ゆみねこ日記

日常日記です。

9月の読書記録

2024-10-01 15:50:13 | ブックレビュー
9月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:7534
ナイス数:2697

ルーマーズ 俗ルーマーズ 俗感想
人気俳優の上杉彩奈が自室で急性薬物中毒で死亡。そして同じ室内で既婚の実力派俳優の馬場直人が意識不明の状態で発見された。果たしてふたりは心中したのか?その後彩奈の妊娠が判明、父親は馬場なのか?世間を騒がせる人気俳優同士の心中事件?この事件を取り上げる既存メディアと ネットニュース、そしてSNS上に溢れる噂話。不幸な事件の連鎖と静まらない事件への話題。ネット上のやり取り、ニュースや新聞記事のみで構成された作品。一気に読んだけどなんだか疲れてしまった。
読了日:09月02日 著者:堂場 瞬一
失踪人 磯貝探偵事務所ケースC失踪人 磯貝探偵事務所ケースC感想
元刑事の磯貝の探偵事務所に、失踪人探しの依頼が。依頼人は人気俳優の西條真奈、実姉で道知事の特別秘書を務めていた最上沙理奈が突然仕事を辞め、行く方がわからなくなったと。優秀で仕事が出来る姉はなぜ家族にも知らせず失踪したのか?姉妹の母親が29年前に失踪していた事実、政治家と警察との間にある闇。姉の無事が確認出来たのでひと安心だが、ここで終わりは少し物足りない。続きもあるのかな?
読了日:09月03日 著者:小路 幸也
なんどでも生まれる (一般書)なんどでも生まれる (一般書)感想
仲間に虐められて住処から飛び出したチャボの「桜」。優しく保護してくれた茂さんは、不向きな営業の仕事に心身をすり減らし、祖父母が営む金物店の二階で引きこもる。大好きな茂さんに元気になって欲しい桜の語りで進む物語は、明日町こんぺいとう商店街が舞台。やさしくてホッとする素敵な1冊。
読了日:09月04日 著者:彩瀬 まる
遠い町できみは (一般書)遠い町できみは (一般書)感想
母を亡くし、心を病んだ父。鳴海翔は父・英一と離れ宮城の海沿いの町にある母の実家に預けられることに。寂しさをこらえ懸命に新しい暮らしに慣れようとする翔。同じクラスには家庭に問題を抱えた大也と美波がいた。身勝手な大人に振り回される3人の子どもたち。過酷な現実を乗り越えるキッカケはサーフィン。翔の父方の祖母に怒りを覚え、大也の母・リカに呆れ、美波の母と義父にもおぞましさを感じたが、3人がそれぞれの道を歩み成長してゆくラストは清々しくて良かった。高遠ちとせさん、初読み。第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。
読了日:09月05日 著者:高遠 ちとせ
ステイ!: ぼくとシェパードの5カ月の戦いステイ!: ぼくとシェパードの5カ月の戦い感想
幼い頃に両親を亡くし、伯母夫婦に引き取られた善治。自分が来たために10歳歳上の従兄の大我は大学進学をせずに全寮制の犬の訓練士の学校に進んだのではないかと思う日々。大学生になったある日、訓練所を営むようになった大我から元警察犬のシェパード・アレックスを預かることに。とある理由から犬が大の苦手な善治、伯母夫婦には従順なアレックスは善治の言うことを聞いてくれない。犬と大人になりきれない善治がどうやって心を通わせてゆくか?楽しく読めた1冊。青谷真未さん、初読み。
読了日:09月06日 著者:青谷 真未
死んだ石井の大群死んだ石井の大群感想
閉鎖された空間に集められた333人の石井姓の老若男女。理不尽なゲームがはじまり、次々に死んでゆく人々…。14歳の石井唯が語り手になって進むゲームの章。探偵の伏見と蜂須賀の元に舞台俳優の石井有一の捜索依頼が来た。ゲームの進行と石井有一の捜索、どういう結末になるのか。ラスト、そう来るか!この作者、2作目だけど、中々面白い。次が出たらまた飲むと思う。
読了日:09月07日 著者:金子 玲介
わたしの知る花 (単行本)わたしの知る花 (単行本)感想
ある日町に現れた絵を描く老人。老人に興味を持った女子高生の安珠は、彼のことを調べることに。葛城平という老人を、ある人は犯罪者と言い、関わるなと言う。理容店を営む悦子と平の物語は、切なくてそして温かい。町田そのこさんの新たな名作!今年のベスト本候補。
読了日:09月08日 著者:町田 そのこ
南アルプス山岳救助隊K-9 愛と名誉のためでなく (光文社文庫 ひ 17-1)南アルプス山岳救助隊K-9 愛と名誉のためでなく (光文社文庫 ひ 17-1)感想
K−9シリーズ第14弾。時系列的には「紅い垂壁」の前日譚になると。シリーズ開始から12年、しかし作者のあとがきによれば「クレヨンしんちゃん方式」で彼らの時間を止めて物語を書いているとのこと。メンバーも犬たちもいつまでも活躍してくれそうで安心。今作は8つの短編。犯罪者と対峙したり、米軍の訓練飛行で雪崩が起きて巻き込まれた人を決死の思いで救出したり。ハラハラドキドキもあり、犬たちの活躍も!ずっと読み続けたいシリーズ。
読了日:09月09日 著者:樋口明雄
リセット (幻冬舎文庫 い 18-19)リセット (幻冬舎文庫 い 18-19)感想
今作はリカ(結花)を引き取った舛元家のお話。従兄弟の晃は一目で結花に惹かれ恋に落ちてしまう。学校で次々に起こる不穏な死亡事件の陰には結花。しかし、晃の母親・奈緒美と義兄の孝司の企みはもっと悍ましい…。晃が萌香の忠告を受け入れていたら。。怖さは今までの作品より少し控えめ。
読了日:09月10日 著者:五十嵐 貴久
人質の法廷人質の法廷感想
駆け出しの弁護士・川村志鶴が引き受けたのは、荒川河川敷女子中学生連続殺人死体遺棄事件の容疑者・増山淳彦の弁護。2件目の殺害現場に落ちていたタバコの吸殻から増山のDNAが発見され、警察と検察の強権的な取り調べで「自白」を強いられた増山。ハラハラドキドキの法廷劇はとても読み応えがあり面白かった!分厚さと二段組にビビったけど、一気に読破出来た。冤罪がどう作られるのかが理解出来た気がする。
読了日:09月13日 著者:里見 蘭
銀河の図書室銀河の図書室感想
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」。宮沢賢治を研究する弱小同好会。部を立ち上げた風見先輩が「ほんとうの幸い」って何だろう?と言う言葉を残し、突然学校から消えた。先輩はなぜ消えたのか?チカ・キョンへ・マスヤス、3人の部員たちと見守る司書の伊吹さん、顧問の郡司先生そして校長。それぞれが抱える悩みや問題、「ほんとう」と直面して成長する高校生たち。清々しい名作、とても良かった。オススメ!
