隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1280.シャーロック・ホームズの思い出

2012年08月11日 | 短編集
シャーロック・ホームズの思い出
THE MEMOIRS OF SHERLOCK HOLMES
読 了 日 2012/08/09
著  者 コナン・ドイル
訳  者 延原謙
出 版 社 新潮社
形 態 文庫
ページ数 350
発行日 1953/03/10
ISBN 978-4-10-213403-0

 

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イヴァルたちの短編を読み終ると、本家の活躍を再度読みたくなるのは、理の通りか?それとも僕だけの想いか?
たくさんのライヴァルたちを生み、また後世のミステリー作家たちに多大な影響を及ぼした、シャーロック・ホームズとは何者か!そんなキャッチコピーまがいの言葉を発したくなるほど、ホームズとその生みの親、サー・アーサー・コナン・ドイルに驚嘆と敬愛の情を示すものである。
と、演説調で僕が言うまでもないか!すでにシャーロック・ホームズに関しての評伝や論説を始め、数えきれないほどの彼に関する出版物が巷にあふれ、これからもそれは続いていくことだろう。しかし、そうしたこととは別に僕のような名もない凡人は、何度も作品を読み返しては、ただその物語に埋没することを喜びとするのみである。

 

 

高校入学が決まって、東京目黒区の祐天寺で、洋裁店を経営する伯母(母の姉)のところへ遊びに行った際、駅近くの書店でたまたま手に取ったのが、新潮文庫の「シャーロック・ホームズの冒険」だった。
当時の文庫は写真のようなカラフルなカバーはかかっておらず、半透明のパラフィン紙のカバーだった。つい最近古書店で、そうした体裁の古書が並べられており思わず懐かしさから、買ってしまいそうになったことがある。それほど僕にとっては、単にミステリーというだけでなく、ちょっと大げさだが、ある種人生の一部分であるかのようだ。
そうした思い出は57年という半世紀以上の歳月も、忘れっぽい僕の頭の中で消されることなく、鮮明に焼き付けられている。
ただ、その後どのくらいの期間で、全作を読み終えたのかは覚えていない。だからこの「思い出」も何番目に読んだのかは記憶が定かではないのだ。当時は気に入ったからと言って、立て続けに買えるほど小遣いが潤沢であったはずもなく、少なくとも1年以上はかかったのではないか。

 

 

書には下記の収録作のように10篇がおさめられているが、原本ではそれに加えて、「ライゲートの大地主(The Reigate Squires)」があったようだ。 このように紙数の関係で各巻から除かれた作品は、「シャーロック・ホームズの叡智」として一つにまとめられている。 これは新潮文庫に収められた延原謙氏の訳本だけのことなのだろう。
最近はほかの出版社からもいくつかホームズ全集が出ているから、そちらの方は多分原本通りになっているのではないかと思われる。 後で機会があったら後々のために確かめてみよう。それにしても、今回読んだ文庫は平成22年2月5日に発行されたもので、108版となっている。 実に驚くべきは長きにわたっての人気度だ。 それほど多くの読者が、何代にもわたって読み継いできたのだと思うと、ミステリーファンにとっては聖書のようなものと言ってもいいのだろう。

競走馬に関する専門家などによれば、最初の「白銀号事件」のようなことは無いということで、これについてはドイル氏の誤りであることは周知に事実であるようだ。 しかしそういったことも、物語の価値を下げるものではない。何度読んでもそれぞれのストーリーを紡ぎだした、作者の想像力と創造力に敬服する。
そう先行き長くはないと思われる人生だが、あと何回くらいこのシリーズを読むことが出来るだろうか?

 

収録作と原題
# タイトル 原題
1 白銀号事件 Silver Blaze
2 黄いろい顔 The Yellow Face
3 株式仲買店員 The Stockbroker’s Clerk
4 グロリア・スコット号 The “Gloria Scott”
5 マスグレーブ家の儀式 The Musgrave Ritual
6 背の曲がった男 The Crooked Man
7 入院患者 The Resident Patient
8 ギリシャ語通訳 The Greek Interpreter
9 海軍条約文書事件 The Naval Treaty
10 最後の事件 The Final Problem

 

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