隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1176.浜村渚の計算ノート2さつめ ふしぎの国の期末テスト

2011年08月24日 | 数学
浜村渚の計算ノート
ふしぎの国の期末テスト
読 了 日 2011/08/17
著  者 青柳碧人
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 253
発 行 日 2010/07/20
ISBN 978-4-06-282824-6

 

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達てたまたまNHK総合テレビの番組「クローズアップ現代」を見ていたら、最近数学を学ぶ大人たちが増えているという。それに伴って、数学関連の図書が売れ行き好調だとの書店員の話もあって、ちょっとしたブームが起こっているようだ。また、そういう大人たちを対象とした数学を教える塾もあって、盛況を見せる映像も紹介される。

 

番組の中では一人の中年のサラリーマンが、学生時代挫折した数学に再挑戦をする姿を追っていた。彼が挑戦したのは「オイラーの贈物 人類の至宝ein=-1を学ぶ」(東海大学出版会刊)という本で、タイトルにもあるように、人類の至宝とも言われる数学者レオンハルト・オイラーが打ち立てた公式「ein=-1」に至る気の遠くなるような長い道のりをたどり、理解するための解説書だ。



番組のキャスター国谷裕子氏は、初めに学生時代に数学に挫折した旨を語っているが、同様に僕も高校時代に挫折したとまでは言えないが、嫌いではなかったものの、数学を理解するには程遠い状態が続いた。
その反動?か、70歳を超えますます記憶力の鈍った今頃になって、妙に数学に惹かれるのはどうしたわけだろう。僕は自分のそんな状態から、今静かな数学ブームともいうべき事態が起こっていることに、関心を示さずにいられないのだ。

 

そういえば、BS211チャンネルで毎週金曜日夜8時から放送している「ベストセラーBOOK」という番組の中で、最近の売れ筋に「ちょっとわかればこんなに役に立つ、中学・高校数学のほんとうの使い道」という本が紹介されていた。
そんなところにも数学に関心が高まっていることの一端が表れているのだろう。



し脇道が長くなったところで、「浜村渚の計算ノート」に移ろう。
本書はシリーズ2冊目で、数学テロ集団「黒い三角定規」の活動がやまぬ中、相変わらず警察捜査に協力する、女子中学生ながら、数学に関して天才的頭脳を発揮する、浜村渚の活躍譚だ。
この中でも浜村渚が先生と呼ぶ数学者オイラーについても言及される。このシリーズでは前作のところで少し書いたが、テーマ(作者が学校の授業から数学を亡くしてしまったら…と考えたところから生まれた)が数学は要らないという逆説的なもので、それに対して数学は重要なものだという考えをもとに、数学復権をかけてのテロ集団が発生したというものだ。
現実とは程遠いコミカルなストーリーながら、数学に対しての面白さや興味を持たせるというところが随所にあって、そんなところが僕は好きだ。
読み終わって、しばらくぶりに小川洋子氏の原作を映像化した「博士の愛した数式」を見た。この映画はもう何度も見ているのだが、見るたびに感動する。確かな腕を持つ作家にかかると、数学の話がこんなにも胸を打つ物語になるという見本のような作品で、映画では原作とは少し違った脚色がされているが、そこも見事な演出と出演俳優たちの競演で、エンタテインメントに仕上がっている。2006年の作品で、もう7年にもなるのか!


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