読了日:09月14日 著者:名取 佐和子
いつか月夜いつか月夜感想
父を亡くしてから得体のしれない不安(モヤヤン)に取り憑かれた会社員の實成冬至は、何も考えずひたすら夜道を歩いた。ある夜会社の同僚塩田さんと娘ではない中学生の女の子・クマと出会い共に歩くように。やがて元カノ伊吹や伊吹のマンションの管理人・松江さんも加わり、それぞれ問題を抱えながら、譲れないもののために歩き続ける。一人で暮らす実家の母親、妹が生まれることへの不安と喜びで複雑な思いの姪っ子。實成の優しさと強さ、ラストの明るさ、とても素敵な1冊。寺地はるな、やはり良い!
読了日:09月15日 著者:寺地 はるな
婚活食堂11 (PHP文芸文庫)婚活食堂11 (PHP文芸文庫)感想
めぐみ食堂の仕入れ先の娘が玉の輿婚の末、子連れで実家に戻る。同じ仕入れ先の若旦那は彼女に想いを寄せ、恵に恋の仲立ちを頼む。恵の計らいは「将を得んと欲せば」でキャンプへ。常連の女性は同時に2人の男性から想いを寄せられるが…。不穏な犯罪の影もちらつくが無事に解決。相変わらず料理は美味そうで参考にしたいものがたくさん!
読了日:09月16日 著者:山口 恵以子
二人の誘拐者二人の誘拐者感想
静岡県の廃村で発見された白骨遺体は、10年前に誘拐されたまま行方不明になっていた少女だった。再捜査にあたる刑事たちの手により、当時は判明し得なかった事実が明らかになる。隠されていた真実が切なかったが、命を扱い高い倫理感のある人物が陥った罠とそれを悔やみながら生きることの辛さが伝わってきた。久しぶりに読んだ翔田寛さん、読み応えがあり面白かった。
読了日:09月17日 著者:翔田 寛
Across the UniverseAcross the Universe感想
渋谷ハチ公前で起こったテロ事件からの3部作最終巻。うーん…何だかモヤモヤする幕切れ。AIアイコと全作で謎の失踪をしたあの人が繋がっていたとは!勢い込んで3部作をほぼ一気に読んだけど不満が残ってしまった。
読了日:09月18日 著者:秦 建日子
マザーマザー感想
今の時代の母親像は?5つの物語は、帯の中島京子さんの「母という禍、家庭という地獄」という一文に語り尽くされている。三世代家族の太陽のような母が家族にしたこと「セメタリー」、うつで医師をやめた兄の再婚相手「ワンピース」、ひとりで暮らす母の家に子供連れで転がり込む娘「ビースト」、胎内記憶がある娘「エスケープ」、子どもの独立を機に長年の夢を実現した母「アフェア」。どれもゾワッと怖く気持ちの良い物語ではないが読むのを止められない。さすがの乃南アサ!
読了日:09月19日 著者:乃南 アサ
魔者魔者感想
週刊誌記者の今井柊二には封印し、誰にも知られたくない過去があった。ある日、自分の過去が描かれている小説に出会い、この覆面作家を調べることに。柊二が行動を起こすと会社に過去を暴く電話がかかる。加害者家族の苦しみ、週刊誌報道のあり方、とても重い内容だけど、ラストはとても良かった。誰の心にも「魔物」はいる…。
読了日:09月22日 著者:小林 由香
ちゃっけがいる移動図書館 (単行本)ちゃっけがいる移動図書館 (単行本)感想
青森の町立図書館で非正規職員として働く小田桐実(みのり)。将来への不安から節約に努め笑顔のない日々を送っていたが、ある日山道で雑種の仔犬「ちゃっけ」を保護し、成り行きで里親が見つかるまで預かることに。実に自分の価値観を押し付ける母親や図々しい友人の友美にウンザリさせられたりしたが、無垢で可愛いちゃっけと暮らす日々が実を成長させてゆく。犬がいる移動図書館、良いなぁ!
読了日:09月23日 著者:髙森 美由紀
罪の年輪 ラストライン6 (文春文庫 と 24-24)罪の年輪 ラストライン6 (文春文庫 と 24-24)感想
玉川上水河川敷で発見された遺体は、元小学校教員の小村春吉87歳。入居していた施設を夜中に出て殺害された。その後自首してきた三嶋輝政も87歳、ガンさんにとって過去最高齢の容疑者だが、なぜか殺害の動機を語らない。被害者とは60年前からの知り合いだったというが、三嶋が殺人を犯した真の理由が解き明かされる…。途中から小村の悍ましい正体に気づいてなんともやり切れない思いで読了。ガンさん、定年延長でラスト10年。古巣の捜査一課に戻って新しい活躍に期待。
読了日:09月24日 著者:堂場 瞬一
可燃物可燃物感想
米澤さん初の警察もの。5編全部読み応えがあり、上手さを感じた。「命の恩」が切なかった。葛刑事の洞察力!凄い。
読了日:09月26日 著者:米澤 穂信
常夏荘物語 (一般書)常夏荘物語 (一般書)感想
深い感動と爽やかな余韻を堪能しながら読了。あのヨウヨとリュウカがついに…!峰尾の地で「おあんさん」として根を張る耀子に降りかかる試練、離れて暮らす娘の瀬里、異国で新しいパートナーと暮らす龍治。すべてを見守る義母・照子の大きな愛。自立と自律を教えてくれた青井先生。なでしこ屋に意地悪した輩に天罰をと思った私。その辺!ほんの少しもやもやが残ったけど、大好きな人たちが幸せになりそうなラストはやはり満足。
読了日:09月27日 著者:伊吹 有喜
臨床のスピカ臨床のスピカ感想
動物介在療法に携わるDI犬のスピカと看護師でハンドラーの凪川遥。様々な患者と家族に向き合う中で、遥自身の母との関係を見つめ、新たな一歩を踏み出すことに。スピカのように病院で活躍する犬が増え、そのことを理解する人が多くなれば良いと思った。病院の中の様子や病状の詳細さは、さすが現役看護師の前川さん。
読了日:09月28日 著者:前川 ほまれ
偽りの貌 警視庁監察ファイル偽りの貌 警視庁監察ファイル感想
今作は歌舞伎町トー横キッズ、薬物が絡み、読みながら心が痛くなるシーンが多々。タレコミを元に事前観察を命じられたジンイチの面々、若手の毛利を軸に進むストーリー。どこで内定中の警察官とトー横で暗躍する輩が繋がるのか?そうか!アイツがアイツだったのか!シリーズ中、一番面白かった。毛利が抱えていたものが明かされ、彼の成長と今後の活躍が楽しみに。ぜひとも続けて欲しいシリーズ。
読了日:09月30日 著者:伊兼 源太郎

