こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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リフォーム直前

2014-01-25 00:30:04 | 家族のこと
いささか老朽化が進んで、床のおあちこちがたわんだり、ガス台に至っては、五徳が折れてしまったりしていた我が家。
義父の建てた、義母の思いの詰まった家なので、何か一つ捨てるにもお伺いを立てなければいけないので、リフォーム前の片付けは難航しています。

それでも、古い鍋を捨てることを了承してもらい、残す食器やらなんやらを振り分けつつ、少しづつ片付けています。
義姉もずっと手伝ってくれていて、本当に助かっていますが、いらなくなった大きな食器棚二つは、まだ運び出せずにいます。

28日の朝から、このダイニングキッチンは使えなくなります。
その間10日ほどは、となりのアパートで食事を作るしかありません。
続いてトイレ、風呂、洗面所、さらにはフローリングの廊下全面の上張りもあり、約3週間家の中は全面工事中となるのです。

問題は両親で、要介護の義母はかなり不自由な暮らしを強いられることとなります。

でも、そこさえ我慢してもらえれば、あとはきっと今よりも暮らしやすくなるはずです。

段差はすべて解消し、余分な出っ張りもなくなり、トイレも快適になるはず。
そして、お風呂の湯船にも入れてあげられるかもしれません。

いろいろ問題はあるし、あれこれめちゃくちゃ言われることの多いなか、それでもここまで来たらやるしかないわけで、残すところあと3日弱で、準備を完了させなければなりません。

工事が入ったら、うららだって大騒ぎをするんじゃないかな〜。
おばあさん、転ばせないようにしないと・・・。
なんといっても、トイレは最大の問題だけど、とにかくポータブルで凌ぐしかないわけで、うーん考えると頭がごちゃごちゃになります。


もうこうなったら、早く始めて早く終わって欲しいんだけど。
きっと、これからもひと波乱、ふた波乱あるんだろうな〜。

そして私は、貝のように余計なことは言わず、ちくわのようにいろんなことを聞き流せるようにしないとね。



でも・・、おかげで嫁の立場を骨身にしみるほど体験しているから、患者さんの支援の中では、かなりそこをフォローしてあげられるようになっています。

誰かのせいにしないことを最初に約束してもらったり、一番立場の弱い人に声をかけたり、
そんなことが介護者の力にもなるってことを、再確認しました。

落ち込んでいる暇はない!
ということで、最近のうららさんです。
                   
海軍道路でばったり会ったら、声をかけてくださいね。




本末転倒でしょうに。

2014-01-23 20:54:35 | 訪問看護、緩和ケア
退院調整にかなりに時間をかけ、在宅スタッフには区担当ケースワーカー、病院連携室のMSW、ケアマネ、訪問看護師の綿密な調整から始まりました。

気管切開、IVH、離開創、経済的な困窮・・・

吸引指導に点滴の管理、頻回の緊急訪問を経て、やがて体調は改善していきました。
フラフラだった足腰は、IVHのバックをぶら下げて散歩できるようになり、この頃から経口摂取の訓練を開始しました。

長い長い時間をかけ、ヘルパーも看護師も、歯科医師も主治医も、みんなで気切の閉鎖とIVHの抜去を目指しました。

何度も担当者会議を繰り返し、栄養士も入り大きなチームとなりました。

その甲斐あって、やがて気切は閉鎖され、とろみ水から始まった訓練は順調に進み、二度と経口摂取はできないと病院で断言された食事を、3食とれるようにもなりました。

その間にも、次々と不幸が彼を遅い、歴代の主治医も担当者もチームスタッフもずっと彼を支え続けてきたのです。

でも、あるとき、どこかで道を間違えたようです。

その人は、今は毎日ビールを飲み、朝から酔っ払っています。

ヘルパーは公費で入っていながら、ビールは自分で買いに行きます。
最初は、時々だったビールがどんどん増えて、ヘルパーの前でも飲酒をし、そのビール缶はヘルパーが片付けます。

うるさいのは看護師だけです。

おかしいでしょう?こんなことのために、みんなで頑張ってきたんじゃないはず。

寂しくて朝から飲むんだという彼の言葉を間に受けて、さらにヘルパーさんを送り込むのは理解できなかったし、「それはおかしい!」と言い続けて、ケアマネさんに煙たがられたスタッフは、とうとう担当をおりました。

これが、希望を叶えたと入れるのでしょうか??

