なんで今なんだろう?

そんなふうに思うときに、読み返すとまた前を向こうと思うのです。

この本を初めて読んだときは、「ああそうか、うんなるほどね。」くらいだったのですが、二度目に読んで、3度目に読んだ時に、自分の心の痛みとすごく重なったのだと思うのです。

それから、この本は私の支えになっています。


「モリー先生との火曜日」

ALSに侵された老教授と、その教え子であるジャーナリスト ミッチ・アルボムとの対話が淡々と書かれています。

以下、その抜粋です。

「過ぎたことにとらわれるな。ただし、否定も切り捨ても禁物」
「自分を許すこと、そして人を許すことを学べ。」
「もう、チャンスはないと思い込むな。」
「死ぬっていうのはね、悲しいことの一つに過ぎないんだよ。不幸な生き方をするのはまた別のことだ。ここへ来る人のなかには不幸な人が随分いる。」
「自分の文化を創ること。多くの人はそれができない。私よりよっぽど不幸だよ。こんな状態の私よりも。」
人生は、前に引っ張られたり後ろに引っ張られたりの連続なんだよ。」
「我々のこの文化は、人々に満ち足りた気持ちを与えない。文化がろくに役に立たないのなら
そんなものいらないと言えるだけの強さを持たないといけない。」
「人生に意味を与えてくれる道は、人を愛すること、自分の周知の社会のために尽くすこと、自分に目的と意味を与えてくれるものを作り出すこと」
「人生で一番大切なことは、愛をどうやって外に出すか、どうやってなかに受け入れるか、その方法を学ぶことだよ。」
「・・いろんな人が見舞いに来てはくれるだろうけれど、ここを離れない人がいるのとは同じではない。誰かがこっちに気を配って、終始見守ってくれる人がいるのと同じにはならない。
家族っていうのは、そういうものなんだ。
単に、愛だけじゃなくて、見守っている人がいますよ、とわからせてくれること。
中略「精神的な保護」とでもいうかな。そこに家族がいて見守ってくれているっていうことね。」
「老化はただの衰弱なじゃない。成長なんだ。やがて死ぬのはただのマイナスとは片付けられない。やがて死ぬことを理解するのは、そしてそれによってよりよい人生を生きるのは、プラスでもあるわけだ。」
「死で人生は終わる。つながりは終わらない。」
「いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる。」
「死に直面すれば、すべてが変わる?」
「そうなんだ。余計なものを剥ぎ取って、肝心なものに注意を集中するようになる。いずれ死ぬことを意識すれば、あらゆることにつて見方がガラッと変わるよ。」


私は、私の苦しみの中だけにとらわれてはいけないのだと。
なすべきことは他にもあるし、もっといろんなことを許さなければいけないのだと。
もっと今の問題を受け入れるための方法を学ばなくてはならないのだと。

次々と降りかかる問題は、きっと私を成長させてくれるのだと信じることができる。

自分の為の言葉を、見つけられた時の感動は、なかなか素敵なことですよ。

映画「BRAVE HEARTS 海猿」

2012-09-02 22:34:57 | 読書、漫画、TVなど
やっと、やっと映画「BRAVE HEARTS 海猿」を見に行けました。
海猿の大ファンである娘とのスケジュールが合わず、結局一人で行ってきました。

9月2日までの期間限定で、架空の「海猿16話の予告編」(3分間のパロディ)をやると、伊藤英明が言っていたので、それもどうしても見たかったので一人で行くことにしました。

そして、そして、やっぱり凄いですよ~。
格好良すぎます。仙崎大輔!!

もう、しょっぱなからクラクラです。
仙崎大輔の一家が、横浜のみなと未来のちかくの社宅?の設定で、見慣れた夜景のなかで、仙崎大輔一家が息づいているような気がして、横浜市民としてはそれも嬉しかったですね。

でもなにより、仙崎大輔やその仲間たちの諦めない気持ちと、その屈強な肉体を駆使しての救助シーンは、もう垂涎ものです。

ジャンボジェットの機長と仙崎の会話もしびれましたし、着水シーンでは映画館の椅子の肘かけにしがみついていました。(^_^;)

そして吉岡君。絶対死なないって分かっていても、ハラハラしましたよ~。

海猿ですからね、海中のシーンは外せないですよ。
危険な救助を諦めずに遂行しようとする仙崎と、それを助け様とする仲間。
いつもながら、仲間たちが一斉にボンベを担ぎ、船から次々とエントリーする様は、本当に鳥肌が立ちます。
かっこいいですわー。
仙崎大輔だけじゃなくて、出演者全員がかっこいいんです。

こういう映画を見ると、生きる勇気がわいてきます。
どんな困難にも諦めない気持ちがあれば、きっと未来は見えるんだ、本当に思ってしまいます。

とにかくすっきり、爽快な映画ですよー。
涙と鳥肌と感動をありがとう!!。って感じです。
まだ見ていない方、ぜひご覧ください。

『3丁目の夕日』シリーズも、見た後幸せになれますが、これは爽快になれる映画です。

ちなみに、3分間のパロディは、エンディングテーマが終わってから始まったので、知らないで帰っちゃった人も結構いました。
みんな「なに?なに?」って感じでした。

ひげを生やして、司令官になった50代の仙崎と吉岡が、特急隊の隊長になった服部に訳の分からない指令を出しているというものです。
救助されているのが、どういうわけかフジテレビの笠井アナで、ちょっといらなかったかも・・というものでした。(^_^;)



こんな私も、昔はダイビングをやっていたので、体感として海の底のイメージは分かりますし、あの海底から見上げた太陽と、ダイバーのシルエットをみると、ちょっと息苦しくもなったりします。
耳抜きをしながら聞こえる海中のエアの音も、海面に顔を出してマスクをとった時の風の感じも、荒れた波間で身動きが取れない感覚も、今となっては遠い記憶です。

今でも、時々ふっと真夏の真っ青な空と、ラグーンを思い出します。
なんだか、随分と遠くまで来ちゃったなぁ・・。



最高の人生の終わり方

2012-03-15 20:34:31 | 読書、漫画、TVなど
大好きな山ピー主演の「最高の人生の終わり方」最終回でした~。

葬儀屋さんを舞台に、亡くなっていく人たちの、それぞれの人生に思いを重ねて、「いってらしゃい。」とお見送りする、とても優しいドラマでした。

毎回出てくる不思議なおじさんが幽霊だったって言うのも、ありえないようでいて、私の気持ちはすごく救われた思いです。

悲しみと苦しみのなかでも、最後に自分の人生を「幸せだった」と思えて旅立てるのは、本当に幸せなことだ思います。

ドラマとはいえ、死というものに対して、とても真摯に、とても優しく向き合って作られたドラマだと思います。


人は何のために生まれて、何のために生きて、何のために死んでいくの?

