明日書くといったからには書かねばなりません。
今日は、夕方から3時間半に及び防災の初動シュミレーションを区役所でやっていて、これもなかなか考えさせらてたのですすが、今日はやはり在宅褥瘡の続きです。
うちはラッキーなことに、開所当時から素敵な腕のいい皮膚科医と連携できていて、この18年相当数の在宅の褥瘡患者さんを治癒の方向に持っていくことができました。
とはいえ、どうにもならない終末期の褥瘡や、在宅での限界例などもありました。
また、いろいろな患者さんの褥瘡と向き合う中で、主治医や皮膚科医の同意や協力もあって、随分といろんなことを試させてもらったし、新たに導入させてもらったものも多くて、本当にありがたい環境にあったと思います。
在宅の褥瘡で一番多いのは、仙骨部で、ついで大転子部、踵、腸骨部あたりに多く見られるようです。
ではなぜ仙骨部が多いかといえば、上向きで寝ていた時に、一番体重が係る部分だからです。そこに、おむつを使用していると、便や尿で汚染されますし、そのおむつをなかなか変えられなければ蒸れとかぶれであっという間に褥瘡となります。
一般的には、ここで「体位交換をしましょう。おむつ交換を豆にしましょう。」になるのですが、ここで体を引きずったり、おむつを無理やり引き抜いていたりすると、良くなるどころか、褥瘡の周囲の皮膚の下に断裂が起こって、ポケットと呼ばれる状態になります。
この原因であるズレや圧迫、湿潤環境をそのままにしていくら外科処置をしても、どんどん褥瘡が拡大していき、どんどんポケットが広がっていくわけです。
ですから、布団の人はベットにして高機能タイプのエアマットを導入したり、ポジショニングを工夫したり、入浴や洗浄などで皮膚の清浄を図ったり、おむつ交換を頑張ってもらったりと、一つ一つ環境因子を改善方向に持っていきます。
ですが、これがうまく行く人ばかりとは限らないのが在宅です。
介護者の状況によっては、1日に1回しかおむつ交換していなかったとか、数日に1回しかしていなかった人もいて、びっくりしたりします。
いくらデブリをしてお薬を塗っても、そのガーゼの上からおしっこやうんちが付いたままになれば、そりゃあ屎尿便パックにしかならないので、良くなるわけもありません。
ここ近年、ガーゼの弊害も一般的に知られることになり、各社競って褥瘡用のドレッシング材が出されていて、しかもちゃんと保険適応にもなっていますから、ケースバイケースでそういうものをチョイスしていければ、より治癒の促進になるとは思うのです。
よく褥瘡ができて病院を受診すると、不良肉芽の浸軟させるためにゲーベンクリームが出されます。これを不良肉芽の上にたっぷり塗って、柔らかくなった汚い組織を少しづつ落としていく薬で、入院中とか入所中でよく管理できる場所ではとっても効果的だとは思うのですが、この薬はブロメラインなどと同じで健常な皮膚に炎症を起こすことも知られています。ですから、たっぷりゲーベンを塗ったガーゼを仙骨部に絆創膏でビッタリ貼って、おむつ交換が少ない環境で置くと、ガーゼと薬と浸出液と尿でパックされた褥瘡の周囲が真っ赤にかぶれたりするのです。
さらに、この状態で上手に体位交換が出来なかったり、ベットのギャッチアップ、ダウンを繰り返すと、皮下が剪断され7ポケットも形成されます。
こういう褥瘡は浸出液も多いので、ビッチャビっちゃになりますが、これはこれでしょうがないわけで、ここにガーゼを厚く乗せるとガーゼが浸出液を吸う代わりに傷がドライになる傾向になり、さらにガーゼの厚さが圧迫の原因になり、ガーゼの部分が血流障害を起こしたり、ガーゼの繊維で傷をつけたりすることもあります。
これは、デュオアクティブなどの創傷被覆材でも起きることがって、そのドレッシング材の形に圧迫痕が残ることをよく見ます。
