こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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家族と、どう向き合うのかな。

2011-11-29 22:23:54 | 訪問看護、緩和ケア
このところかなり荒れ模様で、バタバタとしています。

在宅療養をしている中で、「これからの事、ご家族と話し合っておいてくださいね。」
そういう声掛けは、時々させて頂いています。

これから先、どういう形で過ごすのか。
ずっと在宅なのか、施設なのか、病院なのか。
延命は希望するのか。
抗がん剤などの積極的治療は続けるのか。
栄養は?点滴は?胃瘻は?

在宅を希望した場合、それが可能な状況なのか。
主治医の了解はあるのか。
家族はどこまで関われるのか。
経済的な問題はないのか。
家族関係はどうなのか。
何より、本人との合意はあるのか・・。

などを含めた「これからの事」です。


今日も若いAナースが悩んでいました。

ご高齢で循環器の悪い患者さん。
何度も死の淵から甦ってきた方です。
でも、このところ病状はかなり悪く、少し動いても呼吸が苦しくなります。
今日はずっと、血中酸素飽和度が90%を切っています。

でも、「まだ大丈夫ですよ。きっとまた元気になるから。」とご家族。

いやいや、今度はかなり厳しそうです。

主治医は、病院から時々往診に来てくれていますが、いつでもお願いできるわけではありませんし、救急病院ではないので、急変時に入院できる可能性は少ないです。
それに、万が一の死亡確認も難しいとのこと。

今、ちゃんと向き合ってこれからのことを家族間で意思統一しないと、場合によっては検死ににもなりかねません。

Aちゃんは、この秋ごろから保険もつけて非常勤として、重症の患者さんも持ってもらっています。
そのなかには、困難事例とも呼べる患者さんや終末期の方もいて、いままであまり機会がなかったご家族との土壇場のやり取りや、医師やケアマネとの細かい調整が必要な患者さんが増えてきています。

一生懸命関わりながら、時としてウルウルしている彼女を、周りも一生懸命サポートしてくれます。
今日は、この患者さんを含めて3人の患者さんの状態が悪く、その対応を横で見ながら自分で采配できるように見守っていました。
途中からは、私も電話に変わりご家族との調整を早急に行う事となりました。

今、そういうサポートが必要な新人ナースが3人。
みんな頑張っていますが、いろんご家族を前にかなり手こずっているのもよくわかります。

物事の手順、声をかける機会、声のかけ方、話の進め方。
どれをとっても、なれない若いスタッフには重いようです。
いままでは、すぐにこちらで対応してしまっていましたが、そろそろ自分たちでできるよう後ろで応援しています。
3人とも、いい線行っています。
が、押しが弱かったり、伝え方が曖昧だったり、時々助け舟が必要なので、周囲のお姉さんスタッフも、みんなでアドバイスをしたり、慰めたりとなかなかいい雰囲気です。

明日までには話し合うと息子さん。
いい方向に話がまとまるといいのですが・・。


そういえば、帰りがけに他事業所のヘルパーさんから、ある患者さんの報告の電話がありました。
昨日も少量ですが黒色の嘔吐と、タール便があった方です。
「夕方の訪問時、やはり黒いものを吐きました。オムツにも黒い軟べんが中くらい出ていました。顔色青かったです。」
って、今はそれから1時間以上たっているし・・
やっぱり消化管出血しているのでしょうけれど、その時呼んでほしかった。

独居なんですよ。
しかも、歩けない。

あわててケアマネさんに連絡し、緊急訪問しました。
思ったほど悪くはなく、ご本人はキョトンとしていましたが、これから食べるつもりだった「海苔巻き」はやめてもらい、いつも飲んでるサイドテーブルの焼酎も今日は封印。
明日の往診まで待てそうだったので一安心です。
主治医の先生は、夜には連絡が取れなくなるので、今夜何かあったら救急搬送ということで合意できました。

なんだか、朝からずっとこんな調子です。
明日は退院前訪問ですが、こちらもかなりの困難事例。
うーん。本当に帰ってきて、介護が出来るのか疑問ですが、とにかく出来る限りのことはする!

まだ週の半ばです。
気合を入れて頑張りましょう。

今日は半休。

2011-11-28 23:08:49 | 日々のあれこれ
昨日試験の後、かなり調子が悪かったこともあり、以前休日出勤したときの代休(半休)をとりました。

調子の悪かった理由の一番は、髪が伸びすぎた事。

私は、髪の量が多いのです。
しかも、髪の毛の質がしっかりしているので、重いんです。

最近はずっと後ろで一つに縛っていることが多くて、髪の毛が重くてしばらくすると頭皮がジンジンしてきます。
ひどくなると、頭が痛くて引っ張られいる感じが強く、気分が悪くなってくるのです。

昨日も、家に帰って髪を縛っているゴムをとったとたん、頭がビリビリして寝込んでしまいました。

そんなわけで、もう我慢の限界となり、今日は午後から思いっきりカットしてきました。

行きつけの美容師さんも「こりゃあ重いよねぇ。水分を含むとズッシリくるもの。」と。

バサバサと鋏が入るとどんどん軽くなり、本当にすっきりしました~。
短くすると、美容院にちょくちょく来ないといけないので面倒ですが、あの重さに比べたらずっといいです。

そのあと、夕方から娘を拾って買い物に行き帰宅したら、息子から電話がありました。


「解剖実験で使ったウナギ持って帰るから、タレある?」って・・。

げ・・・

「ちょっと、いやだ。なんか気持ち悪い。実験に使ったウナギなんて。」というと、息子は「せっかくもらったんだから。俺達が食べないと、先生たちが夕飯にするって言っていたし、きれいだよ。すごく清潔に扱ってるんだから。」と。

海洋資源学科の息子。
そんなウナギを食べたいと言うなんて、なんて食いしん坊。

で、持ち帰った2匹のウナギは、頭はないものの、きれいに開かれちゃんと蒲焼仕様になっていました。(開ける人がいるらしい)
形はかなり小ぶりで、台湾産だとのこと。
ウナギのタレはあったので、とりあえず串を通そうとしたら、皮の固いのなんのって・・
なんだか見るからに固そうで脂ものっていなそうです。
この忙しい時間に、蒸すのも面倒なので、関西風にそのまま焼いてみました。

すっごい煙は出ましたが、タレを塗ってもあの特有のうなぎのいい匂いはせず、網の上で身が締まっていくのです。アナゴ??いやウミヘビ?
箸で触っても硬いし、匂いもないし、脂も落ちない。