最後は、最愛のお兄さんを自宅で看取る過程で、在宅療養も伝えてもらえて、訪問看護師としては、それも嬉しいドラマでした。

このところ忙しくて、ビデオにとりだめていた ものを、まとめて3回分見たので、すごく遅くなってしまいました。

私も、きっと見守られているのだと思います。

きっときっと、あきらめなければ、惜しまなければ、道は前に開けるとおもいます。

劇中の「惜しむな。」という言葉が、心の奥にストンとおさまった夜です。

ALWAYS3丁目の夕日’64

2012-01-22 23:09:09 | 読書、漫画、TVなど
昨日から「ALWAYS3丁目の夕日’64」が劇場公開されました。
この日をどれほど待ち望んだか・・。

昨日、e席リザーブで席を確保し、娘とつきみ野サティにあるマイカルシネマに行ってきました。

さぞや混んでいるかと思いきや、全然混んでいず、わざわざリザーブしなくても良かったようです。

この前も、話題作なのに映画館は全然すいていて、これはどういう事なのでしょうね。
みぞれ交じりだからって言うわけじゃないでしょうし、映画館ではあまり見ないのでしょうか??

それはさておき、見ましたよ~。しかも3D。

第一作目の舞台は33年の東京。
私が生まれる1年前です。

続ALWAISが34年。
東京タワーが出来た年で、私が生まれた年でもあります。

そして今回の3作目は、それから5年後の1964年、東京オリンピックが開催された年なのです。

映画が始まった瞬間から、そこはもう30年代。
戦後の混乱から立ち上がり、日本人が一番元気で、人と人とのつながりが、とても強かった時代です。

いつの間にか、近所の子供が一緒にご飯食べてても、誰も気にしない時代。
昼間は、どこの家も玄関開けっ放しで、はなたれ小僧がランニングシャツで走り回っていた時代です。

我が家にも、東京オリンピックにのために、無理してカラーテレビがやってきました。
覚えているのは、ひょっこりひょうたん島と、アメリカの吹き替えアニメ。

オープニングからいきなり、タイムスリップします。

内容は・・・
これから見る人に悪いので言いません。
でも、幸せな気持ちになりたかったら、ぜひ見てくださいね。

暖かな涙がいっぱい流せます。

親の思い、子供の想い、未来につなぐもの。
暖かな、やさしい気持ちになります。

一つだけ、オリンピックの開催に、青空に飛行機が5輪の輪を描くシーンがあります。
これは実際の映像も入りますが、街の人たちが空を見上げて言います。
「戦争が終わって、焼け野原だった東京が、こんなにビルディングが立って、東京オリンピックが開かれるようになったんだな・・。」

神戸が、焼け野原から見事に復興したように、きっと東北も近い将来に復興するのだと、そんなメッセージも伝わってきました。


落ち込んでいる人も、飛ばしている人も、みんなにみてほしい映画です。



そして、今日は午前中にネットで注文していたジグソーパズルが届きました。

娘が今凝っていて、私もやりたくなって買ってみたのですが、ハマるとこれが大変で、午後からずっとやってました。

もののけ姫のシシの森の絵で、シシ神様が水を飲んでいた、あの神秘の森です。

最初は、娘と一緒にやっていましたが、これは一緒にやると余計面倒になりますね。
娘は、2000ピースのディズニーを始めるというので、私はシシの森950ピースに集中します。

全部できたら、どこに飾ろうかな・・。

そんなことをしていると、ブログの亢進もままならないかも・・・。

どうしよう、また余計なことを始めてしまった。

時代を超えて生きる。

2011-12-26 22:42:30 | 読書、漫画、TVなど
まもなく2011年も終わろうとしています。
ステーションも、28日が仕事納めとなり、年末の休暇に入ります。

11月頃からバタバタとしていたステーションも徐々に落ち着きを見せてきました。

そして今日また一人、ご家族のもとから、あちらに旅立たれました。
強い浮腫みや、お腹の張り、通過障害などかなり苦しかったのではないかと思いますが、けっして弱音を吐かない方でした。
仕事や学校に行っているご家族を、なにより気にかけて、私たちにも気を使われる、そんな優しいお母さんでした。
本当は、まだまだ見届けたいものや、手をかけたいものがたくさんあったはずです。
もっともっと、家族のために働きたかったと思います。
ここ数日は、ずっつご家族が交代で見守られていました。
心からご冥福をお祈りいたします。

人は、皆それぞれの人生の物語を生きて、去っていくのですね。

でも、こんなふうに、思いのほか早く旅立たなければならないなんて、誰が予想していたでしょうか・・。

だからこそ、私たちも今を一生懸命生きるしかないのですね。
私が伝えたいものを、残せるように。


心が荒れたり、気持ちが落ちているときは、よい本を読むと救われます。

「風花病棟」
帚木 蓬生氏の新刊です。
10篇の短編小説集です。
心の底から、静かな感動を覚えるような、そんな小説です。

風花病棟 (新潮文庫)
帚木 蓬生
新潮社


この短編集は、皆医師が主人公です。
時に、患者にもなり、時に息子であり、時に精神科医であり、時に耳鼻科医である・・。

そして看護師も出てきます。

いづれも、医師として、看護師として凛としてまっすぐに、そして人として限りなく優しい目で人と接しています。
逃避や嫌悪などの感情を持ちつつ、あるきっかけで、気持ちがほどけていく経過が、とても優しいのです。