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8月の読書記録

2024-09-01 18:26:17 | ブックレビュー
8月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:7682
ナイス数:2556

アンソロジー 舞台! (創元文芸文庫)アンソロジー 舞台! (創元文芸文庫)感想
5人の女性作家によるアンソロジー。舞台、2.5次元・バレエ・ミュージカル・ストレートプレイ、アマチュア演劇。舞台に立つ人、観劇する人、裏方で支える人。中々面白いテーマだった。乾ルカさんの「モコさんというひと」が良かった。笹原千波さんと雛倉さりえさんは初読み。
読了日:08月02日 著者:近藤 史恵,笹原 千波,白尾 悠,雛倉 さりえ,乾 ルカ
ひとつの祖国ひとつの祖国感想
第二次世界大戦敗戦後の日本は大日本国(西日本)と日本人民共和国(東日本)に分断され、東日本はソ連に支配されることに。ベルリンの壁崩壊で日本も一つの国に統一されたが、格差は埋まらない。東日本独立を目論むテロ組織に意図せず関わることになった一条と、その行方を追う幼馴染の自衛隊特務連隊の辺見。テロ組織MASAKADOに取り込まれた一条は人が良すぎて、最初からハラハラ。辺見との絡みがもっとあればと思った。最後はややモヤっと…。とにかく長かった。
読了日:08月04日 著者:貫井 徳郎
バタン島漂流記バタン島漂流記感想
江戸を立ち尾張に向かっていた颯天丸は、嵐に遭遇し日本の遥か西、バタン島へと流される。現地の住民に奴隷のような扱いを受け過酷な日々に心も折れそうになる。船大工を挫折し水夫となった和九郎を中心に、自らの手で船を作り故郷への航海に。乗員たちの中心だった船頭と楫取を失い、幼馴染の門平も亡くした和九郎の悲しみに胸が詰まる思いが。ようやくたどり着いた故郷。鎖国という幕府の施策は命がけで帰り着いた人には冷たく辛いものだと感じた。とても読み応えある漂流記だった。
読了日:08月06日 著者:西條奈加
犬は知っている犬は知っている感想
ピーボの可愛さにKOされた!患者の恐怖や苦痛を和らげるファシリティドッグのピーボには、裏の任務が。警察病院の特別病棟に入院する余命僅かな囚人患者から彼らが隠していた秘密を聞き出し、真相を探るというもの。ハンドラーの笠門とのバディは最強。続編が出たら読みたい。
読了日:08月07日 著者:大倉 崇裕
ソロキャン!(3) (朝日文庫)ソロキャン!(3) (朝日文庫)感想
シリーズ第3弾。ソロキャンを楽しむ千晶は持ち前のお節介を発揮して不登校の未来にアドバイスをしたり、後輩・花恵の悩みに寄り添ったり。焚き火をきっかけに家庭に問題を抱える少年と知り合う。そして高圧的な管理人のいるキャンプ場では彼女の持つトラウマと向き合う。ソロキャンを楽しみながら人間的にも成長する千晶のこれからが楽しみになる。キャンプ飯が美味そう!
読了日:08月08日 著者:秋川 滝美
夜と跳ぶ夜と跳ぶ感想
自らの不祥事で失業したスポーツカメラマンの与野丈太郎は、ある夜渋谷で金髪のスケボー少年に出会う。彼は2020東京のスケボーストリートの金メダリスト・大和エイジ、パリ五輪に出ようともせず渋谷の街で自由気ままに滑るエイジに反感を覚えながら、その魅力に惹かれ彼の専属カメラマン「フィルマー」として最高のトリックを追い求める。エイジの育った背景やストリートで滑ることへのこだわり、丈太郎自身の抱えている問題を絡め、様々なトラブルに巻き込まれていく。スケボーの歴史や文化、面白かった!額賀さんのスポーツものは良い。
読了日:08月09日 著者:額賀 澪
おむすび縁結び 食堂のおばちゃん(15) (ハルキ文庫 や 11-17)おむすび縁結び 食堂のおばちゃん(15) (ハルキ文庫 や 11-17)感想
ご近所のラーメン店の主・千歳とはじめ食堂に野菜を納めている松原団の結婚式からスタート。友人の病から遺伝子に関わる病を気に病む二三。霊能者が出て来た時はちょっと不穏な気配を感じたが、そこは山口先生、明るい結末に安堵。若い人たちが新たな一歩を踏み出す背中をそっと押すはじめ食堂のメンバー。食べ物は相変わらず美味しそう。
読了日:08月10日 著者:山口 恵以子
闇医者おゑん秘録帖-残陽の廓 (単行本)闇医者おゑん秘録帖-残陽の廓 (単行本)感想
前作から間をあけてしまったので、乗れるかと心配だったが、読み始めたら一気におゑんさんの魅力の虜に。吉原で相次ぐ謎の遊女の死、おゑんの家で預かっていた由利の悲劇。吉原に巣食う様々な情念が引き起こした問題と遊女の運命の過酷さ。あさのさんの描くダークで艶っぽい作品。次作はあまり間が置かずに読みたい。
読了日:08月11日 著者:あさの あつこ
クリームイエローの海と春キャベツのある家クリームイエローの海と春キャベツのある家感想
商社で働いていた津麦(つむぎ)は、ある日会社で倒れそれを機に退社して「家事代行業」の会社に転職する。家事代行歴3ヶ月のある日、5人の子どもを育てるシングルファーザーの織野家へと赴く。一歩家に入るとそこは洗濯物で溢れた「クリームイエローの海」が広がっていた。一人で家事育児仕事をこなそうとする父・織野朔也、また津麦も自らの常識にとらわれていて互いの心はすれ違うが、津麦の気づきと成長が状況を変えてゆく。とても素敵な物語、せやま南天さん初読み。
読了日:08月11日 著者:せやま 南天
赫き女王 Red Alveolata Queen赫き女王 Red Alveolata Queen感想
熱帯の無人島で起きた集団怪死事件。ある朝海洋生物総合研究所の研究員が立て続けに飛び降りて死亡した。生き残った研究員・高井七海は、所長が極秘に研究を進めていた事を突き止める。所長は何を目的におぞましい研究に手を染めたのか?熱帯のジャングルで次々に起こる恐ろしい生き物との遭遇。こいつは怪しいなと思った人物が気持ち悪すぎた。そしてラストシーンは鳥肌ものの恐ろしさ…。生命を勝手にイジってはいけない。恐ろしい本だった。
読了日:08月12日 著者:北里紗月
首木の民首木の民感想
運転する車の中から血の付いた他人の財布が見つかり、経済政策通として知られる大学の客員教授・久和が逮捕された。久和は公務員を信用していないからと取り調べは進まない。しかし、久和は取り調べにあたる佐久間に対し日本の財政についての講義を延々と語る…この辺で挫折しかけたが、志村署のメンバーたちは財布の持ち主の側から捜査を続けてゆくと、悪徳警察官や財務省の元高官などとのつながりが見えて、後半は一気に面白くなった。税金という首木に縛られた多くの民と、その上に君臨する一部の偉い人。。
読了日:08月14日 著者:誉田 哲也
南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁 (徳間文庫)南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁 (徳間文庫)感想
