ゆみねこ日記

日常日記です。

9月の読書記録 その2

2017-10-01 09:06:31 | ブックレビュー

さようなら、お母さんさようなら、お母さん感想
北里紗月さん、初読み。ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作。原因不明の奇病を患った兄が激痛に耐えかね、病院の窓から飛び降りて自死。兄の症状に納得のいかない妹・玲央が、義姉の不審な行動を耳にし、幼なじみの天才毒物研究家・利根川由紀とともに調査に乗り出す。川瀬七緒さんの赤堀センセイと利根川センセイ、良く似ている!読み終えると、なるほどのタイトルです。面白かったです。これからも作品を追いかけてみたい作家さんですね。
読了日:09月21日 著者:北里 紗月
虹色の童話 (MF文庫ダ・ヴィンチ)虹色の童話 (MF文庫ダ・ヴィンチ)感想
レインボーハイツとは名ばかりのくすんだ灰色のマンション。そこには育児放棄された5歳児・瑠衣がいた。地域の民生委員・千加子が不幸な住民たちを救うのかと思いきや…。マンション住人に次々に起こる不幸な事件、さらにそれだけでは終わらない恐ろしい「童話」。ぞわぞわと怖い1冊でした。
読了日:09月21日 著者:宇佐美 まこと
ワルツを踊ろうワルツを踊ろう感想
外資系の金融会社をリストラされた了衛は、父の死をきっかけに東京の西端のとある村に戻ってくる。閉鎖的な村の住民たちに認めてもらおうと必死の了衛。でも、読むうちにどんどん気分が悪くなってくる。ラスト50ページは読むのが辛い…。うん、黒幕は想像した通り。でもねぇ、なんだかなぁの読み心地でした。私としては外れ作品、ゴメンナサイでした。タイトルの名曲、聴く気が失せてしまった。。残念。
読了日:09月22日 著者:中山 七里
淳子のてっぺん淳子のてっぺん感想
感動しました。田部井淳子さんの登山家としての生き方、まだまだ女性が低く見られていた時代に、女性として初めてエヴェレストを登頂したということだけでなく、その後の生き方がプロローグ、エピローグに凝縮されていました。「てっぺん」は、山の頂上ではなかった。この素晴らしい場所があったから、田部井淳子さんは生きられたのだと。お勧めします!
読了日:09月23日 著者:唯川 恵
(P[は]2-3)ことづて屋 停電の夜に (ポプラ文庫ピュアフル)(P[は]2-3)ことづて屋 停電の夜に (ポプラ文庫ピュアフル)感想
亡き人の声が聞こえ、伝えたい言葉を相手に届ける「ことづて屋」第2弾。熊谷空襲で亡くなった高等女学校時代の友人の言葉を伝える「灯籠流し」、約束したのに現れなかった恋人からの言葉「停電の夜」が特に印象的でした。津多恵と恵介のコンビ、素敵!