このなかで、「チチジマ」と言う作品と「震える月」と言う作品があります。
いずれも、戦争中の軍医であった「自分」や「父親」の体験を中心に描かれており、当時の激しい戦闘や兵隊の置かれている悲惨な描写と共に、現代に戻ってからの回想シーンなどで胸を打つ作品です。

驚いたのは、この二つの作品のなかで描かれている状況を、私は患者さんから何度も話して聞かされていたのです。

以前何度か私のブログ記事にした患者さんの戦争の話と、びっくりするぐらい酷似していたのです。
ああ・・
本当にSさんは、すごい戦争体験者なのだなと、そして数少ない生き証人なのだなと思いました。
Sさんは97才ですから、お仲間の多くはすでに他界されていて、こういう話を直接聞くことが出来る私は幸せだし、こういう話は絶対に後世に残さないといけないなと、強く思いました。
われながら、何年かブログをやっていて、いつSさんの記事を書いたかは覚えていません。
(今探すのも面倒なので・・)
ただ、彼の満州での出来事や、トラック島で終戦を迎えた時の話を記事にしたとき、私の意に反して右翼関係の方なのかわかりませんが、勝手に日章旗で囲まれたブログに転載されていたことがあり、激しい怒りと衝撃を覚えたことがあります。

Sさんは、今でも「あの戦争は、若者の60%を餓死させた。戦争は絶対にしてはいけない。二度と、武器を持ってはいけない。」と言います。
それを、捻じ曲げられた気がして、しばらく憤然として過ごしたことがあるのです。

小説の舞台はチチジマでしたが、当時Sさんはトラック島にいました。
一個中隊で、彼は軍曹だったようです。
48人中28人の部下を、トラック島で失った悔しさを、彼は忘れてはいません。
島の周囲を米軍艦隊に囲まれ、兵糧攻めの状況で睨み合っていたそうです。
でも、日本軍にはもう何もない。
食べるものはなく、じゃんけんで負けたものが、雑草を食べなんでもなければ皆が食べる。
そんななかで、早朝そーっと魚を捕りに入り江に入ろうものなら、どこからか一斉に射撃されるという状況だったそうです。
そして、重度の栄養失調で部下が死んでいく。
しっかりしろと、残り少ないコメを炊いて食べさせようとすると、あるものは口に押し込み、「これで地獄にい行けます。」と死んでいき、あるものは「私はいいから、仲間に・・」と言って死んでいったと言います。

やがて、日本が敗戦し、島に米軍が上陸してきたとき、Sさんはびっくりしたそうです。
突然米兵が「もう、戦争は終わった。私たちは仲間だ。」と言って手を差し出したと言います。

この話を、私はSさんから何度も聞かされていました。

ですから、この小説のいたるところに、同じような場面を見て、なんだか映画を見ているような臨場感があったのです。

人が生きることも、死ぬことも、偶然のいたずらで変わることがあり、そのために子々孫々の運命まで変える可能性もあるということ。
その中で、何を感じ何を学び、何に生かすのか。

ほかにも、アルコール中毒の患者と、その主治医の物語も涙が止まりませんでした。

年末年始、簡単に読める一冊です。
一押しですので、ぜひご一読してくださればうれしいです。

最近の読書

2011-11-27 22:11:52 | 読書、漫画、TVなど
なかなか時間的に余裕がないので、読みたい本はたくさんあるのに、なかなか進みません。

最近読んだ本。

table border="0" colspacing=0 cellpadding=0>賞の柩 (新潮文庫)帚木 蓬生新潮社  
空山 (講談社文庫)
帚木 蓬生
講談社


今読んでいる本

無意識の構造 (中公新書 (481))
河合 隼雄
中央公論新社


他に2冊ほど同時にななめ読みをしています。

これが終わったら、
風花病棟 (新潮文庫)
帚木 蓬生
新潮社


これはすでに手元にあります。

帚木蓬生さん、面白いです。

もう数えきれないぐらい、たくさん作品はありますが、まだ私は5~6冊くらいしか読んでいません。
でも、描写の美しさや魅力的な主人公や、ストーリー自体の面白さは格別です。

この方は、東大の仏文科を出てTBSに2年努めてから、九州大学の医学部に入り、現職の精神科医でありながら精力的に小説を書きつづけている方です。
必然的に、医療の闇をモチーフにした作品が多くて、医療関係者にはファンが多いと思います。

「賞の柩」はかなり古い作品ですが、ノーベル医学賞をめぐって、受賞者のまわりで関係者が死んでいく(しかも白血病で)ことに気が付いた青年医師が、その謎を追いながらかつての恩師の娘と、パリで恋に落ちるという、なかなかおしゃれ―な感じの小説です。
読んでいてワクワクしました。
ヨーロッパの街と、そこで暮らす美しい女性の描写が素敵です。

「空山」は、自然に恵まれた片田舎の村で、ワイナリーを経営するバツイチ女性と、村に戻ってきた幼馴染の青年医師との恋を描きつつ、恋人を亡くした市議会議員の女性が、その青年医師などと一緒に大規模ごみ処理施設に関わる悪を暴いていくというストーリーです。
ただ、単にごみ処理施設を否定するのではなく、どうしたら自分たちがこの美しい国を、未来まで守りつつ、ごみの処理を安全に効率的に行っていくかと言う事も考えさせられました。
環境問題と、美しい日本の自然と文化、そしてすてきなラブストーリーが一緒くたに楽しめる小説です。

そして現在半分まで読んでいるのが「無意識の構造」。
ユング派の精神分析家である河合隼雄さんというかたの著書です。

私が現在も認定心理士を取るために通信大学で心理学を学んでいることもありますが、先日テレビの放送大学で見たユングの一生に、かなり衝撃を受けたこともあって、手に取ってみました。
で、もっとわかりにくい専門書かと思ったら、これがすごくわかりやすくて面白い。

フロイトと仲良しだった彼が、フロイトと決別して、独自の精神分析を行っていくのですが、この内容を夢の事例を通して、わかりやすく説明してくれます。

たとえば摂食障害は、母親からの自立に起因することを知りましたが、なぜ関係性が母親なのかと言う事が、少しづつわかってきた気がします。
無意識の中にあるイメージやシンボルなど、文化の違いでも変わってくるものがあることを、各国のおとぎ話や童話からもひも解いていきます。
自分の中でもやもやしていたものの、ほんの断片ですが見えた気がします。