息子以外は全員拒否。

息子はとりあえず丼に炊き立てごはんをよそい、その上に固く引き締まった謎の魚類をのせ、タレをたっぷりかけ、ご丁寧に山椒もかけ、何もためらわず口に入れました。

もぐもぐもぐ。

「どう?」
「硬い。ウナギのタレの味がする、弾力のある白身の味のない魚。」

「うまい?」
「ウナギだと思ったらかなりまずい。でも、食べられなくはない。」
そう言って、四分の一だけ食べてあとはごめんなさいとなりました。

おばあちゃんがあっちで聞こえよがしに「もったいない。蒸すこと知らないんだね。」とおじいちゃんに言っていましたが、私の耳はちくわ耳。
そんなに蒸したければ、最初から差し上げたものを・・。
でも、これ以上時間と調味料をかけるものではありません。
これは、あくまで解剖実験用のウナギでございます。
手厚く、学校でご供養して頂きましょう。

そうして、あっという間に半休は終り、明日からのためにもう寝ます。

何だか、一波乱ありそうな師走です。

最近の読書

2011-11-27 22:11:52 | 読書、漫画、TVなど
なかなか時間的に余裕がないので、読みたい本はたくさんあるのに、なかなか進みません。

最近読んだ本。

table border="0" colspacing=0 cellpadding=0>賞の柩 (新潮文庫)帚木 蓬生新潮社  
空山 (講談社文庫)
帚木 蓬生
講談社


今読んでいる本

無意識の構造 (中公新書 (481))
河合 隼雄
中央公論新社


他に2冊ほど同時にななめ読みをしています。

これが終わったら、
風花病棟 (新潮文庫)
帚木 蓬生
新潮社


これはすでに手元にあります。

帚木蓬生さん、面白いです。

もう数えきれないぐらい、たくさん作品はありますが、まだ私は5~6冊くらいしか読んでいません。
でも、描写の美しさや魅力的な主人公や、ストーリー自体の面白さは格別です。

この方は、東大の仏文科を出てTBSに2年努めてから、九州大学の医学部に入り、現職の精神科医でありながら精力的に小説を書きつづけている方です。
必然的に、医療の闇をモチーフにした作品が多くて、医療関係者にはファンが多いと思います。

「賞の柩」はかなり古い作品ですが、ノーベル医学賞をめぐって、受賞者のまわりで関係者が死んでいく(しかも白血病で)ことに気が付いた青年医師が、その謎を追いながらかつての恩師の娘と、パリで恋に落ちるという、なかなかおしゃれ―な感じの小説です。
読んでいてワクワクしました。
ヨーロッパの街と、そこで暮らす美しい女性の描写が素敵です。

「空山」は、自然に恵まれた片田舎の村で、ワイナリーを経営するバツイチ女性と、村に戻ってきた幼馴染の青年医師との恋を描きつつ、恋人を亡くした市議会議員の女性が、その青年医師などと一緒に大規模ごみ処理施設に関わる悪を暴いていくというストーリーです。
ただ、単にごみ処理施設を否定するのではなく、どうしたら自分たちがこの美しい国を、未来まで守りつつ、ごみの処理を安全に効率的に行っていくかと言う事も考えさせられました。
環境問題と、美しい日本の自然と文化、そしてすてきなラブストーリーが一緒くたに楽しめる小説です。

そして現在半分まで読んでいるのが「無意識の構造」。
ユング派の精神分析家である河合隼雄さんというかたの著書です。

私が現在も認定心理士を取るために通信大学で心理学を学んでいることもありますが、先日テレビの放送大学で見たユングの一生に、かなり衝撃を受けたこともあって、手に取ってみました。
で、もっとわかりにくい専門書かと思ったら、これがすごくわかりやすくて面白い。

フロイトと仲良しだった彼が、フロイトと決別して、独自の精神分析を行っていくのですが、この内容を夢の事例を通して、わかりやすく説明してくれます。

たとえば摂食障害は、母親からの自立に起因することを知りましたが、なぜ関係性が母親なのかと言う事が、少しづつわかってきた気がします。
無意識の中にあるイメージやシンボルなど、文化の違いでも変わってくるものがあることを、各国のおとぎ話や童話からもひも解いていきます。
自分の中でもやもやしていたものの、ほんの断片ですが見えた気がします。


本を読むことは、素敵です。
知らない世界、知らない人々、ありとあらゆるもの、パラレルワールド。
読書をしているときだけ、私は自由になれます。

でも・・時間がない~。

ちなみに、今日は単位修得試験で3教科を受けてきました。
人間環境学、高齢者の心理、そしてこの学校の理念で仏教。

このところ、「親鸞」をよんだりしていたので、今更教科書を見ると法然上人やら親鸞の話が出てくるし、聖徳太子も登場しています。
そして、仏陀。

どうも仏教は奥が深くて面白うそうです。
仏教と緩和ケアも深いつながりがあるようですし、時間が出来たらもっと勉強してみたいなと思っています。

というわけで、今日はへろへろです。
明日からまた一週間、バタバタと過ぎていくのでしょうね。
自由な時間が欲しいです。




週末でも忙しくて・・。

2011-11-26 23:47:32 | 日々のあれこれ
先週も、患者さんの病状変化や、いろいろな問題があって、あっという間に過ぎていきました。

金曜日の夕方には、瀬谷区と西部病院の訪問看護連絡会のメンバーが、事務所移転のため他区に移動することになり、送別会がありました。

場所は、先日うちのステーションで歓迎会をした「P-TWO」です。

今回もとっても美味しくリーズナブルで、みんな大満足でした。
昼は主婦でごった返しているようですが、夜は本当に静かですから、少人数でのお食事はお勧めですよ。(要予約3150円のコースのみ)


           

同じ区内のステーションの管理者と、西部病院のホームケアの師長とスタッフ、そしてケアマネさん1名の参加で、みな気心知れたメンバーですからついつい飲みすぎて、帰宅後はくらくらしていてとてもブログは更新できず・・・。

とはいえ、明日はまた単位認定試験で早朝より池袋の先まで行かなくてはなりませんから、本当はもう寝ないといけません。

明日は3教科頑張って受けるので、WEB上での模擬テストをやりながら復習をしていました。
うーん。
大丈夫だろうか・・・?


そういうわけですから、今日はこれで寝ます。おやすみなさい。

苦手意識が・・・

2011-11-24 23:28:17 | 訪問看護、緩和ケア
看護師の技術で、どうしても差が出てしまうのが点滴です。

もちろん看護師だけでなく、医師でもそれは同じですが、患者さんの一番近くで一番多く点滴をするのは、やっぱりナースです。

この点滴(採血も!)がすごく苦手な人がいて、それは看護師や医師のキャリアとは関係なく、かなり極端に分かれてしまいます。

特に点滴ですが、最近はサフロなどの留置針を使うことが多くて、同じ点滴でも翼状針を使うか留置針を使うかでも得て不得手が出てきます。

在宅の看護師は、これが年代で現れます。

昔、私が大学病院にいた頃、点滴は研修医の練習をかねて行われていましたが、研修医が入らずに、患者さんから怒られたり、泣かれたりすると私たちにご指名がかかって、代わりに血管確保をしたりしました。
もちろん採血はナースの仕事でしたから、あたりまえに刺すことに馴れていました。
ただ留置針は、術前や24時間の持続点滴の人だけでしたし、それは医師がやることがほとんどでしたから、留置針には抵抗がある人が結構います。