彼は、話し好きで人と関わることが好きです。
お酒だって、やめようと思えばやめられるはず。今までもそうでしたから。
でも、お酒が重なる理由はどこあるのか・・・。

もっと違う支援の仕方があるはずだし、寂しくて朝から飲んで、デイサービスで寝ているなんて、絶対におかしいでしょう。

本末転倒。

介護保険は何のためにあるのか。

看護師はうるさい。細かい。鬱陶しい。
と思うのは、いったい誰なのか・・と。



公費と介護保険が作り上げたのは、アルコール依存症だったなんて、申し開きできないと思うのだけれど・・。

でも、今度は私が引き継ぎました。
さて、どんな作戦をたてようかな。
思案中です。


足にご用心 PADとCLI

2014-01-22 22:25:51 | 訪問看護、緩和ケア
先週、恒例の在宅皮膚科医会主催の勉強会に行ってきました。
今回のテーマはフットケアと末梢血管障害に分かれていて、とにかく足についてたくさんお勉強をしてきました。

その中でも、神戸医科大学形成外科の寺師浩人先生の末梢血行障害のお話は、目からウロコのお話だったので、ご紹介します。

足の先端や踵が紫色になって、やがて黒くなって腐っていく・・。

こういう病変の原因は、糖尿病が原因だったり、踵などは褥瘡だったり、冬場などは動脈硬化による血流障害だったりします。
今回は、この末梢血行障害の専門的かつ最新のお話でした。

こういう足の病変を見たときに、まず考えるのはこれが褥瘡なのか、重症下肢虚血なのかの判別が、その後の明暗を分けるのだということでした。

その前に、今まで私たちはそう言う末梢の動脈閉塞に伴う足先の病変をASOと呼んでいました。
ASO 閉塞性動脈硬化症
ところが、この呼び方がまかり通っているのは日本だけなのだそうで、世界的に通じる疾患名は、末梢動脈性疾患PADなのだそうです。
そして、そのなかで重症の下肢虚血がCLIと言われています。

そうか、ASOとはもう言わないんだ~。でも、ネットなどではASOで検索したほうが圧倒的に出てきます。
でも、専門医療機関だとやはり「PADとは・・」に変わっていました。

話を戻します。

この説明に入って最初のスライドは、禿げたおじさんの頭のカサブタでした。

何故、ツルツルに禿げたおじさんの頭の傷が治りにくいか・・。

その訳は、傷は毛根から上皮化するからだそうで、禿げてしまうと毛根がないので、産毛とかからそろそろと治ってくるので、なかなか治らないのだそうです。

反対に足の底はエクリン汗腺から上皮化するそうで、糖尿病などで自律神経障害を合併すると汗をかかなくなって、ドライになってやはり上皮化しにくくなるのだそうです。

褥瘡であれば、環境を整え除圧、栄養、外科処置をおこなうことで、上皮がが正常に行われるわけです。

でも、CLIなのに、褥瘡と同じ外科処置を行ったら、血流がないのに新たに傷をつけるので、そこからどんどん壊死が進行して、あっという間に切断する羽目になったりします。

なので、そこの鑑別診断が最も重要となるのです。
病院であれば、ドップラーによる血流の確認ができるし、ABI,SPPなのどの血流検査ができるので確定できるのですが、在宅はそんなものはないので、所見で判断するしかありません。

どこを見るか。

1)下肢の動脈を触知する。必ず両足。
 大腿動脈から始まり膝窩動脈、足背動脈そして一番重要なのが後脛骨動脈です。
後脛骨動脈が足首から下の血管の元なので、これが触れればCLIではないですし、足背動脈が触れていても、後脛骨動脈が触れなければCLIということになります。

2)痛み。
CLIは、激しい痛みを伴います。
そりゃあそうです。血流が止まってしまって、そこから先が腐っていくわけですから、輪ゴムをぐるぐる巻きにしているようなもんですよね。
間歇性跛行と言って、歩いていると痛みで足を引きずってしまいます。
特徴的なのは、足を下げると痛みが緩和し、上げると痛みます。
3)Red Ring Sign
踵の褥瘡かな??と思っているとそうじゃないのが良くわかります。
中心に白い壊死した部分があり、その周囲が輪っかのように綺麗な赤いふちどりになっています。けれど、それは毛細血管が充血して見えているだけで、よく見ると肉芽がありません。
褥瘡だと、白色壊死組織とか黒色壊死組織とかはあっても、その周囲の赤いところには、プツプツと肉芽が存在します。

たぶん、普段そう言う足の創を見慣れている方は「あれか!」とわかると思います。

この3点で、即デブリをしても良い褥瘡なのか、絶対いじっちゃいけないCLIなのかを判別するのです。
肉芽がある=血流がある=褥瘡 なのです。
その他にも、CLIは皮膚が冷たい、毛が生えていない、変形がない、皮膚が平滑でテカテカしている、足の指と踵が高発部位、慢性的で重篤な感染がないなどが挙げられていました。