本を読むことは、素敵です。
知らない世界、知らない人々、ありとあらゆるもの、パラレルワールド。
読書をしているときだけ、私は自由になれます。

でも・・時間がない~。

ちなみに、今日は単位修得試験で3教科を受けてきました。
人間環境学、高齢者の心理、そしてこの学校の理念で仏教。

このところ、「親鸞」をよんだりしていたので、今更教科書を見ると法然上人やら親鸞の話が出てくるし、聖徳太子も登場しています。
そして、仏陀。

どうも仏教は奥が深くて面白うそうです。
仏教と緩和ケアも深いつながりがあるようですし、時間が出来たらもっと勉強してみたいなと思っています。

というわけで、今日はへろへろです。
明日からまた一週間、バタバタと過ぎていくのでしょうね。
自由な時間が欲しいです。




親鸞 

2011-10-30 20:54:54 | 読書、漫画、TVなど
最近読んだ本。

極北クレイマー 上 (朝日文庫)
海堂 尊
朝日新聞出版
 
極北クレイマー 下 (朝日文庫)
海堂 尊
朝日新聞出版


なかなか面白かったです。
極北のダメダメ病院が、一人の医師の赴任によって、少しづつ変わっていくわけですが、一人一人のキャラクターがなかなか面白くて、あっという間に読めました。
特に、厚生労働省の天下り機関からの、外部調査員の派遣や、調査員の上から目線の態度やそのからくりなどは、介護保険の公表制度や評価機関を連想させるところもあり、皮肉たっぷりで笑えます。
最後が今一つすっきりしない感じなのがちょっと残念ですが、楽な気持ちで楽しめる小説です。


そして、もうすっかりはまってしまったのが五木寛之の「親鸞」です。

親鸞 (上) (五木寛之「親鸞」)
五木 寛之
講談社
親鸞 (下) (五木寛之「親鸞」)
五木 寛之
講談社


あまりの面白さに、駐車場に車を止めて読みふけっていました。

時は平安末期、下級貴族だった父親が謎の出奔をし、母もすぐに亡くなってしまいます。
幼い弟たちと、叔父の家に預けられ勉学はさせてえもらえますが、肩身の狭い暮らしをしていました。
しかし、その家の奉公人夫婦に可愛がられ、また当時さげすまれていた川原聖や下人などと親しくなっていきます。
やがて、わずか9歳で当時最高峰だった比叡山に、つてを頼って入山するのです。
そこから、究極の修行に入るのですが、ここでの生活の内容は、私たちの知らない閉鎖された世界の話となり、それこそきれいなお坊さんが高僧の寵愛をうけたり、お山の中にも雲助みたいなお坊さんがいたりと、とても興味深い話も織り交ぜ、息をのむ展開になっていきます。
親鸞は、幼名忠範(ただのり)といいますが、9歳で出家するとともに慈円よりを範宴(はんねん)の名前を頂きます。
その後、山を下りることを決意し、法然に支持します。
この時、綽空(しゃくくう)と改名、さらに35歳の時に念仏弾圧で新潟に流刑になりますが、この時に親鸞と改名することとなりました。

この間、あらゆる陰謀と戦い、自分の道を究めていく中で、これだけの修行僧としては異例の結婚をします。
そのいきさつもまたドキドキものでした。

小説なので、ほとんどフィクションなのでしょうが、登場人物の何と生き生きとしていることか。

面白いのが、親鸞を陰で支えるいぬ丸、小夜夫婦、そして危ない時に疾風のように助けてくれる河原坊浄寛(かわらぼうじょうかん)、ツブテの弥七(やしち)、法螺房弁才(ほうらぼうべんさい)の3人組み、さらに宿敵の大悪人伏見平四郎、さらに美貌の僧侶であり、法然の高弟で後に斬首される安楽房遵西など、何と言っても魅力的な登場人物に、大活劇を見ているような錯覚にとらわれます。
これって、なんで映画化されないの??
大河ドラマになってもいいんじゃない??

とにかく面白いです。

宗教、布教の本ではあありませんので、本当に楽しめます。
なぜ今親鸞なのか、ぜひ一度読んでみてください。


ちなみに今は、本棚の隅っこにあった箒木 蓬生の小説「賞の柩」を読んでいます。

秋の夜長のほんの10分、違う世界の扉を開けてみてはいかがでしょうか?

「悼む人」 読みました。

2011-10-02 23:23:55 | 読書、漫画、TVなど
2009年大140回直木賞を受賞した 「悼む人」 天童 荒太著
悼む人〈上〉 (文春文庫)
天童 荒太
文藝春秋
悼む人〈下〉 (文春文庫)
天童 荒太
文藝春秋


ずっと気にはなっていたのですが、なかなか読めずにいましたが、やっと読むことが出来ました。

一言でいえば、来ました!やられちゃいました!
常に「死」というキーワードがついてまわる私の仕事ですが、日々の「死」にまつわる漠然とした不安であったり、苦しみであったり、そういう事が凝縮して詰め込まれているような気がしました。

素直に感動しました。

物語は、性格のねじまがった落ちぶれかけた雑誌記者の、日常から始まります。
彼は、殺人事件などがあれば、ずかずかと乗り込み、相手の心情などは一切無視して、面白おかしく人が興味をそそられるような内容にでっち上げることで、記事を売り込む男でした。
並行して、坂築巡子という主婦が癌宣告を受け、自分なりに受け入れようと葛藤し、家で死ぬことを決意するところから話が始まります。
巡子の家族背景はとても重要な伏線になります。
巡子の夫は、コミュニケーションに障害を持ちながらも、周囲の支えもあり家庭を支えてきました。
長男である静人が主人公である「悼む人」となります。
娘は、兄の奇行(と世間ではとられてしまう)により結婚が破談となり、すでに妊娠中の子供をやはり自宅で生むことを決意します。

悼む人として、何故静人が旅を続けるのか、その彼を巡って出会った人々がどう変わっていくのか。
出会ってから彼の後を歩く女性にどんな苦しみがあったのか。

物語は、常に息をのむような展開を見せていきます。

訪問看護師の私としては、巡子が在宅死を選ぶ過程や、往診医や訪問看護師とのやり取りも現実的で面白く、十分な取材の上で書かれている事も嬉しかったです。
そして、娘の美汐がどうしても母の傍にいたいと願って在宅での出産を選び、在宅助産師も登場します。
そこからは「生」と「死」との表裏一体の、まるで駆け引きのような時間が流れていきます。

そして、静人の「悼み」にひきつけられるように彼を追う倖代。
倖代も、夫を自分の手で殺すまでの重い過去を背負い、解離性人格障害をおもわせる亡霊と共に旅をつづけるのです。

深い苦しみのなかで、彼らはどんな旅を続けていくのか、救われる道はあるのか・・・

どうでしょうか?

