こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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お外に出ようよ。

2011-06-07 22:47:36 | 訪問看護、緩和ケア
震災の被災者で、娘さんのところで療養をしているノリヨおばあちゃん。(偽名です)
ご高齢で、大きな褥瘡もあって、今は寝たきりの生活です。
でも、こちらにきて娘さんの愛情たっぷりの食事もとれて、ちょっとふっくらしてきました。
褥瘡もチームでケアを行て、かなり改善しています。
8センチ四方だった臀部の褥瘡は、フィブラストスプレーでかなり収縮して、ポケットもふさがっています。
とってもきれいな赤色の肉芽に覆われていています。

このところのノリヨおばあちゃんのご希望は「歩きたいなぁ~」というものでした。

訪問したナースたちは、毎回処置の後には端座位をを取らせたり、手足も動かしたりとADLの拡大に意欲的です。
おばあちゃんも、身体を動かしてもらうのが好きみたい。

で、先日の担当者会議で「お外にでようよ!」と言う事になりました。

サイボウズライブでやり取りしながら、決行は今日と決まりました。
当日プロジェクトに参加するのは、主治医I先生、クリニックナースIさん、S事業所ケアマネMさん、そしてうちからは私と、主担当のあやちゃんです。
あやちゃんは、本当は今日はお休みですが、『行きたい!行きます!!』と名乗り出てくれました。
もちろん先生やケアマネさんクリニックナースの意気込みもすごいです。

さらに、今日は訪問看護研修の看護師さんも同行しているので、人数は問題なしです。

一足早くいったあやちゃんと研修のナースさんは、先に褥瘡の処置を終了し、ちょっと遅れて私も到着しました。

これからちょくちょく使うわけではないので、車椅子とロホクッションはステーションから持っていきました。

さて、どうやって外に出そうかと思いつつ、お姫様抱っこをしてみたら、ひょい!と抱っこ出来ちゃいました。
「かっるーい!!」おばあちゃんは必死に私の首に手をまわして抱き着いています。

「ふふふ・・。姫かわゆい・・」

そのままスタスタ歩き出したら「ええー!すごーい!、でも大丈夫ですか??」
50肩の私をきずかって、反対側から支えてくれて、難なく外に出ることが出来ました。

その時、リュックをしょってケアマネMさんも駈け込んできました。もちろん先生たちも一緒です。

そして、ノリヨおばあちゃんの乗った車椅子を、ケアマネMさんが押し、その周りをみんなでぞろぞろ、何事かと思いますよね。
近所の人がちょっとびっくりしていました。

おばあちゃんは、最初は口を開けて固まってましたが、そのうち(^O^)。
ツツジの花を一つ拝借して手渡すと、マジマジと見つめて大事に持ってくれました。

暖かな風を受けて空を見上げ、緑色の若葉を見上げると「これ、桜?」とききました。
「そう、桜。もう花は終っちゃったけど、桜だよ。」
にっこりおばあちゃん。
それからは、もうずっとにこにこでした。
途中みんなで記念撮影。
あとで、郷里の息子さんに送るのだそうです。

小さな子供や、散歩中の子犬にも手を差し出したり、笑いかけたり。
道端の蒲公英を指さして「あの黄色いのは何?」って。
目の前じゃないと物の分別がつかないおばあちゃんですが、あっちもこっちも眺めています。

被災して3か月、今日やっとベットから抜け出せました。

きっとこれからデイサービスだって行けるし、もっと楽しいところだって行けると思います。

褥瘡はもうちょっとかかりそうだけれど、うれしそうなおばあちゃんを中心に、みんなの笑い声がはじけて、短い間だったけれど、みんなが幸せになれました。
なかなか、みんなのスケジュールが合う事なんてないけれど、偶然と努力のたまものですね。

帰りは、王子様(ケアマネMさん)に抱っこされ、ベットまで連れて行ってもらいました。

ちょっと疲れたみたいだけれど、きっと今夜はぐっすり眠れますね。