CLIであれば、まずは血流を再建しなければ、創は治らないばかりか悪化の一途をたどるのです。

最近、問題になっているのは術後のバンテージやストッキングです。
血栓予防でとても重要なツールですし、下肢のリンパ浮腫でも使われます。
しかし、きちんと既往歴などを確認しないと、ものの数時間で下肢の壊死を招くことがあるのだそうです。
全身の重度の動脈硬化、血管の石灰化などがベースにあると、ただでさえ血流は悪くなっています。そこにもってきて平均15~20mmhgと言われるストッキングを履いたらどうなるかということです。
これはSSPという皮膚還流圧を測ると明確になるようですが、在宅にはありませんから全身の血流の状況で判断しないといけないですね。

ちなみに、心臓や血管のOPE後などに、急に足先が紫色になり、激しい痛みを訴えた場合、コレステリン結晶塞栓症を疑がわなくてはいけません。
足先が紫色で大理石みたいにムラムラした模様になり、これをBlue Tou Syndrome というそうです。

これに関しては、現状でも皮膚生検をして確定診断をすることが多いそうですが、寺師先生は生検は禁忌!と言っていました。
病院医師からは、今でもやっているし大丈夫だ、という反論もありましたが、10人中1人でもそのリスクがあるのなら、絶対やめるべきだと言っていました。

なるほどー。
CLIの診断が付けば、寺師先生はステロイドを開始し、血流障害の原因がわかれば再建術をしてから、創の治療を開始するのだそうです。

その間壊死した足先はドライになっていきますし、血流が回復すれば指先も自然脱落するそうです。血流があるから自然脱落は起こるのだということでした。

そして、最後に一番みんながざわついたこと。
「腱や腱膜に達した創は、入浴も足浴も禁」だと言うのです。

シャワーで流すのはいいが、水圧がかかり腱に沿って細菌感染が広がるということでした。

これは寝耳に水でした。

今までもずっと足浴や入浴は進めてきただけにびっくりです。

やはり医師からも疑問だという意見が出ましたが、これも「ほとんどの人が改善しても、そういうリスクがわずかでもあれば、それはNOなのである。」との見解を崩しませんでした。

褥瘡も最近入浴禁止という説もあるそうで、うーんこれはどっちなんだろうか〜。

現場経験では、ほとんどの患者さんが褥瘡でもCLIで炭酸浴で著しく改善してきましたし、昨年の形成外科の勉強会では、その先生もエビデンスがある!炭酸浴は効果がある!って言っていましたから、この話で全部やめちゃう気にはなりませんでした。

ただ、今後腱の露出した創に関しては、医師と十分に相談していきたいと思っています。

時期としては、PADまっさかりの冬なので、皆様足先に十分注意してください。

後脛骨動脈触知をお忘れなく。


遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

2014-01-19 23:52:35 | 訪問看護、緩和ケア
なかなか編集画面を開けずに、1月も半ばになってしまいました。
この間も、伝えたいこと、勉強したこと、腹が立ったこと、感動したこと、たくさんたくさんありました。
いくつも出会いと、悲しいお別れと、いろんなゴタゴタも山ほどありました。

でも、私のキャパはめいっぱいで、そこから先になかなか進めないでいます。

12月にはPIPCの勉強会もしたので、在宅緩和ケアではこんなこともできるよ!とお伝えしたかったのに、あっというまに時は過ぎ去り・・

 
                    

そうそう、これはDIBという会社の薬液持続注入ポンプです。

モルヒネなどの持続注入に使います。(皮下でも側管でも)
癌性の消化管閉塞などのひどい吐き気にサンドスタチンなんかも使えます。

モルヒネなどは、途中についている小さな袋(リザーバー)をピコっと押すだけで、安全にレスキューできるので、面倒な輸液ポンプでなくても、在宅でのモルヒネ管理ができます。

これを袋に入れて、首から下げていれば、移動も制限されないし、いろいろな使い道があります。

全身麻酔で開腹手術をした方などは、背中から管を入れて、術後に風船を首から下げていた経験を持っているのではないでしょうか。
あれは、硬膜外に管を留置して、こういうバルンをつけて、術後の痛みの緩和を図っているのです。
私も子宮筋腫で全摘したとき、これを数日首からぶら下げていました。

まあ、そんな感じでちょこちょこと勉強会もやっていて、先日は恒例の皮膚科の増田先生からのお誘いで、PAD(末梢動脈疾患)の勉強会にも行ってきました。

これは、かなり目からウロコで、しかも昨日の常識は今日の非常識的な話で、出席していた先生方も「ええー??」って感じでしたので、次回はぜひこのお話をしたいと思います。

ということで、夜中になったので、続きはまた今度です。

今年もよろしくお願い致します。