こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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頚損とストマ

2013-04-24 21:28:39 | 訪問看護、緩和ケア
長い頚損生活の上、徐々に排便が難しくなり、浣腸や直腸刺激ではベンの下降がなくなりました。
腹部はパンパンに膨隆し、腸蠕動も悪くて、仰臥位では苦しくて眠れなくなっていました。

「麻痺性の腸閉塞かもしれないから、これ以上浣腸や刺激はできないよ。病院に行こうよ。」
「う〜ん。いやもうちょっと様子を見るよ・・」
15年来の付き合いの患者さんですから、家族背景も本人の思いもわかっています。

結局、お仕事中の妻に電話をかけました。

妻は、帰宅後すぐに救急車を呼び、救急病院に搬送されたのです。

そして、検査の結果S状結腸は便で膨れ上がっていて、このままではとても危険であると判明し、麻痺性イレウスでストマを造設することとなったのです。

調べてみると、頚損でストマ管理をしている患者さんは、あまり多くなないようです。

それでも、頚損連絡会では5名いるといいます。

実際作ってみると、今まで2時間近くかかっていた排便ケアは、パウチ交換だけで済み、その他の時間を保清などに使えます。

便は軟便から普通便のあいだで、とてもスムーズに出るため、これまで苦しんできた腹部の膨満は一切なくなり、本人はとても楽になったようです。

問題は、排ガスと便の排出でした。

上位頚損のため、在宅中はほぼ仰臥位で過ごしており、日中はご高齢で要介護のお義母さんと二人のため、とても介護は望めません。

仰臥位で寝ていると、便と貯留したガスでパウチがパンパンに膨れてしまい、便の排出もできなくなります。
便は、ストマの真上に溜まってしまうので、ますますガスは出にくくなります。


そこで、担当看護師は考えました。
外出のない日は、ずっとベット上でファーラー位(ベットアップ40度くらい)で過ごされています。

幸いパウチはセパレートタイプで、お腹に貼り付ける基盤と、便をためるパウチに分かれています。

パウチ部分は、くるくると360度排出口の向きを変えられるので、やや腹部から外則に向け、排出口に黒いビニールをかぶせます。
そして、通常くるくると巻き上げてマジックテープで止める開口部は、開放にしてしまいます。

意外と匂いも気にならず、ガスや便でパウチが剥がれることもなく、ほぼ快適に過ごすことが出来ています。
ただ、外出の時はそうはいきません。
開放するときは、マジックテープ部分に絆創膏を貼って、絆創膏をはがせばすぐに使えるようにしておきます。
外出時は、通常の使用方法で使います。
ただ、やはりガスが多いので、後付けのガス抜き穴を余分に付けることにしました。
各メーカーからいろんなアクセサリーが出ていますので、いくつかサンプルを取り寄せていますので、ひとつずつ試していく予定です。

ただ、ここに来て問題が起こっています。

肉芽(にくげ)が、大きくなっているのです。

そもそも肉芽とは、物理的な刺激で出来ることが多いので、胃瘻の時もそうですが、接触を避ける必要があります。
通常の場合、人は立ったり座ったりと体を立てていますから、排出された便は袋の下の方に貯まります。
ですが、彼の場合は仰臥位がほとんどなので、ストマそのものの上に便がかぶさっていくのです。

ストマ周囲に僅かにあった肉芽は、今は花びらのようにストマをぐるりと囲んでピラピラとしています。
そのため、その花びらのようなぴらぴらに、便がさらに入り込んで汚染され、刺激を受け続けるわけです。

とりあえず、リンデロンVGとパウダーで抑えることになりましたが、こういうケースは私たちも初めてだし、今皮膚状態を見てくれている先生も初めてなので、今後はあちこちから情報収集をしなければいけません。

だた、頚損でストマは「ありだな!」と思います。
大体、頚損で排泄にトラブルが生じると、自律神経のか反射が起こり、血圧の急激な変動が起こりやすくなり、ショックを起こしたり梗塞を起こす原因にもなります。
頚損をみている泌尿器の先生に、尿も膀胱ろうがいいと聴いたことがります。

頚損は、通常の看護やケアとは、ちょと違った方法を取ることが多いので、頚損を見たことのない病院では、治療や看護もなかなか難しいのが現状です。

頚損のストマ管理で、いい情報があったら教えてください。


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1 コメント

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はじめまして。 (RB)
2016-06-30 16:16:42
上位頚損(本人)でストマ造設を検討している者です。
こちらの記事、大変参考になります。
その後、ガス抜きの良い対処法:アクセサリー等はありましたでしょうか?
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