その後、数年間看護師が点滴や採血をしない時期がありました。
点滴は医師の仕事で、採血は臨床検査技師の仕事と、きっぱりきめられていた時代です。

でも、この時代はさほど長くなく、業務上やっぱり看護師が行うのが一番機能的・・だと思ったかどうかは知りませんが、現在までずっと看護師が点滴ルートを取るのが普通になっています。

なので、今の若いナースは当たり前のように手術前夜に病室を訪れ、一番動かしやすい位置で留置していきます。
うちの若いナースたちも、全く抵抗なくスムーズにできます。

ということで、在宅のナースで苦手意識の強い人たちは、主にこの点滴も採血もやらなかった時代に病院勤めをしていた人と言う事になります。

もう一つは、あまり点滴を刺したことがあろうがなかろうが、感覚的に皮下にある血管の3Dイメージできるかどうかでしょうか。

そんなこともあり、点滴の苦手なスタッフには、あまり無理に行かせることもせず私や、数人のあまり拒否感を持たないスタッフだけで済ませていました。

でも、このところやたら点滴が増えてきました。
それも、サフロでの穿刺が主になっています。

「点滴苦手。できません。ではダメです。みなさんが出来るようになってください!!」と今回は強くお願いしました。

そして、苦手と自己申告したナースに、再度サフロでの練習をしてもらっています。
練習ですから、患者さんに刺すわけではなくて、スタッフ同士での練習となります。

一度失敗すると、かなり凹んでしまって、ますますうまくいかなくなります。

そして昨日今日と必死に頑張ったあるスタッフは、昨夜点滴の夢でうなされたそうです。
可愛そうに・・・。
っていうか、考え過ぎです。
ビビッてかたくなって、焦って血管を見失ってしまうんです。
ちょっとした角度や、針の入れすぎ浅過ぎなど、どうやら皮下にある血管のイメージがうまくつかめていないようです。

でも大丈夫。
みんなで血管を提供し合って練習すれば、いつか必ず出来るようになります。
だって、ほかの看護技術は何の問題もないですし、患者さんとの信頼関係も、すごく上手に築ける人ですから。
「翼状針なら出来るのに~
でも、お年寄りが2時間もじっとしているのは辛いでしょう?ポータブルにも移れないし、漏れたらまた刺しなおしはかわいそうでしょう?

でも、あんまりストレスになるのなら、無理やり担当にすることは考えていません。

人は誰でも得て不得手がありますから。
今回は、一人でも苦手意識を取り払ってくれればいいなと思いチャレンジしてもらっただけなので。

患者さんとご家族にお願い。
看護師の手元をあまり凝視しないでくださいね。
それだけで、苦手意識のある人には、ものすごいプレッシャーになるんですよ。
ちょっと外を見ていてくれるだけでも、グット成功率が増しますから。
これからの医療の発展のためにも、ご協力お願いいたします。

救急医療情報

2011-11-23 22:00:18 | 訪問看護、緩和ケア
いろいろと立て込んでいて、夜ともなれば睡魔にも勝てず、昨日も一昨日もブログ更新を断念してねちゃいました。

二日もサボると、もう面倒になってきて今日もサボっちゃおうかな~とか思ったりもして。

でも、ダメ、ダメ。
3日坊主の私が2008年から続けて来たのですから、ここは気を取り直してまだまだ思いのたけをぶつけ続けないと。

で、この3日もいろんな出来事はあったのですが、月曜日の午後から横浜市の訪問看護連絡協議会の定例会がありました。

今回は、3.11を受けて「災害」についての研修です。

横浜市消防局の方のプレゼンでは、3.11の横浜での被害状況なども報告され、思いのほか横浜でも被害があったことがわかりました。
          

そして、市連絡協議会の災害委員からは、各ステーションからのアンケート結果のまとめが報告されました。

 

そして、現在までの横浜市内での災害に関する取り組みもいくつか紹介されました。

このなかで、以前ちょっとブログでも触れましたが、「救急医療情報キット」というものを実際に普及させている磯子区の取り組みが紹介されました。

この医療情報キットとは、一枚の紙に氏名や年齢、住所や連絡先はもちろん、既往歴、現病歴、今内服している薬、主治医、現在の病気で必要な医療情報を簡潔に記載しておき、これを透明なタッパーウェアに入れて、冷蔵庫に保管しておくというものです。
その際、医療情報だとすぐにわかるよう、目立つ色の大きなステッカーを透明タッパーに入れておきます。(磯子区では、赤と黄色の縞模様に磯子区のマークが入っていました。)
さらに、この家にその情報キットがあるよ。と言う事がわかるよう、やはり磯子区独自の丸い大きなステッカーを、家のドアと冷蔵庫の扉に貼っておくようになっています。

磯子区の救急隊が来れば、それが救急情報キットであることがすぐにわかるというわけです。



さらに、そのタッパーにはいつもの薬を3日分くらいストックしておいたり、保険番号も入れておくと、もっとわかりやすくなりますね。

なるほど、これなら見る人が見れば情報がすぐにわかります。
災害時に限らず、独居老人や老老介護で急変した時など、それを救急隊の人がみれば、ある程度のことが予測されたりもしますよね。

今までの震災でも、避難所で慢性疾患の方の情報が少なすぎて、お年寄りの体調管理がとても難しかったそうです。
そんななかで、お薬手帳を持っているだけでも、医療スタッフにはありがたかったという話も聞いたことがあります。


この後のグループ討議では、市の高齢担当や保健師も入ってもらい、一緒に討議したので現状も聞くことが出来ました。

この医療情報キットですが、実は横浜市の中でもまだ知らない人がほとんどなのです。

瀬谷区に関しては、先日区の災害研修で聴いたところ、これは導入していないと言う事でした。
かわりに、区独自の情報用紙を配ってはいるそうですが、残念ながらほとんど普及されていないと思います。

一部の老人会や自治会が配ったとしても、いったい誰がそれを記入するのか・・・
医療情報キットでもそうですが、この手の物はその辺にほっぽらかされて、忘れられるのが普通のこととです。
ですから、この手の物は訪問看護師やご家族や、ケアマネが気が付いて記入してあげないと、全く無駄になります。

さらにいえば、ただ用紙を配っただけではどこの誰がこれを持っていて、それがどこにあるのかもわからないわけです。

ですから、地域の共通認識としてのステッカーや印や、保管場所が必要なのです。
ちなみに瀬谷区には、そういう決め事は一切ないので、今後提言していく必要があります。

また、市の保健師さん曰く「実は、このマークも各地域ごとに全く違っていて、救急隊の方もそれぞれの地域ごとになんて覚えられないので、とても混乱する。』らしいのです。

ならば、横浜市で全部同じステッカー、同じ保管場所、同じスタイルでやればいいのにとおもいましたが、各自治体でお金をかなりかけて始めているので、今更どうにもならないのだそうです・・。なんだかなぁ・・とは思いますが、やらないよりはやった方がいいとは思います。