少しは読みたくなったでしょうか?

ぜひ、ぜひ一度読んでみてください。
きっと何かのメッセージを受け取ることが出来ると思います。

自分のなかで、もしこれが映画化されたら、誰がこの役かな・・なんてことまで考えながら読みふけってしまいました。

後半、巡子がIVHからの輸液量もどんどん絞っていき、悪液質の進行から必死に守ってきた排泄を、自分でできなくなってしまう場面があります。
どうしても嫌だったオムツに頼らざる得なくなり、娘と夫がせめてオムツの履き替え位は手伝わせてほしいと懇願します。
巡子は、ここにきて「わが身をすべてゆだねる・・・というかたちでの信頼が、自分がまだ人に与えられるものととして残っている、と思う事にした。」のです。
これは、まさしく緩和ケアでいうところの「自律」以外の何物でもなく、たとえ自分でできなくなっても、誰かに委ねることが出来る。という自己選択であるわけです。

あまり内容に振れ過ぎると、読むのがつまらなくなるのでこれくらいにしておきますね。

まだ読んでいない方。本当に面白いです。
私からの、この秋一番のおすすめです。

「孤高のメス」を見ました。臓器移植できますか?

2011-09-18 22:12:50 | 読書、漫画、TVなど
今日「孤高のメス」と言う映画をテレビで見ました。
原作は現役医師でもある大鐘稔彦のベストセラー小説です。

簡単なあらすじ

亡くなった母の日記を、医師になりたての息子(成宮君)が見つけて、そこから手術室看護師だった母の回想シーンが始まります。
舞台は、1989年のとある地方の市民病院。

そこは、大学病院からの派遣医師が技術もないのに切りたがり、無責任な治療をしては投げ出すような、ろくでもない医療がまかり通っていました。

そこの手術室ナースで、女手一つで息子を育てながら働く中村浪子(成宮君の母)が、突然赴任してきた外科医 当麻鉄彦の真摯な姿に魅かれていきます。

やがて、大切な友人の息子が事故で脳死になってしまいます。
時を同じくして、これからの市民病院の強化をうたっていた市長が、肝硬変から食道静脈瘤破裂をおこして危篤状態になってしまいます。

息子が脳死になってしまったことで悲嘆にくれる友人は、福祉の道を目指していた息子の意思を継ぐために、臓器移植を決意しました。
しかし、現法では脳死での臓器移植は認められていません。
双方の強い希望があり、今これしか市長の命を救う道はないと言う事から、当麻は移植を決意します。
周囲の反発や批判、警察の圧力の中、「今、生体間移植を望むドナーと患者がいるのに、それをせずに死なせてしまうぐらいなら、自分はメスを置きます。」と言い、仲間の力を借りて手術を成功させるのです。

結果、ドナー家族からの嘆願書もあり、金銭授与もないことから、送検されることはなかったものの、当麻は責任をとって辞表を提出します。

「手術が終わっても病院を辞めない。」という約束を破ることになり、浪子は悲しくてお別れの写真撮影でもふくれっ面をしてしまいます。
けれど最後には、出会えてたくさんのことを教えてもらったことなどのお礼を一気に伝えます。
手術中に流す都はるみの歌も、好きになったと・・。

そして当麻は「君は素晴らしいナースだった。」と彼女に伝え去っていくのでした。

それから20年後。
浪子は病院内で倒れたにもかかわらず、病院内で治療を受けられず、たらいまわしのあげく亡くなってしまいます。
一人息子の弘平は、新人医師になったばかりで、忙しい毎日を送っていましたが、母の遺品のなかから、その日記を見つけることになったのです。

母が当麻に出会い、命に真剣に向き合い、ただもくもくと医療に向き合う姿に感動し、自分も必死に勉強しながら看護師としてのプライドに目覚めていく過程を知ります。そして、当麻の人として、医師としての生き方にも、感銘していきます。

次のシーンでは、彼が地方の病院に就職するところになります。
師長に案内された病院長の部屋で、弘平は待たされています。
部屋を見渡す弘平。
院長室には都はるみの全集がおいてあります。
そして、院長室の執務机に挟んであるいくつかの写真。
そのなかに、当麻とふくれっ面をした若い母が、仲間たちと撮った写真が、大切に貼られていることに気が付くのです。


終始、日記を回想しながら、淡々とした映像で描かれています。
手術シーンはリアルを極め、臨場感もそのままに20年前の手術シーンを再現しています。

看護師中村浪子が、当麻にどんどん魅かれていくすがたや、当の当麻はそんなことはまったく気づかず、患者の事だけを考えて生きている姿が切なくもあり・・。
外国映画のように、そこで色恋沙汰になることもなく、ずっとプラトニックなところが奥ゆかしい感じですね。
結局、当麻のいなくなった病院で働き続け、息子に頼ることもなく、その病院のレベルの低さゆえに死んでしまった浪子ですが、きっと看護師としてその病院を捨てられなかったのでしょうね。
自分が、そこで頑張り続けることが、当麻の意思を継ぐことと思っていたのでしょうか・・。

それにしても、肝移植シーンにかんしては、あんなに人手がなくていいのかな?
MEも当時はいなかったのかな?
なんてことも思ったりしましたが、私は素直に最後のシーンは泣きました。

成長した弘平には、涙目でふくれっ面をしている若い母のナース姿が、どんなふうに写ったのかな?なんて考えると、胸が熱くなりました。
原作を読んでいないで、きっと大切な伏線とかはかなり省略されているのでしょうが、私的には結構好きな映画でした。

脳死判定に関して言えば、まだまだいろんな問題があって、どれが正義かなんてわからない状況なのだと思います。
脳死を巡っての、いろんな事件もありましたしね。
ただ、少し身近な問題としてとらえることが出来るのではないでしょうか?