浸出液の多いデブリ後の褥瘡などは、吸水性の高いユーパスタとかが、結構良いような気がします。ただ、ユーパスタはやはり傷をドライ傾向にするので注意は必要だと思います。
抗菌効果でいえば、ユーパスタよりヨードコートとかカデックスなどのほうが徐放効果で殺菌力は継続するそうです。
他にもいろいろあるのですが、どれを使うかは主治医が決めるわけですから、それを使うしか私たちは方法がないわけです。
ただ、その環境や介護力、家族関係などの背景からチョイスしてもらえないとよくはならないし、時間が長引くだけだということです。
また、高齢者は栄養状態もあまりよくないですし、病的骨突出や介護状況の差が大きいので、長い目で見ていくことも必要だと思います。
浸出液は多くて当たり前で、徐々に収まっていくし、デブリをしてもスラフはできるわけで、無理に急いで取らなくても、必要な処置をしていれば、ちゃんと綺麗になってくるわけで、いじりすぎるのもかえって良くないと思うのですが、どうなんでしょうね。
そういえば、先日のセミナーで「最近褥瘡などの創傷に入浴や足浴をしてはいけない、と言われることが多くなったけれど、経験的にはよくなった人はいても悪くなった人はいないので、どうなんでしょうか?」と質問してみました。
この日の講師である形成外科の先生は「僕も悪くなった人は見たことがない。よほどの場合以外、入浴や足浴は効果的だと思うし、どんどんやっていいと思います。」と言われました。
一体何が本当かはわからないけれど、骨や体腔に達するような褥瘡以外は、綺麗な環境できちんと入浴なり足浴をして、ちゃんと泡立てた石鹸でよく洗い、シャワーできっちり流してから処置をしたいな・・と思います。(これも主治医しだいですが)
これはあくまで私が思ったことなので、実際はそれぞれケースバイケースでちゃんと分析、評価してみてくださいね。
今日は、夕方から3時間半に及び防災の初動シュミレーションを区役所でやっていて、これもなかなか考えさせらてたのですすが、今日はやはり在宅褥瘡の続きです。
うちはラッキーなことに、開所当時から素敵な腕のいい皮膚科医と連携できていて、この18年相当数の在宅の褥瘡患者さんを治癒の方向に持っていくことができました。
とはいえ、どうにもならない終末期の褥瘡や、在宅での限界例などもありました。
また、いろいろな患者さんの褥瘡と向き合う中で、主治医や皮膚科医の同意や協力もあって、随分といろんなことを試させてもらったし、新たに導入させてもらったものも多くて、本当にありがたい環境にあったと思います。
在宅の褥瘡で一番多いのは、仙骨部で、ついで大転子部、踵、腸骨部あたりに多く見られるようです。
ではなぜ仙骨部が多いかといえば、上向きで寝ていた時に、一番体重が係る部分だからです。そこに、おむつを使用していると、便や尿で汚染されますし、そのおむつをなかなか変えられなければ蒸れとかぶれであっという間に褥瘡となります。
一般的には、ここで「体位交換をしましょう。おむつ交換を豆にしましょう。」になるのですが、ここで体を引きずったり、おむつを無理やり引き抜いていたりすると、良くなるどころか、褥瘡の周囲の皮膚の下に断裂が起こって、ポケットと呼ばれる状態になります。
この原因であるズレや圧迫、湿潤環境をそのままにしていくら外科処置をしても、どんどん褥瘡が拡大していき、どんどんポケットが広がっていくわけです。
ですから、布団の人はベットにして高機能タイプのエアマットを導入したり、ポジショニングを工夫したり、入浴や洗浄などで皮膚の清浄を図ったり、おむつ交換を頑張ってもらったりと、一つ一つ環境因子を改善方向に持っていきます。
ですが、これがうまく行く人ばかりとは限らないのが在宅です。