読了日:09月23日 著者:濱野 京子
狐と韃 知らぬ火文庫狐と韃 知らぬ火文庫感想
日本最古の説話集『日本霊異記』をモチーフに朱川さんが描いたもの。狐や蛇、渡来人などなど、少しエロチックなものや不思議なものなど、現実を離れた世界に耽るにはもってこいの作品。
読了日:09月24日 著者:朱川 湊人
ちいさな国でちいさな国で感想
ルワンダの内戦、ツチ族とフン族のことは報道等で一応の知識はありました。この物語はルワンダの隣国・ブルンジで、フランス人の父とルワンダ難民の母の間に生まれた少年ガブリエルの回想記。幸せな一家を襲う、悲惨な運命。国を追われ少年時代を奪われたガブリエル。アフリカの抱える問題は、簡単に解決出来ないものなのでしょう。しかし、命を簡単に奪うようなことは絶対に許されない。作者もガブリエルと同じくブルンジからフランスに移住している。これからもアフリカとフランスのことを作品にして欲しいです。
読了日:09月24日 著者:ガエル・ファイユ,Gaël Faye
ネタ元ネタ元感想
東京オリンピックが開催された1964年から現在までの約50年。新聞という媒体とネタ元の関係は時代とともに変わって行く。通信手段やネットの普及、これからもどんどん進化してゆくであろう報道のあり方。私はやっぱり紙で新聞を読み続けたいなぁ。堂場さんの本領発揮といった1冊でした。
読了日:09月25日 著者:堂場 瞬一
雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)感想
高校野球を描いた3編。どれも素晴らしかった!ピンチランナー・甲子園への道・「雲は湧き、光あふれて」。女性記者を描いた甲子園への道は、視点が新鮮で良かったです。表題作は、泣けて泣けて。須賀さんの描く高校野球、名作です。
読了日:09月25日 著者:須賀 しのぶ
まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみまひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ感想
お草さんシリーズ第5弾。前作でちょっとお草さんのスタンスを読むのに疲れて、少し時間をおいて読みました。この巻はお草さんの亡き母・瑞さんと、近所のうなぎ屋のおかみ・清子さんの確執と、そのきっかけになった出来ごとが絡む。隠しておいて知らんふりしていた不都合なことを明らかにする。お草さんの勇気と潔さが好ましかったです。ただ、体調を崩すシーンは読んでいて辛いですね。
読了日:09月26日 著者:吉永 南央
十一月のマーブル十一月のマーブル感想
戸森しるこさん、初読み。読み友さんの感想で手に。表紙絵と児童書ジャンルに騙されてはいけません。これは中々重いテーマです。家族や出生の問題、心と体の性の相違。波楽とレン、どちらも幸せな未来があったらいいな。
読了日:09月27日 著者:戸森 しるこ
滑らかな虹〈上〉 (ミステリ・フロンティア)滑らかな虹〈上〉 (ミステリ・フロンティア)感想
小学校5年生の時に、担任教諭・柿崎先生の提案で始まったクラス全員参加のゲーム「ニンテイ」。一学期が終わり、最初の山場は一泊二日の自然教室。さて、物語はまだ序盤、感想は下巻で。
読了日:09月27日 著者:十市 社
滑らかな虹〈下〉 (ミステリ・フロンティア)滑らかな虹〈下〉 (ミステリ・フロンティア)感想
「ニンテイ」ゲームは怒涛の展開に。ゲスな大人に傷つけられる子供たちに胸が痛くなる。いじめや学級崩壊を阻止するために考えられたはずの「ニンテイ」。8か月で幕引きされ、子供たちには負の思いしか残らなかったのでは?百音ちゃんと、あやめ先生のパートで交互に物語が進み、結末を知りたくて一気読みでした。デビュー作はあまり好きになれない作風でしたが、十市さん、一気に面白くなりましたね。次作も期待しています。
読了日:09月28日 著者:十市 社
乗りかかった船乗りかかった船感想
北斗造船に勤める人々を描いた連作短編集。人事異動がキーになっている。望んだ部署に配属されず悩む男、転職し人事部を経て建造部で溶接業務に励む女性社員、社内公募で部署を移ることを考えている男、管理職になり部下との関わりに戸惑う男など、7つのパートから。人事部長の倉内さんがキーマン。じんわりと心に残る良作でした。
読了日:09月28日 著者:瀧羽 麻子
国士国士感想
期待通りの面白さ!プラチナタウン⇒和僑、そして国士。これからの日本への提言小説とも言える。カレーチェーン「イカリ屋」の創業者・篠原と、経営を引き継いだ相葉。相葉のやり方のえげつなさにハラハラドキドキさせられながら、最後はスッキリ!日本の将来が緑原のような町になれたら、ホントに素晴らしいのだけれど。。
読了日:09月29日 著者:楡 周平
黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です (角川文庫)黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です (角川文庫)感想
職を失ってギリギリの生活をしていた胡桃が、川で流されそうになっていた黒猫を助けたことで思わぬ方向に!人間に化けた猫にふれるとあっという間に猫の姿に。全裸率が高くて笑ってしまう。ちぐはぐな猫の会話が面白い。黒猫・三毛猫・ロシアンブルー、イケメン猫に囲まれて暮らしたみたい~!
