絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

メソポタミアを掴もう

2009-09-04 | 美術
メソポタミアの美術を簡単に掴もう。

メソポタミアという言葉は、「二つの川に挟まれた地域」という意味だよ。

今の、イラクです。チグリス川とユーフラテス川に挟まれているんだ。
チグリス川が、1900キロ、ユーフラテス川が2800キロの長さだから、ユーフラテス川の方が900キロも長いよ。

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「歴史はシュメールから始まる」と誰かが言いました。

その言葉を覚えるといいよ。

まずは、シュメールです。
ミケランジェロの最後の晩餐で使われている青がラピスラズリーだとお話しましたよね。そのラピスラズリーの道というのが、シュメールの時代にあったよ。
アフガニスタンからイラクまでの3000キロの道で、二本あったよ。

シュメールは都市国家で、中央にジッグラトと言われる、ピラミッドのような建築物があったんだ。いまも見られるよ。


その周りに町がある形をしているんだけど、町の中央に川があるのもあるよ。ウル、ウルクという都市が有名なので、覚えておこう。

この頃の建築は、干乾レンガで造られることが多いけど、雨が降ると壊れるから、ウルのジッグラトは焼いたレンガが使われているよ。
もっとも、砂漠地帯なので、ほとんど雨が降らないけどね。

一番下には、コールタールが塗られていて、もし洪水になっても水が染み込んでこないように作られているんだ。
(洪水はけっこうあったみたいだね。そのときはジッグラトに逃げたかな?旧約聖書のノアの洪水の話はこの辺りの話だよね)

とにかく、シュメールは都市国家、ウル、ウルクが有名。中央にジッグラトがあると覚えてね。
まずは、これだけを覚えておこう。

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シュメールの次は、アッカドです。

シュメールより少し上流と思ってね。
小さな都市国家のキシュというところに、サルゴン王という人がいて、その人が周りの都市国家を抑えて、アッカドをつくったんだ。

美術的には、サルゴン王の孫で、ナラムシンという人が有名で、戦勝碑があるよ。
実は、次の時代のハムラビ法典が有名だけど、それと同じところで発見されたので、覚えておくといいよ。場所は、スーサです。

石碑なんだけど、上の方に浮彫があって、その下に楔形文字で記録がされていただろうと思われるけど、文字は発見されてないんだ。

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その次は、お待ちかねの古バビロニアでーす。

ここは、ハムラビ王が出たので、有名ですよね。
特に、ハムラビ法典が有名だから、覚えてね。
とりあえず、世界史では、世界最古の法典として紹介されていますよね。

でも、本当は違うんですよ。一応、現在ではウルナンム法典というのが、一番古いと言われています。シュメールでウルが出て来たから、名前は覚えられるかな?
ナンムが覚えにくかったら、南無で覚えるといいかな?と思います。

南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経といいますよね。その南無で私は覚えました。

ハムラビ法典は、やはり、上部に浮彫があるよ。
それは、太陽王がハムラビ王に杖と輪を与えている場面なんだよ。
(杖は権力を表し、輪は支配を表すよ)


向かって右が太陽王です。肩から湯気が上がっているので、分かりやすいよ。
名前が、シャマシュというんだ。

これは、「太陽は熱いから少し冷ます(シャマシュ)」と覚えました。
菅野式記憶法です。

これは、黒い石ですが、玄武岩という石でできているよ。

専門的には、復讐法と身分法というルールになっています。

それは、

   「目には目を、歯には歯を」

という言葉で有名だよね。
これだけは、覚えておこうね。
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身分法というのは、同じ罪を犯しても、身分の高い人は罰則が軽くて、身分の低い人は罰則が重かったんだ。今なら、怒っちゃうような法律ですよ。

たとえば、君が身分が低いとして、私が高いとするでしょ。
そのときに、たとえば、万引きをしたとするよね。
その罰が、私は100円払えば許してくれるのに、君は死刑だったらどう思いますか。

極端に言えば、そんな感じだよ。

そうだ、一つ怖い話をするとね。
復讐法と言うのは、理に叶っているように思うけど、ちょっと怖いよ。
本来は、相手が私の眼を突いて怪我をさせられたら、相手も同じように、目を突いて怪我をさせるという感じですよね。
だから、相手を傷つけたら自分も受けなければならない。だからしない方がいいよということなんだけど。

それがね。たとえば、お父さんが大工さんで、ある人の家を作ったら、壁が壊れて、その家の子供が死んじゃったとするよね。その時は、どうすると思いますか?

その場合は、大工さんの家の子供を殺すことになるんだよ。

ええええーーーーー!!じゃないかな。

要するに、私が殺されることになるんだよね。
お父さんがしたことで、子供の私が殺されることになるんだよ。困るでしょ?