そういえば、私の職場の健康保険証がやっとカードタイプになったのですが、その裏は臓器移植の承諾書になっています。
初めてこれを見た時は、正直ドキッとしました。

脳死判定後でいいいか、心臓停止後か、移植拒否かを申告するようになっているのですが、今のところまだどこにもマルを付けられていません。
もちろんサインも・・。

ウーン。自分自身提供したい気持ちはあるものの、家族はどうか、本当にそれでいいのかなど、まだ考える時間が必要です・・・。

河野裕子・永田和宏「たとへば君」を読む。

2011-08-29 23:03:07 | 読書、漫画、TVなど
初めて河野裕子さんの短歌を聞いた日から、私は彼女の短歌に魅せられ、半ばうなされる様に眠りに落ちる寸前にも、その一説が浮かんでは消えたりしています。

以前にも何回かご紹介したこの歌。

 たとえば君
 ガサッと落ち葉すくうように
 私をさらって行ってはくれぬか

河野裕子さん21歳のころの短歌です。

昨年、乳がんが再発、64歳のわかさでこの世を去った歌人。

牧水賞の歌人としても有名で、マスコミでもかなり話題になった方です。
やはり歌人である夫の永田和宏さんが、「四十年の恋歌」のサブタイトルで、相聞歌を含めて、出会いの頃から今までのエッセイや追想、380首の歌をまとめたものです。

  
たとへば君―四十年の恋歌
河野 裕子,永田 和宏
文藝春秋


それぞれのエッセイや、お互いをどう見ているかなど、夫婦の視点で描かれています。

そして、日々の生活の中からほとばしるように生み出される美しい短歌に魅せられていきます。
ただそれは、美しいだけではなく、精神の不調であったり、激しい激情であったりもして、夫婦喧嘩の歌もまた激しいものであったりします。

驚いたのは、乳がんの再発ですでに化学療法も効かないと言われ、ご夫婦は在宅療養を選ばれたことです。

新しい家で、最後の時間を過ごすため、往診医と訪問看護を利用し、ご家族で最後を看取られたと言う事を知り、ますます身近に感じてしまいました。

いくつもの恋の歌、子供を思う歌、夫婦の歌、病気の歌・・・
そして、呼応するように夫の詠む歌。


私の本には付箋がいっぱい貼り付けてあって、何度も読み直したりしています。

死ぬな 男の人に言ふやうにあなたが言へり白いほうせん花
                           河野裕子

ひき受けてやれない私は庭に出て雪だ雪だと君を呼ぶのみ
                           永田和宏


そして絶筆

手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が
                           河野裕子

歌は遺り歌に私は泣くだらういつか来る日のいつかを恐る
                           永田和宏

永田和宏氏 挽歌

あほやなあと笑ひのけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがゐない


ぜひ一度読んでみてほしい一冊です。
                              

歌人 河野裕子という人。

2011-02-06 22:28:21 | 読書、漫画、TVなど
  たとえば君  ガサッと落ち葉すくうように私をさらって行つてはくれぬか



河野裕子 (シリーズ牧水賞の歌人たち)
真中 朋久,伊藤 一彦
青磁社


2か月ほど前に、テレビをぼんやり見ていてたら、何人かの人の言葉などを特集していたようですが、河野裕子と言うひとの歌を聴いてすごい衝撃を受けました。

河野裕子さんは、牧水賞を受賞した女流歌人で、その世界では有名な方だそうですが、短歌には縁のない私には、まったく初めて聞いた名前でした。

歌人・・
与謝野晶子に代表されるように、彼女たちは、時に優しく、時に激しく、時に淫靡で、時にはかない感性の揺らぎを、短い一遍の歌に閉じ込めます。

普段は、ほとんど耳にすることはない短歌。

たとえば君  ガサッと落ち葉すくうように私をさらって行つてはくれぬか

この歌を聴いたときの衝撃。

こんなブログひとつ書くのに、長々と訳の分からない言葉を羅列している私にとって、言葉を紡ぐというのは、こういう事なのだと鳥肌が立つ思いでした。
どれほどの熱い思いや激しい衝動を、この歌から感じ取れるか・・。