どちらにしても、自分の身は自分で守る意識は、全員が持った方が良いですね。

前にも書きましたが、各区の救護所とされている小学校には、ろくな医療品はありませんから、よほどうまく病院まで運んでもらえなければ、重症の場合かなり危険だと思います。

ちなみに大怪我をしたとして、自分の家の前の学校が重傷者の救護所であったとしても、遠くの救護所で受付してトリアージをしてもらわなければ目の前の学校での治療はしてもらえないというルールがあります。

これはもう、混乱を避けるためには致し方がないのだそうです。
それもわかる気がしますが・・。

でも、HUMAのドクターは、ルールなんかいざとなれば関係ない。
僕は、診る!!と、力強く言ってくれました。

救護施設にスーパードクターがいち早く来てくれることを祈るのみです。
DMATが、どこまで迅速に、的確な場所に来てくれるかにもかかっていますね。

リンパ浮腫のケア・実技研修

2011-11-20 22:57:55 | 訪問看護、緩和ケア
金曜日の夕方から、今度はリンパ浮腫のケアの実技研修を行いました。

今日も17時ころから、みんなで配給のお弁当を食べ、Tシャツにショートパンツ姿で講義に望みました。
講師の近藤先生も、今日は動きやすい服で来てくれました。

二人一組は、昨日あみだくじで決めておきましたので、スムーズにペアに。

まずは、弾性ストッキングの種類とはき方。
弾性ストッキングにもたくさんの種類があって、いくつか持ってきて頂いたものを、何人かが履いて、それぞれの履き心地や手触りやフィット感を確認。
そして、履き方にもコツがあることを実際にやってみて納得。

このストッキングのメーカーは、何と瀬谷にあるとか。
すごいです。瀬谷!!

そして、リンパドレナージュ。

まずは、先生のお手本から。

                     

この後、モデルのSナースの美しいお尻を出してくれての、実際をお勉強。
軽快な先生のお話しに笑いながらもみんな必死でした。

そして、二人ペアでの実施。

難しいのですよこれが・・。

リンパのケアは、どこからどこに流すかをちゃんとわからなければできません。
お腹に癌がある場合は、鼠径ではなく下肢の浮腫でも腋下に流すので、その経路に沿ってドレナージュをしていきます。

もちろん、一番最初は肩回しと腹式呼吸から始まるのは基本です。

皮膚の表面を動かす程度に、しかもリンパの流れに沿って、どちらからどちらに手を動かすか、動かす力加減や円の方向も、すぐにわからなくなります。

それでも、だんだんみんなの動きも良くなって・・。

リンパ浮腫のケアには、もう一つ大事なことがあります。
それは、スキンケア。

使用するのは、ニベアスキンミルクかキュレルのスキンミルク。
感想が強くて皮膚が角化傾向の人などは、ニベアが有効だそうです。
ニベアのほうが油分が多く、かなりしっとり感が強いです。
キュレルはセラミドケアで無香料、皮膚に優しいタイプです。
どちらかというと、夏向きのようですが、価格はニベアは400円前後に比べ、キュレルは1300円前後と高価です。
でも、どちらもすごく効果があります。

リンパ浮腫のケアのケアでは、500円玉大で、1.5個から2個分くらいを、皮膚の状況によって使っていきます。
そして、ゆっくりとドレナージュを施しながら、べたべた感がなくなるまで行います。
すると、びっくりするくらい皮膚が柔らかくなり、確かに浮腫んだ足なら本当に楽になると実感。

一人ひとり実際に先生に手を添えてもらい、実習できました。

そして、もうひとつ教えていただきたかった技術。
陰嚢の浮腫の改善。

浴下半身の浮腫の方で、陰嚢や陰唇の浮腫がひどい方がいらっしゃいます。

そういう浮腫が劇的によくなるとか。

実際、前回の講義ではビフォーアフターの写真も見せていただき感動!

これで、あのパンパンに膨らんだ狸さんのような陰嚢を小さくしてあげられたらうれしいです。

結局2時間半びっしりの、楽しい勉強会となりました。

最後に、今訪問中の患者さんのを、リンパ浮腫外来で見ていただくことになり、これからも連携していけることになりました。

こういう勉強会、これからもやっていきたいと思います!

膀胱直腸瘻

2011-11-19 23:55:23 | 訪問看護、緩和ケア
今週末は緊急当番ではないのですが、私がかなり関わっている方の緊急電話に対応しました。

うちは、24時間緊急対応なので、電話での相談と緊急訪問が出来ます。

昼過ぎの電話、ファーストオンコールのRちゃんが、デイサービスでバルンカテーテルが抜けてしまった患者さんの対応中にかかってきました。
ちなみに、デイーサービスに訪問看護が出張することは出来ないため、自宅に帰ってもらってからの訪問となります。
一番いいのは、デイサービスのナースがやってくれればいいのですが、今日はナースのいない日だとか・・。
デイーサービスでも施設でも、看護師不足は深刻なんです。

で、その間にかかってきた患者さんに電話をしてみると、尿が昼から出ていないとのこと。
この方も、バルンカテーテルが入っています。

「膀胱直腸瘻」

時々いらっしゃいます。

これはどういうものかというと、癌などの浸潤で膀胱と直腸がつながってしまう状態です。
女性の場合は、よく膣と直腸が繋がってしまいます。
ただ、これらは癌とは限らず、なかには炎症で穴が開いてしまう方もいらっしゃいます。

膀胱は通常無菌的な場所ですが、直腸とつながってしまうと膀胱へ便が混じってしまいます。
もちろん、直腸にも尿が流れます。

直腸はもともと便があるところで、大腸菌やらいろんな雑菌がどっさり住んでいますが、無菌的な膀胱にそれが入ると、逆行して腎臓などにバイ菌が入り、重篤な感染症をおこしてしまうことがあります。
さらに、もともと細い尿道を、便のカスが通過できずに、尿が詰まってしまうので、バルーンカテーテルという、尿管カテーテルを入れて、尿が自然に流れるようにしておくのです。

以前、あまりに便の残渣が多くて、バルーンカテーテルもすぐに詰まってしまい、一日に何度も膀胱洗浄をしてもだめで、通常の倍の太さのカテーテルをいれていた方もいました。

で、今回も膀胱洗浄を行うために緊急訪問しました。
今後も詰まる可能性がある為、私の指示で奥さんが行うといういう方法で、ご家族に膀胱洗浄を覚えてもらいました。
もちろん、患者さんであるご主人も一緒に手順や注意するところを一緒に確認しました。

膀胱洗浄は、カテーテルチップというピストンに、生理食塩水を入れてゆっくり注入、ゆっくり吸引を繰り返します。
膀胱の中を洗っていると、2ミリほどの組織片と血の塊が出てきました。
その後、管をつなげると少しづつ尿も出てきて安心しました。
そして、夕方またその方から電話がありました。
「やっぱりまた詰まったみたい。自分たちで洗浄してみたが、出ないので入れ替えてほしい。」