目には目をという復讐法には、そんな危険もあるんだね。

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ちょっと、一つ言い忘れましたが、大工さんがきちんと作った場合は別です。
或る意味、儲けるために手抜き工事をしたときという大工さんに過失がある場合です。すみません。そこは大事なところでした。

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ハムラビ法典は、現在は、ルーブル美術館にあります。高さは2メートル25センチです。記念写真を撮るにはちょうどいい大きさですね。しかし、混んでいてなかなか自分とハムラビ法典だけで撮影するのは難しいですよ。

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全部で、282条からできていて、復讐法は197条198条あたりです。
楔形文字で書かれています。石の表も裏も書かれていて、その部分は裏だそうです。といっても読めないから私にはわかりませんでした。

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古バビロニアの次は、アッシリアです。しかし、アッシリアがメソポタミアを征服するまでには、いろいろな民族が出入りして、メソポタミアはかなり乱れました。

大帝国を築いたアッシリア

アッシリアは、今のバクダッドの北の方で、洪積大地の部分が中心に興りました。
ここでは、厚い城壁に囲まれた城が特徴です。そして、その守護神として、ラマスという怪獣みたいなのが出て来ますので、ちょっとおもしろいよ。


頭が人間で、体が牛なんだね。羽を付けていて、足が5本あるよ。
まあ、これは、正面と側面のどちらから見ても理屈に合うようにしただけですけどね。
頭が正面向きと横を向いたものと2種類あるよ。
あと、ロンドンの大英博物館に行くと、体が牛ではなくライオンかなと思うものがありました。足が完全に獣でした。牛の足ではなかったよ。
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アッシリアの城壁がものすごく厚かったのは、自分たちがとても残酷な民族で、戦った国の人々を皆殺しにしたため、負けることの恐ろしさを知っているんだね。
それで、いくら攻められても、落城しないように考えたらしいよ。

そういう特徴のあった国だったよ。

この時代の有名な王様は、アッシュールバニパル王という人がいます。
その人はね、ライオン狩りで有名なんだよ。ライオン狩りと言うと、草原でライオンを狩ると思うでしょ。実は、そうじゃなく、建物の中で、ライオンを狩るんだ。


それは、長い部屋の奥に自分がいて、ライオンを挑発すると、ライオンが怒って、バニパル王を目がけて、襲ってくるんだけど、それを途中で兵隊が武器で傷つけるんだよ。そうすると、ライオンが傷ついて弱ってくるんだ。そして、ほとんど瀕死の状態になって、バニパル王のところ来たところで、とどめを刺すという感じでした。
それが、浮き彫りになっています。イギリスの大英博物館に行くと、それが見られるよ。



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その次の時代は、4国分立という時を迎えます。

メディア、リディア、カルデア、エジプトです。

その内、カルデアが新バビロニアと言われる国なんだよ。

その前に、歴史的には、モーゼがエジプトから移動してきて、住み着いて、ヘブライ人とペリシテ人の戦いで、ダビデが出てきて、その子のソロモンの時代にユダヤ人の国を大きくしたんだけど、ソロモンの後、イスラエルとユダ王国に分裂して、
それぞれが、滅ぼされたんだ。イスラエルを滅ぼしたのが、アッシリアで、ユダ王国を滅ぼしたのが、メディア、カルデアの連合軍で、そのときの捕虜になった人たちが、カルデア(新バビロニア)で50年間の囚人生活をするんだよね。
これを、歴史的にはバビロン捕囚というんだ。

これは、歴史の知識としては知っていた方がいいかもしれない。

美術では、その新バビロニアの時に、バベルの塔があったよと言いたいんだけどね。これは、おそらくジッグラトだったと思うよ。

バベルの塔は、知っていますか。旧約聖書に出てくるよ。
人々が天に昇ろうとして、高い塔を作るんだけどね。そのとき、神が怒って、何をしたか知っていますか?
そうですね。みんなが言葉が通じると、このような神に逆らうようなとんでもないことをするということを知った神は、人々が言葉が通じないようにしたんだ。だから、今でも、英語とか日本語とかいろいろな国の言葉が生まれたんだってよ。
信じられますか。

いまでは、バベルの塔はここに建っていたということまで、言われている場所があるんだって。その時に使われた石や煉瓦は、他の建物を建てるために使われて、跡形もないみたいですけどね。
もう一つ、ここで、覚えておきたいのは、イシュタル門です。青い美しい門です。
発見した時は、感動したでしょうね。


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また、このときの、守護神がムシュフシュというんだ。
犬みたいな形だけど、頭は蛇みたいで、体には鱗があり、足は鷲みたいな形をしています。

そのくらいが特徴かな??

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そして、最後はアケメネス朝ペルシャになります。
ここでは、王の道や、建築もたくさん作られたと思いますが、私が勉強が足りません。ごめんなさい。
少し、勉強してからまた、チャレンジします。

私がこの時代で、唯一把握しているのは、このビヒストーンです。
70メートルの崖に、楔形の文字が書いてあります。正確には彫ってあります。
三種類の文字がありますが、同じ内容が描かれているということが分かりました。そのため、翻訳ができると、かなりの楔形文字が読めるようになりました。

イギリスのヘンリーローリンソンという人が、命がけで2年かけて書き写し、10年かけて翻訳に成功しました。

このビヒストーンは、エジプトのロゼッタストーンと同じように、翻訳のための重要な手がかりになりました。


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メソポタミアの歴史は、一応、このアケメネス朝ペルシャで終わります。
アレクサンダー大王が東方遠征をするために、ペルシャが滅んで、一段落です。

後で、またまとめてみますね。今日はここまで。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-04-22 02:00:24
旧約聖書のケルビムとシュメール文明のラマスの類似を調べていたらここに辿り着きました。
非常にわかりやすく、楽しく読ませていただきました。
語り口が独特で、洗練された文章をお書きになるのですね。
返信する
Unknownさま (pikaso)
2018-04-22 18:09:37
コメントありがとうございます。

実は、この頃、このブログの読者に小学生がいて、
その子が読んでも楽しめるようにと、子供に話しかけるように書いてしまいました。
そのために、こんな話し方になってしまったのです。

楽しんでいただけたら、とてもうれしいです。
どうもありがとうございました。


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