絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

美術の必要性5

2009-09-22 | 美術
なぜ、美術を学ぶ必要があるのかという問いを生徒から発せられたら、先生はどう答えるのかと思いながら、ここまで、書いてきました。

その答えを考えていたら、答えはたくさんあるなあと思いました。

今日は、表現ということから考えてみます。

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他の教科と比べると、美術は表現ということが大きな割合を占めると思います。
他の教科が、受身であることが多いのに対して、美術は半分以上が自分から発する能動的な表現です。

その表現ということはどういうことかと考えれみると、いろいろな分野に通じることがわかります。

原理的に考えてみると、表現とは、表現したい何かがあるわけです。
それを、絵画の場合、私は内的ビジョンと言っていますが、一般的にはコンセプトと言っているようです。

まず、そのコンセプトがあって、それをどのように人に伝えるか?それが、表現であると。

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これは、以前語ったことがあります。
ただ、自分だけのためにする絵画表現の場合でも、自分がその絵を見る人でもあると言いました。そう考えたら、絵画表現は見る人を意識してするものなのです。

「なぜ描くのか」と問えば、「見える形にしたいから」です。
もし、頭の中で分かっているだけで満足なら描かなくても良いのですが、描かないとわからないから描くと考えれば、やはり見える形にしたいからでしょう。

また、「描くのが楽しいから」というのは、描く感触が気持ちいいということもありますが、それが見える形になることが楽しいのではないでしょうか。

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絵画表現とは、あるコンセプトがあって、それを見える形にしたいから描く。

これで、良いでしょうか?

あるコンセプトとは、花が綺麗だなあとか、夕焼けが綺麗だなあという見て感動したその瞬間の印象かもしれません。人間を見つめて、感じるその人の人間性かもしれません。愛着のある静物の場合もあります。伝えたい歴史の場面やドラマの一場面の場合もあります。人間の感情の場合もあるでしょう。

とにかく、そのようなものを色と形を使って表現する。それが絵画です。

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それは、違う方法なら、言葉にして、音にして、伝えることもあるでしょう。
言い換えると、文学や音楽です。総合的には演劇や映画です。
そう考えたら、絵画表現というのは、それらに通じるものでもあるわけです。

絵画をしっかりと意識して、勉強すると、そのようなことになります。

単なる、記録写真の代わりくらいにしかとらえなければ、大した意味をなさないですが、あるコンセプトを伝える手段であると考えると、このように大きな意味がでてくるのです。

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では、そのコンセプトをどのように表現するかということで、頭を働かせると、それは、その人の表現力をみがくことになるでしょう。

具体的には、何を使って表現するか?それをどのような大きさで、どのように配置して、どのような色を使って、バランスを考えて、リズムを考えて、調和を考えて、どこを強調して、余分なものを省いて、必要なものを追加してとなるわけです。
私が、絵を指導する場合に考えている、構図のこと、足し算引き算、主役脇役の設定などがそれに当たります。

絵をきちんと学ぶと、そういう構成力が学べるのです。それは、仕事では、企画力にあたるでしょう。創意工夫ということでもあると思います。

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そう考えてみると、とても重要なことが美術で学べると思いませんか?

果たして、美術の先生たちはそこまで考えて授業を組み立てているでしょうか?

または、一つの教材を扱うときに、そういうことまで言及しているでしょうか。
私は、ただ絵を描かせるというだけでなく、そういうことまで含めて扱えば、美術で学ぶことはとても多いと思うのです。

今日は、この辺で。









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