そして、再度訪問し今度は一回り大きな管を入れてみました。

(本当は男性のバルンカテの交換は、医師でなければいけないのですが、今回は医師の必要性の指示を指示書に書き込んでの処置になります。)

でも・・
流出がない・・。

再度生理食塩水を注入するとスルスルと入り、スルスルと吸引できます。
でも、尿が出ないとなると、考えられるのは尿が膀胱にない。と言う事です。

何故ないのか・・。
いろいろ考えられますが、これはもう病院に相談です。
当直の先生も同じ意見で、緊急受診をお勧めしました。
でも、そのうち少しづつ流出が見られるようになり、どうしても様子が見たいとのことで、経過観察をすることになりました。

こういう形で瘻孔が出来たり、変なところと繋がっちゃったりするのは、本当に不思議ですね。
人間の身体は、時としてびっくりするようなことが起きます。
そして、これが結構多いのです。

見えない場所に管を入れるのは、私だって怖いですよ。
まして、中がどういう風に繋がっているのかもわからないで、腫瘍をつついたらどうしようとか思っちゃいます。
そのリスクの中でも、少しでも安全に、苦痛を緩和して、ご本人のいたい場所で過ごさせてあげられたらと思っています。
でも、どこまで担っていけるのだろうかと、ちょっと不安です。

今日も「リンパ浮腫のケア2」書きそこねた~。

今日の?「ヘルパーの食事介助」

2011-11-17 23:35:58 | 訪問看護、緩和ケア
今日も朝からいろんなことがあって、かなりバタバタとしていました。

その中で、「???」と思った出来事が・・・。

夕方訪問から帰ってきたスタッフが、こんな報告をしてくれました。

「今日、A子さんを訪問したら、手に便がガピガピにこべりついていて、爪の中までとるのが大変だったんです。いつ便が出たのかなと思って、ノートとか見たけれど、どこにも記載がなかったので、ヘルパーさんに昼の食事介助の時についていたか聞いたんです。
そうしたら、自分たちは食事を全介助で食べさせているので、手は見ていないというんです。
食事の前に手を拭いたり、汚れたら洗ったりしないんですか?と聞いたら、プランにないので、もし必要ならケアマネさんにプランに入れてもらってください。と言われたんです・・。
でも、いくら全介助で食べさせるにしても、食事前に手を拭かないのはどうなんでしょう? 」と。

え・・?

それって、どう解釈したらいいんでしょう?

私の常識の中では、いくら患者さんが手を使わなくても、食事の前に手は拭くと思うのですが・・。
それに、手がマヒして使わないのではなくて、認知症が進んで食べることをしなくなっているわけで、たとえば何か手で持ってもらう事も、刺激になるし援助の一つになると思うのです。
まして、訪問したら体全体は確認して、異常がないか、いつもと変わったところがないか、と観察するのは、プロのヘルパーさんとしては当たり前のように思うのですが。

百歩譲って、もしそういう事がプランに無いとまずいなら、プロとして「私たちは、こういう援助が必要だと思うので、プランに加えてもらえませんか?」と提示することもできるんじゃないかと・・。

うちのヘルパーさんに聞いたら、食事前に手を洗うのは、立派に一連の食事介助の一つになっていますよ。もちろん、私たちはそのままにはしませんけれど。」とのこと。

一般に、介護保険ではいちいち食事介助に「手を洗う。」ってことも入れないとダメなんでしょうか?
私は、それも込みだと思っていたので、そんなことまでプランに書いたことがありません。
それに、プランに書いていないと、うんちまみれでもきれいにして貰えないんでしょうか?

そんな介護保険なら、もうケアマネ業務はやめちゃいたいなと思います。(数人しか持っていませんけど)

とりあえず、ケアマさんには、その旨伝えるようにしてもらいました。

何だかよくわからない解釈が多い介護保険です。

ところで、今日は18時から「リンパ浮腫ケア・実技編」の勉強会でした。

      


先週の概論に引き続き、今日はペアになっての実技編でした。

当初の予定90分は大幅に過ぎ、2時間半みんな夢中であっという間に過ぎました。

この内容は、明日お伝えしますね。

聴く耳持たぬ医師

2011-11-16 22:54:08 | 訪問看護、緩和ケア
普段は、連携室を通していい関係でお仕事をしている某病院。
このところ、どうも患者さんをめぐって、うまくいかないことがあります。

大きな病院なので、第3エードであることはわかっていますし、病院内でも横の連携を取って貰えないことも、困ってはいますが半ばあきらめています。

でも、自分の外来にいくつも通院していて、このところ病状が悪化傾向で、何度も具合が悪くなる患者さんへの対応に、さすがに今日は怒りが爆発寸前でした。

もともと神経系の疾患もあり、脊椎間の狭窄もあり、肝障害もある患者さんです。

秋ごろから、下肢の脱力と痛みが増強し、あっというまにベット上生活になってしまいました。

こうなると、通院も大変です。

集合住宅でエレベーターまでは距離もあり、しかも途中階段があります。
今まで何とか抱えたり、お尻で移動したりで何とかしていましたが、もうそれも困難になり、往診医に変えることも検討していました。

先週から腹部が張ってガスでパンパンになり、苦しくて緊急訪問が頻繁になり、排泄援助などで緩和を図っていました。
ある日、訪問すると腹部膨満がひどく、息苦しさもありました。
肝障害も長いので、病院に連絡して頑張って連れて行ってもらいました。
この時は「ただのガスですね。何で来たの?」と言われ帰されましたが、二日後には「尿がたらたらとしか出ません。苦しがっている。」とのことで緊急訪問しました。
日曜日の夕方だったこともあり、病院には主治医もいないと思います。

在宅の往診医がいれば、すぐに連絡して導尿なりバルンも入れられますし、事後報告でも説明すれば問題はありません。

どうしようかと考えました。
でも・・二日前にようやく連れて行ったのにあの対応でした。
しかも、また病院まで移動するのは本当に大変です。
行は救急車で行っても、帰りは二人対応でお願いすると、移送費用もかなりになります。
そうして頑張って行っても、心無い言葉で帰されてしまうとおもうと、また無理に連れて行かせることが、出来ませんでした。
ちょうど、前回のこともあり往診医を付けることに決定したばかりで、話を詰めている最中でした。
このところの下肢の痛みの増強や歩行困難もあり、神経疾患や脊柱管狭窄の悪化による膀胱直腸障害の可能性もあり、とりあえず導尿をすることにしましたが、痛みで動けない妻の介護をを考えると、日曜の夜を穏やかに過ごさせたいと思い、バルンカテーテルを留置しました。