読了日:09月29日 著者:高橋 由太
強襲: 所轄魂 (文芸書)強襲: 所轄魂 (文芸書)感想
元SIT隊員の男が元妻を人質に立てこもった。所轄と本庁の対立、SITとSATの対立、犯人狙撃を強硬に主張する監理官。現場で犯人との交渉役を担う父と、本庁で様々なツテたどり闇を暴こうとする息子。隠蔽体質は分かるけれど、ここまで腐っているなどというのは、小説の世界だけにしてほしいなぁ。しかし長かった…。
読了日:09月30日 著者:笹本 稜平

読書メーター
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9月の読書記録 その1

2017-10-01 08:57:18 | ブックレビュー
9月の読書メーター
読んだ本の数:55
読んだページ数:15729
ナイス数:5858

風が吹いたり、花が散ったり風が吹いたり、花が散ったり感想
朝倉宏景さん、初読み。盲人マラソンにエントリーする、視覚障害者の「さち」の伴走を勤めることになったフリーターの亮磨。亮磨は重い現実を背負っているけれども、彼の成長物語でもあり、とても読み心地は良かったです。バイト先の社長、最初はブラック企業の経営者かと思いましたが、いい人で良かった!
読了日:09月01日 著者:朝倉 宏景
その日東京駅五時二十五分発その日東京駅五時二十五分発感想
誰も知らなかった、8月15日の一つの真実。作者の伯父様の手記を基に紡がれたものなのだと。8月15日に読めたらもっと良かった・・・。
読了日:09月02日 著者:西川 美和
誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか感想
17歳の少年による、祖父母強盗殺人事件。ニュースで知った時は単純に不良少年によるものかと思っていましたが、その後の裁判の報道を通してこの少年の生い立ちを知ることになりました。本書を読み進めると、母親の酷さに腹が立ち、何ともやりきれない気持に。もし、この少年がまっとうな親のもとで育てられていたら、ラブホテルに長期に渡って宿泊している時や、ホームレスだった時に、救いの手を差しのべられていたらと思うと切なくなりました。行政はもっと横のつながりを大切にしてほしい。データベース化は必須ですね。
読了日:09月02日 著者:山寺 香
迷: まよう迷: まよう感想
アミの会(仮)の第4弾。迷うをテーマにした作品集。近藤史恵さんの「未事故物件」と、乙一さんの「沈みかけの船より、愛をこめて」、松村比呂美さんの「置き去り」が特に印象的でした。どの作品も素晴らしくてお得な読み心地の1冊!
読了日:09月02日 著者:アミの会(仮),大沢 在昌,乙一,近藤 史恵,篠田 真由美,柴田 よしき,新津 きよみ,福田 和代,松村 比呂美
ジャパン・トリップジャパン・トリップ感想
オーストラリア在住の岩城さんの3作品目。オーストラリアの小学生たちが日本へ短期の研修旅行に出かけることに。言葉や文化の違い、家族から離れての異国での経験。みんな素敵でとても胸が熱くなりました。ショーンのホストファミリーの家族がとても素敵!男の子と女の子の違いも面白い!プロローグ・エピローグの太字の部分は誰の言葉なのかが読みとりにくくてちょっと残念。あれはもう一工夫欲しかったかも。それ以外の部分は全部良かったです。
読了日:09月03日 著者:岩城 けい
紙のピアノ紙のピアノ感想
貧しい育ちで紙のピアノでレッスンを始めた少女が、二ノ宮という類まれな指導者に導かれ一流のピアニストを目指す。ちょっと少女漫画チックなストーリーだけれども、嫌いではありません。久々の新堂さん、楽しい読書が出来ました。
読了日:09月03日 著者:新堂 冬樹
ニュータウンクロニクルニュータウンクロニクル感想
東京郊外、おそらくは多摩ニュータウンの50年を描いた作品。一様に決まった企画の団地群が立ち並び始めた1971年から、バブル期を経て少子高齢化の進むニュータウン。公務員・小島健児を軸に語られる物語は、切なくて、でも少し明るい未来も見えて、とても良かったです。若葉=多摩、稲峰=稲城、松田=町田、桑都=八王子、分かりやすい!
