道漁連(川崎一好会長)は14日、新型コロナウイルス感染症対策の要請を行い、道、道議会に対し継続的な影響緩和策実施、ポストコロナに向けた生産基盤などの整備などを要望した。
道議会には、道漁連の菊池元宏副会長、山宮望漁政部長ら訪れ村田憲俊議長、三好雅水産林務委員長、吉田正人自民党水産議員連盟会長に道漁連、信漁連、共済組合、基金協会、共水連の系統5団体連名による要請書を手渡した。
菊地副会長は「昨年はコロナ禍で魚価、輸出に影響を受け全道で水揚げが400億円減少し、年間で2千億円程度に下がる見込みとなっている。そのため、漁協の経営は相当に苦しく、沿海地区71漁協のうち、26〜27くらいが欠損を出し一部で繰越欠損も見られる。漁業法改正で漁協の業務も増え、何らかの支援を考えてほしい」と漁協経営対策を強調した。また、「コロナの影響は新年も変わっていない。むしろ拡大している」と指摘し、政府が緊急事態宣言の対象地域拡大と同時に、11カ国のビジネス往来も全面禁止したことに関連して「漁業だけでなく農業、加工業など多くの分野、地域で大変な影響が出る。間違いなく産地の処理能力は下がる」と調整保管などの下支えの必要性を訴えた。
要請書では「1.コロナ禍に係る継続的な影響緩和策の実施」として①漁業信用基金の保証付き長期負債整理資金の創設②漁業者、漁協向け緊急運転資金の無利子化継続③特定水産物平準化事業の継続的な実施に向けた基金化④国内外の消費流通対策の支援措置を国に求めている。
菊地副会長は「調整保管を行う特定水産物平準化事業は補正で32億円が計上され、これを活用し乾貝柱を順調に生産し、ホタテの仕向けの適正化に役立ったが、令和2年度第3次補正予算では5億円しか措置されていない。道漁連はこの事業で鮮魚の仕入を1,000㌧ほど増やし価格の底支えを行っている」と予算枠の拡充を求めた。
次いで「2.ポストコロナに向けた生産基盤等の整備」として①秋サケの種苗生産体制の維持・安定、効果的な資源回復措置②昆布資源増大のための調査研究の拡充と早期実用化③養殖ホタテの大量へい死に対する資源回復・増大対策④増養殖・栽培漁業の種苗生産や新しい増養殖手法などの技術開発や施設整備に必要となる予算の確保を求めた。
菊地副会長は「秋サケ、ホタテ、昆布の三大栽培魚種はいずれも問題を抱えている。道総研を中心に原因を究明してもらい、問題解決を図りたい。時間がかかるので、その間に畜養とか給餌養殖の研究開発も含めて支援をお願いする」と要請した。
これに対し、村田議長は「コロナの影響を緩和する経済政策、金融対策などを国に要請してきたが、皆さんのお話しを聞き、今後も議会として国に働きかけたい」と述べた。
このあと、菊地副会長らは道庁で土屋俊亮副知事に会って、要請書を手渡し同様の要請を行った。