もちろん、病院からの指示の患者さんですし、本来なら受診させるべきなので、翌日には経過と理由を書いて病院にもお伝えしました。
そして、翌日通院日であったこともあり、ケアマネが付き添い、数日間の記録も持って受診し、往診医への情報提供書の依頼もお願いしました。

この時の医師の言葉に、ケアマネは打ちひしがれて帰ってきました。
「自分の家族なら、あそこで暴れていました。でもこれからの連携を考えると、そんなことはできないので、黙って帰ってきました。」と肩をがっくりと落していました。

その報告を聞いて、もう無理だな・・と感じました。

その先生にとっては、たかがお腹の張りなんでしょう。
たかが看護師の判断で、かってに尿閉と決めて必要もないバルンを勝手に入れたんでしょう。
忙しいのに、いちいちお腹が張っているくらいでうるさいのでしょう。
そう思ってしまう言葉。

結局すっかり萎縮してしまったご家族は、今までの信頼もすっかりなくし、今後は全面的に往診の先生にお任せして、必要があれば往診の先生に病院を紹介して頂くことに決めました。

そして、明日には新しい往診の先生と面談をする予定でした。

そして今日、訪問すると今度はお腹の緊満に加え、右下肢が一回り浮腫んでしまっていました。
スタッフから連絡があり訪問すると、もともと腹部以下足先まであった浮腫ですが、右だけ鼠蹊部から下が一回り浮腫んでいました。
右を下にしていたわけでもなく、足背動脈はよく触れています。
冷感や痛みはありません。
けれど明らかに大きさが違います。
もともと、腹部の緊満で横隔膜が上がり息苦しさもありましたが、今日はSPO2も94%と下がっています。
「なんでこんなにお腹が固いのかしら?」
とっても不安な様子で、夫は心配でおろおろしています。

昔、突然下肢が浮腫み、やがて痛みも伴いはじめ、夜になって緊急受診し深部静脈血栓だった人を知っています。

そのあと、長い入院生活を強いられ、随分後遺症にも苦しんでいました。

動脈も触れるし、強い痛みもないので、たぶん原因はほかにあるのかもしれませんが、でも絶対違うとは言えないし、こんな変化が続いていること自体おかしい。
もう一度意を決して病院に電話をしました。
連携室を通して主治医に確認してもらったら、一蹴でした。
「深部静脈血栓?そんなのあるわけない。心配なら明日時間内に外来に来て。」とのこ

もう、完全にあきらめました。
もうこの先生には何を言っても無理でしょうね。
同じ意味でも、言葉の選び方があるはずです。
日本語は、たくさんの表現方法があります。
物事の言い方一つで、人は納得もするし、安心もします。
でも、腹も立てるし失望もします。
たかが○○を見落として、重大な病気を見落とすことはないのでしょうか?

まして、医師という立場で、たかが腹満、たがが浮腫かもしれませんが、話を聞くこともしないで、時間内にこだわるような先生に、明日また診てもらうにはいけませんよね。

明日、S在宅の先生に面談の予定が入っています。
今日のいきさつも、ケアマネに手紙に書いて持って行ってもらいました。
S在宅の先生なら、明日ちゃんと向き合って話をしてくれるとおもいます。

この一部始終を、学生さんも見ていました。
担当の看護師も、まだまだ新人です。

こんな理不尽な出来事も、きっと良い経験になったっと思います。

良い医療者である前に、まず人として心ある援助がしたいですね。

もちろんこの病院だって、そんな先生ばかりではなく、患者さんを大切にしている医師だってたくさんいるのだと思います。
ただ、大きな組織の中で、医師の振る舞いはそれでも許されると勘違いしてしまった先生にあたっただけなのかもしれません。

は~。
でも、こんなに怒ると、なんだかあとが空しくて嫌です。
明日からは、また気を取り直して頑張ります。

54回めぐみ在宅地域緩和ケア研究会

2011-11-15 23:16:39 | めぐみ在宅緩和ケア関連
今日の研究会は、最近うちのステーションでお看取りをした患者さんの事例の検討会でした。

担当看護師は、5月から常勤で頑張っているRさんです。

施設の看護師だった彼女が、訪問看護師となって最初の2か月は、怖くて不安でどうしたらよいかわからなくて・・・と、毎日おろおろするばかり。
見ている私たちも「これはもしかしたら続かないかも・・」と思っていましたが、その後一転度胸が据わってからというもの、まっすぐにひたむきに、訪問看護のお仕事に向き合えるようになりました。
その彼女が、一人で在宅でのターミナルケアを受け持つのは、はじめてに近いかもしれません。

独居でのお看取り。

担当した当初は、まだまだお元気に庭の手入れなどもされ、たくさんのお話しをして下さった患者さん。

けれど、病魔は急激に進み、あっというまに旅立って行ってしまいました。

その間、主担当としてよく気を配り頑張ったRさんの、初めての緩和ケアでの事例発表です。

かなり緊張していましたが、最後までしっかりと発言もして、自分の意見も言っていましたので、私としてはそれが何よりうれしかったです。

今回のテーマは「告知」。
いつもは、事例から「苦しみ」「支え」「どういう私たちであれば支えを強めることが出来るのか」と言う事を、グループ分けして抽出し、ディスカッションするのですが、今日は趣向を変え、めぐみスタッフAさんと担当だった非常勤医師M先生の司会進行により、違う切り口で進行されました。

ずっと同じパターンで研究会が行われてきたのですが、今日はなれない中でも一生懸命みんなで考えようと二人は汗だくで司会をしてくれました。

今回キーパーソンであった娘さんの強い意向で、病名告知も予後告知もせずに、最後まで自宅で過ごされたIさん。

独居ではありましたが、訪問看護とヘルパーと往診医がローテーションし、最後の一週間は娘さんもお嫁さんも交代で泊まり込んでのお見送りができました。

しかし、何も告知しないことで、当のIさんとの会話はいつも「俺はいったい何の病気なのかなぁ?もしかしたら、まだ発見されていないような未知の病気なのかも知れないなあ。」
「でも、たぶんそんなに持たないと思うんだよ。誕生日まで生きられるかなぁ?」
そんな会話が多くありました。

訪問看護師も、担当医も、何も告知しないことに疑問がありました。
けれど、ご家族は「お母さんの時もそうだった。きっとあと少ししか生きられないと知ったら、生きることをあきらめてしまうと思います。もうあと少ししかないのに、今さらあえてそんなことを言う必要はないと思うのです。絶対に告知はしないでください。」と断言されたのです。

その時、私から言えたのは「ご家族の強い希望であれば致し方ないと思いますが、やはりウソを重ねていくのは医療者としては出来ません。もし、ご本人から『自分はもうすぐ逝くと思う。』とか『俺の病気は癌だと思っている。』と言われたら、それを否定はしません。」というものでした。
ご家族は、「それでいいです。それで自分なりにわかったとしたら、それはそれで了解します。」言う事でした。