読了日:09月04日 著者:中澤 日菜子
オーディションオーディション感想
いよいよ深夜のオーディション番組がスタートした。メリーランド・ナカノシマ・インターバル、それぞれの思いと支えるマネージャー鹿島ちゃん。中嶋くんの奥さんの出産エピソードにはホッコリ。良い名前を付けたなぁ。さて次はいよいよコンビ、シリーズが終わってしまうのがちょっと寂しいかも。
読了日:09月04日 著者:畑野 智美
天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)感想
クーデターで国を追われた徐国の元王太子と彼の胸に宿る・王玉を取り戻そうとする天令。中村さんの描く中華風ファンタジー、中々楽しい読書でした。これはシリーズを追いかけますよ~。このコンビで、彼を救うことは出来るのか?次巻が楽しみ!
読了日:09月05日 著者:中村 ふみ,六七質
君が夏を走らせる君が夏を走らせる感想
「あと少し、もう少し」のヤンキー大田くん。高校で陸上部に入ってみたものの、走る環境にあらず。そんな彼が先輩の1歳10ヶ月の娘・鈴香の子守をする事に。大田くんがとても良い子で、初めて尽くしの子育てに奮闘する姿はとても良かった!上原先生、相変わらずいい味。これ、続き、読みたいですね~。

読了日:09月05日 著者:瀬尾 まいこ
政略結婚政略結婚感想
とりあえず目を通したというだけ。今一つ内容に乗れなかったので、感想を述べるに至らず。また機会があったら手にするかもしれません。
読了日:09月05日 著者:高殿 円
左京区桃栗坂上ル左京区桃栗坂上ル感想
左京区シリーズ、ずいぶん前に読んでいたので、内容をほぼ忘れていましたが、全く問題なし。奈良で出会った幼なじみのお兄ちゃんと璃子。二人の関係がとてもゆっくりと進む様子が素敵でした。モモちゃん事件の件が面白くて爆笑してしまいました。前作のみんなの幸せなその後も読めてとても良かったです。
読了日:09月06日 著者:瀧羽 麻子
シャッター・マウンテンシャッター・マウンテン感想
北林さんの描く山や自然への畏敬の念。それを惜しみなく表したのがこの本なのかもしれません。亡くなられた後友人たちの手により遺品のワープロから発見され刊行された作品。自然破壊、強制連行された半島の人々、封印してきた黒い記憶。人々の思念と山に宿ったものが引き起こした惨劇。一気に読了しました。お亡くなりになられたことが残念でたまりません。
読了日:09月07日 著者:北林 一光
監督の問題監督の問題感想
これは面白かったです。引退したばかりの元スラッガー・宇恵康彦が、新潟アイビスの監督に!選手時代とは異なる監督のあれやこれや。単身赴任の監督を支える奥さまが素晴らしい。読み終えて裏表紙や中扉の絵を見ると、これがなんとも味わい深い(笑) 新潟にこんな球団があったら盛り上がるだろうなぁ。
読了日:09月07日 著者:本城 雅人
コンビコンビ感想
メリーランドは未来に向かって歩み出し、売れっ子になったナカノシマは中嶋くんの堅実さで安心。津田ちゃんも遠距離だけど橋本君と上手くいった。一番嬉しかったのは長沼くん。シリーズはこれで終わったけれど、何かのおりにみんなのその後を見てみたいな。面白かったです。
読了日:09月08日 著者:畑野 智美
秋霧秋霧感想
便利屋・倉持が末期がんの経済界の大物・上尾に依頼されたことと、元自衛官・深江が謎の警察官・儀藤に依頼されたこと、それは八ヶ岳で交錯する。山岳サスペンスといっても主な舞台は山だけにあらず。殺し屋「霧」の正体は、けっこう早く気付いた。この二人、別な物語の登場人物らしいので、そちらも読んでみたい。
