隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1210.東京バンドワゴン オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ

2011年12月14日 | ホームドラマ
オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ
東京バンドワゴン
読 了 日 2011/11/16
著  者 小路幸也
出 版 社 集英社
形  態 単行本
ページ数 302
発 行 :日 2011/04/30
ISBN 978-4-08-775400-1

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

5作の「オール・マイ・ラビング」と一緒に図書館で借りて読んでしまった。読んでしまった、という言い方はおかしいが、前にも書いたように最新作の本書はもう少し後で読もうかと思っていたのだが、幸か不幸か長いこと貸し出し中だったのが、第5作を借りようと図書館に寄った際に返ってきていたから、思わず2冊とも借りてきてしまったのだ。
それでも2冊続けて読みたいところを我慢して、間に1冊入れてから読んだ。
この続きが来年の4月末だそうだから、その近くになったら読もうと思っていたのだが、考えてみればその先はまた1年待つことになるのだ。僕のように遅れてきた読者は、それだって6作目までは待たずに読めたのだから、それだけでも十分満足すべきかもしれない。

 

 

おなじみの堀田サチによる前口上は、季節の移ろいなど織り込みながらの名調子で、下町の昔ながらの風情が語られて心地よい。毎回4つの連作に託して描かれる四季折々の堀田家の日常は、同じようでいながら変化に富んだ成り行きを見せる。
なんで僕はそんなに引き付けられるのだろうと、毎回思うのだがやはり個性的な人々の生活の中で感じられる、易しさとか我南人風に言えばLOVEなのかなあ。ここに登場する人たちは、欲がないというか物に執着しない、というところも好ましく思えるのか。 金さえ出せば何でも手に入る世の中で、堀田家にはエアコンもなければ、テレビだって1台しかなくて、たまに子供がみてるくらいなのだ。そういえば誰一人携帯電話も持っていないのではないだろうか。
それだって何不自由なく楽しく暮らせるのだが、一度手に入れた便利さや豊かさから人はなかなか抜け出せないものだ。しかし、本書を読んでいると、本当の豊かさとはなんだろうと考えさせられるのだ。

 

 

し話がずれるが、タイトルはこれも他の巻でも使われている、ビートルズのポール・マッカートニーの曲だ。
ナイジェリアの言葉で「人生は続く(英語でLife Goes On)」という意味だそうで、マッカートニーが作曲した際はそうした意味を込めて作ったようだ。しかし、聞くところによれば、ナイジェリアにはそんな言葉はないということらしい。
まあ、どっちでもいいのだが、本シリーズを読み続けてきて、毎回このタイトル込められたという“Life Goes On(人生は続く)”にふさわしい展開を見せて、本当にずっと続けてほしいという思いが強くなるのだ。
今回、収録作タイトルをメモしておかなかったことに気付かず、図書館に反してしまった。また後で、図書館で見たときに追加することにしよう。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

最新の画像もっと見る

コメントを投稿