クライミングの滑落事故で宙吊りになり、自分の命を守るためにザイルを切ってバディを転落死させた川越。その事故現場を偶然に撮影し川越を脅迫する元同僚。この事件は夏実たちのいる北岳へと舞台を移す。母親に置き去りにされた少年、その母親と恋人の遭難に対処するK-9メンバーたち。今作では風変わりな新人・桐原も加わる。夏実たちの大ピンチを救うシーンは胸が熱くなる。ラストが不穏な感じで次作はどう展開するのか?相変わらず犬たちが可愛い!
読了日:08月15日 著者:樋口明雄
死んだ山田と教室死んだ山田と教室感想
猫を助けようとして車道に出て、そこに飲酒運転の車が突っ込み死んでしまった山田くん。穂木高2Eの人気者の突然の死に悲しむクラスメートたち…。ところが事故から3日後の新学期の教室に、突然山田の声が。スピーカーから聞こえる彼の声は、大好きな2Eの仲間たちともっと話をしていたいと。男子校ならではのおバカなネタに吹き出し、青春だなあと感じていたが、クラスメートたちは成長し、それぞれの道をゆく。山田を思いながら、いつまでも関わり続けることも出来ず。ラストは何だか切なくて泣けてきた。金子玲介さん初読み。
読了日:08月16日 著者:金子 玲介
骨と肉骨と肉感想
一族の抱える闇の連鎖…。千葉県警の刑事・八島武瑠は、臼原署管内で発見された連続女性惨殺事件の現場を見て約20年前の東京三鷹市の連続殺人事件との共通点に気づいた。時を同じくして従兄弟の願示から20年前の事件の真相を聞かされる。20年前の事件の真犯人は願示の亡くなった双子の弟で臼原の事件はその模倣だと。今回の事件も身内の犯行なのか?ネグレクト・カサンドラ症候群・アルコール依存症、重たくて暗い内容なのに読み始めたら止まらない。櫛木理宇ワールド、堪能した。
読了日:08月18日 著者:櫛木 理宇
私が愛した余命探偵 (小学館文庫 な 38-3)私が愛した余命探偵 (小学館文庫 な 38-3)感想
町の小さな洋菓子店で働く二葉には長期入院中の夫・一星がいる。腹部の肉腫で手術を繰り返し禁食で空腹の一星は、二葉が持ち帰るお店での出来事の謎を解く。タイトルから一星の病状が想像出来てしまい切なくなるが、美味しそうなケーキを想像し、二葉と一星の互いを想う気持ちに温かい涙が…。作者ご自身の体験がこの作品に昇華されたのだろう。素敵な1冊。
読了日:08月18日 著者:長月 天音
居酒屋ぼったくり おかわり! (3)居酒屋ぼったくり おかわり! (3)感想
要さんの美音に対する愛があふれる1冊。妹・馨と哲くんの結婚と新婚生活のあれこれ。猫をお迎えするカンジの話、そしてこのラストは…。仲良し夫婦二組、これはオメデタの予感しかない!「おかわり」もずっと続いてほしいな。
読了日:08月20日 著者:秋川滝美
モノモノ感想
東京モノレール、まだ乗ったことがない。これを読んで乗りたくてたまらなくなった。東京モノレールに勤める4人とその周辺の人々との物語、タク女の高原夏子さんや、小説家の小倉琴恵さんもちらっと登場。飛行機で旅に出る予定は今のところ無いけれど、空港の雰囲気を楽しむためにモノレールに乗ろう。
読了日:08月21日 著者:小野寺 史宜
天の台所天の台所感想
幼い頃に母と祖父を亡くし、家族を支えてくれていた祖母が急死した朝田家。料理が出来ない一家の食卓は出来合いの惣菜や弁当ばかりに。このままではいけないと感じていた小6の長男の天。ある日いい匂いに誘われ近所の「がみババ」の台所をのぞく。「がみババ」から料理を教わることになった天、台所に入れなくなった弟の陽、生意気でおしゃれな妹光と、涙もろく優しい父。料理を通して天も朝田家も成長してゆく。「おてんとう焼き」、作ってみたい!児童書だけど大人にもお薦め。落合由佳さん初読み。
読了日:08月22日 著者:落合 由佳
籠の中のふたり籠の中のふたり感想
父を亡くし恋人にも去られた弁護士の村瀬快彦は、傷害致死事件を起こし服役していた従兄弟・蓮見亮介の身元引受人となる。幼い頃に一度会っただけでほとんど他人の快彦と亮介は川越の村瀬家で同居を始める。人当たりも良く暴力とも無縁だった亮介はなぜ人を殺めたのか?家族に秘められた謎、罪を犯した人間との関わり、色々考えさせられた。クズのような人間でも殺人は罪…。二人は籠から出て生きていける。
読了日:08月22日 著者:薬丸 岳
鷹の飛翔鷹の飛翔感想
捜査一課の高峰と公安一筋で今は目黒中央署の海老沢。高峰は病を抱える不安、海老沢は公安の未来への心配を。そこに起こった殺人事件、犠牲者は元左翼の活動家。2012年になってから4人が殺害され、容疑者も特定されるが決め手はない。捜査一課と公安一課、それぞれの思惑はあるが警察の未来を見据え戦いに挑む。シリーズ全作を読んで来たがこのラストは納得。最近の堂場さん、定年間近の登場人物が多い。
読了日:08月25日 著者:堂場 瞬一
銀色のステイヤー銀色のステイヤー感想
日高の小さな牧場で生まれた芦毛の仔馬。頭が良く走力に恵まれたこの馬は、類まれなヤンチャぶりを発揮する。牧場主やクセの強い若手の牧場従業員、調教師と助手、乗り手である騎手、そして夫の急死で馬主になった女性。1頭の馬がそれぞれの人生を変え成長させてゆく。しかし、この物語の主役はやはりシルバーファーンだろう。面白かった!
読了日:08月27日 著者:河崎 秋子
ゆうびんの父ゆうびんの父感想
日本の郵便制度を作った人、前島密。新潟県出身ということは知っていたが、武家出身でもなく農家の生まれだったとは驚いた。生後すぐに父を亡くし、教育熱心な母のもとで育ち、旅に出て見聞を広げたが、中々世に出ることができなかった。幕末の動乱の中で前島密は様々な人と出会い、道を切り拓いた。欲を言えばもう少し郵便制度のことを読みたかった。郵便の話に到達するまでが長かった…。
読了日:08月30日 著者:門井 慶喜
谷から来た女谷から来た女感想
ダムに沈んだ村出身のアイヌ模様デザイナーの赤城ミワ。アイヌの誇りを背負い、まっすぐに生きる強い女。ミワと関わりのある大学教授やレストランのシェフ、専門学校時代の友人、ミワの両親の出会いの話、ミワのドキュメンタリーを撮るディレクター。時代を前後しながら綴られる一人の女の物語は深く心に残る1冊になった。
読了日:08月31日 著者:桜木 紫乃
スナック墓場スナック墓場感想
「襷がけの二人」で知った嶋津輝さん、こちらの短編集も絶妙な面白さ!一番面白かったのは「姉といもうと」、派遣の家政婦として働く姉と、指が欠損している妹の物語。「ラインのふたり」は日払いで倉庫内で働く女性。クリーニング店の夫婦と風変わりな客を描いた「カシさん」、「駐車場の猫」「米屋の母娘」「一等賞」「スナック墓場」。7つの物語、すべて味わい深く、どちらかというと苦手な短編集だが、これはとても良かった。
読了日:08月31日 著者:嶋津 輝