読了日:09月09日 著者:大倉崇裕
ネメシスの使者ネメシスの使者感想
死刑制度への問題提起。二人を殺害しても死刑にならず、懲役刑を受けて収監中の加害者家族が連続して「ネメシス」を名乗る者に殺害された。犯人は被害者の関係者か、それとも享楽殺人者か?「ネメシス」の正体と本当の狙いが切なかった…。
読了日:09月09日 著者:中山 七里
緑の窓口 ~樹木トラブル解決します~緑の窓口 ~樹木トラブル解決します~感想
市役所の「緑の窓口」には、市民から樹木や植物の相談が持ち込まれる。天野くんと岩浪先輩、そしてかなり風変りな樹木医・柊紅葉。うーん、さくっと読めて面白いんだけど、これは下村さんの新たな試みなのかな?やっぱり重厚な下村作品を期待したいですね~。
読了日:09月10日 著者:下村 敦史
くらべる値段くらべる値段感想
うん、やっぱり面白かった!値段の高低でどのような違いがあるのか?原材料の違い、手間の掛け方の違いなど、そして驚いたのはうなぎ!え?!そこですか~っていう違いにビックリ。原木シイタケを見つけたらゲットします。パイロットの「カクノ」も使ってみたいですね。
読了日:09月10日 著者:おかべたかし
暗闇のアリア暗闇のアリア感想
プロローグはアフリカの紛争地域。そこから舞台は日本へ、一人の官僚が汚職をして自殺をしたが、妻である雑誌編集者は夫の性格を知り尽くしているがゆえに、自殺に納得がいかない。そして相次ぐ謎の自殺。なんだか登場人物が多くて人物相関図が欲しくなりました。ようやく犯人に迫るのかと思ったら、もやもやする結末。面白かったけれど、すっきりしない読後感でした。
読了日:09月11日 著者:真保 裕一
空に咲く恋空に咲く恋感想
イケメンなのに女性アレルギーの由紀が、放浪の果てにたどり着いた山古志の集落。優しい村の人々に救われ、そこで花火師のぼたんに出会う。由紀は群馬の花火師の息子、ヘタレでマイナス思考の彼の成長物語。さらりと読了出来ます。新潟弁はちょっと微妙かな~?文章にするのは大変なんでしょうね~。
読了日:09月11日 著者:福田 和代
最果ての街最果ての街感想
日雇労働者の町・山谷。そこには普通の職安とは異なり、日雇労働者のためにその日の仕事を当日の朝に紹介する役所がある。その町で起こったホームレスの男性殺害事件。人との関わりを避け、一人公園の片隅で暮らしていた男の遺骨を、せめて家族の元に返してやりたいと、所長・ノブさんは動き続ける。ノブさんがこの町の職安で働き続け、町に出ることの理由、家族に反対されながらも犯人探しのようなことを続ける理由。最果ての街は、山谷だけでなく、ホームレスになってしまった飯樋さんの故郷でもあった。リアルな記述はまるでドキュメンタリー。
読了日:09月12日 著者:西村健
惑: まどう惑: まどう感想
アミの会(仮)第4弾の2冊目。こちらのゲストは法月綸太郎さんと今野敏さん。大崎梢さんの「かもしれない」、加納朋子さんの「砂糖壺は空っぽ」が良かったです。今野さんは隠ぺい捜査シリーズの竜崎さんの奥さま・冴子さん登場!こちらも良かったです。さて、次はどんなテーマでせめてくる?アミの会第5弾も楽しみにしています。
読了日:09月12日 著者:アミの会(仮),大崎 梢,加納 朋子,今野 敏,永嶋 恵美,法月 綸太郎,松尾 由美,光原 百合,矢崎 存美
末ながく、お幸せに末ながく、お幸せに感想