介護者の状況によっては、1日に1回しかおむつ交換していなかったとか、数日に1回しかしていなかった人もいて、びっくりしたりします。
いくらデブリをしてお薬を塗っても、そのガーゼの上からおしっこやうんちが付いたままになれば、そりゃあ屎尿便パックにしかならないので、良くなるわけもありません。
ここ近年、ガーゼの弊害も一般的に知られることになり、各社競って褥瘡用のドレッシング材が出されていて、しかもちゃんと保険適応にもなっていますから、ケースバイケースでそういうものをチョイスしていければ、より治癒の促進になるとは思うのです。
よく褥瘡ができて病院を受診すると、不良肉芽の浸軟させるためにゲーベンクリームが出されます。これを不良肉芽の上にたっぷり塗って、柔らかくなった汚い組織を少しづつ落としていく薬で、入院中とか入所中でよく管理できる場所ではとっても効果的だとは思うのですが、この薬はブロメラインなどと同じで健常な皮膚に炎症を起こすことも知られています。ですから、たっぷりゲーベンを塗ったガーゼを仙骨部に絆創膏でビッタリ貼って、おむつ交換が少ない環境で置くと、ガーゼと薬と浸出液と尿でパックされた褥瘡の周囲が真っ赤にかぶれたりするのです。
さらに、この状態で上手に体位交換が出来なかったり、ベットのギャッチアップ、ダウンを繰り返すと、皮下が剪断され7ポケットも形成されます。
こういう褥瘡は浸出液も多いので、ビッチャビっちゃになりますが、これはこれでしょうがないわけで、ここにガーゼを厚く乗せるとガーゼが浸出液を吸う代わりに傷がドライになる傾向になり、さらにガーゼの厚さが圧迫の原因になり、ガーゼの部分が血流障害を起こしたり、ガーゼの繊維で傷をつけたりすることもあります。
これは、デュオアクティブなどの創傷被覆材でも起きることがって、そのドレッシング材の形に圧迫痕が残ることをよく見ます。
浸出液の多いデブリ後の褥瘡などは、吸水性の高いユーパスタとかが、結構良いような気がします。ただ、ユーパスタはやはり傷をドライ傾向にするので注意は必要だと思います。
抗菌効果でいえば、ユーパスタよりヨードコートとかカデックスなどのほうが徐放効果で殺菌力は継続するそうです。
他にもいろいろあるのですが、どれを使うかは主治医が決めるわけですから、それを使うしか私たちは方法がないわけです。
ただ、その環境や介護力、家族関係などの背景からチョイスしてもらえないとよくはならないし、時間が長引くだけだということです。
また、高齢者は栄養状態もあまりよくないですし、病的骨突出や介護状況の差が大きいので、長い目で見ていくことも必要だと思います。
浸出液は多くて当たり前で、徐々に収まっていくし、デブリをしてもスラフはできるわけで、無理に急いで取らなくても、必要な処置をしていれば、ちゃんと綺麗になってくるわけで、いじりすぎるのもかえって良くないと思うのですが、どうなんでしょうね。
そういえば、先日のセミナーで「最近褥瘡などの創傷に入浴や足浴をしてはいけない、と言われることが多くなったけれど、経験的にはよくなった人はいても悪くなった人はいないので、どうなんでしょうか?」と質問してみました。
この日の講師である形成外科の先生は「僕も悪くなった人は見たことがない。よほどの場合以外、入浴や足浴は効果的だと思うし、どんどんやっていいと思います。」と言われました。
一体何が本当かはわからないけれど、骨や体腔に達するような褥瘡以外は、綺麗な環境できちんと入浴なり足浴をして、ちゃんと泡立てた石鹸でよく洗い、シャワーできっちり流してから処置をしたいな・・と思います。(これも主治医しだいですが)
これはあくまで私が思ったことなので、実際はそれぞれケースバイケースでちゃんと分析、評価してみてくださいね。