結果、ご本人は死を受け入れながらも、何も知らされないまま、静かに眠る時間が増えていき、最後はご家族に囲まれて穏やかに旅立っていくことが出来ました。

もちろん、ご家族もそうすることが出来て、とても満足されていましたし、とっても感謝してくださいましたが、それでも私たちの心のどこかで、「未告知」という事実が引っかかっていたのです。

最近では、ほとんどの病院で最初の段階で病名告知は行われます。
アメリカでは、告知しないと罰せられるのだそうですが、日本でも治療方針を決めるのは、患者さんの選択となってきましたから、まず告知されることがほとんどです。

今回のようなケースは、気が付いたらもう手が付けられないくらい進んでいて、余命もわずかしかないという場合でしたので、病院での告知のタイミングがずれた形なのだと思います。

ちなみに、告知をしたことで「鬱」や「自殺企図」などの精神症状を発症する確率は、告知しなかった場合と比べても、ほとんど変わりないというデーターがあります。

また、自分は告知してほしいが、家族にはしたくないという、一見矛盾した回答がかなり多い事もわかりました。

ただ今回の勉強会でわかったことは、「告知」が良い・悪いという視点ではなく、やはり患者さんの苦しみを理解し、支えを強めることが、結果として良い援助が出来たと言う事になると言う事です。

参加者の中で訪問入浴のスタッフが言っていた言葉が印象的でした。
「私たちは、普段辛い病気と向き合っている患者さんに、いかに良い気持ちでお風呂に入って頂けるかを考えて援助しています。告知されていても、されていなくてもそれは変わりませんし、あえて私たちがそれに触れる必要もありません。たぶん、逆にそういう話は避けて、気持ちの良いお風呂で楽しんでいただくだけです。」と。

たしかに、このひと時を切り取れば、それは「きれいになりたい」「気持ちよくすごしたい。」という支えを強める最高の援助となります。

ご本人の希望を支えるために、何が必要か。そこが問題なのです。

でも、やはり病名や予後の告知は、患者さんには知る権利があります。
そして、これからどうしたいか、どこで過ごしたいか、何を残したいか・・
それらを考え、選択するのは、ご本人なのです。

まあ、ケースバイケースと言えばそれまでなのでしょうが、今日は違った角度から「告知」を考えさせられたいい勉強会となりました。

市民セクター訪問介護連絡会セミナー

2011-11-14 23:47:18 | 訪問看護、緩和ケア
ヘルパーさんのサービス提供責任者を対象にしたセミナーが、市民セクターと横浜市の協賛で行われています。
第3回となる今日は、ヘルパーさんの「通院援助」についてサ責として、どう向き合うかという内容でした。

講師は、瀬谷区にあるNPO法人「わくわく」の理事長中野しずよさんと、私でした。

中野さんからは基本的な法令にのっとた支援の確認と、プロとしての対応、姿勢などが話され、私は、医療関係者として通院援助に求められるもの、知っていてほしいものをお話ししました。
それぞれ事例もだし、グループ討議なども行い、たくさんの意見も出されました。

ちなみに、場所は横浜の開港記念館でした。

横浜の誇る歴史的な建物の中は、ずっしりと重厚で、時代の流れを感じさせる渋ーい場所です。
床も壁も柱も、ずっしりとしていて、しかもピカピカに磨きあげられています。


この建物の内部は、夏でもひんやりしていて漂う風もちょっと時代を感じさせてくれます。

ヘルパーさんの連絡会も少しづつ大きくなり、現在は定期的にレベルアップの研修も行い、何とか底上げをして、地位を確立していこうという人たちが頑張っています。

一口にヘルパーさんと言っても、意識の持ち方やスキルには雲泥の差があり、こうしてレベルアップを図ろうとする人もいれば、「私は、家事援助しかしません。身体介護なんてとんでもない。」とか「家計の助けにやっているのに、なんで勉強する必要があるの?」なんていうかたもいて、プロ意識のかけらもない方から、もっと在宅での力になりたいと、熱い思いを抱いている方までいます。

今後の目標の一つとして、そういうレベルの差をなるべく少なくして、全体を底上げしていくことが求められています。

なにしろ、ヘルパーさんこそ在宅では一番患者さんに近いところにいるのですから。

まあ、看護師さんだってピンきりなので、訪問看護は訪問看護できちんと底上げしていかないとダメですけれど・・。

そんなわけで、今日は半日ステーションを留守にしたので、明日は今日の分残務が山積となっています。
そして、明日は『めぐみ在宅クリニック』の在宅緩和ケア研究会です。
ちなみに、うちからの事例発表となりますが、かなりマンネリ化している研究会を活性化すべく、非常勤医師のM先生と、非常勤ナースのWさんと、テーマを絞ってフリーディスカッションにしようと思っています。

訓練も必要だけれど,飽きないような工夫も必要だと思います。

さて、明日もがんばりましょうね。

無事でよかった。

2011-11-13 23:50:21 | 訪問看護、緩和ケア
子どもたちと、近所の業務スーパーで買い物中、緊急電話が鳴りました。

連携先のヘルパーサ責からの電話です。

独居で、終末期の患者さんにヘルパーさんが訪問したところ、何度コールしても叩いても出てこないというのです。

呼吸状態もあまり良くなかったので、苦しくても出れないのか、最悪のことも考えられました。

あわてて買い物を切り上げ、ステーションにより合鍵をもって、子どもを乗せたまま家に向かいましたが、こんな時に限ってやたら道が混んでいます。

「かわいそう!早く行ってあげて!!苦しんでたらどうするの?!」と言う娘の言葉とは裏腹に、やたらと障害物が多くてイライラしましたが、なんとか家の前に到着しました。

エレベーターで上に上がり、家の鍵を開けたとたん目に入ったのが、酸素カニュラをつけた患者さんが、尿器をもってベットサイトで立っている姿でした。

「○○さん!大丈夫?!」
駆け寄ると、本人は落ち着いた様子で「はい。」と・・・。

「ヘルパーさんから心配して電話があったのよ。苦しくて出られなかったの?でもよかった、無事で。」
と言うと、彼はかなり憤慨してこんなことを話してくれました。

毎日朝晩、ヘルパーさんが来るたびにドアを開けるのが、どんなに辛いことか!!
お願いしたことへの対応も、ちゃんとしてくれないのに、もう嫌です。

とのこと。

介護保険は申請していないので、ケアマネさんはいず、長いこと関わってくれている障害のヘルパーさんが、いろいろな支援をしてくれています。

もちろん一生懸命やってくれていますし、鍵も遠くにいるご家族からの郵送を待っていたところだったのです。
ずっと一人で生きてきて、いろんな意味で見下されたり、辛い思いをされてきた方です。
だから、どうしても周囲を信じられないのでしょう。
自分を理解してくれない。馬鹿にされている。意地悪されている。