とある結婚披露宴に列席した、友人・元上司・親族たち。主役の二人を周りの人々が語る。新婦は産みの母と育ての母を持ち、新郎はかつて荒れていた。「対になることの至福と困難」、人生には様々な出来事もある。若い二人の前途を私も末席で共に祝わせていただいたような気分になりました。新婦・萌恵の手紙で、涙腺が崩壊しました。お勧め本です。
読了日:09月13日 著者:あさの あつこ
デビル・イン・ヘブンデビル・イン・ヘブン感想
東京の近未来、カジノが合法化され東京湾の人工島・聖州に巨大なカジノ特区が出来る。そこは警察ではなくGAPSが警備を担当する場所。国が老人をギャンブル漬けにして有り金を巻き上げる。そんな未来はゴメンです。神西の最期は切なかったけれど、諏訪が遺志をついで巨悪と戦ってくれるのかな?河合さん、2作を読了しましたが、はまりそうな予感です。
読了日:09月14日 著者:河合莞爾
シンマイ!シンマイ!感想
職を失った中卒のフリーター・翔太。父の提案で新潟で農業を営む祖父のもとで米作りを学ぶことに。祖父・土田喜一の米作りで翔太も大人になってゆく。農業を取り巻く問題は、難しいけれども、お米が日本人にとって大切なものであることは間違いない。若い人が情熱をもって農業に取り組む世の中になったら嬉しいですね。浜口さんの本はどれも面白い!
読了日:09月14日 著者:浜口 倫太郎
騙し絵の牙騙し絵の牙感想
大手出版社の敏腕編集者・速水輝也。この人物、塩田さんが大泉洋さんにあて書きして書かれたものだと。読んでいるうちに速水が大泉に変換されてしまって、これは作品としてはどうなのだろうか?本作の内容は、出版業界の抱える問題・闇と光が盛り込まれ、活字と紙の媒体が好きな私にとって切なくなりました。でも、ラストには希望が見えて読後感は悪くありません。映像化されるのでしょうね~。私としては相沢を誰が演ずるのか、二階堂先生は誰なのか、そっちが気になりそうです。
読了日:09月15日 著者:塩田 武士
きみの声を聞かせてきみの声を聞かせて感想
突然声を失った日本の女子中学生・星野葉香は、SNSを通じてアメリカのピアニストの少年と交流を持つ。お互いの姿を知らないまま、詩の美しさと音楽の美しさに惹かれあう。君の声を聞かせてという、海渡の願いはきっと叶うはず。YA向けの本だと思いますが、心のささくれた大人が読んでも感じるところはあると思いました。
読了日:09月15日 著者:小手鞠 るい
ツタよ、ツタツタよ、ツタ感想
沖縄の旧家で生まれたツタという女性の生涯。実在の人物をモデルに書かれたものだとか。沖縄を書いたことで脚光を浴び、さらに沖縄出身者からの猛烈な反発を受け、筆を折った。結婚、離婚、子供を失う苦しみ。年下の男性との事実婚。淡々と描かれた一人の女性の一代記でした。
読了日:09月16日 著者:大島真寿美
夜見師 (角川ホラー文庫)夜見師 (角川ホラー文庫)感想
呪いのため若死にする五明家の男。21歳のフリーター・五明輝は、便利屋を通じて風変わりなバイトを紹介される。風変わりな主人・多々良克比古は、祟り神を封じる夜見師。ホラージャンルだけど、怖さはなし。面白くて一気に読めました。続編も楽しみ。
読了日:09月16日 著者:中村 ふみ
夏の祈りは (新潮文庫)夏の祈りは (新潮文庫)感想
最高の読後感!高校野球を描いた作品は多々ありますが、私の読書歴の中では、この作品が最高でした。埼玉県立北園高校、進学校でありながらも甲子園に手が届く可能性は高い。昭和の最後の夏の主将から始まり、平成29年夏までのクロニクル。これは多くの人にお勧めしたい1冊です。
