こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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26年度後半 めぐみ在宅 <追想の集い>

2014-10-15 00:19:59 | めぐみ在宅緩和ケア関連
先日1年に2回開催されるめぐみ在宅クリニックの追想の集いに行ってきました。

第一回から献杯の音頭を取らせて頂いている関係で、ずっと参加させてもらっています。

私たちがお看取りのお手伝いをさせて頂いた患者さんのなかで、お二人のご遺族も参加され、お元気な姿を見て、嬉しいやら懐かしいやらで、歓声を上げて再会を喜びました。

とはいえ、最愛のご家族をなくされまだ1年です。

いまだ癒えぬ悲しみは、言葉の一つ一つから感じられて、1年前ご自宅で過ごされていた患者さんの、笑顔や静かな横顔など、まるで昨日のことのように身近に感じることができました。

まるで、その方の息遣いが聞こえるような、ご家族の言葉や回想は尽きることなく、悲しくも楽しい時間を持つことができました。

頑固で亭主関白、そのくせ奥さんがいないと少しもいられないようなOさん。
当初熊のように大きな声で「俺は騙されないぞー!」と吠えていたOさんは、すぐに私たちを受け入れてくれて、帰り際にはいつも、さらっとした温かい手で、握手をして「また来週。」と言って別れました。
本当は、「一緒に散歩しようね。」っていう約束をしていたのに、結局それはかないませんでした。

そんなOさんの言うことなら、なんでも「はい。はい。」と言ってよく動いていた奥様は、私の顔を見るなり「会いたかったー。」と言って涙ぐんでくれました。
「ずっと、頼ってばかりで・・。本当にありがたかったの。」って。
いえいえ、あなたの優しさと穏やかさが、あの頑固なお父さんを、好々爺へと変えて、穏やかな時間を大好きな自宅ですごせたのですよ。

そして、日本の妻代表のような、凛とした美しさを最後まで守り通したKさん。
多くは語らず、胸に秘めた思いはたくさんあったであろう妻をずっと見守り、そして見送った夫は、今も妻の写真に話しかけながら、毎日を過ごしているようでした。

天国のKさん、あなたの旦那様は、誰よりもあなたを愛し、あなたと過ごした時間を抱きしめて、時折さみしさで押しつぶされそうな自分を、時にはお酒の力を借りて、奮い立たせて生きています。
この上なく優しくて、時には酔っぱらいのダメおやじになっても(ごめんなさい(^_^;))いつもいつでもあなたのことを思って、あなたに恥ずかしくないように生きようとしています。
みんなの前で、夜通し考えたというあなたへの手紙は、そんな思いが悲しいほど溢れていて、私たちは皆、涙を流し目を閉じて聞いていましたよ。

そして、同じテーブルでずっと黙って座っていたご婦人は、当初「別に、やることは全てやったので、話すことなどありません。」と硬い表情で言っていたけれど、最後にはご主人との馴れ初めから最期の時までを、まるでのろけるように、慈しむようにお話してくれました。
話すきっかけが出来て良かったと、Kさんのご主人もホッとしていました。

出席されたご家族には、それぞれの物語があります。

みなそれぞれに人生の中で、主人公として生きてきたのです。

その人生の最後のひと時に寄り添えたことに感謝して、残されたご家族と再会した時には、お互いを懐かしんだりたたえ合ったりできるような関係を続けられたらと、心から思う時間でした。

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