私は、そのあとの何編かの歌を聴いて、すっかりこの人に憧れてしまいました。

ネットで探した特集本を、毎晩眺めては読み返していました。

「ゆたゆたと血のあふれている冥い海ね」くちずけのあと母胎のこと語れり


母になっってからの歌。

子がわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る

頬を打ち尻打ちかき抱き眠る夜夜われが火種の二人子太る


短歌はわからなくても、毎日必死に子育てをしていた日々が、フラッシュバックされるような歌です。

そして、夫と自分の間に、子供たちを挟んで、木漏れ日の山道を歩いたであろう情景・・。

たつたこれだけの家族であるよ子を二人あひだにおきて山道のぼる


そして、京都大学医学部の医師であり、歌人である夫についてアメリカで暮らしていたころのうた。

日本人が日本人といふ自意識に私やせるなよ言葉やせるなよ

ぽぽぽぽと秋の雲浮き子供らはどこか遠くへ遊びに行けり


ちょっと笑っちゃた歌。わかるような気がして。

一心に包丁を研いでいるときに睡魔のやうな変なもの来る

そして子供の一巣立ちを見る母のおもい。

二人しか居ない子のまず上の子が出てゆきたる 歯刷子置きて

夏至はもう何年もまへのことに思われて変に静かな夏ばかり来る

夫の背中を見て思ったのか・・・

わが病めば醤油とみりんの割合のわからぬ君が青魚(あおいそ)を煮る

彼女は乳癌発症し、乳房切除を行います。

わたしより私の乳房をかなしみて悲しみゐる人が二階を歩く

二人子を養いくれし双乳の左傷つけば右が励ます

文献にがん細胞を読み続け私の癌には触れざり君は

病むまへの身体が欲しい 雨上がりの土の匂いしてゐた女のからだ



読めば、風景も風も、臭いさえ感じられるような歌が綴られていきます。

やがて、彼女の癌は再発します。

ああ寒い私の左側に居てほしい暖かな体、もたれるために

絶筆から

心細く世の道は続きゐむ階段おりきてありがたうという

茗荷の花こんなにうすい花だつた月の光もひるんでしまふ

死は少し黄色い色をしてゐしか茗荷の花は白黒(モノクロ)であった

あなたらの気持ちがこんなにわかるのに言い残すことの何ぞ少なき

手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が



河野裕子さんは昭和21年に生まれ、16歳から本格的に短歌の投稿を始めたそうです。
精神的に不安定とな休学したりしながらも、20歳で京都女子大文学部に入学、21歳で同人誌「幻想派」で、夫となる永田和宏氏と出会い、26歳で結婚しました。
その後、二人のお子さんを育て、愛する母を見送り、その間も歌人として大活躍していました。2002年に牧水賞を受賞。
昨年8月、乳がんの再発で永眠されました。享年64歳でした。

写真を見ても、美しく年を重ねた河野裕子さんの人生は、必ずしも河野裕子さんのものだけではなく、私の半生にも感じられ、今自分が感じている苦しみさえも、一生の中では何ぼのものであろうかと思わせてもくれます。


映画「ノルウェーの森」見ました。

2011-01-15 20:17:27 | 読書、漫画、TVなど
      
午後から一人で、つきみ野サティまで「ノルウェーの森」を見に行きました。

映画館はなぜかガラガラ・・・。
「ノルウェーの森」はさらに、一番奥の小さな部屋。
カップルが10組ほどと、私だけでした。

「ノルウェーの森」は、とりあえず2回読んでいますが、あの難解な村上ワールドがどのくらい表現されているか、ドキドキしながらの鑑賞となりました。


で、感想は・・

あくまで個人的な感想なので、聞き流していただければいいのですが、

キャストでは、松山ケンイチはいい感じでした。
表情とか、話し方とか、声のトーンとか間とか、渡辺の感じは出ていました。

でも、直子役の菊池凜子はちょっと残念な感じが・・・。
好みかも知れませんが、なんだかもう少し透明な感じの柔らかな女性をイメージしていましたから・・
直子が、静かに壊れていく過程をもっと丁寧に表現してほしかったと・・・
(あまりにも歩き回ったり、わめいたり叫んだりしてほしくなかったかな)

大学で出会った本屋の娘の緑は、よかったです。
生きているって感じで、キラキラしていて水原希子っていう女優さんでしたが、死の影をまとった直子と対照的で良かったです。

レイ子さんは、療養所で直子と同室だった女性ですが、なぜ彼女が精神を病んでしまったのかが、どこにもエピソードとして出てこないまま、直子が亡くなったあとに、渡辺に関係を迫るみたいな感じがちょっと不快でした。
レイ子さんはもっと素敵な人だし、実際は直子のために借りた一軒家で、直子の話をしながら歌を歌ったり語り合ったり、自然な形でそうなったわけで、そのことで生きる道を踏み出すこと、送り出すことができた場面なんですけれど・・。

全体に小説の一部をちょっとずつ切り取って、その断片を繋ぎ合わせた感じです。
村上作品の中にあるような、伏線の伏線みたいなエピソードが見事になくなっていたので、原作を読まないで映画だけ見た人には、何のことやら、下手をすると性描写ばかりが目立つ意味不明の作品になってしまうんじゃないでしょうか?

小説では、渡辺がハンブルグに向かう飛行機の中で偶然に聞いたビートルズの「ノルウェーの森」を聴いたところから回想するのですが、そこも全くありませんでしたね。

小説では、直子が療養所の森を散歩しながら井戸の話をするのですが、「ねじまき鳥クロニクル」にも共通するキーワードだと思うのですが、そこもなかったですね。

緑と父親とのエピソードもなくなっていたし、大事なパーツがごっそりなくなっている感があり、妙にリアルな映像だけが突出した感じでした。

それでもなんでも、「ノルウェーの森」のメロディーが流れると、胸の奥がきゅんとするのは何故なのでしょうね・・。

これから映画を見ようと思っている方。
もし、原作を読んでいないのなら、読んでから見ることをお勧めします。
そうじゃないと、意味不明です。


ノルウェイの森(上)
村上 春樹
講談社
 
ノルウェイの森(下)
村上 春樹
講談社

今週うれしかったこと

2010-12-02 23:00:43 | 読書、漫画、TVなど
¥ようやく緊急当番が終わり、ほっと一息の4日間でした。
その間にも、また一人患者さんが旅立ち、真っ黒に書き込んであたったスタッフの勤務表に、空欄が目立つようになりました。
新しく入ったSさんは、それが少し心配そうですが、ほんの一時です。
すでに、退院待ちの患者さんが5人ほどいらっしゃいます。

私的にうれしかったこととは、先週の肺のCTに変化がなかったこと。
息苦しかったり、呼吸を意識し過ぎて変な呼吸になったり・・
歩くときは、意識して吸って吸って、吐いて吐いて吐いて吐いて・・で呼吸を整えたり、なんだかどうしても意識して苦しくなるような・・・。
パニック障害なのかも・・。更年期のお年だからかなぁ。
画像的には、いつもの陰影以外何もないですよ~。って言われて少し安心。

そして、うちの総領の甚六。
ボーっとしていて、人一倍食べるやつですが、大学入試だというのに、ちっとも緊張感のかけらもなく・・。
その息子は小さいころから魚が大好きで、水族館めぐりをしていました。
魚の図鑑を見ては、「これはオニダルマオコゼ、こっちは三島オコゼだよ。」とかマニアックな発言をしていました。
そして、魚を食べさせれば、目玉までしゃぶるしつこさ・・。猫またぎ。

高校1・2年までは、野生動物の生態やりたい。
っていっていましたが、3年になって「やっぱり俺は魚が好きだー」と言う事で、某マンモス大学の海洋資源学科に、なんとか入ることができました。
魚勉強して、あとどうするのかはわかりませんが、好きなことを学べるんだかうらやましい限りです。
実は私も海の生物はだーいすきです。
ダイビングをやっていた頃は、魚の名前もかなり詳しかったんだけど・・。
特に、深海魚とかおもしろそー。
なので、学費をまだまだ稼がないといけませんね・・。