読了日:09月16日 著者:須賀 しのぶ
凄腕凄腕感想
立川南署の新米刑事・高木は、伝説の刑事・桜井とともに捜査に加わり、彼への憧れを強くする。念願かなって新宿署の組対でマル暴デカとなり、先輩刑事・洲本とコンビを組む。桜井の後継者になるべく地下にもぐった情報提供者を探る。おとり捜査や潜入捜査、これは小説の世界だけですもんね~。凄腕の刑事はすべてを犠牲に?何だかスッキリしない幕切れでした。
読了日:09月17日 著者:永瀬 隼介
図書館ホスピタル図書館ホスピタル感想
三萩せんやさん、初読み。大学を卒業しても就職の決まらなかった悦子が、叔母の紹介で埼玉県の某市にある私立図書館に勤務することに。それまでの人生で本を読むことのなかった悦子が、持ち前の元気さで仕事に取り組んでゆく。図書館ホスピタルと呼ばれる「しろはね図書館」、実際こんな雰囲気の図書館があったら行ってみたいかも?読書や図書館になじみのない人向けの1冊ですね。
読了日:09月17日 著者:三萩 せんや
人形たちの白昼夢人形たちの白昼夢感想
人形をモチーフにした12の短編集。様々な彩りを青いリボンが結ぶ。かつて心を救ってくれた女性を料理で描く「スヴニール」、環境破壊への提言「ビースト」、思春期の切ない想い「モンデンキント」が特に印象的でした。こういう雰囲気は千早茜さんならではのもの。
読了日:09月18日 著者:千早 茜
幻霙幻霙感想
すごく疲れる読書でした。三澤兼人という若者の無差別殺人事件と、それをニュースで見た桃里の言葉から始まる物語。乾蒼太の生い立ちに胸が詰まる思いです。情緒不安定な母と全く子育てに無関心な父。母親はなぜあんな風になったのか?そちらを読みたかった。読後はもやもや。
読了日:09月18日 著者:斉木 香津
AX アックスAX アックス感想
殺し屋シリーズ第3弾。恐妻家の殺し屋・兜。文房具メーカーのサラリーマンであり、家庭では妻に頭が上がらない。家庭を持った兜の、人の命を奪うことへの逡巡。兜の決断を阻止しようとする医者。途中の展開に泣き、その後の話でまた泣きました。でも、爽やかな読後感。面白かった!
読了日:09月19日 著者:伊坂 幸太郎
宿命と真実の炎宿命と真実の炎感想
後悔と真実の色の続編。前作の内容はうろ覚えでしたが、西條さんの名前だけは記憶あり。連続警察官殺害事件、犯人は誠也とレイの二人組。捜査する刑事たちがどうやって真犯人に迫るのか?高城理那がどんどん成長していくのが好ましく、西條さんも自分の目指すものが見つかって良かった!これからの西條さんの活躍を楽しみに待ちたい。9係、金森さんの能力が素晴らしい!
読了日:09月20日 著者:貫井 徳郎
(P[は]2-2)ことづて屋 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[は]2-2)ことづて屋 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
亡き人からの伝言を生きている人に伝える「ことづて屋」。山門津多恵は見ず知らずの人を訪ね、言葉を伝えてゆく。手助けをするのは、美容師の恵介。3.11をきっかけに物語が綴られることになったという、あとがきが素敵でした。続編も読みます!
読了日:09月20日 著者:濱野 京子
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