そんな思いにさいなまれているようでした。

ご本人の了解もあり、明日には合鍵をコピーしてヘルパーさんに渡すことになりましたが、確かに、このところは体調が悪化してきていて、とても苦しいのだとおもいます。

独居の方が、終末期に家族の支援もないまま暮らすと言う事の恐怖を思えば、当たり所のない怒りになって、一番近いヘルパーさんに向いてしまう事も、致し方ないと思ったりもして・・。
とはいえ、このところややもすると被害妄想的な言葉も多く、どこかすれ違う気持ちを、うまく修復できればいいのですが・・。

とはいえ、無事でよかったです。
こういう時に、ドアを開けるのはけっこう緊張するものです。

うちのステーションでも、独居の方がたくさんいます。
そして、家で最後まで過ごされたいと願う方も多いのです。
その背景はそれぞれですし、物事の受け止め方も様々です。

その場面場面で、出来る限り寄り添っては行きたいと思うのですが、人の心に向き合うというのは、本当に難しいことのなのだと、この頃つくずく思ってしまいます。

実際、我が子の心も良くわからないで右往左往する私ですから、まだまだダメですね。

それでも何でも、向き合う事を続けるしかありません。

また、明日から1週間が始まります。

今日スマホに変えたので・・

2011-11-12 23:24:08 | 日々のあれこれ
設定やら、なんやらでずっと携帯をいじっています。

なんだか携帯電話とは全く違って、これはやはりパソコンですね。

全部ダウンロードやらアカウントの作成やらで、頭がクラクラします。

別にモバイルパソコンもあるし、スマホにする必要はなかったんですが、デザインとかいろいろ見ていたら、文字入力がキー入力でもできる、折り畳みの物があったのでそれにしてしまいました。

今夜は、もう少しこれを研究しないと気になって眠れそうにないので、今日はこんな記事ですみません・・。

あ、ちなみに先日コストコで購入したパン焼き機で、娘がピザを作りました。

器械で発酵まで行い、あとはオーブンで焼きます。

ピザ生地は、やっぱりクリスピータイプです!!

薄くてサクサクしたイタリアンタイプ

ちょっといびつだけれど、こんがりとろーり美味しいピザが出来ました。

このパン焼き機ですが、使う粉によって全然出来上がりが違います。

なので、いろんな粉を使いながら、一番おいしくできる取り合わせを模索中です。

今週は、緊急当番なので遠出も出来ないので、明日は一日家で出来ることをやりたいと思います。

「泣かないで。」じゃなくて。

2011-11-10 23:14:16 | 訪問看護、緩和ケア
一時の潮の引いた後のような静けさが、最近は一変して皆忙しく動き回っています。

今週からは、Y看護学校の実習生が2週間きてますし、今日は謎の「在宅ターミナルケア1日実習」の学生さんが来たので、朝のステ―ションはかなり混雑気味ですが、それはそれで活気があっていいもんですよ。

電話も多いし、込み入った調整が必要だったり、病状変化のある患者さんのことで、かなり忙しくなっています。
そんななか、先月までに亡くなられた患者さんのご家族が、ご挨拶に来て下さることが時々あり、本当にありがたいなと思います。

昨日も今日も「本当にお世話になりました。皆さんのおかげで無事送ることが出来ました。」と、使いきれなかった紙おむつやいろいろな介護用品を持ってきてくださいます。

今日は、先月初めに病院で亡くなられたYさんのお奥様が、ご挨拶に来てくれました。

普通私たちは、患者さんが亡くなられると、時間をおいて落ち着かれたころ、お線香をあげさせていただきに伺います。

でも、Yさんの奥さんは、「どうしても早くごあいさつしたくて」と、お菓子を3箱も持ってきてくれました。
あわてて「そんな、そんな」という私に「あの、大丈夫ですよ。ちゃんと歯を磨けばいいんですよ。」って言いながら、紙袋を渡すのです。

歯を磨く??

そう、Yさんの奥さんは、いつもとっても天然なんです。
それがかわいらしくて、いつも一生懸命なのにどこかずれていたり、勘違いが多かったりで、スタッフも私も、随分時間をかけてお話をしたものです。

でも、そういう時間をとっても感謝してくれていて、「皆さんが助けてくださなかったら、2年も頑張れませんでした。だから、少しでも早くお礼が言いたかったんです。」そんな言葉をくださいました。

でも、歯磨きの意味は、何だったんでしょう??
お菓子を食べると虫歯になるから??

でも、Yさんのお気持ち有りがたくいただきました。

ただ、奥さんは何度も涙を拭きながら「泣いてごめんなさい。すぐに涙が出てしまって。本当に泣いてばかりでごめんなさい。泣いてばかりだからうちにまだ来てもらえないんです。」と言うのです。
「なんで?泣いていいんですよ。今は、思いいきり泣いた方がいいと思いますよ。」というと、
こんな答えが返ってきました。

「息子が、泣くなと言うんです。お母さんが寂しい顔をしているのを見たくないって。娘も泣いているお母さんは、合いたくないって。泣かないでほしいって。」

う~ん。
何でそんなことを言ってしまうんだろうか・・。

「Yさん。今寂しくて悲しいのは当たり前のことですよ。思いっきり気が済むまで泣いて泣いて、
思い出すたび泣いて、我慢しないで泣いていいんですよ。
今、その気持ちを押し込んで泣かないようにすることは、無理やり自分の気持ちを押し殺すことになっちゃいます。
その方が、ずっと引きずってしまう事になります。
いっぱい泣いて、いろんなこと思い出して、少しずつ少しずつ、涙が浄化してくれます。」
「ああ、ごめんなさい。私泣き虫で・・。お父さん酒飲みですごく大変な人だったのに、もう淋しくてすぐ泣くから子供たちに叱られるんです。」
「Yさん、もし今度泣くなって言われたら、こう言ってください。
今日、看護師さんに言われたのよ。泣くのを我慢すると、身体ににも心にも悪いから、泣きたいだけ泣いた方がいいって。だからお母さんは好きなだけ泣くから放っといて。って。」

頷きながら涙をふくYさんの奥様。

大丈夫かなぁ・・。
ちゃんと泣けるかなぁ・・。

そんな思いでお見送りをしました。

むかーし「泣かないで」って言う歌があったけど、時と場合でしょう。
最愛のご家族を失って、泣けないことはあっても、泣いてはいけない事はないはずです。

人は、ひどく悲しかったり辛かったりすると、これを無かったかのように気持ちの奥底に押し込めてしまう事があるんです。
これは、人の心理的防衛機制の一つです。
でも、これはずっと心の無意識の領域にくすぶっているわけで、どこかでこの抑圧されたものが押し出されることがあります。
そして、人は心を病んだりもするのです。

死という永遠の別れに涙することは、残された人間が明日を生きるために必要なことだと思います。

子どもさんたちには、出来れば一緒に泣くか、泣いているお母さんの傍で、そっと寄り添っていてあげてほしかった。

大丈夫かなぁ・・。Yさん。

でも、あとで必ずお宅に伺います。
その時にまた、たくさんお話しをしましょう。