その息子が、「のだめ」の新刊を買ってきてくれました。

24巻 番外編ですね。
うれしい・・。
のだめカンタービレ(24) (講談社コミックスキス)
二ノ宮 知子
講談社
 のだめは、何度繰り返して読んでもわくわくします。

それから、ワンピースの59巻。
巷ではどこも売り切れで、お取り寄せで10日ほどかかってやっと届きました。
ONE PIECE 59 (ジャンプコミックス)
尾田 栄一郎
集英社

待ちきれずに、60巻先読んじゃった私です。

要するに、こんなことでもストレス発散。

すごく単純なんですわ。私。

そして、今日は3か月ぶりの篠笛のおけいこ。
笛を吹いている間は、呼吸が楽ですわー。
呼吸は、吐くことが大事ですで。身をもって体験。
少しは頑張って、吹かなくちゃ・・・・。


明日は金曜日です。
きっと今日半休取った分、お仕事たまっているんだろうな~。
報告書も・・・。
でもあと一日、頑張らないとね。
それではお休みなさいませ。

今日の読書

2010-09-13 22:36:21 | 読書、漫画、TVなど
いろんなアクシデントやらなにやらありましたが、やっと免許の更新に行ってきました。

二俣川の運転試験場での更新でしたが、早朝からすごい人です。
日本人だけではなくて、他国籍のひとがいっぱい。

そして驚いたのが、老人の多さ・・・。
歩くのも難儀そうなおじいさんや、腰の曲がったおばあさんまで、みなさん免許の更新中。

「75歳を過ぎたら、免許を返納しましょう!」というポスターをしり目に、免許を頂いておりました・・・。

高齢者の事故、多いですよね~。
大丈夫でしょうか・・。
ちゃんと、適性見てるんですかね・・・。


で、早朝からごちゃごちゃに混みあっている運転免許試験場のなか、あっちこっちの窓口でさんざん待たされ、講習までの時間もさんざん待たされたおかげで、読みかけの本を読み終える事が出来ました。(もちろん、免許証も頂きました。)

若いころ読んで、面白かったのは覚えているんだけど、どこが?って言うと思いだせない本は、年がたってから読み返すと、なかなかやっぱり違った意味で面白かったりしますよね。

そういう意味では村上春樹は、読み返して面白い本です。
自分の経験値で感じ方がどんどん変わって来るような気がします。

今回読み直したのがこれ。

『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』

って、名前からして面白そう。
案の定、ずぶずぶと物語に引きずりこまれ、電車が駅に着きませんようにと祈りたくなるくらい面白かったですよ。

昭和60年刊行の本なので、今から25年前ですから、あのころどんな感想を持ていたのかなんてわかりませんものね。

で、やっぱり村上ワールドは難解です。
ヘタな解釈書くとものすごく怒られそうなので、まだお読みでない方は、ぜひ読んでみて下さい。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
村上 春樹
新潮社


ちなみに、日曜日に娘がツタヤで『劇場版ワンピース エピソード オブ チョッパー プラス 冬に咲く、奇跡の桜のDVDを借りてきたので、一緒に見ちゃいました。
もちろんコミックで読んですごーく良かった話ですが、DVD良かったですよ~。
泣いた、泣いた、泣きました。
大人の方が泣けるんじゃないかと思います。
ドラム王国のやぶ医者ドクターヒルルクの生きざま、めっちゃいいです。
登場人物が、原作ではまだ出てこない人達や、船がメリー号じゃなかったりもしますが、素直に見とけば問題ないです。

たかが漫画と侮るなかれ。
とても、心が温かくなります。
疲れて、心がささくれ立ってるときに、是非どうぞ。

マンガもいいですよ。

2010-08-21 23:03:49 | 読書、漫画、TVなど
このところずっと我慢して、伸ばしていた髪。
あっちこっちはねてしょうがないので、今日ストレートパーマをかけてきました。

パーマをかけるということは、美容院に数時間いるってことなので、本屋さんで「ワンピース」の41巻42巻を買っていきました。

「ワンピース」は、大好きな漫画です。
荒唐無稽で何でもありで、ハチャメチャなようでいて、そこにはすごく熱いストーリーとメッセージがあるんですよね。
ドラゴンボールもそうだったけでど、勇気とか友情とか、あきらめない気持ちとか、信じる気持ちとか、そういうものがギュっと詰まっているような気がします。
これって、実は大和魂ってやつであり、武士道であり、日本人がとても大事にしてきたことなんだと思うのですが、なんとなくそういうものが希薄になっている時代だからこそ、今大人まではまってしまうんじゃないかと思います。

私は、もともと漫画大好き人間で、高校の時の部活はマン研だったんです。
当時は、宇宙戦艦ヤマトが大好きでした。沖田艦長の時代ですが・・。
漫画家は、「ポーの一族」の萩尾 もとや、大島由美子が大好きでしたが、一世を風靡していたのはあの「ベルばら」です。
「メゾン一刻」も大好きでした

でもなぜか、「ガンダム」や「エバンゲリオン」はスル―しました。なんでかなー?
ちなみにガッチャマンやマジンガーゼットは全部歌えますが・・。

最近はやっぱり「のだめ」が最高ですね。何度も読み直しました。
それから「もやしもん」。まだまだこれからも続くので、すごく楽しみです。

で、遅ればせながら「ワンピース」を少しずつ読み進んでいます。


結局、美容院で42巻を読み終わって、続きが気になってしょうがなくて、結局あと3巻息子に買ってきてもらいました。
我慢できない~。良かったですよー

それにしても、ついつい溜まってしまう文庫本や漫画の単行本、しまうスペースが無くなって困っています。
でも、手もとにおきたくてついつい買ってしまいます。

これって、もしかしたら現実逃避なのかな??

でもいいんです。
昔から、空想ごっこは大好きでしたから。
今夜からは、内田康夫のあたしい小説読み始めます。
もうすぐ、読書の秋ですね。