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7月の読書記録

2024-08-01 14:47:42 | ブックレビュー
7月の読書メーター
読んだ本の数:30
読んだページ数:9883
ナイス数:3144

アルプス席の母アルプス席の母感想
甲子園を目指すために神奈川から大阪の新興校・希望学園に進んだ秋山航太郎。物語は母・菜々子の視点で進む。慣れない大阪での生活、野球部の父母会の理不尽なルール、監督とのぶつかり合い。それでも我が子のためにと頑張る菜々子。すごく面白くインパクトのある1冊。航太郎くんが良い子でこんな息子の母になりたいと思った。しかし、高校野球だけが特別なのだと思い知らされ、他のスポーツで頑張る高校生にももう少し光を当てて欲しいと毎年夏になると思う私。
読了日:07月01日 著者:早見 和真
東京ハイダウェイ東京ハイダウェイ感想
東京・虎ノ門の企業パラウェイに勤める矢作桐人、桐人の上司米川恵理子、恵理子の大学時代の友人の息子・大森圭太、同じく恵理子の友人でカフェの店長・植田久乃、転職してパラウェイにGMとしてやって来た瀬名光彦、桐人の同期の神林璃子。不安な気持ちを癒す隠れ家「ハイダウェイ」、プラネタリウム・美術館や水族館、登場する人たちが再生されてゆくのが心地よく、良い読書時間に。桐人と璃子が上手く行くと良いな。
読了日:07月02日 著者:古内 一絵
詐欺師と詐欺師 (単行本)詐欺師と詐欺師 (単行本)感想
あらら…何だかこの結末は。。海外で荒稼ぎをして久々に帰国した凄腕の詐欺師・藍と、復讐に命を賭けるみちる。とある政治家のパーティーで知り合った2人。藍がみちるに協力する形でストーリーが展開し、謎の切断された足首事件が絡んで。そして皆さんおっしゃるようにラストがスッキリしない。次の作品に期待しましょう。
読了日:07月03日 著者:川瀬 七緒
ドクター・デスの再臨ドクター・デスの再臨感想
前作で犬飼刑事に逮捕され収監されたドクター・デス。今作ではその模倣犯と思しきJKギルドと名乗るものがALSを患う女性、パーキンソン病に冒された国民的女優、小説家を安楽死させた。捜査に行き詰まった犬飼が取った奇策と最後のどんでん返し。途中で怪しいと思った人物がやはり…。安楽死については縷縷思うことはあるが、この作品に関してはイマイチ。警察がこんなだったらダメでしょ?
読了日:07月05日 著者:中山 七里
6days 遭難者たち6days 遭難者たち感想
日帰りで登山に出かけた3人の女子高生。1人は数ヶ月だけ登山部に所属、あと2人は登山経験なし。山頂でお昼を食べ、時間に余裕があるので気軽に温泉に立ち寄ろうとして道に迷う。軽装備、食料も少なく携帯の電波も届かなくなる。山を甘くみてはいけないということを突きつけられる。3人が無事で良かった。安田さん、2作目だがこれからも注目したい作家だ。
読了日:07月05日 著者:安田 夏菜
海を破る者海を破る者感想
承久の変と一族の内紛で没落した伊予の名門・河野家。現在の当主六郎通有は「海若」と呼ばれる。当時の日本を震撼させた元寇、二度目の弘安4年の蒙古軍との戦いを描いている。西域から奴隷として売られてきた令那や高麗の農民の繁との関わりも興味深く、読み応えがあった。六郎の人物像がとても魅力的。
読了日:07月07日 著者:今村 翔吾
暗殺暗殺感想
あの暗殺事件からちょうど2年の今日読了。選挙の応援演説中に元首相が凶弾に倒れた。聴衆や報道のカメラの前で起きた悲劇。その裏側にこの本で書かれているようなことがあったとしたら?未解決のまま35年を経た事件との関わり、事件を主導した勢力。恐ろしくても目が離せず一気に読み終えた。真実はどこにあるのか?柴田さんの渾身の一作、お薦め!
読了日:07月08日 著者:柴田 哲孝
じい散歩 妻の反乱じい散歩 妻の反乱感想
前作では89歳の新平じいさん、今作では92歳になり、病に倒れ介護が必要になった妻の英子さん。3人の息子(次男は自称長女)は相変わらず、長男は引きこもりのまま、三男は借金がかさみ親の金を当てにしている。次男が優しくて頼りになる存在で良かった。英子さんの看取りは切なかったけど、家族に見守られての最期は幸せだったかな?妻の反乱というほどのものではなかったけど、新平さんまだまだ死ねないかな?
読了日:07月09日 著者:藤野 千夜
深夜カフェ・ポラリス深夜カフェ・ポラリス感想
病院の近くに夜だけ営業する小さなカフェ「ポラリス」。食事を摂りそこねた人に美味しいものを提供し、朱里の会話で癒しを。子供の入院に付き添うシングルマザー、医大受験のため二浪している予備校生、夫に怒りを感じてプチ家出した主婦とその義母、朱里の友人の女医。とても良い話しなんだけど、この作品はあまり心に刺さらなかった。朱里の口調が好きじゃないのかも。
読了日:07月10日 著者:秋川滝美
梅雨物語梅雨物語感想
じとじとした湿度の高いこの時期にピッタリの1冊。「皐月闇」は命を絶った青年が遺した1冊の句集を巡り、そこに記された13句の解釈と隠された秘密の物語。「ぼくとう奇譚」は黒い蝶の夢と夢に取り込まれた男の運命、これは虫の記述が気持ち悪くてゾワゾワ。「くさびら」は突然庭に生えてきたキノコが伝えるメッセージ。好みは「くさびら」悲しいけどラストがとても良かった。
読了日:07月12日 著者:貴志 祐介
守護者の傷守護者の傷感想
神奈川県警「訟務課」、警察が訴えられた民事裁判の対応をする部署。春の異動で配属された水沼加穂留と弁護士から警察官になった新崎大也。強盗犯グループへの違法捜査を問う裁判で取り調べにあたった捜査一課を守るため公判に臨んだ加穂留と新崎。しかし法廷で警察官の嘘が暴露され、一審で警察側は敗訴してしまう。新崎がなぜ警察官になったのか?なぜ一課が違法な捜査に走ったのか?調べる中で神奈川県警に蔓延る悪しき集団に行き着く。今までにない警察小説、面白く読んだ。加穂留、やや突っ走り過ぎ。
読了日:07月13日 著者:堂場 瞬一
カモナマイハウス (単行本)カモナマイハウス (単行本)感想
空き家再生と家族の再生の物語。還暦間近の水原孝夫は不動産会社で空き家のメンテナンスに携わる。妻の美沙は両親の介護と看取りを終え、ロス状態に。一人息子のケンゾーは元戦隊ヒーローで今は小劇団で忍者ショーを主宰している。空き家を巡る様々な事情も垣間見え面白かった。ケンゾーの追っかけの「追っかけセブン」、最高(笑)
読了日:07月14日 著者:重松 清
おあとがよろしいようでおあとがよろしいようで感想
親元から離れたくて大学進学で群馬から上京した門田暖平。入学式で見かけた落研の部長にこたつを背負って歩いているところを助けてもらい、全く縁のなかった落語の世界へ。個性的な落研のメンバーと関わるうちにコミュ障気味の暖平も少しずつ変化してゆく。部長・碧が落語を始めるきっかけ、学祭。そして敬遠していた両親への思いも変わってゆく。清々しくとても読み心地の良い1冊。
読了日:07月15日 著者:喜多川 泰
サイレント・トーキョー: And so this is Xmas (河出文庫)サイレント・トーキョー: And so this is Xmas (河出文庫)感想
クリスマス直前の12月22日、恵比寿ガーデンプレイスで起きた爆破テロ事件。犯人の要求は首相との生放送テレビ対談、受け入れられなければ次は渋谷で無差別爆破テロを起こすと。そして起こってしまった惨劇。圧倒的な疾走感、なぜ犯人は爆弾を仕掛けるのか?犯人が分かり、動機を明かされるけど、なんか納得出来ない感満載。まあ、面白かったのですが。映画になったとのこと、確かに映像向きの作品。
読了日:07月16日 著者:秦建日子
娘が巣立つ朝娘が巣立つ朝感想
一人娘の真奈が婚約者の優吾を連れてやって来た。やや潔癖症だが好青年の彼、だが育った環境の二人が結婚に漕ぎ着けるまで様々な困難が立ちはだかる。二つの家族の価値観の相違、何と言っても優吾の両親、特に母親が強烈。そして高梨家の父、最初はこの人が一番まともかなと思いきや…。両家の両親たち、誰にも共感出来ず何だかスッキリしない読書になった。なでしこ物語のシリーズ最新刊を楽しみに待とう😅
読了日:07月17日 著者:伊吹 有喜
科捜研の砦科捜研の砦感想
