隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1225.傍聞き

2012年02月17日 | 短編集
傍聞き
読 了 日 2012/02/07
著  者 長岡弘樹
出 版 社 双葉社
形  態 文庫
ページ数 217
発 行 日 2011/09/18
ISBN 978-4-575-51453-7

 

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しみのために続けている読書が、義務感にとらわれるなんて言うのは、どう考えたっておかしいのだが、ブログに書いていると時々そうした思いに突き動かされることもあるのだ。
「週刊ブックレビュー」(NHK-BS)とか、「ベストセラーBook TV」(BS11)といった番組で、新刊案内や売れ筋ランキングなどを見ていると、たまには新刊も読まなくてはと、コマーシャル・メッセージに乗せられてしまうことも、ままあるから貧乏暮しから抜けられなかったのだろう。
本代くらい大したことはないだろう?と思う人は幸せである。小さな出費も重なると意外に大きな金額になるのだ。“塵も積もれば山・・・”にはならねーな!いくら積もったってチリはチリだ。それでも大変なのが貧乏人の悲しさ。

 

 

2008年度の日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含んだ短編集だ。双葉社から刊行されている「小説推理」に発表された短編を集めたもので、4篇で217頁というコンパクトな文庫ながら、評判通り内容は至って濃厚ともいえる、味わい深いストーリーだ。
僕はミステリーは本だけでなく、映画やドラマも好きで、テレビドラマについては、番組表を見ながら気になるドラマは、録画予約をしてDVDに残すようにしている。かねがね小説のドラマ化については、2時間ドラマ(CMを抜くと正味90分くらいの長さだ)だったら、短編の方が向いていると思っている。
この表題作などもちょっとした脚色を加えれば、立派な2時間ドラマになるのではないかと思っている。
いや、2時間ではなく半分の1時間ドラマ(正味45~50分くらいか)でも良い。そのいい例が長く親しまれている英国のシャーロック・ホームズ(ジェレミー・ブレッド主演)やポワロ(デヴィッド・スーシェ主演)だ。

 

 

在連続ドラマとして放送されている、「ストロベリー・ナイト」なども短編が緊迫感のあるドラマに仕上がっている。これなど例に挙げた英国ドラマと同じく、原作もいいが主演俳優の好演によるところも大きいだろう。
少し横道にそれるが、僕は誉田哲也氏の原作を面白く読んだので、よくは知らない竹内結子という女優さんの主演を期待もせずに見たのだが、何と言うかそのはまり役ともいえる演技に感動した。もともと僕は俳優さんを見た目で誤った判断をすることが多くて、ドラマや映画での演技力を見て興味のなかった俳優さんを好きになるということも、たびたびあるのだ。
彼女の演技には今まで女性刑事を演じてきた女優さんとは違う雰囲気を発散させて、近頃の警察ドラマとしては秀逸の部類に入るだろう。

本書の表題作も実は女性刑事の話なのだが、意外なところにミステリーが隠されており、終盤で作者に騙されたと初めて気付くのだが、他の3篇も同様に思いがけないところに隠されたミステリーに驚かされるのだ。

 

初出誌(小説推理)
# タイトル
1 逃走
2 傍聞き
3 899
4 迷い箱

 

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