「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門誠。卓越した鑑定技術と幅広い知識を持つこの男、信じられないほどの無愛想。「人間は嘘をつくが、科学は嘘をつかない」、若き日の土門が妻の宏香と出会い結婚。そして科捜研を辞めることになった事件。【最後の鑑定人】の前日譚。
読了日:07月18日 著者:岩井 圭也
湯けむり食事処 ヒソップ亭3 (講談社文庫 あ 139-7)湯けむり食事処 ヒソップ亭3 (講談社文庫 あ 139-7)感想
シリーズ第3弾。老舗料亭から引き継いだ仕出し弁当が好評で店の経営が順調なヒソップ亭、ところが本体である温泉旅館・猫柳苑の客足が伸び悩み苦境に。常連客の高橋が定年を機にスタッフとして加わることになり、安曇のスィーツが人気を呼び、猫柳苑でデザートプランを始めて客足が戻ってくる。責めの姿勢で経営は上向き、安曇も正社員に。さて、アフタヌーンティーは上手くいくのか?次巻のお楽しみ。
読了日:07月19日 著者:秋川 滝美
いっそこの手で殺せたら (双葉文庫 お 45-04)いっそこの手で殺せたら (双葉文庫 お 45-04)感想
元教師でライターの筒見は妻と中学生の娘と何不自由なく暮らしていたが、ある日勤め先から妻が帰らず、そこからとんでもない事件に巻き込まれてゆく。性暴力は魂の殺人、許されるものではない。しかし、必殺仕置人のような復讐がそんなに上手くいくだろうか?日本の警察はもっと優秀かと…。
読了日:07月19日 著者:小倉 日向
古本食堂 新装開店古本食堂 新装開店感想
急逝した兄・滋郎が遺した「鷹島古書店」を引き継ぎ帯広から上京した珊瑚。姪孫の美希喜はその右腕。古びた店の一部を改装し、本の話をしながらコーヒーを提供するスペースも作り、店の経営は安定してきた矢先に珊瑚が思わぬ行動に。恋人への想いと長年暮らした故郷への思い、珊瑚の気持ちは理解出来なくもないが、美希喜の孤軍奮闘が痛々しく感じた。手助けしてくれる周囲の人たちが温かい。
読了日:07月20日 著者:原田 ひ香
girlsgirls感想
中高一貫校の中3で同じクラスの宙(ひろ)・美森・紗奈は、見た目も性格も全く違う。たまたま全員が母親と2人で暮らしている。それぞれが持つ母親への思い、男性に対する考え方。はじめは心が通じなかった3人が言葉を知り、女性が社会で直面する様々な生きづらさに気づいてゆく。柔らかな心の15歳たちの感性と成長に感動した。3人の母親たちもそれぞれ素晴らしい。中学生以上大人の皆さんにもお薦め!
読了日:07月21日 著者:濱野 京子
おもみいたします 凍空と日だまりとおもみいたします 凍空と日だまりと感想
盲目の揉み師・お梅、シリーズ第2弾。今すぐ主の腕が動くように療治してほしいという武士、その張り詰めた気配を感じたお梅は主のもとへ。生きる気力を無くした若き武士、彼は女郎と心中を計ったとして切腹を命じられていた。どちらも怪我もなく無事なのになぜ切腹しなければならないのか?天竺鼠の先生や十丸、そして仙五朗親分の力も借りて命を救うためにお梅が取った策は?心と身体は繋がっている、私もお梅さんにほぐしてもらいたい。
読了日:07月21日 著者:あさのあつこ
俺たちの箱根駅伝 上俺たちの箱根駅伝 上感想
面白い!箱根に挑む「学生連合」。率いるのは引退後商社マンになり、競技から離れていた甲斐正人。記録は残せないし、順位も認定されないこのチーム。寄せ集めの選手たちをまとめる明誠学園の隼斗。そして駅伝を放送するテレビ局側の視点も面白い。感想は下巻で!
読了日:07月23日 著者:池井戸 潤
俺たちの箱根駅伝 下俺たちの箱根駅伝 下感想
何度も目頭が熱くなる。寄せ集めチームが起こした素晴らしい結果。学生連合を見下すライバルチームや批判するマスコミ。タスキをつなぐ10人の選手一人ひとりのドラマと辛島アナの実況と甲斐監督の声かけに泣かされた。池井戸さんの「箱根駅伝」、たっぷりと堪能した。現時点今年のナンバーワン!皆さんにお薦め。
読了日:07月24日 著者:池井戸 潤
女の国会女の国会感想
国会のマドンナ議員「お嬢」が突然の自死。敵対する野党の「憤慨おばさん」こと高月薫は、ある法案について共闘関係にあった。なぜお嬢は死んだのか?高月の政策秘書、新聞記者、お嬢の地元の県の市議会議員、4人の女性たちが死の真相を探る。政治の世界は男中心、権力を巡る権謀術数や政界に巣食う魑魅魍魎。負けじと挑む女たちの戦いに胸が熱くなる。新川さん、数冊しか読んでいないが、これが一番面白い!
読了日:07月25日 著者:新川 帆立
あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますかあなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか感想
家族を殺害された被害者側の気持ちは、犯人がたとえ罪を償い心から反省していたとしても許せないと思う。自分の感情や思考を言葉にするのが苦手な藤沢彩、1年先輩の田中心葉、心葉と同期の佐藤千暁。ずっと仲良く交流して行けると思っていたある日、会社の朝礼で心葉が突然「僕は人を殺したことがあります」と告白した。この作品のテーマはタイトルの通り、考えさせられた。しかし、千暁の母親の殺害と真犯人の動機あたりから少しゴタゴタした感が。
読了日:07月27日 著者:天祢 涼
永田町のシンデレラ永田町のシンデレラ感想
人気キャスターだった松嶋玲子が与党の長老からのスカウトで代議士に。少子化担当大臣として着々とキャリアを積むが、ある日現職の総理が病に倒れて辞任。突然の総裁選挙が実施され玲子が担ぎ出され、初の女性総理に。政界に巣食う魑魅魍魎、腹の探り合い。エンタメとして楽しく読了。夫のナイスアシストが印象的。
読了日:07月27日 著者:西川 三郎
八秒で跳べ八秒で跳べ感想
高校バレー部のアタッカー・宮下景と漫画家志望の真島綾。ある日綾が学校のフェンスを乗り越える場面に驚き転倒して怪我をした景。ずっとレギュラーだった景の代わりに試合に出ることになった北村への思い、バレーを続ける意味に悩む景。綾は創作に行き詰まりを感じている。そんな2人の青春真っ只中のストーリー。8秒の意味、納得!運動部経験者には部活あるあるが懐かしく感じられた。坪田侑也さん、初読み。
読了日:07月28日 著者:坪田 侑也
Change the WorldChange the World感想
爆弾シリーズ第2弾。あの渋谷の惨劇から2年、世田・天羽のコンビは公園で殺害された小学校教師の事件の捜査にあたる。事件を追ううちに巷に出回る爆破シミュレーションゲーム「アイコ」の存在を知り、被害者と関わりあいのある人物の自宅の爆発事件で巻き込まれて重傷を負うかつての相棒・泉の恋人。連鎖する事件、世界的人気漫画【ツリー・ブランチ】との関わり。今回の敵はAI、どういう結末を迎えるのかと思ったら…この終わり方はモヤモヤする。続編読まなくちゃ。
読了日:07月29日 著者:秦 建日子
死蝋の匣死蝋の匣感想
気持ち悪くて仕方ないのに読むのをやめられない。まさに櫛木理宇の真骨頂!茨城県で滅多刺しの男女の死体と【死蝋のかけら】が発見される。翌日コンビニで女子中学生たちが殺傷され、現場の指紋から浮かび上がった椎野千草。千草は13年前に起きた無理心中事件の生き残りだった。次々に死体が見つかるが千草の行方はつかめない。元家裁調査官・白石と和井田刑事が事件を追う。とにかくクソのような大人、子どもを欲望のネタにして金儲けに走る輩や、親になってはいけない大人の存在に憤りながらの読書。白石が一歩踏み出せそうで良かった。
読了日:07月31日 著者:櫛木 理宇
みんなのヒーロー (幻冬舎文庫 ふ 40-1)みんなのヒーロー (幻冬舎文庫 ふ 40-1)感想
特撮ヒーローで主役を演じ人気者だった堂城駿真。すっかり人気が落ち、ある日大麻を吸ったあとに車を運転し人をひき逃げしてしまう。警察に怯える駿真の目の前に現れたのは事故を撮影していた熱狂的ファンの鞠子。その動画をネタに結婚を迫られ渋々承諾する駿真。鞠子の見た目にウンザリしながらも脅迫に従わざるを得なかったが、2人はTVのバラエティ番組をきっかけに人気者になるが。。思わぬ方向に話が進み意外なラストに。駿真がクズ過ぎてイライラしながらの読了。
読了日:07月31日 著者:藤崎 翔

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6月の読書記録

2024-07-02 05:52:56 | ブックレビュー
6月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:7495
ナイス数:2536

ブルーネスブルーネス感想
東日本大震災をきっかけに傷ついて地震研究所の広報職を辞めた準平は、学界のプリンスと呼ばれる武智要介にとあるプロジェクトへの参加を持ちかけられた。立ちはだかる様々な困難を「チーム武智」は乗り越える。【ウミツバメ】が実際に津波予測に活躍してくれることを期待したくなる。とても面白く、理系オンチの私でも一気に読了した。
読了日:06月02日 著者:伊与原 新
とり天で喝! ゆうれい居酒屋4 (文春文庫 や 53-8)とり天で喝! ゆうれい居酒屋4 (文春文庫 や 53-8)感想
新小岩駅南口商店街の路地裏にある小さな居酒屋・米屋。女将の秋穂の作るお手軽だけど美味い料理に惹かれてやってくるのはご近所の常連さんたち。しかし、たまに訪う一見さんたちは、何故か悩みを抱えていて、米屋に引きつけられるようにやってきて、いつの間にか秋穂に悩みを打ち明ける。パターンは同じだけど、いつも美味しそうな料理と人情の機微に唸らされる。5話目のお話しは、ゆうれい居酒屋に本物のゆうれいが…(笑)楽しく読了。
読了日:06月03日 著者:山口 恵以子
父がしたこと父がしたこと感想
読み終えてタイトルの意味を噛みしめる。主君と家族、どちらを守るのが正しいのか?ズシンと重く心に残る一書。
読了日:06月04日 著者:青山 文平
われは熊楠われは熊楠感想
世の中の全てのことを知り尽くしたい、南方熊楠の並外れた好奇心に突き動かされるような生き方。世間に認められない苦悩、家族との軋轢、天皇へのご進講という栄光と最愛の息子との別離。奇人の夫を支え続けた妻の松枝さんを牧野富太郎の妻のスエさんと重ねてしまった。
読了日:06月05日 著者:岩井 圭也
彼女がそれも愛と呼ぶなら彼女がそれも愛と呼ぶなら感想
母・伊麻と3人の恋人たちと暮らす高校生の千夏。千夏は3人のことが大好きでだが、複雑な家庭事情を仲の良い友人にも明かせない。伊麻の高校時代の友人・絹香は家族のために自分を抑えて生きてきたが新たな恋に一歩踏みだす。千夏と恋人の関係がどんどん嫌な方向に進むことに心が痛くなり、絹香の夫にイライラした。大好きな人に本当のことを伝えることは大切なこと。伊麻さんのような母親を持ったら娘としては苦労が多いだろうな…。
読了日:06月07日 著者:一木 けい
鬼の哭く里鬼の哭く里感想
岡山県姫野村。この村で終戦後、農地解放で没落した地主の巌尾利兵衛が起こした村人6人惨殺事件。犯人・利兵衛の遺体は見つからず、数年に一度村にある鬼哭山から利兵衛の咆哮が響き、村人が死ぬ…。令和の世に至っても因習が残り村人の中に根付いた利兵衛の呪い。コロナ禍で東京から移住した麻宮を目の敵にする村の若い衆(5〜60代)たち。村で生きることを嫌い麻宮に近づこうとする中学生の裕也。科学的な謎解きの面白さと、最後の殺人事件の真相。面白くて一気読み。
読了日:06月08日 著者:中山 七里
対決対決感想
ある医大の入試で女子に対する採点を意図的に下げている。衝撃的な「噂」を耳にし、調査に取り組む新聞記者の檜葉菊乃。大学の理事・神林晴海は事務職から抜擢され理事の地位に就いた。男性優位の世の中で理不尽な思いを重ねてきた2人の女性。敵対する立場での対決はとても読み応えあり!面白かった。
読了日:06月09日 著者:月村 了衛
ゴミの王国ゴミの王国感想
東京の民間清掃会社で契約社員として働く日下部朝陽は、育った環境から異常なほどの潔癖症。ある日隣の部屋の住人・佐野友笑の部屋がゴミで溢れかえる汚部屋であることに気付く。相容れないはずの二人がどうなるか?まあ、結末は予想どおり。参考文献に滝沢秀一さんの著作が。
読了日:06月10日 著者:朝倉 宏景
小田くん家は南部せんべい店小田くん家は南部せんべい店感想
南部せんべい店を営む一家の物語。小4の弘毅の成長を見守る家族たち。とてもハートフルで良い本。南部せんべいが食べたくなります。
読了日:06月11日 著者:髙森美由紀
トゥデイズトゥデイズ感想
神奈川県R市の中古マンションで暮らす夫婦と保育園児の3人家族。飛び降り自殺から始まる不穏な出だしとは裏腹に子どもを持つ夫婦の日常を描き、淡々と進む物語。小編の「舟」の方が好み。水兵リーベ僕の舟、懐かしい!
読了日:06月13日 著者:長嶋 有
キッチンつれづれ (光文社文庫 あ 61-3)キッチンつれづれ (光文社文庫 あ 61-3)感想
大好きなアミの会のアンソロジー。今作のゲストは福澤徹三さん。「わたしの家には包丁がない」新津きよみ、「離れ」松村比呂美、「お姉ちゃんの実験室」永嶋恵美が特に良かった。
読了日:06月13日 著者:アミの会
日輪草 泥濘の十手 (小学館文庫 Jあ 03-2)日輪草 泥濘の十手 (小学館文庫 Jあ 03-2)感想
泥濘の十手シリーズ第2弾。おまき親分・亀吉・要が料理屋で開かれた華やかな衣装比べの最中に起きた毒殺事件を追う。しかし、今作は亀吉の成長譚。大店の跡取りとして将来を考え、要とのこれからに思いを馳せる。とても面白く、次巻が楽しみ!
読了日:06月15日 著者:麻宮 好
婚活食堂10 (PHP文芸文庫)婚活食堂10 (PHP文芸文庫)感想
真行寺の紹介で小料理屋をやりたいという桂木日向がめぐみ食堂で修行することに。日向が良い子で恵との息もピッタリ、夢の実現まで一直線かと思ったら、思わぬ方向から魔の手が…。しかし、恵の見抜く力と日向の感じた違和感から無事に良い結果が。相変わらず美味しそうな料理がたくさん!いつも参考にさせてもらっています。今作では「はじめ食堂」や「ゆうれい居酒屋」の常連さんたちも登場。
読了日:06月16日 著者:山口 恵以子
サイレントクライシスサイレントクライシス感想
海外からの帰国者が謎の発病、深夜にも関わらずマンション全戸の除染作業の最中に一人のサラリーマンの自殺死体が発見された。その死因に不審感を持った所轄の刑事たち。奥多摩にある建設会社を調べる中、ひき逃げで命を落とした女性刑事。兄で刑事の独自の捜査でとんでもない事実が発覚。最後まで一気に読めて面白い。確かにこの国はテロに対する備えが甘すぎる。
読了日:06月17日 著者:五十嵐 貴久
きらん風月きらん風月感想
掛川日坂宿の煙草屋「きらん屋」、店主は栗杖亭鬼卵という戯作者。そこをお忍びで訪れたのは老中の職を辞した松平定信。定信は名乗らずにひとりの殿様として鬼卵の来し方を聞く。いや、鬼卵の語りが痛快!定信がやり込められるのがなんとも面白い。『世の中の 人と多葉粉のよしあしは 煙となりて 後にこそ知れ』。政治家のみなさんにお薦めしたい1冊😆
読了日:06月19日 著者:永井 紗耶子
最後の甲賀忍者最後の甲賀忍者感想
江戸幕府の大政奉還、忍者の里・甲賀で暮らす人々の間にも激震が。長い太平の世に忍びの技も忘れた甲賀忍者が武士としての復権をかけて新政府軍に参戦し、北越の戦いへ。5人のクセの強い忍者たちの戦いの行方、まずまず楽しめた。
読了日:06月20日 著者:土橋 章宏
カラフルカラフル感想
高校の入学式の朝、駅のホームで思わぬ出会いをした荒谷伊澄と渡辺六花。伊澄は陸上短距離を怪我で諦め、六花は病気で車椅子のユーザーになりミュージカル女優への道を諦めた。二人のクラスでの位置取り、40キロの道を歩く「青嵐競歩」への挑戦。まさに青春!爽やかで胸がきゅんとする。中高生以上、大人の皆さんもぜひ読んでほしい1冊。
読了日:06月20日 著者:阿部 暁子
愚か者の石愚か者の石感想
明治18年、国事犯として北海道・樺戸集治監に収監された瀬戸内巽。冤罪による投獄に恨みを抱く巽、同房の山本大二郎は夢のような法螺を吹く。当時の過酷な労役、生きて釈放される人の少なさ。収監された人々を監視する中田看守。帯に「圧巻の長編監獄小説」とあるが、まさにその通り!川﨑さんの骨太な長編、お薦め本!
読了日:06月23日 著者:河崎 秋子
キャント・バイ・ミー・ラブ 東京バンドワゴンキャント・バイ・ミー・ラブ 東京バンドワゴン感想
堀田家の大きなテーブルを囲む賑やかな朝食風景。東京バンドワゴンの隣地のクリエーターハウス「ステージバス」のオープンへの準備も順調。そんな中で研人や芽莉依に仕掛けられた悪意も、みんなの協力でキレイにクリア!鈴花ちゃん・かんなちゃんの成長に目を細め、池沢さんと我南人のなれそめも明かされる。表紙の素敵なイラストは幸せいっぱいの結婚式。LOVEに溢れた1冊、勘一じいちゃんの健康長寿を願いながら楽しく読了。
読了日:06月24日 著者:小路 幸也
クスノキの女神クスノキの女神感想
クスノキの番人シリーズ第2弾。ラストは切なくて、でもとても温かく、心に染みる1冊に。玲斗の成長が嬉しく、千舟さんの変化が切なく。今作は家族の愛の物語でもあったかと。また時間をおいて読み返してみたい。お薦め!
読了日:06月25日 著者:東野 圭吾
きよのお江戸料理日記 (5) (アルファポリス文庫)きよのお江戸料理日記 (5) (アルファポリス文庫)感想
おきよの成長ぶりがめざましいシリーズ第5弾。「千川」で酒合戦(呑み比べ)、長屋に引っ越してきた大工と身重の女房。拐われて吉原に売られそうになり逃げ出した子沢山の百性の末娘・おれん。「千川」の主の留守で板長弥一郎が奮闘する。様々な出来事を通しておきよの店を持つことへの決意も強くなる。次巻が楽しみ!
読了日:06月26日 著者:秋川滝美
令和元年の人生ゲーム令和元年の人生ゲーム感想
うーん…世代格差だろうか。。おばさん(いや、おばあちゃん)には中々読了するのに難儀さを感じた。田舎の高校卒業して社会人になった身には理解し難い世界。直木賞候補になったということで手にしてみた1冊。
読了日:06月27日 著者:麻布競馬場
同じ星の下に同じ星の下に感想
両親からの虐待に苦しむ中2の有乃沙耶は、ある日両親が次の週末海で自分を殺害する計画を建てていることに気づく。金曜日の下校途中、児童相談所の渡辺と名乗る男の車に乗せられそのまま誘拐・監禁される。監禁下でも男は沙耶を丁寧に扱い、やがて沙耶は「本当の父親」ではないかと思い始める。2000万円の身代金目当ての犯行声明文を道警に送り、クズの両親との対峙。最後に明かされた犯行の動機と真相。良い本でした。八重野統摩さん、初読み。
読了日:06月28日 著者:八重野 統摩
町なか番外地 (一般書)町なか番外地 (一般書)感想
旧江戸川沿いの小さなアパート「ベルジュ江戸川」、1DKと2LDKがそれぞれ2部屋ずつ。両親と娘の3人家族、あとは独身男性ひとりと独身女性2人がそれぞれ生活をする。特別大きな事件がある訳でもないが住人たちが日々を過ごす中での小さな出来事や気付き。小野寺さんらしい作品。
読了日:06月29日 著者:小野寺 史宜

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5月の読書記録

2024-06-01 09:46:50 | ブックレビュー
5月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:5926
ナイス数:2235

少女が最後に見た蛍少女が最後に見た蛍感想
神奈川県警生活安全課・仲田蛍シリーズ第4弾。仲田が警察官になり子どもが関わる事件を次々に解決に導くその根底にあったものは?唯一救うことが出来なかった蛍子という少女の死が仲田の心に影を落としていた。来栖楓という女が腹立たしく、いじめなどと言う言葉では言い尽くせないほどの性悪さに読み終えても怒りが収まらない。
読了日:05月01日 著者:天祢 涼
本を守ろうとする猫の話本を守ろうとする猫の話感想
うーん…。猫が主人公かと思いきや。。祖父が亡くなり、ひとり残された高校生の夏木林太郎。古書店『夏木書店』を居場所に、不登校を続ける林太郎の目の前に現れた不思議な喋るトラ猫。本を取り巻く現実を憂える作者の思いは想像出来るけれど、林太郎にあまり魅力を感じられなかったのが残念。
読了日:05月07日 著者:夏川 草介
予幻予幻感想
ボディーガード・キリ、シリーズ第3弾。世界情勢を予測する「ホワイトペーパー」、亡き父からその文書を託された娘の岡崎紅火を護れ。各国の諜報組織から狙われるその文書。謎を握る人物が相次いで殺される。真犯人の動機がやや弱い気もするが、キリとバディの弥生のやり取りが面白くて分厚いのにサクサク読めた。深読みせずに楽しめて良い。
読了日:05月09日 著者:大沢在昌
江戸咎人逃亡伝江戸咎人逃亡伝感想
「島脱け」主の命で勘定奉行の不正の証を時期が来るまで秘密の場所に隠した杢之助は、その後捕らえられて佐渡に。生きては出られない地獄の島からの脱出劇。「夢でありんす」吉原の花魁・春日野の足抜け、それを追う力蔵。「放召人討ち」罪を犯した召人を野に放ち、手下に討ち取らせる久保田藩主。放召人となったマタギの決死の逃避行。リアルな逃亡劇はとても読み応えあり。面白かった。
読了日:05月10日 著者:伊東潤
猫を処方いたします。2 (PHP文芸文庫)猫を処方いたします。2 (PHP文芸文庫)感想
心に問題を抱えて、猫を必要とする人だけがたどり着ける「中京こころのびょういん」。軽いノリのニケ先生と無愛想な美人看護師・千歳さん。ニケ先生の秘密が…。
読了日:05月14日 著者:石田 祥
互換性の王子互換性の王子感想
飲料メーカーの御曹司・志賀成功(なりとし)が何者かにより別荘に軟禁され、絶望の末半年後に開放され会社に戻ると、かつて自分がいたポストには突如現れた異母兄実行(さねゆき)が就いていた。社運を賭けた新商品開発、ライバル社のえげつない妨害、一人の女性を巡る恋の駆け引き。異母兄弟の争いだが、さほどドロドロしたわけでもなく、お仕事小説として楽しめた。ドラマ化したら面白そう。
読了日:05月15日 著者:雫井 脩介
二人目の私が夜歩く (単行本)二人目の私が夜歩く (単行本)感想
幼い頃交通事故に遭い睡眠障害に悩む女子高生・鈴木茜は、偶然寝たきりで呼吸器をつけた厚浦咲子の「おはなしボランティア」をすることに。10歳以上歳上の咲子と心を通わせ、少しファンタジックな「昼のはなし」。咲子の印象がガラリと変わりダークな「夜のはなし」。最後まで読んで咲子の抱えていた苦しみ、もうひとりの茜の思いが伝わり、切ないけどとても心に残る読書に。お薦めです!
読了日:05月17日 著者:辻堂 ゆめ
すべての神様の十月(三) (PHP文芸文庫)すべての神様の十月(三) (PHP文芸文庫)感想
人々の暮らしの中に色々な神様が。福の神・死神・風神・雷神から付喪神、心優しき八百万の神様たちと人間の不思議な縁は読んでいてとても楽しい。「コンビニで恩返し」「方向音痴は治りません」、韋駄天のタクシードライバーの「間に合わせます」が面白かった。
読了日:05月18日 著者:小路 幸也
鳥人王鳥人王感想
コンビ存続の危機にあり、運動神経の良さだけが評価される売れない芸人・御子柴陸。その生い立ちと端正なルックスで注目を浴びるバリ五輪代表候補の大学生・犬飼優正。二人を繋いだのは棒高跳び。棒高跳びという競技の持つ魅力や奥深さ、ポールの開発に挑む研究者の姿。スポーツ観戦が好きなのでとても面白くて、オリンピックが目前に迫ったこの時期に読めて良かった!
読了日:05月20日 著者:額賀 澪
東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫 な 41-2)東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫 な 41-2)感想
東京すみっこごはん第2弾。声優を目指す女の子がたどり着いた「すみっこごはん」、唐揚げのお話。妻を亡くした頑固な有村老人と筑前煮のお話。有名中学受験のため勉強と身体に良い食事を義務付けられた小4の秀樹くんとオムライス。すみっこごはん常連の田上さんが大活躍する「ミートローフへの招待状。再開発を巡って不穏な雰囲気だったが、上手く存続できそうで良かった。
読了日:05月21日 著者:成田名璃子
ロスト・イン・ザ・ターフロスト・イン・ザ・ターフ感想
兄の遺した競馬バーを営む葵は、ある日大井競馬場のパドックで芦毛の牡馬・ウララペツに出会い、一目惚れする。メジロマックイーンの最後の世代の産駒だが、ぱっとしない戦績のこの馬、いずれは引退し食肉に…。ウララペツを買い取り種牡馬にしようと兄の親友前島や元馬主の穴澤らと奔走する。軽く読めて競馬界のことも少し分かり面白かった。やはり「黄金旅程」には及ばないかな。
読了日:05月22日 著者:馳 星周
江戸に花咲く 時代小説アンソロジー (文春文庫 み 17-61)江戸に花咲く 時代小説アンソロジー (文春文庫 み 17-61)感想
江戸の三大祭り、神田・山王・三社祭りがテーマのアンソロジー。三本雅彦さん、高瀬乃一さんは初読み。宮部みゆき「三島屋変調百物語」の最新作、『氏子冥利』が秀逸!
読了日:05月24日 著者:宮部 みゆき,諸田 玲子,西條 奈加,高瀬 乃一,三本 雅彦
照子と瑠衣照子と瑠衣感想
面白かった〜!私とほぼ同世代の照子と瑠衣、モラハラ夫を捨てた照子と老人マンションでの陰湿なイジメに音を上げた瑠衣。二人がシルバーのBMWで向かったのは長野の別荘地。行き当たりばったりで他人の別荘に潜りこんだ二人は生き生きと暮らし始める。しかしこの場所を選んだのは照子の周到な計画だった。爽快感と愉快さで楽しめた1冊。
読了日:05月25日 著者:井上荒野
嘘をついたのは、初めてだった嘘をついたのは、初めてだった感想
書き出しはすべて「嘘をついたのは、初めてだった」。29人の作家による掌編、初めての作家も多々。相性の良し悪しもあったが短編が苦手なのでサラッと読み飛ばしてしまった。
読了日:05月25日 著者:
警視庁01教場 (角川文庫)警視庁01教場 (角川文庫)感想
元見当たり捜査員・甘粕仁子は犯人追跡中にレインボーブリッジから転落し大怪我を負う。捜査の第一線を離れ警察学校の教官になり1330期の学生を受け持つが、積極的に学生に向き合わない態度に助教の塩見は振り回され悩みを深くする。警察学校前に人の左脚が置かれる事件、学生間のトラブル。仁子が抱えていた問題が明かされ、事態が一気に動く。読みやすく面白い!01教場、ぜひシリーズに。
読了日:05月26日 著者:吉川 英梨
夜露がたり夜露がたり感想
砂原さんの市井ものは初めて。どの作品も仄暗く重たい。武家物の長編の方が私は好み。8編の中で「妾の子」は救いがある結末で読み心地は良い。
読了日:05月27日 著者:砂原 浩太朗
陰からの一撃 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫 と 5-14)陰からの一撃 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫 と 5-14)感想
西川の自宅のポストに宛名も差出人も書かれていない封筒が。「真犯人は今も逃げている。追跡捜査係に情報を提供する」と書かれていて、夜の晴海埠頭に単身赴いた西川に魔の手が。怪我のせいか少し弱気になる西川、沖田と若手の追跡捜査係の面々は西川を襲った犯人を追う。西川を狙った人物、小さ過ぎて…😅 柿谷晶はこの作品でも感じ悪い😁
読了日:05月29日 著者:堂場 瞬一
キッチン・セラピーキッチン・セラピー感想
宇野碧さん、初読み。人生の迷子になった大学院生は家にあるすべての食材を使って作る「カレー」。家事と子育てに追われ自分の好きなものを忘れてしまった母親が作る「完璧なパフェ」。「ジビエ料理」はライフステージの変化に悩む女性医師。町田診療所の主・モネの過去と、豆を愛した彼の姉・エミのお話。読みやすく、料理の持つ力が伝わる1冊。
読了日:05月31日 著者:宇野 碧
テミスの不確かな法廷テミスの不確かな法廷感想
10歳の時ASDとADHDと診断され、良き専門医との出会いで自身の特性と向き合いながら生きてきた裁判官・安堂清春。任官7年目の彼が様々な事件や人との出会いを通じ成長してゆく物語。彼の特性があればこそ解決に至った事案もあれば、宋春美の事件は少しモヤモヤした結末に。弁護士・小野崎とのこれからも気になるので、続編を期待したい。
読了日:05月31日 著者:直島 翔

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